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2018-05-21

孤立性腹部内臓動脈解離

  • 単独で生じた腹腔動脈や上腸間膜動脈の解離は造影CTでも見逃しやすい疾患
  • 当院で1年間に経験した連続5症例をまとめた論文(英語)をアップしておきます


【日本語抄録】

孤立性腹部内臓動脈解離は大動脈解離を伴わない腹部内臓動脈解離と定義され,従来は極めて稀な病態と考えられていた.しかし,多列検出器コンピュータ断層撮影(computed tomography, CT)などの画像技術の進歩に伴い,孤立性腹部内臓動脈解離と診断される症例は増加していることが推察される.そこで本研究では,多列検出器CT時代における孤立性腹部内臓動脈解離の頻度とその臨床的特徴を後ろ向きに調査した.2013年4月1日から2014年3月31日の間に当院で施行した腹部の多列検出器CT連続症例6,072件(単純検査2,969 件,造影検査3,103 件/緊急検査2,308 件,予定検査3,764 件)のうち,孤立性腹部内臓動脈解離と診断された症例は5例で,腹部CT検査の1,214 件に1件,緊急腹部CTの462件に1件の割合であった.5例の平均年齢は53歳で,4例が男性,その内3例が喫煙者であった.合併疾患は高血圧4例,肥満2例,脂質異常1例で,糖尿病を有する症例はなかった.他疾患の検査中に偶然診断された1例を除き,すべて急性腹症として発症していた.臨床経過は良好であり,経過中に侵襲的治療を要した症例はなかった.高血圧歴と喫煙歴を有する中年男性の急性腹症では,孤立性腹部内臓動脈解離は稀ではないことが示唆された.

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(投稿者 川崎)

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