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2026-07-27

🚨 脳出血急性期の血圧管理

CQⅢ-a 脳出血急性期における血圧高値に対する厳格な降圧療法は推奨されるか?
  1. 脳出血急性期における血圧高値をできるだけ早期に収縮期血圧140 mmHg未満へ降圧することは妥当である(推奨度B エビデンスレベル高)。その下限を110 mmHg超に維持することを考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル低)。降圧目標は治療開始24時間以内および7日間まで維持することは妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)。
  2. 降圧療法に伴う急性腎障害を回避するためには収縮期血圧降下幅が90 mmHg超の強化降圧療法は勧められない(推奨度D エビデンスレベル中)。


💉 ニカルジピン塩酸塩DI
  • <効能または効果>手術時の異常高血圧の救急処置、高血圧性緊急症、急性心不全(慢性心不全の急性増悪を含む)
  • <高血圧性緊急症>本剤は、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で希釈し、ニカルジピン塩酸塩として0.01〜0.02%(1mL当たり0.1〜0.2mg)溶液を点滴静注する。この場合1分間に、体重1kg当たり0.5〜6μgの点滴速度で投与する。なお、投与に際しては1分間に、体重1kg当たり0.5μgより開始し、目的値まで血圧を下げ、以後血圧をモニターしながら点滴速度を調節する。
  • <当院のパターン>ニカルジピン2A(20㎎、20ml)+生食30mlで初期量は4ml/h(体重1kg当たり0.5μg)です。上記の上限6μgならば、最大48ml/hになります

(投稿者 川崎)

2026-07-05

irAEアイアールエーイー:immune-related adverse events

  • 免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)は,免疫チェックポイント分子またはそのリガンドに結合し,免疫抑制シグナルの伝達を阻害することで抗腫瘍効果を示す.
  • 2014 年に抗ヒトPD-1モノクローナル抗体であるニボルマブが悪性黒色腫に対して承認されて以降,種々のICIが開発されたが,免疫関連有害事象irAE)と呼ばれる副作用を生じることがある.
  • 代表的な irAE は皮膚障害,腎機能障害,血液障害(血小板減少性紫斑病,溶血性貧血,赤芽球癆, 無顆粒球症),間質性肺炎,筋炎,ギランバレー症候群,脳髄膜炎,1型糖尿病,甲状腺機能障害



(投稿者 川崎)

2026-06-28

肺がん治療:トルバプタン

  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)は,アルギニンバソプレシン(AVP)の分泌過剰により水利尿不全を惹起し低Na血症を呈する
  • SIADHの原因は,異所性のAVP産生腫瘍と下垂体後葉由来のAVP分泌亢進に分けられる.前者は84%が肺癌で,その内の94%が肺小細胞癌
  • 肺小細胞癌の7~39%にSIADHが合併する.また様々な方法で肺小細胞癌株を刺激すると,実際にAVP産生が増加することが確認されている


😑 独り言
  • 肺小細胞肺癌(SCLC)の治療にサムスカ(トルバプタン)と聞いて、一瞬ピンときませんでした。でもSIADHと言われて、成程と思いました。肺小細胞癌にSIADHを合併する機序としては,「腫瘍細胞からの異所性AVP産生」に加えて、「腫瘍に伴う胸腔内圧上昇や上大静脈の狭窄により左房還流量が減少し,圧受容体を介してAVP産生が促進」や「抗癌剤や脳転移によりAVP産生ニューロンが直接刺激される」などが考えられているようです(肺癌 2018;58:132-137).

(投稿者 川崎)

2026-06-26

COXコックス:1 vs 2

  • シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)が遊離したアラキドン酸を酸化させてprostaglandins(PG)G2が形成される
  • その後に産生される各種PGsは,局所で増加した発痛物質ブラジキニンの痛覚受容体感受性の閾値を低下させ疼痛を増悪させる
  • NSAIDsはCOXの疎水性チャネルを封鎖することでアラキドン酸が酵素活性部位に結合することを防ぎ,抗炎症,鎮痛効果を発揮
  • COX-1は多くの細胞に構成的に発現し,胃粘膜,血管内皮,血小板および腎臓における組織保護作用を有するPGsの生合成に関与
  • 一方, COX-2は通常は細胞内にはほとんど存在しないが, 関節リウマチなど炎症組織において炎症関連細胞に著明に発現する


- NSAIDsCOX1 & COX2 -


(投稿者 川崎)

2026-06-12

QT延長

  • 先日、一過性にQT延長を指摘された症例を経験しました。どうやら片頭痛時に使用していたトリプタン系(5-HT1B/1D 受容体作動薬)が原因と思われます。
  • QT延長には様々な原因が知られています。頭を整理する意味で、生成AIに「QT延長の原因を一枚のスライドにまとめてください」と依頼してみました(以下)

(ChatGPTによる生成で重要情報は要確認)

(投稿者 川崎)

2026-06-09

復習🚨急性期脳梗塞治療

  • 発症から4.5時間以内である脳梗塞患者にはt-PA静注療法を考慮
  • 発症時間が不明例も少なくない(脳梗塞の約1/4は睡眠中に発症)
  • この場合,発症時間は最終健常確認時間(健常が目撃された最終)
  • ただしDWI高-FLAIR正常(ミスマッチ)は発症4.5時間以内を示唆
  • 脳主幹動脈閉塞で発症6時間以内ならt-PA静注に加え血栓回収療法


t-PA静注4.5時間と血栓回収6時間の根拠

(投稿者 川崎)

2026-05-30

フェリチン vs むずむず脚症候群

🔍 レストレスレッグス症候群(RLS)
  • 下肢の不快感で不眠をきたす睡眠関連運動障害
  • その有病率は欧米で7–10%,アジアでは1–4%程度
  • 病態には遺伝的・環境因子の相互作用が関与する
  • 末梢神経障害や片頭痛、Parkinson 病にも合併
  • 血清フェリチン値が50ug/L未満なら鉄剤の追加
  • 脳内鉄欠乏はドパミンやオピオイドなどの異常
  • 血清鉄やフェリチンはRLS 群と健常群に差なし
  • 髄液中は鉄とフェリチンはRLS 群で有意に低い
  • 髄液と血清のフェリチン値はRLSでは相関なし


- RLSの病態生理学的モデル案 -


(投稿者 川崎)

2026-05-26

Selective decontamination of digestivetract:SDD 選択的消化管内殺菌法

  • 重症患者の院内感染(内因性+外因性)を最小限に抑える予防戦略
  • 吸収されない経口および腸内抗生物質と非経口抗生物質を使用する
  • 口腔咽頭および腸管の好気性グラム陰性微生物やMSSA、酵母など
  • 60件以上のランダム化比較試験(RCT)で死亡率低下(NNTは約18)
  • 集中治療医学でエビデンスがあるにも関わらず普及率は極めて低い
  • 参考:ICU感染症の原因は、一次内因性>二次内因性>外因性の順

選択的消化管除菌戦略:経口摂取(通常のSDD)+口腔咽頭に局所適用(SODともいう)

(投稿者 川崎)

2026-05-16

アジュバント vs ネオアジュバント

  • アジュバント(adjuvant)とネオアジュバント(neo-adjuvant)を生成AI(ChatGPT)にまとめてもらいました。表および画像で作成してくださいと頼みました。ただしいつも通り”ChatGPT can make mistakes. Check important info.”です。

アジュバントとネオアジュバントの違い
比較項目 アジュバント療法
(Adjuvant Therapy)
ネオアジュバント療法
(Neoadjuvant Therapy)
治療の時期 🩺 診断

🔪 手術

💊 アジュバント療法
手術のあとに追加治療
🩺 診断

💊 ネオアジュバント療法

🔪 手術
手術の前に治療
主な目的 🎯
再発予防
画像では見えない
微小ながん細胞を減らす
📉
腫瘍縮小
手術しやすくする
臓器温存を目指す
期待される効果 📈
生存率向上
再発率低下
✂️
切除率向上
臓器温存の可能性UP
治療効果の評価 🔍
手術後なので
腫瘍を直接評価しにくい
🧪
画像・病理で
縮小効果を評価しやすい
注意点 ⚠️ 手術後で体力低下していることがある
⚠️ 治療効果を直接確認しにくい
⚠️ 治療中に病状進行する可能性
⚠️ 手術時期を逃す場合がある
代表例 🎗️ ➜ 💊
乳がん術後化学療法
🧫 ➜ 💊
大腸がん術後補助療法
💊 ➜ 🔪
食道がん術前化学療法
💊 ➜ 🎗️
乳がん術前化学療法
キーワード 術後補助療法
再発予防が中心
術前補助療法
腫瘍縮小が中心


(投稿者 川崎)

2026-05-15

生物学的製剤(Biologics)

  • バイオテクノロジー(遺伝子組換技術や細胞培養技術)で製造された薬剤
  • 高分子の蛋白質で内服すると消化されてしまうため点滴や皮下注射で投与
  • 別名はバイオまたはバイオ製剤で関節リウマチに対し最も使用されている
  • 他に巨細胞性動脈炎やANCA関連、SLE、ベーチェット、乾癬性関節炎など
  • 一般的に治療効果が高く併用するステロイド内服量を減らすことができる
  • 必ずしも全員に効果があるわけではなく、それを事前に推測することは難
  • 感染症に注意(予防で肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンを接種)
  • 結核やB型肝炎の潜在的な感染が考えられる場合、投薬を要することもあり
  • (人由来の製剤ではないため投与によるHIVなどの感染症のリスクはない)

参考)日本リウマチ学会,ほか

(ChatGPTによる生成で真偽は保証できず)

(投稿者 川崎)

2026-04-08

多形滲出性紅斑 Erythema exsudativum multiforme

  • 丸く隆起した紅い皮疹が四肢に対称性に出現する皮膚疾患
  • 狭い範囲に皮膚病変が限局する軽症型は稀ではない (下図)
  • 原因は多様:ウイルス、細菌、真菌による感染や薬剤など
  • 原因不明の多形滲出性紅斑は春~夏にかけ若い女性に多い
  • 多形滲出性紅斑は皮膚所見の視診で診断できる症例が多い
  • 軽症例では皮膚にステロイド軟膏+痒みに抗ヒスタミン薬
  • 病変が皮膚や粘膜、眼、内蔵に病変が及ぶと重症型に分類
  • スティーヴンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症()

引用)日本臨床皮膚科医会、ほか
(投稿者 川崎)

2026-03-17

日本内科学会 第251回近畿地方会より

😀 個人的に気になった報告

演題4 分節性動脈中膜融解症による腹腔内出血をきたした1例
  • 動脈瘤からの出血を疑い血管造影検査を行ったところ,中結腸動脈瘤のほか血管の数珠状の不正な拡張・狭小化があり,分節性動脈中膜融解症(Segmental arterial mediolysis: SAM)による動脈瘤破裂と診断された.中結腸動脈瘤のコイル塞栓を行い,入院7日後に退院となった.SAMは血管の攣縮や高血圧,動脈硬化,喫煙などが関与するとされる.外傷のない腹腔内出血を認めた際にはSAMを鑑別に挙げ,造影CTによる血管性病変の検索を考慮する必要がある.

演題33 麻雀で徹夜をした後,翌朝大学の講義を受けていて発症したてんかん発作の1例
  • 最近日本では競技としての麻雀が普及し人気を博している.健康麻雀として高齢者の認知症予防に取り入れている所もある.国内外でテーブルゲームでのてんかん発作の報告例があり,特に囲碁,麻雀などはよく目にする.いずれも治療はゲームの中止と経過観察で改善している.本症例は競技中ではなく,その後に起こしていることがこれまでの報告例とは異なっている.

演題51 Cap polyposisを呈するびまん性腸炎を発症したIgG4関連消化管病変の1例
  • X-3年より1日3-4回の水様性下痢を自覚していた. 下部消化管内視鏡検査で横行結腸から直腸にびまん性に血管透見の低下と白色調の付着物を伴う小隆起性病変を認め, Cap Polyposis (CP) と診断した. 【参考】CPは比較的まれな大腸の炎症性疾患であり,病変の表面が線維性膿性滲出物をともなう肉芽組織で帽子(cap)のように覆われていることを特徴とする.CP発症の原因は不明で,幅広い年齢層で発症し,女性に多いとされる.病変は直腸~S状結腸に存在することが多い.症状として下痢,血便,下腹部痛などがあり,ときに低蛋白血症を呈することもあるが,CRPなどの炎症所見は正常範囲であることが多い.

演題166 オピオイド投与中のせん妄に対してオピオイドスイッチングにて改善を認めた1例
  • 放射線治療やNSAIDs,アセトアミノフェンを開始するもコントロール不良であり,X+13日にモルヒネ投与を開始した.疼痛は改善しX+24日に退院したが,その後疼痛が悪化しADLが低下したため,X+38日に再入院した.モルヒネを増量するも改善乏しく,縮瞳やせん妄を認めたため,X+56日にオキシコドンへ変更した.【参考】オピオイドスイッチング(旧称:オピオイドローテーション)は,がん疼痛治療などで現在使用中の医療用麻薬(オピオイド)から別のオピオイドへ変更すること.

演題195 繰り返す身体診察が診断につながった感染性心内膜炎の1例
  • 入院翌日に血液培養からStaphylococcus属が検出された.本症例では初回の身体診察で末梢徴候を認めず,数時間後の再診察で新たに眼瞼点状出血を認めたことが診断の契機となった.感染性心内膜炎は発熱等の非特異的な症状のみでの発症が多く早期診断が難しい疾患であるが,末梢徴候等の身体所見が診断の鍵となりうる.過去の報告では点状出血の出現時期は発熱から数日以内といった表現に留まる.本症例では発熱から16~20時間後に点状出血が出現しており,発症当日から繰り返し末梢徴候を確認する有用性が示唆された.

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-03-03

薬剤師による心不全服薬管理指導の手引き 第1版

  • 2024年6月の調剤報酬改定より調剤後薬剤管理指導料対象患者が慢性心不全患者に拡大
  • これを機に、日本心不全学会および日本薬剤師会の合同で、薬剤師向けの手引書を作成
  • この第1版では介入の有効性が高いvulnerable phase(退院直後の時期)での運用に特化
  • 多様な薬剤師の修練度に鑑み、初学者にも容易で、かつ現場で使える形式が採用された


(投稿者 川崎)

2026-02-22

カルシウム拮抗薬:副作用

  • カルシウム拮抗薬の血管拡張作用による副作用はしばしば経験します.下腿浮腫や頭痛,ほてり,動悸などでしょうか.
  • まれですが忘れてはいけないものに歯肉肥厚があります.意外な副作用も生じることを最近知ったのでまとめておきます.


👉 頻尿に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2026-01-31

頭痛ダイアリー

  • 先日,頭痛をしばしば自覚する中年男性が総合診療科を受診されました.痛みは差し込むような片側性で,前駆症状はありませんでした.仕事を中断しなければならないほどつらい頭痛のようです.
  • 片頭痛より群発頭痛を疑いますが(両者の鑑別),持続時間が数分以内と言われました(群発頭痛は15分~3時間).そこで頭痛日記を記録してもらうことにしました(余白に出現と終了の時刻を記入)
  • すると頭痛は15分以上持続していることが判明しました.最終診断は群発頭痛で,ベラパミル(添付文書DI)が予防にとても有効(頭痛ガイドラインでは推奨されていますがあくまでも適応外処方)

頭痛ダイアリー

👉 頭痛に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2026-01-20

漢心調血飲かんしんちょうけついん

  • 先日,外来で患者さんが長年飲んでいるという漢方を教えてもらいました.この手の話は稀ならず経験するのですが,今回は「漢心調血飲」という初めて聞く漢方でした(DI).とてもインパクトのある名前で強く印象に残りました.簡単に調べてみたので忘備録としてアップしておきます.

  • 特徴 丹参(タンジン)を主として6種類の生薬を配合した製剤
  • 成分 丹参,川芎,芍薬,紅花 ,木香,香附子+添加物(各種)
  • 効能 中年以降又は高血圧の頭痛,頭重,肩こり,めまい,動悸
  • 用法 15歳~1回1包,1日3回,食間または空腹時に水またはお湯


👉 漢方に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄から選択可能)

(投稿者 川崎)

2026-01-13

循環器学会専門医試験問題より

😅 独り言
  • 先日の出題「心拍出量のFick法」のページに記載されていた問題です.全く分からなかったので,適当に答えたら(もちろん)間違っていました.
  • 薬理作用を考えたら「なるほど…」の選択肢です.反省を込めてここにアップします.当院採用の肺高血圧の治療薬はココ(2022年時点ですが…)


【問題】特発性肺動脈性肺高血圧症の臨床診断で Macitentan と Sildenafil で初期併用療法を行ったとこ ろ,急激な肺うっ血をきたした.最も可能性が高い診断はどれか.







判定


😐 解説:正解 a
  • 肺静脈閉塞性疾患(PVOD)はまれで,診断も治療も難しい難病である.有病率は人口100万人あたり2名以下で,2年以内で死亡する例も多い.肺毛細血管腫症(PCH)とはその異同が議論されている.特発性,遺伝性,薬剤性のほか膠原病と関連しても発生する.
  • PVOD/PCHでは,肺胞中隔から小葉間中隔の微小な肺静脈で狭窄や閉塞が起こる.この抵抗に逆らって血液を流すために右室は高圧を出すが,やがて耐え切れずに右心不全となり,死に至る.確実な診断には肺生検が必要だが,リスクが高いので現実に行われることはあまりない.肺動脈性肺高血圧症(PAH)の診断基準に合致するが,肺拡散能が低下していたり,運動時に極端に低酸素になったり,肺のHRCTで小葉中心性のすりガラス陰影が見られたり,縦隔リンパ節の腫大や小葉中隔壁肥厚が見られたりする場合に,臨床的に診断することが多い.
  • 主病態は肺細静脈の閉塞であり,しかもその閉塞は線維性であるので,平滑筋細胞に働きかけるPAH特異的治療薬は,普通に使えば無効か有害である.肺細動脈を拡張させれば血流は増えるが肺細静脈が閉塞しているのでその手前の肺胞で水腫が起こりうる.しかし,わが国では脳死肺移植は希望者登録をしてから3年以上の待期期間があるのが一般で,移植を待つ間に死亡する例も多い.そこで,肺血管抵抗を少しでも下げて右室の負荷を軽減しようと,PAH特異的治療薬をあえてPVOD/PCHの患者に試みることもある.これには相当な技術と経験が必要で,しかも決して移植に代わる治療とはならない.


(投稿者 川崎)

2025-12-27

有機リン中毒 💪 DUMBBELLS

  • 主病態はコリンエステラーゼ阻害による副交感神経の嵐で,農薬の服毒による自殺が多く致死率は15%以上(過去の投稿
  • 語呂合わせは便利だけど,問題は日本語話者としてダンベルを思い出せるかどうか…miosisやlacrimationも難しい単語 

👺 有機リン中毒の症状:ダンベル(DUMBBELLS )
  • D = Diarrhea (下痢) / Diaphoresis (発汗)
  • U = Urination (排尿)
  • M = Miosis (縮瞳) / Muscle weakness (筋力低下)
  • B = Bradycardia (徐脈)
  • B = Bronchorrhea (気管支分泌過多) / Bronchospasm (気管支痙攣) 
  • E = Emesis (嘔吐)
  • L = Lacrimation (流涙)
  • L = lethargy (無気力)
  • S = Salivation (流涎) / Sweating (発汗)

💁 語呂合わせに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-12-25

今週の一枚 🎯

呼吸困難感を訴える高齢者(数年前にペースメーカ植込み後)
血圧84/40mmHg,心拍数60bpm,酸素飽和度93%(酸素3L)


(投稿者 川崎)

2025-12-23

昇圧薬:フェニレフリン塩酸塩  Phenylephrine Hydrochloride

  • 昇圧剤:ドブタミン(主にβ1受容体に作用),ドパミン(ノルアドレナリンの前駆体でドパミン・β1・β2・α受容体に作用),アドレナリン(α・β受容体に作用),ノルアドレナリン(内因性カテコラミンでβ1・α1受容体に作用)
  • いずれもβ1受容体に作用するため,頻脈や左室流出路狭窄を有する症例には使用が困難です.このように心臓の忍容性が低い患者に対する昇圧薬として,アドレナリン類似の構造を持つ選択的α1刺激薬フェニレフリンがあります.
  • 麻酔領域以外でフェニレフリンの使用経験が豊富なスタッフは限られていると思われるため,本ページに覚書を作成しておきます.静注した場合は即効性があり,作用時間はアドレナリンよりも長く5~10分だそうです(参考

🌓 商品名:ネオシネジン コーワ注 1 mg/5 mg(添付文書 PDF
  • 薬効分類名:血管収縮・血圧上昇剤
  • 禁忌:本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 効能または効果:
    • 各種疾患若しくは状態に伴う急性低血圧又はショック時の補助治療
    • 発作性上室頻拍
    • 局所麻酔時の作用延長

🌗 フェニレフリンの低血圧に対する実際
  • 機序:選択的α1刺激薬で心臓、気管、末梢血管のβ受容体にはほとんど作用しない
  • 適応:末梢血管収縮による昇圧薬として有用(心拍数が低下するので高度の徐脈となったときにはアトロピンで拮抗/血圧上昇の力価はアドレナリンの約1/5)
  • 実際:通常成人1回0.2mgを静注(0.1~0.5mgの範囲内で増減).持続静注は10~20µg/minで使用.2~5mgを皮下注または筋注する方法もあるが,即効性・調節性に欠ける.


(投稿者 川崎)