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2016-11-05

異物は CT 上どう見える?

今日は放射線科関西地方会でした。

当院の元研修医であった先生が発表していましたが、爪楊枝の吸収値ははじめは Air を含むため Air に近い低信号を呈するが、徐々に水を吸い込んで吸収値が (たぶん50くらい?) 上がっていくという論文を見つけて報告してくれていました。覚えておきます。 残念ながら原典が見つかりませんでした。

医療訴訟で大きな話題となって、その後の医療にも大きな影響を与えたであろう杏林大病院割りばし死事件では、「頸静脈孔に嵌入し頭蓋底を越え小脳まで穿通した約7.6cmの割り箸の断片が確認され」たそうです。「脳出血を疑い頭部X線とCT撮影を行ったが、後頭蓋窩に硬膜外血腫と空気の混入が認められたものの、依然死因は不明であったという。」
Wikipedia より引用
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8F%E6%9E%97%E5%A4%A7%E7%97%85%E9%99%A2%E5%89%B2%E3%82%8A%E3%81%B0%E3%81%97%E6%AD%BB%E4%BA%8B%E4%BB%B6#cite_note-asahi081121-9

Anderson らによると、手掌異物200例において異物は木片 36%, ガラス 23%, 針 7% であった。Gooding らは、このように異物症例には単純エックス線で確認できないものが多く、単純エックス線のみでは異物の有無を判定するのに不十分であると指摘している。
慈恵医大誌 2010:125:169-73 より引用

プラスチックの場合の CT 値は
http://ichiken.w3.kanazawa-u.ac.jp/img/hbk-c-8.pdf
を参考に、素材によって -100 から 120 くらいのようですね。ラミネートフイルムであればその混合比により吸収値が変化するはずで、また、PTP (薬の包装材) の場合は金属を含んだりもするので、吸収値はさらに上がると思います。

以上、まとめると
木片 (箸、枝、爪楊枝などなど) は、CT上はじめは air 濃度で 3 日ほどかけて辺縁から徐々に吸収値が上昇し軟部組織に対して高吸収となる。
単純写真のみでは異物が指摘できないことが多い。
プラスチックの吸収値は低いもの (-100) から高いもの (120) がありそう。
もし同じものがあれば、マーカーと一緒にどこか診断の邪魔にならないところに置いて撮像するといいかもしれません。

(投稿者 小谷)

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