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ラベル 災害 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2025-08-28

今週の一枚 🎯 教育ビデオ

僧帽弁逆流症(Mitral regurgitation: MR)の一例

🎶 解説
  • Ⅰ音とⅡ音の間にある心雑音なので収縮期雑音
  • 雑音の音量は漸増や漸減に欠く箱型(長方形)
  • Ⅰ音とⅡ音は心雑音に埋没するため認識が困難
  • 僧帽弁逆流,三尖弁逆流,心室中隔欠損の3疾患

🎵 コメント
  • フィジカルの巨匠からのアドバイス(過去の投稿)を元に作成した,心音図をなぞりながら音を聴く教育ビデオです(版権放棄かつ利用時の引用記載も不要)
  • 最初は「実際の心音と心音図上の線の動きをあわせるのが大変だな~」と思いましたが,パワーポイントを用いてやってみると意外に簡単に作成できました.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-08-03

PCAS ピーキャス

  • post cardiac arrest syndromeの略で邦名は心停止後症候群

- 脳障害の病態生理 -

😐 おまけ
  • PCASといえば体温管理療法(targeted temperature management;TTM)(旧名はtherapeutic hypothermia,低体温療法)
  •  PCASのもう一つの話題は人工心肺を用いたECPR(Extracorporeal Cardiopulmonary Resuscitation,体外循環式心肺蘇生)

🚑 蘇生に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-01-09

今週の一枚 🎯

腎機能が悪化した症例(Cr 1.4 → 4.5 mg/dl)


(投稿者 川崎)

2024-04-04

今週の一枚 🎯

倦怠感があるため紹介された超高齢者


(投稿者 川崎)

2024-03-28

今週の一枚 🎯 傍胸骨拍動の吸気負荷

CTEPHで外来通院中の症例(仰臥位で左が頭側)

🐳 解説
  • 傍胸骨に置いた聴診器に明らかな拍動なし
  • 吸気に伴い聴診器に上下運動が出現(矢印)
  • 拍動は数拍持続しその後に不明瞭になった
  • 本例は状態は安定し日常生活で息切れなし
  • ただし心エコー図で軽度の肺高血圧は残存

🐟 復習
  • 抬起性の傍胸骨拍動は肺高血圧に伴う右室圧負荷を示唆します.稀に左房負荷(自験例)や肺動脈拍動(自験例)もあります.本例で認めた吸気負荷に伴う傍胸骨拍動の出現は潜在的な肺高血圧を示唆していると思っています.
  • 吸気中は中心静脈圧に加えて肺動脈圧や体血圧も上昇するため(過去の投稿),理論的には吸気負荷で傍胸骨拍動は増強されるはず.しかし同時に胸腔容積も増大して右室と胸骨の密着度の低下から相殺される可能性もあり?

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2023-05-20

回復体位 Recovery position

  • 自発呼吸はあるが意識がない傷病者に推奨される体位
  • 上側前腕を顎下頭部後屈顎前方上側下肢は90度
  • 胃内容物が問題になる時は側臥位(胃底部を下:図)
  • 意識がある傷病者では本人が最も楽な体位でよい(

- 回復体位 -

💁 体位に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-05-08

低体温と不整脈

🐶 動物実験
  • 血液希釈されていない犬を20°Cまで急冷すると50%が心停止に至った
  • 26°Cに冷却した犬の心室筋ではVFやVTは冷却よりも再加温中に頻繁
  • 21°C猫で通常量強心剤(アドレナリン他)が心室性不整脈を全例誘発

👴 ヒトデータ
  • 深部体温が16.9°C~29°Cの偶発的低体温19例では7人がVF, 2人は心静止
  • 日本の60人の検討では深部体温>26°CでVF を発症した患者はいなかった
  • 低体温療法中に低カリウム血症+QTc間隔延長なら平均34.7°CでVTが発症


低体温時の一般的な電気生理学的所見
洞調律 房室伝導 心室脱分極 心室再分極 不整脈
軽度〜中等度
(>30度)
不変〜低下 不変〜低下 短縮〜不変〜延長 延長 心房細動,心室期外収縮,心室頻拍
高度
(<30度)
停止まで延長 延長〜停止 遅延〜不変 延長,消失 心房細動,心室細動心静止

🍧 低体温に伴う様々な変化
  • 電解質 ➜ 寒冷利尿による喪失と細胞内移動により低下するため,低Ca血症,低K血症,低Mg血症,低P血症を認める.逆に復温期では高カリウム血症に注意
  • 凝固系 ➜ 35°C以下では血小板機能低下や血小板数の減少が認められる.33°C以下では凝固に関わる酵素活性の低下から出血傾向となる. 
  • 免疫系 ➜ 白血球の遊走能・貪食能および炎症性サイトカイン産生・反応の低下が生じる.また感染時に白血球数やCRPが必ずしも上昇しない
  • 耐糖能 ➜ 低体温ではインスリンの感受性が低下し,膵細胞からのインスリン分泌ならびに糖代謝も低下するため高血糖が助長される.

💁 低体温に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-01-24

筋腎代謝症候群 MNMS: Myonephropathic metabolic syndrome

  • 急性動脈閉塞(特に下肢全体)に関連して発症する重篤な病態
  • 病態は横紋筋融解壊死に起因する腎障害や全身の代謝障害など
  • アメリカの外科医 Haimovici が提唱(Surgery 1960;47:739-47
  • 虚血再灌流症候群(ischemia-reperfusion syndrome)とも言う
  • 阻血をきたした患肢は著明に腫脹して患者は強い疼痛を訴える
  • 高ミオグロビン血症・尿症,高K血症,代謝性アシドーシス他
  • 閉塞動脈の血流を再開した直後に発症する例が多いことが特徴


(投稿者 川崎)

2022-11-30

KYT 危険予知訓練

  1. Kiken 危険
  2. Yochi 予知
  3. Training 訓練

  • 作業や職場に潜んでいる危険性や有害性等の様々な要因を発見して解決する能力を高める手法
  • 医療現場でもKYT(危険予知トレーニング)で医療事故を未然に防ぐ取り組みがなされている

KYT基礎4ラウンド法(厚生労働省:職場のあんぜんサイト
ラウンド 危険予知訓練の
4ラウンド
危険予知訓練の進め方
1R どんな危険がひそんでいるか イラストシートの状況の中にひそむ危険を発見し、危険要因とその要因がひきおこす現象を想定して出し合い、チームのみんなで共有する。
2R これが危険のポイント 発見した危険のうち、これが重要だと思われる危険を把握して○印、さらにみんなの合意でしぼりこみ、◎印とアンダーラインをつけ「危険のポイント」とし、指差し唱和で確認する
3R あなたならどうする ◎ 印をつけた危険のポイントを解決するにはどうしたらよいかを考え、具体的な対策案を出し合う
4R 私達はこうする 対策の中からみんなの合意でしぼりこみ、※印をつけ「重点実施項目」とし、それを実践するための「チーム行動目標」を設定し、指差し唱和で確認する


(投稿者 川崎)

2022-11-12

CSCATTT シーエスシーエーティーティーティー

英国のAdvanced Life Support Groupが行う教育プログラムMajor Incident Medical Management and Support(MIMMS:大事故災害時の医療支援)の中で提示される「部門・災害の種類・場所などを越えて全ての災害対応で共通する7つの優先事項」の頭文字を並べたもの


  1. C:Command(指揮命令あるいは役割分担)
  2. S:Safety(安全)
  3. C:Communication(情報伝達)
  4. A:Assessment(評価)
  5. T:Triage(トリアージ)
  6. T:Treatment(治療)
  7. T:Transport(搬送)


🏥 病院のBCPは今や必須
  • CSCATTTは効率的な医療活動を行うための基本原則で災害時の行動基盤となる考え方
  • 災害発生 ➜ 病院は入院患者の安全確保を優先(CSCA)➜ その後に医療提供(TTT

💁 災害に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2021-05-15

先日の会議で「当院のBCPですが…」

  • Business Continuity Plan(事業継続計画)の略で災害時の復旧手順計画
  • 東日本大震災をきっかけにして様々な企業(医療機関も含)で導入された
  • 一般企業と比較して病院のBPCはより早期の復旧力と強力な対応力が必要
  • 特に災害発生直後の初動対応を円滑に行うためには情報統制が重要となる


💁 災害に関する過去の投稿 ➜ コチラ (PC版なら右欄からも選択可)

(投稿者 川崎)

2021-04-04

  CBRNE シーバーン 災害  CBRNE defense

  • 人為災害の中の特殊災害(以下の頭文字から命名)
  • 従来のNBC災害に放射性物質と爆弾が追加された
  • テロ時はNBC・テロ災害やCBRNE・テロ災害と呼ぶ

  1. Chemical(化学的な)
  2. Biological(生物学的な)
  3. Radiological(放射線学の)
  4. Nuclear(核の)
  5. Explosive(爆発性の)

🉐 関連投稿(災害編)

(投稿者 川崎)

2021-01-20

災害高血圧 Disaster hypertension

  • 災害発生後の急性期から一過性に血圧が上昇する病態のこと
  • 通常は震災後2~4週間,収縮期血圧が平均5~25mmHgほど上昇
  • その主原因は大きなストレスや環境変化(詳細は下図参照)
心臓 2019;51:1093-72/オリジナルはCirc J 2012;76:553-62です)

👻 おまけ
  • 災害関連死は循環器疾患と呼吸器疾患が大きな割合を占め,特に循環器疾患は血圧上昇と血栓傾向から増悪するようです.よって災害高血圧の管理がとても重要になります.情報通信技術(ICT: information and communications technology)を用いた家庭血圧管理システム(DCAPネットワーク等)を活用して,高リスク患者の見落としを減少させることが重要であるようです.

👾 災害に関する過去の投稿 ➜ コチラ
(投稿者 川崎)

2019-07-04

梨状筋症候群 Piriformis syndrome

  • 梨状筋内を走行する坐骨神経が絞扼されて生じる病態
  • 症状は殿部の圧痛や坐骨神経領域のしびれ・疼痛など
  • 外傷やスポーツ活動に関連して発症することが多い
  • 治療は梨状筋ストレッチや梨状筋ブロック,稀に手術
  • MRIやレントゲンなどの画像検査では異常なしが多い

(Patrick J. Lynch & KDS4444, Wiki/Sciatic nerve=坐骨神経)

(投稿者 川崎)

2017-03-14

2016年度 基本的臨床能力評価試験の復習 2/4

「身体診察・臨床手技」の問題26~問題50
  1. 大動脈弁狭窄症の収縮期駆出性雑音は頸部に放散する.一方,閉塞性肥大型心筋症の収縮期雑音は頸部に放散しない.いずれもⅣ音を伴うことがある.
  2. Howship-Romberg(ハウシップ-ロンベルク)徴候とは大腿内側から膝・下腿に放散する疼痛やしびれで,閉鎖孔ヘルニアを示唆する.閉鎖管を通過する閉鎖神経の圧迫が原因で,股関節の伸展や外転で増悪する.
  3. 頸部痛が先行する片麻痺で,頸部の動きで増悪する疼痛は脊髄硬膜外血腫を示唆する.頭部CTや頭部MRI+A,頸部MRAでは異常がないことに要注意(頸椎の単純CTで診断する).
  4. 抗精神病薬を開始後の高熱や発汗,無動,寡黙,筋固縮,痙攣では悪性症候群を疑い,すべての抗精神病薬中止する.なお悪性症候群は抗パーキンソン薬の突然の中止後に発症することもある.
  5. Base excess(BE,塩基余剰)は血液のpHを7.40に戻すために必要な塩基量のこと.BEの基準値は-2~+2mEq/Lで,HCO3--24で概算値が計算できる.BE高値なら代謝性アルカローシスと考える.
  6. 輸液を行う場合,電解質異常がない症例における1日の必要量はNa 1mEq/kg,K 0.5mEq/Lが目安.NaCl 1g=Na 17mEqなので,1日にNa 1mEq/kgなら体重60kgとしてNaCl=60/17=3.53g/日.
  7. 災害医療時では頻呼吸(30回/分以上)あるいは徐呼吸(10回/分未満)ならSTART式トリアージでは赤タッグ(最優先治療群)に分類される.JTAS式,START式については コチラ で確認.
  8. II度熱傷(真皮に達する)では熱傷面積が15%以下の場合,外来通院でよい.輸液療法は必須であるが,画一的な抗菌薬の予防的全身投与は推奨されていない.なお気道熱傷が疑われる場合には予防的挿管を考慮する.
  9. 腹水穿刺は右あるいは左のモンロー点(臍と前上腸骨棘を直線で結んだ前上腸骨棘から3分の1の点)で行うことが多い(下腹壁動脈の損傷を避けるため).臍下部の腹部正中も穿刺可能であるが,その時は膀胱障害を回避するため必ず排尿しておく.

(投稿者 川崎)

2017-02-01

JTAS ジェイタス

Japan Triage and Acuity Scaleの略でER症例の緊急度判定(トリアージ)システム
カナダの緊急度判定支援システムCTAS(シータス)を参考に日本臨床救急医学会が作成

JTASを用いて      の5段階にトリアージ (詳細はココiPadアプリ有
  1. 青=蘇 生 直ちに診察・治療
  2. 赤=緊 急 10分以内に診察
  3. 黄=準緊急 30分以内に診察
  4. 緑=低緊急 1時間以内に診察
  5. 白=非緊急 2時間以内に診察

おまけ
大規模災害などで用いられるトリアージ ⇒ START法 (simple triage and rapid treatment)
黒=死亡 赤=最優先治療 黄=待期的治療 緑=軽症 白=無傷 (JTASでは黒はない)

(投稿者 川崎)