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2019-05-11

心エコー図のプチ負荷アラカルト

Valsalva負荷
  • 前負荷の軽減で通常は左室流入血のE/Aは低下する.しかし同時に駆出血のTVIも大きく低下する場合,利尿薬単独で治療することは難しい.

座位負荷
  • 仰臥位から立位になると500-800mlの血液が胸腔内から下肢や腹部内臓系に移動する.よって臥位から座位になると一回拍出量は8%程度低下する.

下肢陽圧負荷
  • 人間の体内では総血液量の30%のみが有効血液量(stressed volume)として機能し,残りの70%は無効血液(unstressed volume)として主に腹部内臓の静脈系に蓄えられている.交感神経の興奮時には静脈血管のトーヌスが上昇し,最大800mlの血液がunstressed volumeからstressed volumeに瞬時に動員される(volume central shift).下肢陽圧負荷(leg positive pressure: LPP)でも同様のshiftを容易に誘発することができる.

期外収縮
  • 期外収縮後の代償性休止期に心筋細胞内へのカルシウムイオンの流入が増加する.その結果,筋小胞体からのカルシウムイオンの放出が増加するため,次の収縮で心収縮性が高まる(Post-extrasystolic potentiation: PESP).つまりPESPは心筋細胞内のカルシウムハンドリング機構が健全であることを示す.

シャント駆血
  • 駆血の有無による心拍出量の変化を計算すればシャント量とシャント率が計算できる.シャント量が2L/分以上あるいはシャント率が30%以上は高心拍出性心不全のリスクである.

自然呼吸
  • 収縮性心膜炎では,胸腔内圧の変化が心膜内に伝播しないことによる心室間相互作用の増強が生じる.これは吸気時の心室中隔の左室側への偏位(septal bounce)として観察できる.

参考)松本賢亮.心エコー2019;20:418-23 ⬅ とても面白くてオススメ

生理学の関連投稿:いずれも砂川賢二先生関連 👀

(投稿者 川崎)

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