- 閉塞性肥大型心筋症では僧帽弁の収縮期前方運動(systolic anterior motion, SAM)のため流出路狭窄が生じます.その原因として,かってはベンチュリ効果(venturi effect:流体が狭い箇所を通過する際に流速が増加し,その結果圧力が低下する現象)が提唱されていました.
- しかし詳細な時相解析では,SAMは左室流出路の速度が正常なタイミングで始まります(上図).つまりベンチュリ効果でSAMを説明することは少し困難です.近年では流れが押し出す力(drag forces:日本語では抗力?)がSAMの主要な流体力であることが示唆されます(下図).
💁 閉塞性肥大型心筋症に関する過去の投稿 ➜ コチラ
(投稿者 川崎)
ドラッグ力の2機序
返信削除・Ejection SAM:肥大した中隔のため左室駆出流の向きが変わり、僧帽弁後尖に回り込む血流が増える。その結果、僧帽弁が前方へ押し上げられる。6割の症例であり。
・Vortical SAM:僧帽弁後尖の背側に渦流が形成され、僧帽弁が押し上げられる。4割の症例であり
参考)月刊心エコー 2025;26(7):647-681