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2024-04-23

下痢性貝毒 Diarrhetic Shellfish Poisoning

先日のカンファレンスで...
  • ムール貝を食べて1時間後に嘔吐・腹痛・下痢で来院された症例を議論しました.食中毒であるならば発症時間からはブドウ球菌ですが...(過去の投稿
  • 対症療法のみで帰宅され原因は追及されんせんでしした.でも初期研修医1年目の先生が下痢性貝毒ではないかと指摘してくれました(ナイスプレイ🎉) 

🐚下痢性貝毒
  • 原因 有毒プランクトンを摂取して生物濃縮した結果有毒化
  • 貝類 ムラサキガイ(ムール貝など),ホタテ貝,アサリ他
  • 鑑別 麻痺性貝毒(30分後)とノロウイルス(12時間~2日)
  • 発症 摂取後30分~4時間程度で下痢・吐気・嘔吐・腹痛など
  • 経過 通常は3日以内に回復する(死亡例はなく予後は良好)
  • 治療 特異的な治療なし(脱水に対する輸液などの対症療法)
  • 対策 調理加熱では毒素は分解しない(定期的に毒性値測定)

参考)厚生労働省HP,他

🍴 おまけ
  • わが国では定期的に重要貝類の毒性値を測定し,可食部1kg 当たり0.16mgオカダ酸当量を超えたものは出荷規制されているので,市販の貝類による食中毒は発生していないようです(厚生労働省).
  • 本例の急性胃腸障害の原因は確定できていませんが,下痢性貝毒は臨床現場では確定診断はおろか鑑別診断に加えられることも稀と予想します.臨床現場では意外にちらほら発症しているのかも?

💁 食中毒に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 何/川崎)

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