Dysphagia aortica 下行大動脈による食道通過障害

• 大動脈瘤や下行大動脈の蛇行による外方からの食道圧迫で嚥下障害を呈する病態
• 初報はドイツ (？) のPapeによると思われる（Fortschr Roetgenstr 1932;46:257-69）
• 高齢女性，側彎症，短食道などが危険因子で食道潰瘍や大動脈食道瘻の可能性あり
• 診断は消化管造影やCT（解剖学的評価）および内視鏡や食道内圧検査（血管拍動）
• 治療は食事療法（粘稠食物や食後臥床の回避＋よく咀嚼）で難治例には外科的治療

参考）日本消化器外科学会雑誌 2016;49:698-705

(European Heart Journal, ehab125)

😊 おまけ

• 上記写真の論文の筆頭著者である谷口先生は以前に当院循環器内科で勤務されていたことがあります．表題にある”dogleg”は犬の後ろ足＝くの字で，本病態を的確に表すとてもイケているタイトルだと思います．
• Dysphagia aorticaのあまりいい邦名はないようですが，日本食道学会の用語解説集には大動脈性嚥下困難と記載されていました．なおdysphagia aorticaは3年前に本ページに投稿されていましたがすっかり忘れていました（以前の投稿）．

（投稿者　川崎）