意識障害が疑われる仰臥位の状態で患者の顔の上に患者の上肢を他動的に持ち上げて離すテスト
- 顔面を避けるような形で腕が落ちた場合(陽性)➜ 詐病やヒステリーなどを疑う
- 顔面に当たる形で素早く腕が落ちる場合(陰性)➜ 意識障害あり(脳疾患など)
🉐 関連投稿(少し稀な意識障害)
当初の投稿では陽性と陰性を逆に記載していました.読者の方からご指摘をいただきました(下記コメント欄).当院の脳神経内科の滋賀先生にもいろいろと詳細に教えてもらいました.本当にありがとうございました.
(2022.5.11 追記:川崎)
(投稿者 川崎)
検査の陽性と陰性が逆です
返信削除ご指定ありがとうございました。修正しました。
削除陰性の場合意識障害を疑う根拠とはなりうるような気はします。
返信削除ただ、陽性の際に詐病やヒステリーを疑うといった根拠になるといった論文を見たことないのですが、如何でしょうか。
脳神経内科の滋賀です。ご指摘のように、arm drop testに関するエビデンスレベルの高い前向き研究はなかったと思います。ただ、古い論文で小規模の後ろ向き研究が1つあったように記憶しています(調べて、後日アップします)。いずれにしても、臨床の場で「arm drop test陽性=器質的疾患なし」と断定するのは危険だと私は思います。患者さんが困ってらっしゃる「麻痺」という症状に焦点をあてるのではなく、「器質的疾患か非器質的疾患か」という医者目線の二元論で議論されていることが多いからです。身体科の医者はそれで安心するわけですが、そのような診療スタイルでは非器質的疾患による「麻痺」という患者さんの問題を解決することはできません。DSM-5では「機能性神経症状症(FND=functional neurological symptom disorder:FND」)という概念が出てきており、重要な疾患群です。FNDには、心因がある場合と、いろいろ探しても心因が見つからない場合があります。特に後者の場合、精神科・心療内科に紹介しても問題解決しないわけで、結局身体科でやさしく継続診療してあげたほうがいいケースも多いのです...
返信削除脳神経内科の滋賀です。私の認識が甘く、探した範囲では感度などを調べた研究は見つかりませんでした。すみませんでした。ただ、いくつか調べていくなかで、DeJongのNeurological Examinationで、arm dropping testとしてワンパラグラフの記載がありました([意識障害のように]筋が弛緩していればストンと落下する、と記載されています)。また、Plum&Posnerの名著Diagnosis of Stuper and Comaのなかに、心因性昏睡の診断法として記載されていますが「意識障害があっても、上腕の重さのために手が頭部を避けるように動くこともある」として、擬陽性の可能性にも言及されています。いずれにしても、単一の徴候でいろいろと議論するには、曖昧すぎる徴候です。(陽性であれば器質性錐体路徴候を強く疑うことができる)Babinski徴候のようには使えないと思います。
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