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2024-02-20

機内 ✈ Drコール 

  • 先日,知人の循環器内科医が国際線の航空機内でDrコールに応じて急変症例の蘇生を行いました.数年前には大先輩の循環器内科医も国際線内での心筋梗塞発症に対応をされました.いずれも名乗り出た医師は1人だったようです.
  • 要請に応じる姿勢は素晴らしいいのです,結果に対する法的責任などが心配で二の足を踏まれる方も少なくないと思います.この特殊な状況下での対応に関しては明記されていないことも多いのですが,少しだけ調べてみました.

💛 善きサマリア人の法(Good Samaritan laws)
  • 負傷者や急病患者,被災者などを救うために無償で行った善意の行動は,故意または重大な過失がない限り民事上の賠償責任を問われない
  • バイスタンダーによる蘇生や航空機内でのドクターコール対応を促進するためで米国やカナダで施行(ただし日本では現時点で未立法化)
  • サマリアとはパレスチナ中央部の地名で,新約聖書に書かれたサマリア人の善行が名称の由来(ルカによる福音書の第10章第29~37節)

☆ 光樹(こうき)法律会計事務所の見解(以下の文言は一部変更)
  • 民法698条(緊急事務管理)「管理者は,本人の身体,名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは,悪意又は重大な過失があるのでなければ,これによって生じた損害を賠償する責任を負わない」。よって航空機内で医師に求められる注意義務は軽減され刑事責任が問われることはまずありません。
  • 医師法19条1項「診療に従事する医師は,診察治療の求めがあった場合,正当な事由がなければ拒んではならない」。しかし,応召義務は医師が医療施設で診察をする場合で,乗客である医師が機内ドクターコールを無視しても応召義務違反にはなりません。
  • 外国航空機内の場合でも,ドクターコールに応じて急病人が死亡しても原則刑事責任は負いません(例えばアメリカ・カナダには良きサマリア人の法/good Samaritan law)。ただ,民事責任については最終的に責任を負わないとしても,損害賠償請求される可能性はゼロではないのでリスクは伴います。航空会社や海外旅行保険が支払うかは約款次第です。

💁 航空機に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

1 件のコメント:

  1. 飛行機内は0.8気圧、湿度5-15度に設定されています(すなわち、富士山5合目でサハラ砂漠)。
    SPO2は90-92%になるとの報告あり(小生は97%)。
    5航空会社3年でドクターコールは11920件。604フライトに1回(JALだけで1日1000フライト以上)。緊急病院搬送 25.8%、入院8.6%、死亡0.3%(N Engl J Med 2013)
    目的地以外に着陸させると数千万円要求されるとある添乗員から聞きました。
    元上司

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