👥 先日のERカンファ
- 先日,1型糖尿病患者が腹痛を訴え来院し,糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) と診断され入院しました.アミラーゼも少し上昇していました.
- DKA症例では多飲多尿や脱力感,嘔気嘔吐に加えて,腹部症状をしばしば訴えます.しかし「どうして腹痛?」と思ったので調べてみました.
👼 DKAの腹痛
- 腹痛はDKA症例の40~75%に存在(反跳痛は12%)して,動脈pHと血清重炭酸塩レベルが低下するにつれて増加
- 原因は急性高血糖による食道・胃・胆嚢の運動障害,肝被膜の急速な拡張,脱水に伴う血管内容量減少による腸間膜虚血など
- 最大35%の患者では腹痛疾患 (膵炎・肝炎・腎盂腎炎・骨盤炎症性疾患・胃炎など) がDKAの誘因になっている
- フルニエ壊死性筋膜炎や急性胆嚢炎,虫垂炎,会陰膿瘍,急性膵炎などで約6%のDKA症例で腹部手術が必要
👤 おまけ
- 糖尿病性ケトアシドーシスで腹痛を伴った場合,単なる一症状と軽く考えるのではなくて,エコーやCTなどで原因検索が必要の様です(Acta Endocrinol 2017;13:509–11)
(投稿者 川崎)
いつも勉強させてもらっています。
返信削除腸間膜虚血の誘因として想定される"volume depletion"は「体積減少」ではなく脱水に伴う「血管内容量減少」とするのが妥当ではないでしょうか。
今後とも活動応援しています。
ご指摘ありがとうございました
返信削除文言を変更いたしました