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2018-05-26

ニカルジピンによる静脈炎

ニカルジピンは末梢からの持続投与により静脈炎が高頻度に発現する。(添付文書では頻度不明)
投与14時間以降に発現しやすいことが報告されており、米国の添付文書では12時間毎に注入部位を変更することが推奨されている。

◆濃度
・原液投与の場合の静脈炎発症率は40.7%であるのに対し、10mL/h以上の生食で希釈した場合の発症率は21.9%と有意に低かった。静脈炎発症と平均希釈率との関係についてROC曲線を用いて評価した結果、平均希釈率のカットオフ値は4.23倍であった。
・添付文書の推奨濃度は0.01~0.02%(5~10倍希釈)
ニカルジピンのpHは3.0~4.5であり、添付文書の推奨濃度を遵守した場合のpHは4~7程度。一般にpHが4.1未満の薬剤で血管障害が起こりやすい。

◆投与時間
・投与時間が24時間以上になると、24時間未満に比べ静脈炎の発症リスクが約5.0倍高くなる。

◆静脈炎予防
・添付文書の推奨濃度の遵守
・24時間毎の投与部位変更
・投与時間の短縮
・投与部位のモニタリング強化
が有用か。

【参考】
ペルジピン添付文書
宮津大輔,高血圧性緊急症患者に対するニカルジピン注射液原液の精密持続点滴投与による静脈炎発症の危険因子に関するレトロスペクティブ調査研究,医療薬学,2017,43(1),45-52
尾川理恵,集中治療室におけるニカルジピン注射液による血管障害に対する取り組みと評価,医療薬学,2016,42(11),773-778

(投稿者 小森)

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