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2024-01-30

橋中心髄鞘崩壊症(Central pontine myelinolysis, CPM)

  • 概要 脳橋底部に生じる対称性かつ非炎症性の脱髄病変によって生じる一連の病態
  • 初報 米国の腦神経内科医 アダムスら(AMA Arch Neurol Psychiatry 1959;81:154-72
  • 頻度 三次病院への神経科入院例の0.4%~0.56%,内科系病院への入院全体の0.06%
  • 症状 構音・嚥下障害,痙性四肢麻痺,痙攣,閉じ込め症候群,意識障害,死亡など
  • 併存 アルコール依存や肝移植後,集中治療室に入室する重篤な疾患,栄養失調など
  • 疫学 30〜50歳に多く男性優位(51.8%~77.0%),23%~48.2%が肝移植を受けている
  • 原因 低Na血症の急速な補正(ただし高Na、低K、低Pなど全ての電解質異常で発生
  • 診断 脳MRIのT2強調・FLAIRで高信号,T1強調で低信号(拡散強調の診断能は不明)
  • 予防 緩徐なNa補正(例: Na<120 mmol/Lなら1時間で0.5未満,1日12未満の補正)
  • 治療 デキサメタゾンや血漿交換,免疫グロブリンが有効であったという報告がある
  • 予後 1980年代は死亡率90%~,現在は33%~50%と少し改善(24%~39%は完全回復) 


💀 おまけ
  • 近年では橋中心髄鞘崩壊症(central pontine myelinolysis, CPM)に橋外髄鞘崩壊症(extrapontine myelinolysis, EPM)を加えて,浸透圧性脱髄症候群(osmotic demyelination syndrome: ODS)と呼ばれることが多いようです.頻度はCPMが40%~56%,EPMが13%~35%,混合型が23%~31%です.橋外では小脳白質が33%~55%,大脳基底核(特に線条体)が34%,他に視床または海馬の髄鞘溶解として出現するようです.



- 橋外性および橋中心性浸透圧性脱髄症候群を呈した35歳男性 -

(投稿者 川崎)

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