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2021-10-10

黄色ブドウ菌と毒素

【問題】素手で握った2日前のおにぎりがある.食べられる?






判定

 🍙 解説
  • 細菌性食中毒は頻度が多い順にカンピロバクター,ブドウ球菌,サルモネラ,ウェルシュ菌,腸管出血性大腸菌
  • カンピロバクター、サルモネラ,腸管出血性大腸菌は(少量でも)菌自体が食中毒を起こすため加熱調理が重要
  • 一方、ブドウ球菌やウェルシュ菌,セレウス菌は細菌が作った毒素で食中毒が生じ,100℃20分の加熱でも防げない
  • おにぎりといえばブドウ球菌食中毒で,耐熱性毒素エンテロトキシンにより3~4時間後に嘔吐,腹痛,下痢をきたす
(投稿者 川崎)

2023-05-16

茹でガニ・腹痛・下痢

🦀 かに
  • 蟹を食べた後の体調不良(かゆみや皮疹)なら甲殻類アレルギーですが,下痢と腹痛なら腸炎ビブリオを思い出したい

💦 腸炎ビブリオ感染症Vibrio parahaemolyticus infection)
  • 腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)の病原性菌株(1%)によって生じる腸管感染症
  • コレラ菌と同じビブリオ属菌で一端に1本のべん毛をもって活発に運動する短桿菌である
  • 海水から汽水域(淡水域への推移帯)に生息し塩分(1~8%)要(61℃10分間で死滅)
  • 腸炎ビブリオは15℃以上の海水の中で活動を始めるので水温の高い夏場に発生しやすい
  • 6-24時間の潜伏後に下痢症(水様性),腹痛,嘔気・嘔吐,発熱,悪寒,しぶり腹など
  • 刺身・寿司(貝除)49%,貝類16%,焼魚等の調理品12%,ゆでがに等のボイル類10%
  • 近年は発生頻度が低下:2017年食中毒統計資料では総数16,464人で腸炎ビブリオ97人
  • 診断は新鮮便を直接TCBS寒天培地に塗抹し37℃で一夜培養(特徴ある集落を形成する)
  • 治療は対症療法(多くは3~5日で回復:強力な止瀉薬は菌の排除を遅らせるので回避)
  • 食品衛生法上での取り扱いは食中毒が疑われる時24時間以内に最寄りの保健所に届け出


- 日本感染性腸炎学会資料の入院例 -

💁 食中毒に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-04-23

下痢性貝毒 Diarrhetic Shellfish Poisoning

先日のカンファレンスで...
  • ムール貝を食べて1時間後に嘔吐・腹痛・下痢で来院された症例を議論しました.食中毒であるならば発症時間からはブドウ球菌ですが...(過去の投稿
  • 対症療法のみで帰宅され原因は追及されんせんでしした.でも初期研修医1年目の先生が下痢性貝毒ではないかと指摘してくれました(ナイスプレイ🎉) 

🐚下痢性貝毒
  • 原因 有毒プランクトンを摂取して生物濃縮した結果有毒化
  • 貝類 ムラサキガイ(ムール貝など),ホタテ貝,アサリ他
  • 鑑別 麻痺性貝毒(30分後)とノロウイルス(12時間~2日)
  • 発症 摂取後30分~4時間程度で下痢・吐気・嘔吐・腹痛など
  • 経過 通常は3日以内に回復する(死亡例はなく予後は良好)
  • 治療 特異的な治療なし(脱水に対する輸液などの対症療法)
  • 対策 調理加熱では毒素は分解しない(定期的に毒性値測定)

参考)厚生労働省HP,他

🍴 おまけ
  • わが国では定期的に重要貝類の毒性値を測定し,可食部1kg 当たり0.16mgオカダ酸当量を超えたものは出荷規制されているので,市販の貝類による食中毒は発生していないようです(厚生労働省).
  • 本例の急性胃腸障害の原因は確定できていませんが,下痢性貝毒は臨床現場では確定診断はおろか鑑別診断に加えられることも稀と予想します.臨床現場では意外にちらほら発症しているのかも?

💁 食中毒に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 何/川崎)

2025-12-07

ヒスタミン食中毒 Histamine poisoning

  • 概略 高濃度のヒスタミンを含む食品を摂取することによって発症
  • 形態 アレルギー反応と異なり免疫グロブリンのIgE抗体を介さない
  • 症状 摂食30分程度で顔面~口~耳の紅潮,頭痛,じんま疹,発熱
  • 経過 6~10時間で回復(重症は稀で抗ヒスタミン剤で速やかに全治)
  • 産生 アミノ酸の一種ヒスチジンからヒスタミン産生菌により生成
  • 原因 赤身魚などを常温に放置するとヒスチジンが食品に蓄積される
  • 注意 ヒスタミンは一度生成されると加熱では壊れない(冷蔵保存)


- 魚種別ヒスチジン含有量 -

(投稿者 川崎)

2018-10-02

感染症法 医師の届出

全ての医師が全ての患者の発生について届出を行う必要がある感染症
  • 1類感染症 ただちに届出
  • 2類感染症 ただちに届出
  • 3類感染症 ただちに届出
  • 4類感染症 ただちに届出
  • 5類感染症 侵襲性髄膜炎菌感染症・風しん・麻しんは直ちに届出,その他は7日以内他に届出

感染症法における感染症の分類(厚生労働省) ※一部変更して1類~4類感染症のみ


当院でもしばしば遭遇する疾患

食中毒の起因菌に関しては個別に指定はされていない食品衛生法の第58条に下記の如く記載されている

食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者(以下「食中毒患者等」という。)を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄の保健所長にその旨を届け出なければならない。 (直ちには24時間以内)

(投稿者 川崎)

2017-08-31

グラム染色クイズ

免疫力低下症例の血培で嫌気性ボトルとそのグラム染色

嫌気性ボトルがあわ立ち,グラム染色で多数の陽性桿菌を認めた(好気性ボトルからは検出されず)
最終的にはクロストリディアム・パーフリンジェンス Clostridium perfringens であった

C. perfringens
  • 動物(ヒト含む)の腸内細菌叢の主要菌で、河川や土壌,海などにも広く分布している
  • 別名はウェルシュ菌で食中毒(特にカレー)や筋肉壊死(ガス壊疸)を生じることがある

グラム陽性桿菌 ⇒ コリネバクテリウム(V字型が特徴)やクロストリジウム(嫌気性),バチルス(主に好気性菌)など

(投稿者 川崎)

2024-01-19

ジビエ Gibier(仏語)

  • ハンターが狩猟で捕獲した食材の野生鳥獣(ソバージュ,sauvage [仏語])
  • 本邦でも15年ほど前から認知され,学校給食でも4割の道府県が導入(下図)
  • ジビエを介した人獣共通感染症の病原体はウイルス,細菌,寄生虫など多岐
  • 例えば野生シカ肉や野生イノシシ肉によるE型肝炎やO157など(詳細は下表)
  • ジビエ処理の標準はない(生食は避け中心部まで熱が通る十分な加熱が必須)


学校で出食されているジビエ給食

日本におけるジビエが原因で発生した人獣共通感染症(食中毒)事例

(投稿者 川崎)

2018-02-08

ビーフリード vs バチルス(セレウス菌)

  • ビーフリードは末梢から投与でき比較的高カロリー(210kcal/500ml)でビタミンB1やアミノ酸含
  • 臨床現場では汎用されているが血管外漏出による皮膚壊死の問題が指摘されている ➜ 過去の投稿

一方,ビーフリードに関連した末梢カテーテル留置によるセレウス菌の汚染も認識されるようになってきた
(従来から中心静脈カテーテルの不適切管理やリネン類の汚染に起因したセレウス感染症は指摘されている)



原因として,高い栄養価に加え大きな点滴バッグ(脱衣時などでルート開放の機会が増加)などが指摘されている

バチルス(セレウス菌)
  • セレウス菌(Bacillus cereus)はグラム陽性の大型桿菌で土壌や汚水など自然界に広く分布する
  • 通性嫌気性菌であり芽胞は100℃の加熱にも耐えるため汚染された食物摂食で食中毒を生じる🍙

(投稿者 川崎)

2016-11-03

細菌性食中毒

頻度が多い順にカンピロバクター,ブドウ球菌,サルモネラ,ウェルシュ菌,腸管出血性大腸菌
そのうち70%以上がカンピロバクターで2015年は2089件発症で死亡なし(厚生労働省データ

 細菌 潜伏期間 主な感染源
 カンピロバクター 3~5日 鶏肉
 ブドウ球菌 1~3時間 おにぎり,お弁当
 サルモネラ 12~36時間 卵,肉類

  イメージ  カンピロバクターは鳥刺身を食べた数日後に下痢と腹痛

(投稿者 川崎)