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2026-08-01

液性免疫と細胞性免疫

  • 今一度、頭を整理するため液性免疫と細胞性免疫をAIにまとめてもらいました
  • 下の表はClaude Sonnet 5、図はChatGPT-5.5による生成(重要情報は要確認)

液性免疫
Humoral immunity
細胞性免疫
Cell-mediated immunity
主役となる細胞 ナイーブB細胞 → 形質細胞(抗体産生)、記憶B細胞 ヘルパーT細胞(CD4、主にTh1)、細胞傷害性T細胞(CD8)、マクロファージ・NK細胞との連携
抗原認識の様式 B細胞受容体(BCR)が抗原の立体構造を直接認識(抗原提示を介さなくても認識可能) T細胞受容体(TCR)がMHC(HLA)上に提示されたペプチドを認識(CD8はMHCクラスⅠ、CD4はクラスⅡを介する)
エフェクター機構 抗体による中和、オプソニン化(貪食促進)、補体古典経路の活性化 パーフォリン/グランザイムによる標的細胞のアポトーシス誘導、Fasリガンド経路、IFN-γによるマクロファージ活性化
主な標的 細胞外の病原体・毒素(莢膜を持つ細菌、一部の寄生虫など) 細胞内寄生体(結核菌、リステリアなど)、ウイルス感染細胞、腫瘍細胞
誘導に関わる主なサイトカイン Th2・Tfh由来のIL-4、IL-5、IL-21(クラススイッチ組換えを促進) Th1由来のIFN-γ、IL-2(マクロファージ・キラーT細胞の活性化を促進)
臨床的な評価法 血清抗体価測定(ワクチン後の抗体獲得評価など)、免疫グロブリン定量 ツベルクリン反応、IGRA(インターフェロンγ遊離試験)
代表的な疾患・病態 液性免疫不全(無ガンマグロブリン血症)による反復性肺炎球菌感染、破傷風毒素への抗体応答 臓器移植拒絶反応、AIDSにおけるCD4減少に伴う日和見感染(結核、ニューモシスチス肺炎など)、腫瘍免疫



(投稿者 川崎)

2026-07-25

花筵はなむしろ状線維化 Storiform fibrosis

  • 炎症細胞浸潤と小型紡錘形細胞からなる極めて特徴的な病理像で,さまざまな程度の線維化を伴う(花筵 [=storiform] パターン)
  • IgG4関連疾患の包括診断基準の病理学的診断の一つ:特徴的な線維化,特に花筵状線維化あるいは閉塞性静脈炎のいずれか(下図)
  • 他の病理学的診断の2項目:著明なリンパ球・形質細胞の浸潤と線維化を認める&IgG4陽性形質細胞浸潤(40%以上かつ>10/hpf)

- 花筵様線維化と閉塞性静脈炎 -

(投稿者 川崎)

2026-07-19

乾癬と扁桃摘出

💁 先日の学校健診で...
  • 医師「大きな病気したことありますか?」
  • 学生「別にないです。でも手術しました」
  • 医師「手術ですか…どんな手術ですか?」
  • 学生「扁桃摘出です。乾癬があったので」
  • 医師「乾癬で手術?…扁桃を摘出…??」

📑 乾癬における扁桃摘出術の有用性
  • 尋常性乾癬7例に対する扁摘の効果とその病理学的特徴について検討
  • 7例の内訳は男性3例, 女性4例であり, 年齢は9歳から46歳であった
  • 扁摘による効果は3例が消失, 2例が著効であり, 治療効果は約70%
  • 病理では, T領域の拡大, Bリンパ濾胞の縮小, アポトーシス細胞増加
  • 乾癬の中には扁桃病巣感染症の特徴を持つ症例が存在することが示唆


(投稿者 川崎)

2026-06-26

COXコックス:1 vs 2

  • シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)が遊離したアラキドン酸を酸化させてprostaglandins(PG)G2が形成される
  • その後に産生される各種PGsは,局所で増加した発痛物質ブラジキニンの痛覚受容体感受性の閾値を低下させ疼痛を増悪させる
  • NSAIDsはCOXの疎水性チャネルを封鎖することでアラキドン酸が酵素活性部位に結合することを防ぎ,抗炎症,鎮痛効果を発揮
  • COX-1は多くの細胞に構成的に発現し,胃粘膜,血管内皮,血小板および腎臓における組織保護作用を有するPGsの生合成に関与
  • 一方, COX-2は通常は細胞内にはほとんど存在しないが, 関節リウマチなど炎症組織において炎症関連細胞に著明に発現する


- NSAIDsCOX1 & COX2 -


(投稿者 川崎)

2026-06-04

今週の一枚 🎯

ふらつきで来院した症例の側頭部のエコー


(投稿者 川崎)

2026-06-02

Holster Sign(ホルスター徴候)

  • 皮膚筋炎(Dermatomyositis: DM)で、大腿外側から腰部にかけて帯状に生じる紅斑・色素沈着・落屑の皮膚所見
  • 拳銃を腰に携帯するための革製ケース(ホルスター、芳名は拳銃嚢) の位置・形状に皮疹の分布が一致するため命名
  • 117名の皮膚筋炎症例を対象とした調査で、Holster signの陽性率は78.5%(22/28例)であり、特異度は91%と高値
  • ショール徴候(Vネックサイン)やGottron丘疹、Heliotrope rashと比較して感度は同等であるが、特異度は最も高い


皮膚筋炎例のホルスター徴候

(投稿者 川崎)

2026-05-15

生物学的製剤(Biologics)

  • バイオテクノロジー(遺伝子組換技術や細胞培養技術)で製造された薬剤
  • 高分子の蛋白質で内服すると消化されてしまうため点滴や皮下注射で投与
  • 別名はバイオまたはバイオ製剤で関節リウマチに対し最も使用されている
  • 他に巨細胞性動脈炎やANCA関連、SLE、ベーチェット、乾癬性関節炎など
  • 一般的に治療効果が高く併用するステロイド内服量を減らすことができる
  • 必ずしも全員に効果があるわけではなく、それを事前に推測することは難
  • 感染症に注意(予防で肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンを接種)
  • 結核やB型肝炎の潜在的な感染が考えられる場合、投薬を要することもあり
  • (人由来の製剤ではないため投与によるHIVなどの感染症のリスクはない)

参考)日本リウマチ学会,ほか

(ChatGPTによる生成で真偽は保証できず)

(投稿者 川崎)

2026-04-15

第123回日本内科学会講演会 医学生・研修医・選考委の内科学 ことはじめ2026より

😀 個人的に気になった演題

演題 19 機械学習モデルを用いたガットフレイル関連因子の解析
  • ガットフレイル(Gut Frailty)とは、胃腸(Gut)の機能が長期にわたって低下し、弱った(Frailty)状態を示す新たな概念です。便秘や下痢、胃もたれといった不調が慢性的に続くことで、将来的な老化の進行や、がん、糖尿病、認知症(アルツハイマー病)などの全身疾患のリスクを高める要因として注意が喚起されています。

演題 74 飛行機移動を契機に出現した左側大量難治性肝性胸水に対し、腹腔内色素注入による横隔膜交通症を証明し外科的閉鎖を行った一例
  • 横隔膜交通症とは腹腔と胸腔の間の横隔膜に小さな穴(瘻孔)ができ、腹腔内の液体(主に腹膜透析液)が胸腔へ漏れ出る病態。飛行機の離着陸時や急激な天候変化(低気圧)などによる急激な気圧変動を受けた際に、顕性化することがある。

演題 317 MAGIC症候群が疑われる気道病変に対する気道ステント留置症例
  • 再発性多発軟骨炎は、全身の軟骨組織に炎症が生じる疾患です。耳や鼻、目、関節など、軟骨やコラーゲンを豊富に含む組織に多彩な症状を引き起こします。本疾患がベーチェット病を合併した場合は、MAGIC症候群(Mouth And Genital ulcers with Inflamed Cartilage syndrome:炎症性軟骨を伴う口腔および陰部潰瘍)と呼ばれます。

演題 519 HBOC患者の多重癌にみられるBRCA2の2nd hitの多様性
  • HBOC遺伝性乳がん卵巣がん症候群:Hereditary Breast and Ovarian Cancer syndrome)は、主にBRCA1またはBRCA2遺伝子に生まれつき存在する変異(病的バリアント)によって、乳がんや卵巣がん、前立腺がん、膵がんなどを発症しやすくなる体質を指します。遺伝性腫瘍の代表的な例であり、親から子へは約2分の1の確率で受け継がれる可能性があります。

😎 当院からの発表演題
  • 演題 157 感染を契機に重症の甲状腺機能低下症に至った一例(糖尿病・内分泌内科 太田羽奏先生)
  • 演題 388 Guillain-Barre症候群様の急激な末梢神経障害を呈しベンラリズマブが奏功した好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例(総合診療科 松村実穂先生)

😃 二人ともとてもいい発表でした(松村先生は優秀演題賞ゲット!)

💁 “学会”に関連する過去の投稿 ➜ コチラ(ウェブ版なら右欄からも選択可能)
(投稿者 川崎)

2026-01-02

Vogt-Koyanagi-Harada (VKH) disease フォークト・小柳・原田病(or 原田病)

  • 概略 メラノサイトに対する自己免疫性(疑い)
  • 命名 スイスのA. Vogt小柳美三原田永之助
  • 症状 両眼性ぶどう膜炎による視力低下や羞明
  • 眼外 髄膜炎、耳鳴、難聴、皮膚白斑、白髪など
  • 鑑別 サルコイドーシスおよびベーチェット病
  • 疫学 20~50歳のアジア女性に多い(特に日本)
  • 治療 大量ステロイドの点滴療法 → 内服の漸減
  • 予後 多くは治療によく反応し視力が改善する


- 初期段階の漿液性網膜剥離(上図)と末期段階の夕焼け眼底(下図) -

(投稿者 川崎)

2025-12-14

NEAE: Non-episodic angioedema with eosinophilia

  • 好酸球性血管浮腫(EAE)で再発せず自然寛解する一群
  • 邦名はEAE(反復性)に対し非反復性好酸球性血管浮腫
  • 東北大学の皮膚科医 Chikama らが1998年に提唱(
  • 本邦からの報告が多い(他は韓国や中国など東アジア)
  • ほとんどが女性で20-40代に多く夏季から秋季が90%
  • 症状は四肢浮腫や蕁麻疹(EAEに比して軽く顔面は稀)
  • 末梢血好酸球の著明上昇(血清IgMは正常~軽度上昇)
  • 病理は皮膚組織に好酸球の浸潤(皮膚以外の浸潤なし)
  • 原因は不明で予後は良好(ステロイド全身投与が奏功)
  • 約4~8週程度で自然軽快するため無治療で観察も可能


- NEAEの臨床像と病理組織像 -

(投稿者 川崎)

2025-08-22

口腔扁平苔癬 OLP:Oral Lichen Planus

  • 概略 口腔粘膜に網状や斑状の白色病変と軽度角化異常を伴う慢性炎症性病変
  • 症状 びらんや潰瘍を伴う紅斑性病変を生じると不快症状や接触痛などが起こる
  • 鑑別 口腔粘膜の病変(特に白板症や初期口腔癌、他のびらん性疾患は必須)
  • 疫学 一般人口の 1.27%(男0.96%、女1.57%) で人種差や地域差はない
  • 治療 通常は難治性で長期間を要する(ステロイド剤の局所療法など:下図)
  • 病因 不明:発症誘因や増悪因子が想定できる症例では取り除くと改善あり


- 口腔扁平苔癬(OLP)の臨床像 -

(投稿者 川崎)

2025-07-25

眼類天疱瘡がんるいてんぽうそう Ocular Pemphigoid

👀 角膜の復習
  • 角膜は上皮・実質・内皮の3層によって構成されている
  • それらの層はいずれも血管を必要としない特殊な構造
  • 角膜上皮は角膜周辺の輪部に存在する幹細胞から供給
  • 徐々に中心へ向かって進行し最終的には表面から脱落
  • 幹細胞から分裂して脱落するまでかかる時間は数週間
  • 角膜移植後半年で上皮はホスト由来上皮に入れ替わる


🔎 眼類天疱瘡
  • 概要 抗結膜基底膜抗体によって結膜に障害を生じる慢性疾患
  • 分類 類天疱瘡の1種(天疱瘡は別で抗デスモグレイン自己抗体)
  • 所見 癒着,睫毛乱生,角結膜炎,血管新生,混濁,角化など
  • 疫学 頻度は1~5万人に1人で60歳以上に多く女性優位(2:1)
  • 治療 人工涙,局所抗炎症薬,内反睫毛抜去,免疫抑制薬など
  • 予後 皮膚の類天疱瘡より不良(最終的には角膜移植:下図)

参考)In: StatPearls,他

- 眼類天疱瘡の角膜移植 -

💁 天疱瘡に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-07-20

LADA & LADY

  • LADA: latent autoimmune diabetes in adults(主に海外で使用,典型例は35才以降)
  • LADY: latent autoimmune diabetes in youth(小児を含む若年者に発症したLADA)
  • SPIDDM: slowly progressive insulin-dependent diabetes mellitus(緩徐進行1型糖尿病)


👺 LADAの定義(以下のすべてを満たす)
  • 35歳以降の発症
  • 既知の膵島関連自己抗体のいずれかが陽性
  • 糖尿病の診断後6ヶ月以降にインスリン治療が必要


💁 自己免疫性糖尿病に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-07-13

第139回日本循環器学会近畿地方会より

😃 個人的に気になった報告
 
2-12 クレアチニンキナーゼ欠損症を合併したST上昇型急性心筋梗塞の一例
  • 右冠動脈(RCA)#2 閉塞を認め,経皮的冠動脈形成術を施行した(total ischemic time 144分)。術後,高感度トロポニンI(hs-TnI)の上昇は認めたが,クレアチニンキナーゼ(CK)の上昇は認めなかった(peak CK[IU/L]/CK-MB[IU/L]/hs-TnI[pg/mL])=169/5/16863)。

2-16 自己免疫性心筋症の関与が示唆された虚血性心筋症の一例
  • 心臓MRI検査では冠血流支配領域に一致しない壁運動低下を認めた。さらに血液検査や心筋病理において,自己免疫性心筋症を疑う所見が得られ,至適薬物療法にも関わらず心機能は進行性に低下を認めた。

7-31 irAEによる洞不全症候群に対して心房リードレスペースメーカ植え込みを行った1例
  • ペースメーカ感染を認め全身麻酔下に経皮的リード抜去術を施行,全システム抜去術に成功した。元々のペースメーカ設定はAAIR⇔DDDR,60ppmであったが,累積心室ペーシング率が1%未満であったため心房リードレスペースメーカ(Abbott社製Aveir AR)の植込みを選択,右心耳基部に留置しAAI60ppmの設定とし た。

8-27 シトステロール血症の病原性変異の網羅的文献検索と早発性冠動脈硬化症
  • シトステロール血症はABCG5/G8遺伝子の病原性変異により発症する疾患で血中シトステロール高値に加えLDL-C高値,アキレス腱肥厚を伴い,家族性高コレステロール血症との鑑別を要する。


👻 当院からの発表
  • 2-10 冠動脈ステントで誘発されたコーニス症候群の1例(循環器内科 角本拓也ほか)
  • 4-16 心電図変化が気胸部位の推定に有用であった1例(循環器内科 江上 晟ほか)
  • 8-24 シンプル頚静脈©:負荷頚静脈法の学習アプリ(循環器内科 川﨑達也ほか)

江上先生は優秀賞ゲット & すべて英語論文として発表前に出版 👏

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-05-21

当院採用の肺高血圧症治療薬

分類

商品名

一般名

効能効果

薬価

PAH

CTEPH

PGI2系薬

静注用フローラン0.5mg

エポプロステノール

11,865.0円/瓶

ベラプロストNa錠20μg

ベラプロスト

13.5円/錠

ケアロードLA錠60μg

ベラプロスト

109.3円/錠

ウプトラビ錠0.4mg

セレキシパグ

2,902.8円/錠

ET受容体拮抗薬

トラクリア錠62.5mg

ボセンタン

 

3,327.0円/錠

ヴォリブリス錠2.5mg

アンブリセンタン

 

3,401.8円/錠

オプスミット錠10mg

マシテンタン

 

13,334.9円/錠

PDE-5阻害薬

レバチオ錠20mg

シルデナフィル

 

742.2円/錠

アドシルカ錠20mg

タダラフィル

 

980.5円/錠

sGC刺激薬

アデムパス錠1.0mg

リオシグアト

1,371.7円/錠


(投稿者 小森)

2025-05-06

PSC vs PBC

  • PSC(Primary Sclerosing Cholangitis/原発性硬化性胆管炎,旧:原発性胆汁性肝硬変)とPBC(Primary Biliary Cholangitis/原発性胆汁性胆管炎)はともに自己免疫性肝疾患で胆管に炎症や損傷が生じますが,それぞれ異なる胆管が影響を受ける点に差異があります.先日のカンファレンスで少し混乱が見られたため,PSC Partners Seeking a Cureを参考にして日本語にしてみました.

PSC 原発性硬化性胆管炎 PBC 原発性胆汁性胆管炎
病変部位
  • 肝臓の内外の胆管
  • 肝臓内の小さな胆管のみ
診断方法
  • 通常は胆管MRI(まれに肝生検やERCPが必要)
  • 次のうち2つ: ALP値上昇,疾患特異抗体 (AMA) 陽性,肝生検
胆管がんと大腸がん
  • リスク上昇
  • リスク不変
ウルソデオキシコール酸
  • 肝臓の血液検査値が改善例あり(病気の進行を遅らせるかは未証明)
  • よく反応例では予後も改善
炎症性腸疾患(IBD)
  • 約80%は併存(主に大腸炎)
  • 非常に稀(約1%)
初期症状
  • かゆみ,疲労感,腹痛,胆管炎の悪化
  • かゆみ,疲労感,目や口の乾燥,腹痛
疫学
  • 主に40歳前後で男性60%,女性40%
  • 75%は45歳以上で男性10%,女性90%
過度のアルコール摂取
  • 関連なし
  • 関連なし
喫煙
  • ほとんどの場合,非喫煙者
  • 喫煙歴と関連



(投稿者 川崎)

2025-03-22

知っ得クイズ

 問題  :難治性吃逆ときたら

👀 視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorder; NMOSD)
  • 壊死性脱髄を呈する急性の視神経炎や脊髄炎を特徴とする炎症性の疾患
  • 頭部MRI画像で延髄背側に病変を認め、抗AQP4抗体が疾患特異的に発現
  • 特に持続する嘔気や吃逆はNMOSDを疑う所見である事が示唆されている
  • 延髄背側の最後野が特徴的な病変部位であり難治性吃逆や嘔吐の原因


吃逆・食欲不振で発症したNMO spectrum disorderの80代女性

💁 吃逆(しゃっくり)に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-02-15

CRP陰性の発熱

CRP(C-reactive protein,C反応性蛋白)
  • IL-6,IL-1β,TNF-α,IFN-γなどのサイトカインにより肝細胞で作られる主要な急性相の反応物質
  • 抗炎症作用と炎症促進作用を有し感染・外傷・梗塞・自己免疫・炎症性疾患・悪性新生物で上昇
  • CRPが陰性で高体温を呈する病態として薬剤熱や妊娠,習慣性高体温症などがよく知られている
  • 他にSLE(全身性エリテマトーデス)やCRPが産生できない肝硬変頭蓋内に限局した炎症(下図)


- 無菌性髄膜炎の37歳女性の臨床経過 -

👽 おまけ<
  • 頭蓋内に限局した炎症でCRPが生成されない理由は,各種サイトカインが血液脳関門(Blood-Brain Barrier; BBB)を通過できないためと考えられています.一方,アルコールやカフェイン,ニコチン,GABA,麻薬の一部などは通過できます.
  • CRPの発見は米国の医師 Tillett らである(J Exp Med 1930;52:561-71).はじめは肺炎球菌の細胞壁多糖類(C多糖類/C-polysaccharide)と反応する物質として同定されたため,C-reactive protein(C反応性蛋白)と命名されたようです.

(投稿者 川崎)

2025-02-07

頚静脈の座位定性法も無敵ではありません

鼠経ヘルニア術前に心電図異常を指摘された症例(座位)


  • 息切れなど心不全を示唆する症状はないが,BNP値は150 pg/ml程度に上昇していた.心エコー図には特記すべき異常所見はなし.
  • 心不全の有無を判定するため頚部を観察したが,大きな腫瘍に占拠されていた.橋本病による長い治療歴あり(現在はeuthyroid)
  • 心音でも心不全を示唆する所見(Ⅲ音やⅡ音肺動脈成分の亢進など)はなし.日常生活から判定した運動耐容能も保たれていた.
  • 胸部圧迫感の自覚はなく,冠危険因子も高血圧のみ.最終的に手術に支障はないと判断して,紹介元の外科医に返書を作成した.
  • 稀ながら頚静脈の座位定性法が困難が状況がある.甲状腺疾患による甲状腺腫肥満猪首,座位姿勢の困難例などが相当する.

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-01-17

薬剤性好中球減少症 Drug-induced neutropenia

  • 末梢血の好中球数が500/μl以下と定義することが多く,無顆粒球症や顆粒球減少症,agranulocytosisなども概ね類似した意味で用いられる.
  • 発生頻度に関して1.1~5.0例/100万人/年という報告がある.早期に認められる症状として発熱は必発で,その他に悪寒や咽頭痛などが挙げられる. 
  • 機序には免疫学的(アレルギー性:抗甲状腺薬のプロピルチオウラシル他)と骨髄造血細胞に対する毒性(中毒性:クロルプロマジン塩酸塩やβラクタム系抗菌薬など)がある.
  • アレルギー性なら過去にその医薬品に感作されていれば1時間~1日以内に発現し,感作されていなければ抗体が産生されるまでに1週間~10日を要する.中毒性なら発症までに数週間を要する.
  • 患者側のリスク因子:高齢,女性,腎機能低下,自己免疫疾患の合併などの場合に発症頻度が高い.明確ではないが遺伝的素因(HLA型、薬物代謝酵素の遺伝子多型)なども考えられている.
  • 発現投与量は医薬品により異なる.例えば抗甲状腺薬では用量非依存性で,サルファ剤(サラゾスルファピリジン)では用量依存性との報告がある.一方,同じ医薬品でも報告により用量依存性、非依存性の相反する報告もみられる.
  • 添付文書で血液検査が求められている薬剤には,チクロピジン塩酸塩やチアマゾール(開始2月は2週に1回),サラゾスルファピリジン(開始3月は2週間に1回,次の3月は4週間に1回,その後は3月ごと),クロザピン(投与初期に発現する例が多いので投与開始後18週間は入院管理下)がある.
  • 無顆粒球症の原因となり得る医薬品は多数にのぼるが,抗甲状腺薬,チクロピジン塩酸塩,サラゾスルファピリジン,クロザピン(治療抵抗性統合失調症治療薬)など頻度が高い医薬品以外にも,H2ブロッカー,NSAIDs,抗不整脈薬,ACE阻害薬などが重要である.


💣 おまけ

(投稿者 川崎)