臨床クイズ

👹 考えられる診断は？

• 胸膜炎に対してタゾバクタム・ピペラシリン（TAZ/PIPC）で加療していた症例．急性腎障害が進行したため血液透析を導入して，抗菌薬をセフェピム（CMX or CFPM）に変更した．すると翌日から痙攣とミオクローヌスが出現するようになった．

👺 セフェピム脳症（Cefepime-induced encephalopathy）

• セフェピムは第四世代のセファロスポリン（ベータラクタム系抗菌薬の1つ）で，血中濃度の約10%が髄液中へ移行
• 機序はセフェピムがγ-アミノブチル酸（γ-aminobutyric acid, GABA） A受容体に結合してGABAの抑制効果を減弱
• セフェピム脳症の発症頻度は0.1%未満と考えられるが，ICUで3日間以上投与された患者の15％という報告もある
• 症状は意識障害や痙攣，ミオクローヌス（突然の電撃的な四肢・顔面・体幹などに生じる不随意運動），失語など
• 脳波検査ではデルタ波，周期性放電，高い陰性成分の特徴的な三相波（Tri‒HNC：本例でも全般性同期性に3相波）
• 発症リスクは腎機能障害やセフェピム過剰投与，高齢などで通常は投与中止のおよそ2日後から症状改善を認める

参考）日集中医誌 2023;30:136-7

（投稿者　川崎）