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2020-09-28

似て非なり? アトロピン vs ブスコパン

👻 復習
  1. 副交感神経系の伝達物質はアセチルコリンで,各臓器にあるアセチルコリン受容体の別名がムスカリン受容体
  2. アセチルコリンは各臓器に指令を伝達後,アセチルコリンエステラーゼによって速やかに分解され役目を終える
  3. アトロピン®️やブスコパン®️はいずれもムスカリン受容体を競合的に阻害することで副交感神経の作用を抑制する
🚚 アトロピン硫酸塩水和物(アトロピン®️)の効能(添付文章
  • 胃・十二指腸潰瘍における分泌並びに運動亢進,胃腸の痙攣性疼痛,痙攣性便秘,胆管・尿管の疝痛,有機燐系殺虫剤・副交感神経興奮剤の中毒,迷走神経性徐脈及び迷走神経性房室伝導障害,麻酔前投薬,その他の徐脈及び房室伝導障害,ECTの前投与(注:ECT=電気痙攣療法) 
🚛 臭化ブチルスコポラミン(ブスコパン®)の効能(添付文章
  1. 下記疾患における痙攣並びに運動機能亢進
    • 胃・十二指腸潰瘍、食道痙攣、幽門痙攣、胃炎、腸炎、腸疝痛、痙攣性便秘、機能性下痢、胆のう・胆管炎、胆石症、胆道ジスキネジー、胃・胆のう切除後の後遺症、尿路結石症、膀胱炎、器具挿入による尿道・膀胱痙攣、月経困難症、分娩時の子宮下部痙攣
  2. 消化管のX線及び内視鏡検査の前処置
👼 つぶやき
  • アトロピンの作用は平滑筋・心筋・外分泌腺のムスカリン受容体に対し特に選択性が高いようです().これらのアトロピンの臨床上の特性を改善するためにブスコパン®が開発されました().ブスコパンは中枢性副作用がなく,腹部中空臓器の壁内神経節にも作用し神経刺激伝達を抑制するようです.
  • 実際の臨床現場では循環器内科医はアトロピン,消化器内科医はブスコパンを使い慣れています.ただし専門が何科であれ医師人生で1回は出会う(かもしれない)有機リン中毒の症例に対するアトロピン大量投与の知識はいつも頭の片隅に!
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(投稿者 川崎)

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