このブログを検索

2019-03-31

AFBN 急性巣状細菌性腎炎

  • Acute Focal Bacterial Nephritisの略で、液状化を伴わない腎実質の腫瘤形成を特徴とする腎実質の局所感染のこと
  • 急性腎盂腎炎と腎膿瘍の中間的な疾患概念で米国の放射線科医Rosenfieldらが提唱(Radiology 1979;132:553-61
  • 尿中白血球や尿培養の所見に乏しく膀胱尿管逆流症の合併や長い治療期間など腎盂腎炎との臨床的差異は小さくない
  • エコーで低輝度(稀に高輝度)+カラードプラで無血管+単純CTで不明瞭+造影CTで辺縁不整な像影不良部位が特徴


関連投稿 💨

(投稿者 川崎)

2019-03-30

論文

  • 当院の循環器内科と総合診療科で経験したイメージ論文が出版されました
  • 不明熱で来院し,心雑音はなかったけれど多数の末梢サインを確認(下図)
  • 最終的にMRSAによる感染性心内膜炎と診断(僧帽弁に疣腫あるが逆流なし)
  • 筆頭著者は初期研修医の窪田先生で地方会の発表では優秀演題賞を受賞

関連投稿 💨
オスラー結節 Osler's node 出血 線状 スプリンター Splinter hemorrhage ジェインウェイ病変 Janeway lesion 網膜出血斑(ロート斑) Roth's spot
(投稿者 川崎)

2019-03-29

伝染性紅斑(リンゴ病) Erythema infectiosum

  • 原因 ヒトパルボウイルス(human parvovirus)B19の感染
  • 経路 飛沫感染で潜伏期は4~15日(不顕性感染あり)
  • 疫学 幼少児に多い(ただし乳児や成人も稀ならず報告)
  • 症状 左右頬部の紅斑 ➜ その後に四肢のレース様の紅斑
  • 合併 関節炎,汎血球減少,妊婦では胎児水腫や流産など
  • 診断 IgM抗体高値又はIgG抗体上昇(ウイルス分離は困難)
  • 鑑別 風疹,成人スティル病,SLE,薬疹,手足口病など
  • 治療 対症療法のみ(紅斑期の隔離不要/ワクチンなし)
  • 届出 5類感染症(翌週の月曜日までに保健所に報告)


👴 おまけ
第5病(Fifth disease)とも言われるが,これは子供に生じる皮疹の標準リストの5番目に位置するため. 1番=麻疹(measles),2番=猩紅熱(scarlet fever),3番=風疹(rubella),4番=デュークス病(Dukes' disease,おそらく猩紅熱の亜型),6番=バラ疹(roseola)

(投稿者 川崎)

2019-03-28

防風通聖散

防風通聖散は、体力の充実した卒中体質者の便秘や肥満症、動悸や肩こりなどの高血圧随伴症状に使用される。皮下脂肪だけでなく内臓脂肪を燃やし、生活習慣病の発病を防ぐとともに、基礎代謝量を上げる。

・肥満を伴う高血圧症患者の体重、BMIの低下が認められた。(多施設共同無作為群間比較試験)
Azushima K, et al. Atherosclerosis. 2015, 240, p.297

・耐糖能異常を有する肥満女性患者のウエスト周囲径、BMIを低下させ、腹部内臓脂肪を減少させた。
・HOMA-IRを改善し、インスリンAUC120を低下させた。
Yoshida T, et al. Clin Exp Pharmacol Physiol. 2004, 31, p.614

・内臓脂肪型肥満の代謝異常マウスの体重、摂食量、拡張期血圧を低下させた。
Azushima K, et al. PLOS ONE. 2013, 8(10), p.1

・MSG肥満マウスの体重増加が抑制された。
Yoshida T, et al. Int J Obes. 1995, 19, p.717

(投稿者 小森)

採血データクイズ

口渇と倦怠感を訴えて来院した症例の採血データ





(投稿者 川崎)

ペースメーカ植込み術

👽 最近SelectSecure®システムを使用するようになったので覚書(あくまでも当院での方法の一つ)

  1. 左上肢静脈から造影剤5-10ml投与(腎機能低下例でもeGFR内の投与量ならほぼOK)
  2. 左鎖骨下静脈と第一肋骨の交点を透視下で仮穿刺➜本穿刺(左斜位で成功率上昇
  3. ワイヤーを右房まで誘導して9Fシースを挿入後にワイヤーとインナーを抜去(息止め)
  4. 6Fタインド型の心房リードを挿入(上大静脈で当たるときはシースやスタイレットを引く)
  5. 9Fシースとその中の6F心房リードの隙間にワイヤーを挿入して9Fシースをピールアウト
  6. ワイヤーに沿って7Fシースを挿入してインナーとワイヤーを抜去する(息を止めておく)
  7. 7Fにラジフォーカス0.035を先行させてSelectSecure®シースとインナーを右室内に誘導
  8. シース選択は上位中隔=His sheathが基本で,閾値が悪ければ下位中隔=S10を考慮
  9. ラジフォーカスとインナーを抜去するとSelectSecure®シースは自動的に心室中隔へ向く
  10. SelectSecure®リード4.1Fをシース先端より少し心室内に出してR波高と閾値を測定する
  11. この時はモノポーラーなのでリード遠位部に黒クリップを,ポケット内に赤クリップを装着
  12. 心室リードをリード手前から見て時計方向に用手的に10回転(実際の先端は約3-4回転)
  13. 心室リードの値に問題がなければ心房リードを留置して測定(通常のバイポーラー測定)
  14. 心室リードを十分にたわませてSelectSecure®シースをリード近位部5cm程度まで引き抜く
  15. 専用のシースカッターで心室リードを挟み込んでシースを切り裂きながら体外へ抜去する
  16. 心室リード用の7Fシースをピールアウト(4.1Fのリードの再挿入は困難なので注意する)
  17. 両リードのアンカリングスリーブを絹糸で一糸固定して麻酔薬追加後に本体ポケット作成
  18. 両リードを再測定し問題なければペースメーカ本体をポケットに挿入して絹糸で一糸固定
  19. 深部をV-Loc™で連続縫合 ➜ 浅部をPDS*II™で埋没縫合 ➜ ステリストリップ™で表皮固定
ペースメーカー
(投稿者 川崎)

2019-03-27

尿のpH

  • 健常者では尿のpHは平均6.0と弱酸性(基準値:5.0~7.5)
  • ただし食事内容に応じて一過性に大きく変動する(4.5~8.0)
  • 過剰な動物性食品 ➜ 酸性尿,過剰な植物性食品 ➜ アルカリ尿
  • 酸性尿あるいはアルカリ尿が長期間に渡って持続すると問題

酸性尿の原因
  1. 代謝性アシドーシス
  2. 呼吸性アシドーシス
  3. 肉類・蛋白質の過剰摂取(有機酸などの増加による)
  4. 絶食・飢餓,激しい運動,発熱,脱水
  5. 薬剤性(治療目的や多量のビタミンC摂取など)
  6. カリウム欠乏時(下痢など)
  7. 先天性代謝異常(アルカプトン尿症、フェニルケトン尿症)
  8. アルドステロン症
  9. その他(痛風や糖尿病,腎炎など)

アルカリ尿の原因
  1. 代謝性アルカローシス
  2. 呼吸性アルカローシス
  3. 野菜・果物類の過剰摂取
  4. 薬剤性(治療目的を含む)
  5. 放置尿・尿路感染症(尿素が分解されアンモニアが産生されるため)
  6. ファンコニー症候群
  7. その他(末期腎不全など)

🐷 一読をおすすめ ➜ 臨床検査値から腎機能を解読する 尿pHにも注目を!

🉐 関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-03-26

市民表彰

当院の川俣博史先生(循環器内科)を含む3名が救急事案で異変にいち早く気づき,AEDを含む蘇生処置を行いました.結果,救急隊到着時には呼吸・脈拍ともに再開するなど応急救護に貢献したので消防署長より感謝状が送られました.


😄 現場レポート
電車が臨時停止して駅員が走って行くのを見て,偶然に車両に乗っていた川俣先生はついて行ったそうです.すると隣の車両の真ん中に人だかりがあり,その中に男性が倒れていたようです(蘇生なし).そこで自ら一次救命処置を開始し続いてAEDを用いてROSCに成功しました.同僚としてとても誇りに思います!

(投稿者 川崎)

2019-03-25

画像クイズ


  • 健診で胸部X線の異常を指摘され当科を受診した症例
  • 20年ほど前に先天性心疾患を指摘されたことがある
  • 冠動脈の評価を兼ねて行った心臓CTの短軸像を示す






👴 解説
  • 右房拡大と心房中隔の中央部の欠損の疑い(ただし卵円窩部分は薄くて見えないことあり)
  • よく見ると左房から右房に造影剤が凸状に流入(ヒントで赤線を境にした造影剤の濃度差)
  • 最終的に心エコ-図で心房中隔に大きな左→右シャントを認め心房中隔欠損症と診断した

(投稿者 川崎)

2019-03-24

介護保険 vs 年齢

介護保険の被保険者
  • 第1号被保険者 ➜ 65歳以上
  • 第2号被保険者 ➜ 40歳から64歳までの医療保険加入者


(投稿者 川崎)

2019-03-23

グレーティングローブ

  • 心エコー図などの超音波法を用いた検査で出現することがあるアーチファクト
  • 微小振動子の球面波相互干渉により形成される擬似的な音圧分布(ローブ)
  • サイドローブによる虚像と似るが発生原理は異なる(サイドローブは副極由来)


(Am Soc Echocardiogr 2016;29:381-91 ※ただし本例はサイドローブです)

その他のアーチファクト
  1. サイドローブ
  2. 鏡面反射(ミラーイメージ)
  3. 多重反射多重反射
  4. 音響陰影と後方エコー増強
  5. 屈折

💂 超音波の基礎原理が学べるお勧めページ ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2019-03-22

PCPの診断

  • PCP=Pneumocystis pneuminia(ニューモシスチス肺炎:旧名はカリニ肺炎
  • Pneumocystis jirovecii(ニューモシスチス イロベチイ)による日和見感染症

ステップ1

免疫状態+発熱・乾性咳嗽・呼吸困難+特徴的な画像+β-D-glucan値の上昇で疑う


ステップ2

誘発喀痰や気管支肺胞洗浄液,肺組織などを用いて鏡検で菌体を直接検出して確定
  • Diff-Quik 染色やギムザ染色 栄養体
  • グロコット染色や蛍光抗体法 シスト

診断感度(日本臨床微生物学雑誌 2016;26:195-200
  • 誘発喀痰 ➜ 50~90% 以下
  • 気管支肺胞洗浄液 ➜ 90~99%
  • 経気管支肺生検および開経肺生検 ➜ 95~100%

ベータ β beta D グルカン
(投稿者 川崎)

2019-03-21

モニター波形クイズ

  • 拡張型心筋症による難治性心不全で入院中の症例のモニター波形




(投稿者 川崎)

2019-03-20

造影剤 ➽ eGFR以内

Cardiovasc Interv and Ther 2014;29:209-15より
  • 対象 冠動脈インターベンションを予定しているeGFR 30ml/min/1.73m2未満の非透析100例
  • 方法 術前の積極的な生理食塩水投与なし/造影剤腎症と予後を後ろ向きに多施設で検討
  • 定義 造影剤腎症の診断は治療48時間以内のクレアチニン上昇(術前より0.5mg/dlあるいは25%)
  • 結果 造影剤➗eGFR<1なら造影剤腎症の発症はなし/1年以内の死亡や透析導入もなし



👶 使用できる造影剤の最大量でよく知られた計算式:体重(kg)✖️5mL➗血清クレアチニン (mg/dL) [ただし最大300mL] ➜ それ以内なら造影剤腎症の発生は2%だが,それ以上なら21%に上昇 (Am J Med 1989;86:649-52)

関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-03-19

キアリ網 Chiari network

  • 胎児期の静脈洞弁の遺残で,キアリネット奇形(Chiari's net anatomy)とも称される
  • ユースタキウス(ユースタキオ)弁やテベシゥス弁,分界稜も同じく胎児期の遺残
  • 頻度2%,合併症は卵円孔開存83%,心房中隔瘤24%(J Am Coll Cardiol 1995;26:203-10
  • オーストリアの病理医Hans Chiariが初めて報告(Beitr Pathol Anat 1897;22:1-10)


ペースメーカー
🐯 キアリ網が単独で臨床的意義を有することはあまりないが・・・

関連投稿 💨

(投稿者 川崎)

2019-03-18

Good News



😄 細菌検査室のスタッフの皆様,本当にありがとうございます

(投稿者 川崎)

2019-03-17

三単語の遅延再生

  • 認知症に特徴的な短期記憶障害の有無を判定する簡便な方法
  • 3つの平易な言葉を復唱してもらい後で覚えているかどうか確認

改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)では「桜・猫・電車」あるいは「梅・犬・自動車」のどちらかを使う.答えられなかった場合にはヒントを与える:「植物の名前」「動物の名前」「乗り物の名前」.ただしヒントを要した場合は減点.MMSE(ミニメンタルステート検査)では「桜・猫・電車」が使われている.

😶 「桜・猫・電車」に 三単語の遅延再生 というカッコイイ名前があったんだ~

(投稿者 川崎)

2019-03-16

慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)

CAEBV=chronic active EB virus infection
  • EBウイルスに潜伏感染したTリンパ球やNK細胞の増殖による難治性疾患
  • 免疫学的異常を背景としたリンパ増殖性疾患で高サイトカイン血症を伴う
  • 英国の癌研究者Rickinsonが提唱した観念(Immunol Today 1986;7:13-4

(EBER=EBV encoded RNA/日内会誌 2012;101:2298-300

  • 頻度 本邦では約100名/年(東アジアの小児~若年に多い)
  • 原因 現時点では不明(何らかの遺伝学的背景の関与あり?)
  • 症状 発熱,リンパ節腫脹,肝脾腫,肝逸脱酵素上昇,発疹など
  • 診断 上記症状が3月以上持続+EBV量の増加(➜ 厚労省基準
  • 指標 末梢血中EBV-DNAコピー数が病勢や治療の判定に有用
  • 合併 血球貪食症候群,悪性リンパ腫,多臓器不全など
  • 治療 造血幹細胞移植・臍帯血移植+時に化学療法併用

(投稿者 川崎)

2019-03-15

ノカルジア vs 放線菌

似ているけど少し異なるようです(最大の共通点は診断が難しいことかも…😅)

ノカルジア 放線菌
発育好気性通性嫌気性
形態菌糸体からなる菌塊を中心に放射状
代表菌N. asteroidesA. israelli
グラム染色陽性桿菌大型の陽性桿菌
抗酸性弱陽性陰性
発症多くは日和見感染健常者にも発病する


関連投稿 🙆

(投稿者 川崎)

2019-03-14

腎機能障害、透析症例における下剤(当院採用薬)

以下の薬剤は、腎機能に応じた用法用量の調節が不要。
種類
分類
薬品名
成分名
浸透圧性下剤
糖類下剤
D-ソルビトール経口液75%「コーワ」
D-ソルビトール
刺激性下剤
大腸刺激性下剤
アジャストAコーワ錠40mg
センナエキス
麻子仁丸
マシニン、ダイオウ、キジツ、キョウニン、コウボク、シャクヤク
ラキソベロン内用液0.75%
ピコスルファートNa
その他
新レシカルボン坐剤
炭酸水素Na、無水リン酸ニ水素Na
上皮機能変容薬
クロライドチャネルアクチベーター
アミティーザカプセル24μg
ルビプロストン
グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト
リンゼス錠0.25mg
リナクロチド


(投稿者 小森)

改訂「長谷川式簡易知能評価スケール」

  • 日本の精神科医である長谷川和夫先生が開発(精神医学 1974;16:965-9
  • 現在の改訂版は初版の質問にあった終戦日や総理大臣名,出生地を変更
  • HDS-Rと略されることが多い(Hasegawa Dementia Scale-Revised)
  • 10〜15分で評価でき,年齢や学歴の影響は少ないことが知られている


  • 初診時の解釈 ➜ HDS-R30点満点中,20点以下で認知症の可能性が高まる
  • 認知症と診断後 ➜ 20点以上=軽度,11~19点=中等度,10点以下=高度
  • 認知機能の障害の種類の判定 ➜ どの質問項目で失点したかを参考にできる

🉐 他の認知機能テスト
  • MMSE ⇐ 国際的に使用されている認知症の診断用テスト
  • MoCA-J ⇐ 軽度認知障害のスクリーニングに有用

(投稿者 川崎)

2019-03-13

認知症 vs 運転

【問題】最近,2度の自損事故を起こした高齢者.家族から運転を控えるよう言われたが,怒って受け入れない.改訂長谷川式簡易知能評価スケールは20点で,最近近所で迷子になることもある。この患者に対して自動車運転の指導として最も適切なのはどれか.






判定




(投稿者 川崎)

2019-03-12

ULP型大動脈解離

  • ULP=Ulcer-like projection 日本語名は潰瘍様突出像
  • 血管造影で小さい突出を認める偽腔閉塞型大動脈解離
  • 小突出は内膜欠損であるが解離腔に血流は確認できず


✅ ULP型大動脈解離は経過中に瘤化・偽腔開存型に変化・破裂に至る場合があるため偽腔開存型に準じた対応が推奨されている(大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン - 日本循環器学会


症例Aでは発症直後のULP(上図)が27カ月後に嚢状瘤になった(下図)/症例Bでは発症直後のULP(上図)が6カ月後に解離に進展した(下図)/(J Thorac Cardiovasc Surg 2011;142:e25-31)

👿 大動脈の粥状硬化性病巣が潰瘍化して中膜以下にまで達したPAU(penetrating atherosclerotic ulcer)とは異なる病態である点に注意


(投稿者 川崎)

2019-03-10

一過性全健忘 Transient global amnesia: TGA

  • 病態 突然に発症する一時的な記憶障害で,24時間(多くは数時間)以内に自然改善
  • 所見 意識清明/神経学的異常なし/同じ質問を繰返/高度の前向性・逆行性健忘
  • 経過 無治療で24時間内に発作中と発作開始直前の記憶が永続的に脱落して回復
  • 頻度 主に50~70歳,やや男性優位,頻度は年2人余/1万人,一生一回(再発あり?)
  • 原因 不明であるが両側海馬領域の機能不全の疑い(虚血? てんかん? ストレス?)


😶 初報はAdamsとFisher(Trans Am Neurol Assc 1958;83:143-6)で,鑑別疾患は側頭葉てんかん(繰り返すことと脳波上で両側側頭葉を中心とした発作波 ➜ てんかん性健忘

🙋 基本的に頭部CTは正常・MRIは正常あるいは拡散強調画像DWIで海馬の高信号域

(投稿者 川崎)

2019-03-09

抗酸菌 喀痰3連痰+PCR1回

結核感染が疑われる場合あるいは否定できない場合は,異なる日に喀痰を3回採取(3連痰)して抗酸菌の塗抹と培養検査を行う.そのうち1回は直接検体から菌の遺伝子を検出するPCR法を併用する(月1回まで保険算定が可能).喀痰が採取できない場合には胃液あるいは気管支鏡等による検体の採取を検討する.

  • 塗抹・培養の感度は3回すれば各々91%と99%
  • 塗抹とPCR(核酸増幅法検査)は1回で感度89%

🉐 関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-03-08

収縮期クリック

  • 房室弁の逸脱に関連した収縮中~後期の高調でシャープな音
  • とても有名な音であるが日常臨床で気づく機会は意外に少ない
  • 本例のように逆流を伴わない僧帽弁逸脱なら奇麗に聞こえる







心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

🉐 関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-03-07

ベンプロペリン(フラベリック)による聴覚異常

鎮咳剤フラベリックの副作用として聴覚異常が報告されている(自発報告のため頻度不明)。
作用機序は不明であるが、症状としては「音が半音下がって聞こえる」というもので、服用中止により数日~最長2週間で改善するとされている。
音楽関係者に処方する際には注意が必要である。

(投稿者 小森)

柴胡加竜骨牡蛎湯 サイコカリュウコツボレイトウ

【配合生薬】
  • 柴胡(サイコ),半夏(ハンゲ),桂皮(ケイヒ),茯苓(ブクリョウ),黄芩(オウゴン),大棗(タイソウ),人参(ニンジン),牡蛎(ボレイ),竜骨(リュウコツ),生姜(ショウキョウ)

【効能・効果】
  • 体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う次の諸症
  • 高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期神経症、小児夜泣き、便秘


(投稿者 川崎)

2019-03-06

グラム染色クイズ

  • 突然の腹痛+腹水で来院した症例の腹水と血培のグラム染色(強拡大 X1000倍)




(投稿者 川崎)

2019-03-05

日本内科学会 第223回近畿地方会より

個人的に気になった演題 👀

演題3 アルカプトン尿症を背景に高度石灰化を伴う3枝冠動脈安定狭心症をきたした1例
  • アルカプトン尿症とは常染色体劣性遺伝の先天代謝異常症で,ホモゲンチジン酸の沈着による結合織の褐色変化,脊椎や大関節の関節炎,大動脈弁や僧帽弁の閉鎖不全症などを生じる.

演題97 ステロイド漸減で心タンポナーデをきたした抗PL-7抗体陽性皮膚筋炎の1例
  • 抗PL-7抗体はスレオニルtRNA合成酵素に対する自己抗体(抗ARS抗体)のひとつで,多発性筋炎や皮膚筋炎で検出される.同抗体が陽性ならステロイド減量中に心膜炎を合併しやすいようである.

演題137 Empty sellaを呈した下垂体機能低下症の1例
  • sella=鞍.エンプティ・セラ症候群はクモ膜下腔がトルコ鞍内に嵌入して脳脊髄液で下垂体が圧排された病態.無症状のことも稀ではない.

演題185 リンパ節病変を認めず、多発骨病変で診断されたRichter症候群の1例
  • リヒター症候群とは慢性リンパ性白血病がアグレッシブリンパ腫に移行する病態(多くはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫になる).Reiter(ライター)症候群と混同しないように.

演題204 顔面神経麻痺で発症したHeerford症候群の1例
  • Heerfordt症候群とはサルコイドーシスの一表現型で,ぶどう膜炎・耳下腺腫脹・顔面神経麻痺の3徴を呈する(頻度は∼1%).演題名のHeerford症候群はHeerfordt症候群の誤りと考えられる.

🎊 当院からの発表は以下の3題
  • 演題56 カルシウムサインが診断の契機になった血栓閉塞型急性大動脈解離の1例(谷口雄基ほか,循環器内科)
  • 演題167 IgG4関連疾患を背景に発症した悪性リンパ腫の1例(白井衿帆ほか,血液内科)
  • 演題245 典型的な頸部痛を伴わなかった頭蓋外内頸動脈解離による脳梗塞の1例(藤野雄三ほか,神経内科)

(投稿者 川崎)

2019-03-04

閃輝(性)暗点 Scintillating scotoma

  • 片頭痛の前兆現象として生じる視覚異常(残像,きらめき,歯車)
  • 英国の医師Hubert Airy (1838–1903) が発見(生涯の要約はコチラ
  • 通常は数分〜数十分持続した後に,激しい片頭痛へと移行する
  • 閃輝(性)暗点の原因は視覚野の血管収縮による血流障害と推測
  • 別名はMigraine aura,マイグレイン・オーラ,偏頭痛オーラ

(すべてScintillating scotoma on Wikiより)

💣 関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-03-03

2018年度JAMEP 基本的臨床能⼒評価試験 (IV. ⾝体診察法・臨床⼿技~V. 疾病各論)

  1. Head turning signとは,質問にわからないことを医療者に悟られないよう付き添いの家族などに顔を振って確認しようとするような態度でアルツハイマー型認知症などで観察される
  2. 平成30年度現在,日本の現⾏の法律において認知症が疑われる患者は運転を行うことが禁止されている
  3. 筋肉内注射に際しては「推奨接種部位に大きな血管は存在しないため,あえて内筒を引いて血液の逆流のないことを確認する必要はない.そのまま薬液を注入する」と記載されている
  4. 亜鉛欠乏症は味覚障害の原因としては有名であるが,難治性褥瘡に関与していることを知ることも⾼齢者患者を診察する上で有用である
  5. 通常の帯下は常在菌である乳酸菌の影響で酸性であるが,細菌性膣症や萎縮性膣炎の場合にはアルカリ性となる.カンジダは常在菌であるためカンジダ外陰腟炎でのpHは低値である(4.5以下)
  6. 帝王切開術では以前は新生児への影響を考慮し臍帯結紮後に抗菌薬を投与していたが,近年では臍帯結紮前の抗菌薬投与を推奨(新生児の合併症に影響を与えることなく母体の手術部位感染(Surgical Site Infection:SSI)や子宮内膜炎が減少)
  7. 鉄欠乏性貧血に関連する病態:爪がもろくなる(匙状爪は有名だが頻度は5%),脱毛,Restless leg syndrome(24%),眼球の色調変化が変化(鉄欠乏に伴うコラーゲンの合成障害により青色強膜),頸部の血管雑音(Hyperdynamic stateによる)
  8. ビスフォスフォネート(Bisphosphonate:BP)はビタミンDやカルシウムと共に投与するべきである
  9. STDなら淋菌とクラミジアの混合感染が少なくいないため両方とも治療(淋菌はほぼペニシリン耐性でテトラサイクリンやフルオロキノロンも70~80%耐性).治療の簡便さからアジスロマイシン単回投与+セフトリアキソン点滴1回が良い

(投稿者 川崎)

2019-03-02

2018年度JAMEP 基本的臨床能⼒評価試験 (I. 動画問題~II. 総 論~III. 症候学・臨床推論)

  1. 上肢などのぴくつき(ミオキミア,筋波動)は下位運動ニューロンの過興奮で出現(例,筋萎縮性側索硬化症:ALS)
  2. 要支援1・2は地域包括支援センターの担当,要介護は居宅介護支援事業所が担当
  3. フレーミング効果は同じ情報でも提⽰法により認知が異なること,ルールバイアスは規定に盲目的に従い思考停⽌してしまうこと
  4. 中枢性尿崩症で未治療の場合には脱水傾向となり血漿浸透圧および血清ナトリウム濃度は正常上限から軽度高値になる
  5. Choosing Wiselyでは気管支喘息発作に胸部単純X線写真を撮影することを推奨していない(・・・そうです 👻)
  6. パーキンソン病の⻑期治療中には薬が効かなくなる時間を認めることがあり,ウェアリング・オフ現象と呼ばれている
  7. 思考(考想)伝播とは自分の考えが他人にしゃべってもいないのに伝わっていると感じることで統合失調症に特徴的
  8. 伝染性紅斑の原因ウイルスでもあるパルボウイルスB19感染によって起こる症状は二峰性(発熱の改善後に多関節炎)
  9. 母体GBS陽性時には分娩1時間以上前に母体へ抗菌薬を投与する事児への垂直感染を防ぐことが可能

(投稿者 川崎)

2019-03-01

めまい HINTS(ヒンツ)

急性前庭症候群(acute vestibular syndrome; AVS)が中枢性か末梢性の評価方法
初報はアメリカの脳神経内科医である Kattah JC ら(Stroke 2009;40:3504-10)

HINTS=Head-Impulse Nystagmus Test-of-Skew
  1. Head Impulse (頭部回転刺激)
  2. Nystagmus(眼振)
  3. Test-of-Skew(斜偏奇)
👀 一つでも陽性なら中枢性の感度100%,特異度96%(全部なければ中枢性のめまいをほぼ否定)

1.Head Impulse (頭部回転刺激) 
(VOR=前庭眼反射;半CP=規管機能低下;日耳鼻 2017;120:1224-30

2.Nystagmus(眼振)

3.Test-of-Skew(斜偏奇)

(投稿者 川崎)