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2016-12-31

クリニカルシナリオ CS

急性心不全症例に対して,収縮期血圧から病態を分類し治療方針を決定する方法

クリニカルシナリオ(CS)で覚えておくべきことは
  • CS1なら血圧を下げる(例:ミオコール口腔内スプレー ⇒ 二トロール静注 ⇒ ペルジピン静注利尿薬は原則不要
  • 心電図でST上昇や著明なST低下がないことを確認しCS4(心筋梗塞や不安定狭心症)を除外しておく



(投稿者 川崎)

EHEC

Enterohemorrhagic Escherichia coliの略で,腸管出血性大腸菌のこと
  • ベロ毒素を産生する病原性大腸菌の一種で,代表的な血清型としてO157が知られている
  • 症状は無症状~腹痛・水様便・血便~致死的と様々で乳幼児や高齢者が重症化しやすい
  • 感染後に溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome, HUS)を発症することがある

国立感染症研究所のページに詳細が記載されています

(投稿者 川崎)

2016-12-30

グラム染色クイズ

CRPが10mg/dlを下回らない症例の尿グラム染色です.診断は?


白血球に貪食された酵母 ⇒ 真菌による尿路感染症 ⇒ 抗真菌薬の投与を考慮

(投稿者 川崎)

空の巣(からのす)症候群 Empty-nest syndrome

子育てが終わった中年女性にしばしば認められる抑うつ症状のこと
子供が家を巣立っていった喪失感が一因であるためこう呼ばれる

子育てを生きがいとしてきた内交的な性格の専業主婦に多い
症状には頭痛や肩こり,胸部症状,食欲低下,不眠などがある

(投稿者 川崎)

2016-12-29

デルタ心拍数20ルール+α

体温1℃上昇に対して心拍数が毎分20回以上増加する場合は細菌感染症を疑う
ウイルスなど非細菌性の感染症ならば,通常ΔHR/ΔBPは10程度と考えられる

逆に心拍数が体温に比して不自然に低いとき
 例 超高齢男性がふらつきで来院し,体温39.1度,心拍数80回/分

教科書的には特殊な感染症が有名であるが...
 オウム病,レジオネラ,サルモネラ,ブルセラ,腸チフス,髄膜炎など

まずは内服薬を確認すべし(ベータ遮断薬,ジギタリス,ヘルベッサー,ワソラン他)
 上記の症例はヘルベッサーの徐放剤(100mg)を内服していた

(投稿者 川崎)

2016-12-28

キャッスルマン病

キャッスルマン病(Castleman's disease)は非常に稀なリンパ増殖性疾患

腫大したリンパ節で過剰に産生されたサイトカイン(IL-6)がその本体と考えられる
症状はリンパ節腫脹に加えて,肝脾腫,貧血、発熱,食欲不振,体重減少,発疹など

詳しくは コチラ

キャッスルマン病と診断された症例の中に,血清IgG4高値およびIgG4陽性形質細胞の組織浸潤または腫瘤形成を特徴とする疾患群(IgG4関連多臓器リンパ増殖症候群)があることが分かってきた.シェーグレン症候群や悪性リンパ腫,自己免疫性膵炎,硬化性胆管炎,後腹膜線維症などの一部も含まれるようである. (難病情報センターより)

(投稿者 川崎)

2016-12-27

ノロウイルス2

救急外来でよく
患者「友人がノロと診断されたらしくて・・・」

この一幕にいつも疑問を感じています。あなたの友人はおじいちゃんばかりなのでしょうか?
保険適応は3歳未満、65歳以上の方のみです。

ちなみに他のウイルス性腸炎としては、ロタウイルス : 乳幼児に多く認められ、下痢便が白色。腸管アデノウイルス : 乳幼児に多く、夏場でも見られる。症状としては比較的軽症の事が多い。
厚生労働省曰

主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度!
(投稿者 國枝)

発表

國枝的発表時のお作法

①対象者分析(適切な難易度を!)
②ゴールを(何が伝えたいのか?)
③あらすじ作成(導入・展開・まとめ・閉講の時間配分)

を考えてからスライド作り開始しております。

おまけ
発表後の討論時はスライドは一覧にしておくと、質問し易くて良いですよ!
(投稿者 國枝)

敗血症性ショック

いろんな定義が存在しているが,日本救急医学会では以下のように記載

臓器障害または臓器灌流異常をともなう敗血症(重症敗血症)のうち,適切な輸液負荷を行っても低血圧が持続する状態。臓器灌流異常に基づく乳酸アシドーシス,乏尿,意識混濁などをともなう。低血圧は,収縮期血圧が90mmHg未満,あるいは通常よりも40mmHg以上の低下で診断されるが,強心剤や昇圧剤を使用している場合は必ずしも低血圧を呈していなくてもよい(ACCP/SCCM Consensus Conference, 1992)。

【おまけ】
 ショック指数(SI = HR/sBP)は本来,外傷や出血症例における出血量を推定する式
 敗血症の症例ではSIが正常値(0.5-0.7)でも「ショックではない」と言えないことがある

(投稿者 川崎)

第17回 松下バイリンガルカンファレンスより

今回は座長編
  • ~先生,すいませんが時間が過ぎています ⇒ Excuse me, Dr. **. Your time is up.
  • 残念ながら時間がなくなってきました ⇒ Unfortunately, we have little time left.
  • 次の質問に行きます ⇒ Let's move on to the next question.

(投稿者 川崎)

2016-12-26

CMZの使い方

CMZ=Cefmetazole=セフメタゾール(商品名セフメタゾン)
第2世代セフェム系であるが,セフォチアムCTMと異なり嫌気性菌に有効

尿路感染症でグラム染色で腸内細菌が検出され以下のようにESBLが疑われる時はいい適応
  • 前もって抗菌薬が投与されていた時
  • 過去にもESBLが検出されている時

※ただしESBLが疑われ敗血症など重篤な病態の時は初めからカルバペネム系を考慮すべし

(投稿者 川崎)

2016-12-25

尿中の亜硝酸塩

尿中に存在する硝酸塩が大腸菌などにより亜硝酸塩に還元されることがある
よって尿中に亜硝酸塩が存在しているときは尿路感染症が示唆される

【尿中白血球と亜硝酸塩の尿路感染症に対する診断能を518検体で検討】
 両者が陽性 ⇒ 尿中細菌培養の陽性的中率49.8%,陰性的中率95.6%
  (つまり両者が陰性なら高い確率で尿路系の感染症を否定できる)

尿中亜硝酸塩の感度が必ずしも高くない理由
  1. 一部の細菌は硝酸塩を亜硝酸塩に還元しない(腸球菌や緑膿菌など)
  2. 亜硝酸塩に還元するには時間を要する(膀胱内で約4時間)
  3. ビタミンCの過剰摂取(ビタミンCは強い還元作用を有している)
  4. 食事から硝酸塩の摂取不足(野菜不足や極端なダイエットなど)

(投稿者 川崎)

不適当なグラム染色標本

グラム染色標本では観察に適しない部位をしばしば見かける


白血球に貪食されているグラム陽性菌(ブドウ球菌?)を疑うが以下の問題点がある
  • 細菌の色調が濃く明瞭に観察できない ⇒ 検体を固定前に薄く伸ばす
  • 全体的に黄色い構造物が目立つ ⇒ ピクリン酸(脱色液)を早く洗い流す

(投稿者 川崎)

2016-12-24

急性下痢 小腸型 vs 大腸型

持続期間が2週間以内であれば急性下痢症,4週間以上であれば慢性下痢症
急性下痢はその病態に応じて小腸型と大腸型に分類できる(ただし混合型もある)
  • 小腸型:微生物やその毒素による小腸からの分泌物の増加
  • 大腸型:微生物やその毒素により腸管粘膜が破壊される

小腸型 大腸型
便の性状 水溶性 粘血便
便の頻度/量 大量 少量/頻回
嘔吐 多い 少ない
腹痛 軽い 強い(しぶり腹)
発熱 微熱 高熱
代表例 ウイルス性腸炎,コレラ菌 赤痢菌,サルモネラ菌
基本的な戦略 対症療法 抗菌薬投与

(投稿者 川崎)

2016-12-23

BRAT diet

下痢や嘔吐など急性胃腸炎時に推奨される食事パターン
バナナ、ライス、アップルソース、トーストの頭文字
いずれの食品も食物繊維が少なく消化しやすい


もちろん短期間ならBRAT dietよりも絶食+水分補給(スポーツ飲料やOS-1など)

(投稿者 川崎)

2016-12-22

β-ラクタム系抗生物質とは 

  • βラクタム環を中核とする抗生物質(右図参照)
  • 細胞壁合成に必要な酵素と結合して不活性化
  • ペニシリン系,セフェム系,カルバペネム系など

(投稿者 川崎)

CRE・・・クレアチニンではありません

Carbapenem-resistant enterobacteriaceaeの略で邦名はカルバペネム耐性腸内細菌
β-ラクタム系抗生物質を分解する酵素カルバペネマーゼを産生する腸内細菌の総称
常在菌(腸内細菌の1%未満)でるが,宿主の免疫低下に応じて発病することがある

 ⇒ 国立感染性研究所の関連ページに移動

(投稿者 川崎)

2016-12-21

ラムゼイ・ハント症候群

Ramsay Hunt Syndrome,耳性帯状疱疹(じせいたいじょうほうしん)

耳介,外耳道,頸部,後頭部の帯状疱疹で,顔面神経麻痺や内耳神経症状(難聴、耳鳴り、眩暈)を伴う
初発症状は耳周囲や耳後部の違和感や鈍痛で,その数日後に紅斑を伴った小水疱が出現してくる

単純ヘルペスウイルスの再活性化による顔面麻痺(ベル麻痺)とは異なり,重症化したり後遺症が残りやすい

(投稿者 川崎)

BLNAR(ブルナー)

βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌のこと
BLNAR = β-lactamase negative ampicillin resistance

インフルエンザ菌の約10%はβラクタマーゼを産生することが知られている
しかしβラクタマーゼ阻害薬を配合したペニシリン系抗菌薬は有効であった
BLNARはβラクタマーゼを産生しないがペニシリン結合タンパクが変異したためアンピシリン耐性

  参考文献 モダンメディア 53 巻7 号2007[耐性菌シリーズ]
(投稿者 川崎)

2016-12-20

B型肝炎ウイルスの疑陽性ほか

「B型肝炎について(一般的なQ&A)」(厚生労働省) より一部抜粋

詳Q9:各種のB型肝炎ウイルス検査では偽陽性がありますか?
現在認可を受けて市販されている各種のHBV(B型肝炎ウイルス)検査の試薬を用いた場合、「正しい意味での偽陽性反応」はほとんどないと言ってよいでしょう。

詳Q10:各種のB型肝炎ウイルス検査では偽陰性がありますか?
現在認可を受けて市販されている各種のHBV(B型肝炎ウイルス)検査の試薬を用いた場合、「正しい意味での偽陰性反応」はほとんどないといってよいでしょう。

詳Q11:感染後どのくらいの期間が経てば、HBs抗原検査でウイルスに感染したことが分かりますか?
HBs抗原検査法の感度にもよりますが、ヒトでの解析結果をもとにした外国からの報告によれば、感染後約59日経てばHBs抗原検査でウイルスに感染したことが分かるとされています(Shreiber G B他、N. Engl. J. Med. 1996)。

詳Q12:感染後どのくらいの期間が経てば、B型肝炎ウイルス遺伝子(HBV DNA)検査でウイルスに感染していることが分かりますか?
ヒトでの解析結果をもとにした外国からの報告によれば、感染後、約34日経てばHBV DNA検査でウイルスに感染したことが分かるとされています(Shreiber G B他、N. Engl. J. Med. 1996)。

(投稿者 川崎)

ノロウイルス

今更ですが周りでかなり流行っているようなので・・・
  • 潜伏期間 24~48時間
  • 主な症状 嘔気・嘔吐>下痢・腹痛,発熱
  • 持続期間 1~3日
 おまけ  ロタウイルスは下痢が主症状で1~2週間と長引く
ノロ
(投稿者 川崎)

2016-12-19

妊娠反応

当院で採用している尿の定性検査は『ゴナスティックW』
  • 尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)を検出
  • hCG = human chorionic gonadotropin
  • hCGが25 IU/L以上のときに陽性と診断される

妊娠して10日~2週間で判定可(つまり妊娠3週後半~4週)
※妊娠週数は最終月経開始日を0週0日として数える
(つまり妊娠0週や1週は実際には妊娠していないことになる)

(投稿者 川崎)

胃捻転 Gastric volvulus

新生児や乳児ではしばしば認められるが,大人では非常に珍しい病態

捻転した胃軸の形態から,長軸捻転と短軸捻転に分類
症状の出現パターンから,急性・慢性・間欠性(反復性)に分類

分かりやすい画像 ⇒ BMJ Case Rep 2012 Nov 28;2012

 おまけ  胃捻転は大型犬でよくある病態のようです

(投稿者 川崎)

2016-12-18

足根管症候群

  • 足根管(そっこんかん, tarsal tunnel)とは足根骨と屈筋支帯により形成されるトンネル
  • 足根管症候群とは足根管を通る脛骨神経が圧迫され損傷され症状が出現した状態
  • 足根管より末梢の脛骨神経支配領域に障害が出現:痛みや痺れ,母趾球の萎縮など

足根管の中には,脛骨神経・長母趾屈筋腱・長趾屈筋腱・後脛骨筋腱・後脛骨動脈・後脛骨静脈が通っている

関連病態手根管症候群肘部管症候群

(投稿者 川崎)

抗菌薬のPK/PD理論

PKPharmacokinetics=薬物動態
 投与した抗菌薬の体内動態(血中や組織内濃度)のこと

PDPharmacodynamics=薬力学
 臓器や患部に到達した抗菌薬が有する抗菌活性のこと

 ⇒ 抗菌薬はこのPK/PD理論に基づき一回投与量と投与回数が決められる

詳しく知りたい方は コチラ を見てください

(投稿者 川崎)

2016-12-17

双球菌?

喀痰のグラム染色で双球菌を認めた.予想される細菌名は?


グラム陽性の双球菌 ⇒ 痰=肺炎球菌,尿=双球菌とならないように
連鎖球菌が途中でちぎれて2個のペア(双球菌様)になることは珍しくない
ブドウ球菌は肺炎球菌よりも少し大きくてまん丸,モラクセラはグラム陰性

(投稿者 川崎)

2016-12-16

3-OHBA

尿中 ⇒ 直接ケトン体を測定する(非分画)
血中 ⇒ ケトン体の分画である3-ヒドロキシ酪酸(3-OHBA)を測定

ケトン体=3-ヒドロキシ酪酸(3-OHBA)+アセト酢酸(AcAc)+アセトン
 3-OHBA=3-hydroxybenzoic acid/benzoic=安息香の
 アセト酢酸と3-ヒドロキシ酪酸は酸性であるためアシドーシスになる

アセトンは健常人の血中にはほとんど認められない揮発物質
産生時には呼気中にケトン臭(甘酸っぱい匂い)として観察される
糖尿病性ケトアシドーシス時のクスマウル呼吸は深呼吸だが頻呼吸ではない

(投稿者 川崎)

舌のクローバー状収縮

筋緊張性ジストロフィー(筋強直性ジストロフィー)で認められる初発症状の一つ
舌をハンマーで軽く叩くと収縮が継続してあたかもクローバー状に見える所見
その他にも手を握ると開きにくいなどの筋症状(例,吊革を放せずに電車を降りられない)

NEJMの動画が分かりやすいです → Myotonia with Percussion of the Tongue

(投稿者 川崎)

松下金曜会 「足関節および足の疼痛」

足関節および足の疼痛のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 発熱,潰瘍,皮膚発赤,熱感 ⇒ 蜂巣炎・敗血性関節炎
  2. 体重を支えられないほどの外傷歴 ⇒ 骨折
  3. 最近,活発に活動した後に体重を支えられないほどの疼痛と腫脹 ⇒ 圧迫(疲労?)骨折
  4. 受傷直後または評価中に4歩歩けない ⇒ 足関節骨折
  5. 足のしびれ,脱力 ⇒ 神経損傷を伴う骨折
  6. 足関節の背部を撃たれたまたは蹴られた感じ(プチっという音) ⇒ アキレス腱断裂
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2016-12-15

緩徐進行1型糖尿病

SPIDDM = Slowly Progressive Insulin-dependent (Type 1) Diabetes Mellitus

 診断基準 (以下の2項目をいずれも認めること)
  • 経過のどこかの時点でグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体もしくは膵島細胞抗体(ICA)が陽性
  • 糖尿病の発症もしくは診断時にはケトーシスやケトアシドーシスはなく緊急インスリン療法は不必要

詳細は 「糖尿病 2013;56(8):590-597」 で確認して下さい

(投稿者 川崎)

球菌は必ずしも”まん丸”じゃない

喀痰のグラム染色でグラム陽性菌を3ペア認めた.疑われる細菌名は?(確定には培養が必要)


(投稿者 川崎)

2016-12-14

低K血症 (松下心電塾より)

高K血症では心電図のT波が増高する(テント状T波)
低K血症ではT波の低下だけでなくてU波の増高が特徴的
 ⇒ 平低T波に増高U波が加わり一見QT延長に見える


本症例の血清カリウムは1.7mEq/Lであった(上記の赤矢印がU波と考えられる)

(投稿者 川崎)

2016-12-13

Ai (オートプシー・イメージング)

Autopsy imaging (Ai)=オートプシー・イメージング=死亡時画像診断

オートプシー・イメージング学会で推奨されているAiの実施対象症例
【1】小児死亡全例(14歳以下)
 診療の有無、死亡場所を問わない

【2】外因死およびその疑いがあるもの
 1.不慮の事故
 2.自殺
 3.他殺
 4.不慮の事故、自殺、他殺のいずれであるか死亡に至った原因が不詳の外因死
 5.外因による傷害の続発症、あるいは後遺障害による死亡

【3】診療行為に関連した死亡
 該当施設として死因究明にAiが必要と判断したもの

【4】死因が明らかでない死亡
 救急搬送、通院治療、老人施設、在宅介護等で死因不詳のものを含む
 病死か外因死か不明の場合

【5】その他
 1.医師が死亡診断書(死体検案書)の作成あるいは医学の発展のために必要と判断した場合
 2.遺族が死因究明を望んだ場合
 3.身元が明らかでない者の死亡

(投稿者 川崎)

2016-12-12

中心性頸髄損傷

中心性頸髄損傷とは,外傷性頸髄不全損傷のうち脊髄中心部(灰白質あるいは白質内層)が主に損傷された病態
  • 下肢よりも上肢に強い運動障害や感覚障害を生じる
  • 脱臼や骨折を伴わない非骨傷性頸髄損傷に多い
  • 中年以降に比較的軽微な受傷機転で発症しやすい

詳細は 「総説 中心性頸髄損傷の病態と治療」 (千葉医学 2010;86:167-173) で確認して下さい

(投稿者 川崎)

2016-12-11

SSRI と SNRI

SSRI selective serotonin reuptake inhibitor
選択的セロトニン再取り込み阻害薬
SNRI serotonin and norepinephrine reuptake inhibitor
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬

SSRIは脳内でセロトニン濃度のみを高め,SNRIはセロトニン濃度だけでなくノルアドレナリン濃度も高める
いずれも抗うつ薬であるが,SNRIはSSRIで改善がない場合(いずれも稀にセロトニン症候群を引き起こす)

(投稿者 川崎)

PSSP, PISP, and PRSP

肺炎球菌のペニシリンMIC(minimum inhibitory concentration,最小発育阻止濃度)による分類
  • PSSP = penicillin-sensitive S. pneumoniae(ペニシリン感受性肺炎球菌)
  • PISP = penicillin-intermediate resistant S. pneumoniae(ペニシリン中等度耐性肺炎球菌)
  • PRSP = penicillin-resistant S. pneumoniae(ペニシリン耐性肺炎球菌)

※この分類は髄膜炎には有用だが肺炎には必ずしも当てはまらないという意見もある.ペニシリン注射薬では高い病巣内の抗菌薬濃度が得られるためPISPやPRSPの大部分が治療可能であるためだ.

 復習 
肺炎球菌(S. pneumoniae)は健常者の口腔などに存在することももあるが通常は無症状
繁殖すれば,乳幼児の化膿性髄膜炎や小児の中耳炎・肺炎,高齢者の肺炎などを引き起こす

(投稿者 川崎)

2016-12-10

バトソン静脈叢

Batson venous plexus (Batson veins)
椎体の周囲および脊柱管内に存在する静脈ネットワーク


弁構造がないためうっ滞しやすく,血流方向は容易に逆転する
 ⇒ フィルターである肝や肺を通過せず静脈血が椎体に到達するため感染や転移の経路

(投稿者 川崎)

カマグと腎不全

酸化マグネシウム(Magnesium Oxide, MgO)は緩下+制酸
  • 緩下:難吸収性の炭酸塩となり水分を引き込み腸管内容物を軟化
  • 制酸:胃酸との中和反応による(MgO+2HCl→MgCl2+H2O)

慎重投与(添付文書は ココ
 腎障害のある患者では高Mg血症(筋力低下,悪心,腱反射低下,呼吸抑制,意識障害,不整脈など)に至ることがある

腎不全症例で緩下剤による排便コントロール必要時は麻子仁丸(ツムラ126)を考慮

(投稿者 川崎)

2016-12-09

松下金曜会 「筋力低下」

筋力低下のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 急速に進行する麻痺 ⇒ 虚血性脳卒中,ボツリヌス中毒,ギラン・バレー症候群など
  2. 甲状腺機能亢進症の症状あるいは既往 ⇒ 甲状腺中毒性周期性麻痺
  3. 1日以内に自然消失した片側不全麻痺 ⇒ 一過性脳虚血発作
  4. 四肢不全麻痺を伴うダニ接触 ⇒ ダニ麻痺
  5. 不全対麻痺を伴う電気痛 ⇒ 横断脊髄炎,脊髄圧迫
  6. 発熱の病歴または注射薬使用歴 ⇒ 硬膜外膿瘍
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2016-12-08

混合感染

腎盂腎炎が疑われる症例に対して尿のグラム染色をおこなった.その診断と対処は?

 

多数のグラム陰性桿菌とグラム陽性球菌,および両者の貪食像
  • グラム陰性菌(ピンク)は腸内細菌(大腸菌など)と考えられる ⇒ 第三セフェム
  • グラム陽性菌(ブルー)は双球菌であるため腸球菌が疑われる ⇒ ペニシリン系

腸球菌は基本的にセフェム系は無効で,多剤耐性菌も少なくない(例,エンテロコッカス・フェシウム)
エンドトキシンショックを防ぐため第三セフェムで治療を開始して,腸球菌の感受性を待ってもいい

(投稿者 川崎)

2016-12-07

緩下剤と大腸メラノーシス

大腸メラノーシスとはアントラキニン系大腸刺激性下剤を長期にわたって飲み続けた結果、大腸を粘膜側から見た場合に通常よりも色は黒っぽく、ヒョウ柄になった状態のコトを言う。

アントラキニン系緩下剤は長期に使用すべきでなく、やむを得ない時に1週間以内の使用にとどめ、塩類下剤に切り替えることが望ましい。

アントラキニン系緩下剤はセンナ、ダイオウであり商品名はアジャスト、アローゼン、プルゼニド、大建中湯、セチロなどがある。

(投稿者 吉武)

心電図:満腹テスト (松下心電塾より)

ブルガダ症候群に対する心電図検査でリスク層別化に有用
Full Stomach Testとも呼ばれている

方法
  1. 空腹時または非満腹時に12誘導心電図を記録
  2. 20分で満腹になるまで食べる+食後にソーダ
  3. その後30分以内に12誘導心電図を記録

V1-2誘導でcoved型のST上昇が出現すれば陽性(ハイリスク)
その機序として満腹による迷走神経の亢進が考えられている

詳細は こちら にあります

(投稿者 川崎)

2016-12-06

PMX

PMX = polymyxin B-immobilized fiber column
  • 東レが開発した世界初の血中エンドトキシン除去向け血液浄化用浄化器
  • カラムの内部にエンドトキシン吸着担体となるポリミキシンB固定化繊維
  • 敗血症性ショックの症例に対して保険適用を受けている国内唯一の医療機器

商品のカタログは ココ です

(投稿者 川崎)

2016-12-05

呼吸不全のおさらい 1型 vs 2型

定義
  • 室内気で呼吸時の動脈血酸素分圧≦60Torr

原因
  • 肺胞低換気(例,薬剤による呼吸中枢抑制やギランバレー症候群)
  • 換気血流不均衡(例,肺血栓塞栓症や気道疾患)
  • シャント(例,先天性心疾患や肝肺症候群)
  • 拡散障害(例,間質性肺炎や無気肺)
  • 吸入気酸素分圧の低下(例,高地登山)

分類
  • 1型=PaCO2≦45Torr以下⇒A-aDO2は開大⇒酸素投与
  • 2型=PaCO2>45Torr以上⇒A-aDO2は正常⇒原則として人工換気
(投稿者 川崎)

2016-12-04

第214回内科学会近畿地方会

個人的に印象深かった症例

 演題45:ビール中毒(連日2Lで食事僅か)による低Na血症(110mEq/L)
 演題143:感冒後の横紋筋融解と高CK血症(なんと143万U/Lまで上昇)
 演題174:パレコウイルス3型による流行性筋痛症(CKはやはり低く238U/L)

(投稿者 川崎)

2016-12-03

酵母のグラム染色

酵母(イースト,yeast)は細菌ではない
  • 酵母=核膜に包まれた核がある=真核生物(例,植物や動物)
  • 細菌=核膜に包まれた核がない=原核生物(例,放線菌、ラン藻)

酵母はグラム陽性でとても大きく,球菌や桿菌の分類は行わない
カンジダなどの酵母は口腔内常在菌であるため通常は病原性を持たない

(投稿者 川崎)

気胸

聴診
患側で呼吸音の減弱に加えて声音振盪の減弱も有用.「ひと~っ,ひと~っ」と繰り返してもらい,音の響きの左右差を確認する.

胸部X線
通常の深吸気像のみでなく深呼気像も撮影したい.深呼気の方が肺実質に空気が少ないため胸膜腔の空気量(気胸部分)が目立ち診断しやすい.

(投稿者 川崎)

2016-12-02

パックマン?

 
グラム陽性の桿菌は少ない
  • クロストリジウム
  • コリネバクテリウム
  • リステリア
  • バチルスなど

右写真のグラム陽性の大型桿菌は血液培養から検出されたバチルスである

バチルス属は炭疽菌を除き毒性は低く,水中や土壌に普遍的に存在する

健常者とことなり免疫不全や担癌状態の症例では病原性を有することがある

(投稿者 川崎)

松下金曜会 「病歴聴取の機微」

  • たとえ急いでいても,そんなそぶりは見せない
  • 患者に会う前に数分間カルテに眼を通す
  • 既にある書式と同じ順番で情報を集める必要はない
  • 混乱した場合はそれを認める
  • 経過から外れた話をそのまま放置しない
  • 不安要因を突き止める
  • 信頼するが検証する
  • 直感を信じる
  • 思慮深く利用すれば「沈黙は金」
  • 優れた病歴聴取は「一石二鳥」

 ※機微(きび)とは表面からだけでは知ることのできない微妙なことがらのようです

参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2016-12-01

パレコウイルスによる成人筋痛症?

当院の経験例
  • 若い母親で子供が感冒後に本人も発熱
  • その後に四肢の近位筋の筋力低下と筋痛
  • アセトアミノフェン服用後は症状が少し改善
  • 腱反射の低下はなく,CK値も正常である

 ポイント 
 腱反射やCK値よりギラン・バレー症候群や通常のウイルス感染症に合併した筋炎は否定的
 アセトアミノフェンによる一過性の改善は,筋膜炎による痛みのため見かけ上の筋力低下?

パレコウイルス3型による成人流行性筋痛症は2012年に山形県のグループが世界で初めて報告
子供を介して発症し,発熱・咽頭痛・筋痛・筋力低下が出現するがCKがあまり上昇しないようだ

(投稿者 川崎)

大動脈弁狭窄

収縮期(Ⅰ音~Ⅱ音)に漸増し漸減する雑音で,とても聴取しやすい雑音の1つ
雑音後のⅡ音の有無で重症度の推測が可能(重症ではⅡ音が不明瞭になる)

  • 中等度の大動脈弁狭窄
  •   Ⅱ音が明瞭 (ト・ザ~・ドゥ  ト・ザ~・ドゥ)
  • 高度の大動脈弁狭窄
  •   Ⅱ音が不明瞭 (ト・ザ~  ト・ザ~)

(投稿者 川崎)

2016-11-30

NEJMカンファレンス

Argyll Robertson 瞳孔
アーガイル=ロバートソン瞳孔とは、両眼に正常な対光反応(光の量によって瞳孔が拡大縮小する現象)がない状態の瞳孔異常のことである。主に神経梅毒疾患の時に起こる。
常に縮瞳傾向にあるが、寄り目になった際のみ正常な縮瞳状態が見られる。

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1507564


子宮外妊娠と子宮内妊娠の並存
The prevalence of heterotopic pregnancy is estimated at 0.6‑2.5:10,000 pregnancies. There is a significant increase in the incidence of heterotopic pregnancy in women undergoing ovulation induction. An even greater incidence of heterotopic pregnancy is reported in pregnancies following assisted reproduction techniques such as In Vitro Fertilization (IVF) and Gamete intrafallopian transfer (GIFT), with an estimated incidence at between 1 and 3 in 100 pregnancies. If there is embryo transfer of more than 4 embryos, the risk has been quoted as 1 in 45. In natural conceptions, the incidence of heterotopic pregnancy has been estimated to be 1 in 30 000 pregnancies.(ウィキペディアより)

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1509537

(投稿者 湯浅)

SIRS 

SIRS=systemic inflammatory response syndrome (全身性炎症反応症候群)
サイトカインを中心とした免疫・炎症反応による非特異的な全身生体反応を把握するための臨床概念

以下の4項目のうち2項目以上を満たすとき診断
  • 体温<36℃または>38℃
  • 脈拍>90回/分
  • 呼吸数>20回/分,あるいはPaCO2<32 Torr
  • 白血球数>12,000/mm3 あるいは<4,000/mm3,または10%を超える幼若球出現

感染のみならず,外傷や手術,熱傷,膵炎,手術なども誘引となる
多臓器不全の前段階と考えられるため重症患者のスクリーニングに有用

 おまけ  inflammatory はアクセント位置に注意 ⇒ ココで確認できるよ
(投稿者 川崎)

第16回 松下バイリンガルカンファレンスより

2番目の質問をもう一度お願いします ⇒ What was your second question again?
(症状など)は起こりやすい/起こりにくい ⇒ ~ occurs in most cases/in rare cases.
CTでは~でした/心電図では~でした ⇒ CT shows.../ECG shows...(画像を見ながらならすべてshowの現在形でOK)

(投稿者 川崎)

2016-11-29

IM≠EBV

伝染性単核球症(infectious mononucleosis, IM)とくれば
 ⇒ 発熱,咽頭痛,リンパ節腫脹(特に頸部),末梢血中の異型リンパ球,トランスアミナーゼの上昇など

ついつい伝染性単核球=EBウイルス(Epstein‐Barr virus, EBV)と考えがち

確かに伝染性単核球症の原因はEBVが多いが,その他でも生じうることが報告されている(国立感染症研究所
サイトメガロウイルス(CMV),HHV‐6 ,アデノウイルス(ADV),単純ヘルペスウイルス(HSV),ヒト免疫不全ウイルス(HIV),A型肝炎ウイルス(HAV),B型肝炎ウイルス (HBV),トキソプラズマ,リケッチア

(投稿者 川崎)

2016-11-28

虫垂炎とガム

 都市伝説   「ガムを飲むと詰まって盲腸になる」
 ⇒ 両者の関連を示唆するエビデンスは見つけられませんでした

逆に虫垂炎術後のガムはイレウスの発生を減らすから推奨されるという研究がありました
Chewing gum reduces postoperative ileus after open appendectomy. Acta Chir Belg. 2010;110:195-9.

 おまけ  「不衛生な水が虫垂炎の発生と関連する」は都市伝説ではないようです
Acute appendicitis, bathrooms, and diet in Britain and Ireland. Br Med J. 1988;296:953–5.

(投稿者 川崎)

特発性細菌性腹膜炎(SBP)

spontaneous bacterial peritonitis

SBPは感染源が不明の腹水のことで,肝硬変(特にアルコール性)による腹水貯溜に多い
原因菌はグラム陰性では大腸菌やクレブシエラ,グラム陽性では肺炎球菌が多い(通常は1種)
予後は不良で,死亡率はおおよそ30~80%(進行性腎機能障害があれば100%近い)

  ※腸管穿孔による腹膜炎では腹水アミラーゼが上昇するためSBPとの鑑別に有用(らしい)

詳細はデータは Hospitalist ~病院総合診療医~ にまとめられています

(投稿者 川崎)

2016-11-27

Paget-Schroetter syndrome

循環器学会地方会で聞き慣れない疾患が2演題,異なる施設から同時に報告されていました

Paget-Schroetter syndrome
  • 定義 : 基礎疾患を有さない症例に生じた上枝の深部静脈血栓症(DVT)のこと
  • 原因 : 通常利き腕側でスポーツに伴うことが多い(バレーボール, 野球, 重量挙げなど)
  • 機序 : 血管内皮の微小な損傷による凝固系の活性化が原因と考えられている
  • 合併症 : 血栓性閉塞,肺血栓塞栓症(上枝DVTの1/3に発症)
  • 治療 : 下肢のDVTと同様でヘパリンやワルファリン,DOAC(直接作用型経口抗凝固薬)

Paget-Schroetter syndromeを含めた上枝DVTの詳細は こちら
(投稿者 川崎)

2016-11-26

マイコプラズマ

マイコプラズマはグラム染色では判定できない
しかし最近,PCRで迅速に判定できるようになった!



咽頭のぬぐい液をPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を用いてそのDNAを増幅
約1時間でマイコプラズマに感染しているか否かの結果が分かる
すごいのはマクロライドに感受性があるか耐性かも同時に判明できる

非定型肺炎の可能性が高いときは是非確認してみよう

(投稿者 川崎)

急性膵炎の抗菌薬

議論のある領域ですが,NEJMの先週号にレビューが掲載されました
抗菌薬に関して記述された段落は下記の一段落のみ



➽ 「明らかに感染を生じている症例を除いて,急性膵炎で抗菌薬の予防投与はメリットが示されていないため推奨されない」と述べられています

(投稿者 川崎)

2016-11-25

DV時の医療費

ドメスティック・バイオレンス=domestic violence (DV)=同居関係にある配偶者や内縁関係の間で起こる家庭内暴力

病院によってはDV時にも健康保険を使用できる(健康保険組合の許可が必要/1点=10円で計算した総額の1~3割)
それ以外の場合は原則,自由診療になる(例えば支払いは150%/1点=15円の全額負担)
 ※本人がDVを隠して,自分で転んだと言って健康保険を使用するケースも少なくないようだが・・・

交通事故の場合は原則,健康保険が使えないから自由診療(例えば支払いは200%/1点=20円の全額負担)

(投稿者 川崎)

松下金曜会 「呼吸困難」

呼吸困難のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 呼吸とともに増大する鋭い片側の胸痛 ⇒ 自然気胸,肺塞栓
  2. 口唇の腫れ,蕁麻疹または喘鳴 ⇒ アナフィラキシーまたは血管浮腫
  3. 肋骨下圧迫感 ⇒ 狭心症または急性心筋梗塞 (良性疾患として食道痙攣)
  4. ピンク色で泡状の痰 ⇒ 心原性肺浮腫
  5. 下肢の筋力低下または神経原性の筋力低下 ⇒ ギラン・バレー症候群,重症筋無力症
  6. 自殺傾向,既知の関節炎またはその疑い ⇒ アスピリン過剰摂取
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2016-11-24

クレブシエラ

正式名はクレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)
グラム陰性桿菌で、日本では肺炎桿菌とも呼ばれている

腸内細菌の1つであるが,他の腸内細菌(大腸菌やプロテウス)と比較して大きい
莢膜のみならず,下図写真(矢印)ように周囲にムコイド物質を分泌することがある


 ムコイド物質  緑膿菌も分泌することがあるが,緑膿菌はグラム染色で細くて小さい(参照
 莢膜  肺炎球菌も有するが,肺炎球菌はグラム陽性球菌であるため外観が全く異なる(参照

※莢膜は細胞壁の外側に位置する被膜状の構造物で,ムコイド物質(バイオフィルム)は菌体から分泌された大量の粘質物

(投稿者 川崎)

肺エコー : コメットサイン

肺エコーは循環器領域(特に心不全)ではすでに臨床応用されている
心不全で肺うっ血 ⇒ コメットサイン(彗星のように尾を引くエコー像)が出現



胸膜下の小葉間隔壁に浮腫(いわゆるKerley のBラインに相当)を反映していると考えられる

(投稿者 川崎)

2016-11-23

肺エコー

肺エコーについては、様々な議論がなされている。
CTによる被爆の問題、在宅での問題、CRPの問題 etc.

被爆がなく、ポータブルであり、在宅でも可能である点で、エコーは有用であるかもしれない。

重要なのは、種々の情報(問診、身体所見、検査結果、画像、患者背景、主訴)を勘案し、総合的に診断するのが医師の役割である。

ここで、肺エコーのスライド集を供覧
http://www.slideshare.net/katsushigetakagishi/b-5
(投稿者 安田)

腎梗塞

急性腹症として発症し、しばしば急性腎不全を発症する。
稀な疾患であるが、診断は困難である。
造影CTによる楔形の造影不良域の確認が確定診断となる。

ただ、、、
しばしば急性腎不全を起こしている。
造影できない、、、

そこで、造影CT以外の方法で診断できないか調べました。

症状は、非典型的であるため、鑑別困難。
ラボデータでは、LDH高値(しばしば1000前後)、しかしAST/ALTは正常程度。

MRIでは、DWIで梗塞部位がHighになる。

American Journal of Kidney Disease 52(4),2008:788-791
Hospitalist~病院総合診療医〜のブログ記事より
これは、使えるかもしれません。

(投稿者 安田)

低Na血症へのアプローチ

ステップ1  基本分類
  1. 高張性 : 高血糖やマンニトールなどの浸透圧物質による低Na
  2. 等張性 : 高脂血症、高蛋白血症などによる見かけ上の低Na
  3. 低張性 : 真の低Na血症 ⇒ ステップ2へ
   ポイント 血漿浸透圧から1と2を除外(血漿浸透圧<275 mOsm/Lであれば3)

ステップ2  水中毒の除外
  1. 水中毒
  2. それ以外 ⇒ ステップ3へ
   ポイント 尿浸透圧<100mOsm/Lなら1と判断し水制限

ステップ3  バイタルや身体所見,画像より細胞外液量を評価
  1. 増加 : 心不全,腎不全,肝硬変など
  2. 正常 : ADHの分泌増加(SIADH,甲状腺機能低下症,副腎機能不全など)
  3. 低下 : 腎性Na喪失あるいは腎外性Na喪失 ⇒ ステップ4へ
   ポイント 尿中Na濃度>20mEq/Lなら腎性のNa喪失と判断

ステップ4  低張性低Na血症における最終分類
  1. 腎性Na喪失 : 利尿薬や塩類喪失性腎症,低アルドステロン症など
  2. 腎外性Na喪失 : 嘔吐や下痢、熱傷など

   まとめ 低ナトリウムの鑑別は血漿浸透圧・尿浸透圧・尿中Na濃度で行う

(投稿者 川崎)

2016-11-22

タイレノールの個人輸入

以前、救急外来で「発熱に対して、市販のお薬などは飲みましたか?」と尋ねたところ。。。。

患者「コレ飲みました」 ドンッ



吉武「これは・・・?」

患者「タイレノールです。」

タイレノールはアセトアミノフェンの市販薬です。日本でも普通に売ってますが、用量が1錠200mgとコカールと同様です。
しかし、上記のような瓶で売ってるものはアメリカやタイから個人輸入した1錠500mgのものです。

※amazonでは売っていませんでした。

(投稿者 吉武)

フォルクマン拘縮

フォルクマン拘縮とは前腕屈側に生じたコンパートメント症候群のこと
   コンパートメント症候群 ⇒ 外傷や出血などにより組織圧が上昇して循環不全を生じ,筋肉や神経に障害が生じた病態

前腕屈側の筋肉や血管,神経は筋膜や骨膜などで囲まれているため,上腕骨顆上骨折後などに血管の損傷や圧迫が生じやすい.血流障害の結果,筋肉の浮腫がさらに静脈を閉塞して組織内圧を上昇させる悪循環に陥る.

前腕部の腫脹や疼痛から始まり,経時的に脈拍欠如や運動障害,感覚麻痺などが加わる.フォルクマン拘縮が完成は不可逆性変化を意味し,手関節や指関節は鷲爪様(左図,Wikiより)に変形する.

動脈が閉塞しておおよそ6-8時間後にフォルクマン拘縮に陥るため,早期の診断と迅速な治療(骨折の整復やギプスなどによる圧迫の解除)が必要.必要に応じて筋膜切開を追加する.
(投稿者 川崎)

2016-11-21

便のグラム染色

腹痛と下痢を訴える症例の便をグラム染色したが何が見えますか?



ヒント:写真中央の少し波打ったグラム陰性桿菌に注目
この菌は松下ERカンファに何度が投稿されています(1回目2回目
答え:カンピロバクター

(投稿者 川崎)

ランツ(Lanz)の圧痛点

左右の上前腸骨棘を結ぶ直線を3等分した時に,右に位置する分割点
虫垂先端が内下方に向かいやすい部位で,圧痛があれば虫垂炎を疑う

虫垂炎を疑うその他の圧痛点として
  • マックバーネー(McBurney)圧痛点:右上前腸骨棘と臍を結ぶ線を3等分した時の右よりの点(原著では腸骨棘から1.5~2インチらしい).虫垂根部が存在しやすい部位
  • キュンメル(Kummel)圧痛点:臍の右下方1~2cmで,大網が炎症性に引き寄せられることがある部位
  • モンロー(Munro)圧痛点:右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の中点で,腹直筋の外縁と交叉する
(投稿者 川崎)

胃蜂窩織炎

胃蜂窩織炎とは胃壁の粘膜下層を中心に拡がる非特異的化膿性炎症疾患

原因
  • 胃疾患や異物,薬物による粘膜損傷から細菌侵入
  • 抜歯後や上気道炎などの感染巣から血行性感染
  • 膵炎や胆嚢炎など近接臓器から炎症の直接波及
  • 成因が特定できないあるいは不明である特発性
症状
  • 急性期は悪寒・発熱・上腹部痛・悪心・嘔吐
  • 慢性期は食欲不振・上腹部不快感など
治療
  • 従来より観血的治療法を第一選択にすべきという報告が多い
  • しかし近年保存的治療法(抗菌薬)による治癒例も散見される

 参考  急性胃蜂窩織炎の1例 日消誌 1999;96:1226-1270
 ⇒ 各種画像検査で胃体部にびまん性の壁肥厚所見を認め,胃粘膜生検部位から膿汁の流出(後に化膿性連鎖球菌と大腸菌と判明)があったため胃蜂窩織炎と診断して,抗生物質(SBT/ABPC)の投与で手術を回避できた症例報告

(投稿者 川崎)

2016-11-20

菊池病

頸部の有痛性リンパ節腫脹を主体とする疾患で,組織球性壊死性リンパ節炎あるいは亜急性壊死性リンパ節炎とも呼ばれる
  • 40歳未満に多く(やや女性優位),原因は未だ不明である
  • 自然軽快するため発熱や疼痛に対する対症療法が中心
  • 治癒に1-2ヵ月かかるためステロイドを要するこもある
  • リンパ節腫脹は片側性が多いが,両側性や頸部以外も生じることあり
  • 白血球減少をみとめることが特徴的
  • 確定診断は生検(HE染色で多数の組織球+好中球を伴わない壊死)

AKB48の小林香菜さんやタレントの森下千里さんもなったよ

(投稿者 川崎)

2016-11-19

VT?(松下心電塾より)

心電図診断は?

一見,心室期外収縮が続いているから心室頻拍と考えがち
一般的な心室頻拍VTの定義=心室期外収縮が3回以上連発し心拍数が120回/分以上

この心電図の幅が広いQRSの心拍数は100回/分未満 ⇒ よっていわゆるslow VTと考える
正式名はAIVR(Accelerated Idioventricular Rhythm:促進心室固有調律)
心筋梗塞急性期の治療後などに出現し,特に追加加療を要さないことが多い
QRSのペースがP波(下図の矢印)のペースを上回ると出現し,下回ると消失することが特徴


(投稿者 川崎)

よく見ると…

発熱および咳嗽を訴える症例の喀痰グラム染色:さて診断は?


喀痰のグラム染色でグラム陽性の双球菌が目立つため肺炎球菌肺炎と即断しがち
しかしよく見ると小さなグラム陰性桿菌であるインフルエンザ菌も散見される
白血球に貪食されているのは主にインフルエンザ菌である
よって本症例は肺炎球菌とインフルエンザ菌の混合感染と考えられる


 おまけ  肺炎球菌は周囲に莢膜を有するため白血球に貪食されにくい

(投稿者 川崎)

2016-11-18

急性溶血と背部痛

急性溶血では,悪寒や発熱,黄疸,褐色尿に加えて背部痛や腹痛を生じることがある.

  • 重度の溶血自体が脾腫を引き起こすことがある
  • 他の原因による脾腫が溶血を生じることがある

溶血クリーゼ(急性の重度の溶血)に多い背部痛や腹痛は,急激な脾腫が原因のようだ.

(投稿者 川崎)

松下金曜会 「黄疸」

黄疸のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 錯乱または精神機能の変化 ⇒ 胆管炎,敗血症,肝性脳障害,凝固障害による頭蓋内出血,低血糖など
  2. 歯肉出血または鼻出血 ⇒ 劇症肝不全による血小板減少,DIC,TTP,エバンス症候群(ITP+AIHA)など
  3. 妊娠 ⇒ 妊娠悪阻,妊娠による急性脂肪肝,子癇,HELLP症候群,妊娠による肝内胆汁うっ滞
  4. 濃い尿 ⇒ 急性溶血,横紋筋融解によるミオグロビン尿
  5. 意図しない体重減少 ⇒ 膵臓癌または肝胆道癌
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2016-11-17

ティアニー先生とのカンファレンスに参加して

毎週金曜日の勉強会でおなじみの"The Patient History: Evidence-Based Medicine"の著者であるティアニー先生がケースカンファレンスで強調していたフレーズがありました.

"Tissue is the issue."

どんなに画像診断や血液分析の技術が進歩しても,最終的には組織診断がとても大切だということです.ティアニー先生はとても(体格が)大きくて活気があってユーモア―のある親しみやすい先生でした.
Tierney
(投稿者 川崎)

2016-11-16

WPW症候群と先天性心疾患(心電塾より)

WPW症候群とはケント束という副伝導路が存在する疾患で,短縮したPQ間隔とデルタ波を伴う幅広いQRSが特徴
頻脈発作との関連で知られるが,全人口の0.1%~0.3%と比較的多く,生涯発作を生じない症例も稀ではない


WPW症候群に合併しやすい先天性心疾患はエプスタイン奇形(右房と右室の間の三尖弁が右室腔側に変位)


本例では心房中隔欠損を合併している(エプスタイン奇形は心室中隔欠損や卵円孔開存の合併もある)

(投稿者 川崎)

2016-11-14

病歴を聴取しよう!内科医最大の武器を磨け 第一原則

病歴を聴取しよう!内科医最大の武器を磨け

魚沼基幹病院 総合診療科部長 石山貴章先生の連載より引用。
米国で「ホスピタリスト」として活躍された同先生は、日本のCT、CRPから始まる医療アプローチに愕然としたそうである。

【病歴聴取は内視鏡や心カテ同様、トレーニングが必要なスキル】

連載中の記事では

病歴聴取の基本六原則
第一原則 病歴聴取はアートである
第二原則 病歴聴取とは、考え続けることである
第三原則 全体から理解する
第四原則 八割原則
第五原則 知識を頭に詰め込む作業(勉強)が必要
第六原則 Be a Healer!

第一原則の真髄;
The art of listening.
Listening is the most complex and difficult of all the tools in a doctor's repertory.

以下の原則は連載を解釈しながら、少しづつまとめたいと思います。
(投稿者 安田)

世界抗菌薬啓発週間

11月14日〜11月20日は世界抗菌薬啓発週間です。
WHOのサイトです。
http://www.who.int/campaigns/world-antibiotic-awareness-week/en/

下記はIDATENメーリングリストにて奈良県立医大 笠原先生よりのご紹介です。
皆さんも感染症勉強しましょう。
プライマリケアの基本は、重症感染症管理に全て詰まっています。
(投稿者 安田)

アンチバイオグラム

アンチバイオグラム=主要病原菌の抗菌薬に対する感性あるいは耐性の割合を表示した一覧表

尿中抗原やグラム染色で起因菌が同定できることがある
その時はその施設のアンチバイオグラムを参考に抗菌薬を決定
(もちろん,その後の培養結果で抗菌薬の変更が必要な場合がある)

当院のアンチバイオグラムの確認方法


(投稿者 川崎)

2016-11-13

様々な菌が見えるグラム染色像

グラム染色で様々な菌が見える場合,対処方法は検体によって異なる


喀痰 ⇒ 誤嚥性肺炎か常在菌の混入かを判定(上皮細胞と白血球による貪食像の有無を確認)
尿 ⇒ 基本的に感染症と考える(エンドトキシンショックを考慮してグラム陰性菌の加療を優先)

(投稿者 川崎)

2016-11-12

グラム陰性球菌

グラム陰性球菌(GNC)は稀 ⇒ 喀痰から多くが検出されればモラクセラと考える
モラクセラは成人市中肺炎の起炎菌としてはしばしば検出される


上記写真は肺炎例における喀痰のグラム染色(培養でモラクセラを確認)
GNCが2つ並んで,まるで腎臓のような形態をとることがモラクセラの特徴
もしGNCが髄液から検出されたら髄膜炎菌を,性器からなら淋菌を疑う

 おまけ  モラクセラは洗濯物の生乾き/雑巾臭の原因菌でもあるよ

(投稿者 川崎)

2016-11-11

松下金曜会 「記憶喪失」

記憶喪失のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 突然の発症 ⇒ せん妄,脳血管性認知症,硬膜下血腫
  2. 尿失禁や大股歩行を伴う知症 ⇒ 正常圧水頭症
  3. 数週間で急激な進行 ⇒ 硬膜下血腫,脳腫瘍
  4. 数カ月で急激な進行 ⇒ 亜急性海綿状脳炎,脳血管性認知症
  5. 意識レベルの低下を伴う認知症 ⇒ 慢性薬物毒性,中枢系の日和見感染を伴うHIV
  6. 早期に幻覚 ⇒ びまん性レヴィ小体病
  7. 顔面や身体の不随意運動 ⇒ 神経弛緩性の錐体外路系副作用,ハンチントン病
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2016-11-10

グラム染色:白血球 vs 上皮細胞

グラム陽性球菌一つを基準に考えると,白血球は直径がざっくり約10倍,上皮細胞は約100倍
 ⇒ 菌が白血球に貪食されているのか,上皮細胞に乗っているだけかの鑑別に有用


 トリビア  上皮細胞は白血球に比べて角張っていることも特徴の一つ(上図の緑矢印)

(投稿者 川崎)

急性心膜炎(松下心電塾より)

心電図でaVR誘導を除く多くの誘導でST部分が上昇する
PQ部分の低下も急性心膜炎の特徴の一つ(下図の矢印)


※急性心膜炎とは異なり,急性心筋炎には特異的な心電図変化はない

(投稿者 川崎)

2016-11-08

ワーファリン

抗凝固薬のワーファリンはビタミンKで中和される
よってビタミンKを特に多く含む食べ物は避ける
原則禁止すべき食べ物=納豆・クロレラ・青汁

最近,ゴーヤを多量に摂取していた症例でワーファリンの効果が減弱した症例を経験
緑黄色野菜は多かれ少なかれビタミンKを含むが,極端な食べ方をしない限り問題になることは少ない

 おまけ 
ワーファリンはアルコールで作用が増強されるため両者の間隔を6~7時間以上はあけたい
ワーファリンの内服は朝昼夕のいつでもいいが,お酒が好きな人は朝食後がおすすめ

(投稿者 川崎)

2016-11-06

死のトンネル

ER症例でCTやMRIで急変する症例が稀ながら存在することから生まれた言葉
撮像中(トンネル内)では血行動態のモニタリングが手薄になりやすいことが一因

CTやMRIを行う前に,出血や心疾患などショックに陥る可能性のある疾患の除外が重要

(投稿者 川崎)

2016-11-05

異物は CT 上どう見える?

今日は放射線科関西地方会でした。

当院の元研修医であった先生が発表していましたが、爪楊枝の吸収値ははじめは Air を含むため Air に近い低信号を呈するが、徐々に水を吸い込んで吸収値が (たぶん50くらい?) 上がっていくという論文を見つけて報告してくれていました。覚えておきます。 残念ながら原典が見つかりませんでした。

医療訴訟で大きな話題となって、その後の医療にも大きな影響を与えたであろう杏林大病院割りばし死事件では、「頸静脈孔に嵌入し頭蓋底を越え小脳まで穿通した約7.6cmの割り箸の断片が確認され」たそうです。「脳出血を疑い頭部X線とCT撮影を行ったが、後頭蓋窩に硬膜外血腫と空気の混入が認められたものの、依然死因は不明であったという。」
Wikipedia より引用
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8F%E6%9E%97%E5%A4%A7%E7%97%85%E9%99%A2%E5%89%B2%E3%82%8A%E3%81%B0%E3%81%97%E6%AD%BB%E4%BA%8B%E4%BB%B6#cite_note-asahi081121-9

Anderson らによると、手掌異物200例において異物は木片 36%, ガラス 23%, 針 7% であった。Gooding らは、このように異物症例には単純エックス線で確認できないものが多く、単純エックス線のみでは異物の有無を判定するのに不十分であると指摘している。
慈恵医大誌 2010:125:169-73 より引用

プラスチックの場合の CT 値は
http://ichiken.w3.kanazawa-u.ac.jp/img/hbk-c-8.pdf
を参考に、素材によって -100 から 120 くらいのようですね。ラミネートフイルムであればその混合比により吸収値が変化するはずで、また、PTP (薬の包装材) の場合は金属を含んだりもするので、吸収値はさらに上がると思います。

以上、まとめると
木片 (箸、枝、爪楊枝などなど) は、CT上はじめは air 濃度で 3 日ほどかけて辺縁から徐々に吸収値が上昇し軟部組織に対して高吸収となる。
単純写真のみでは異物が指摘できないことが多い。
プラスチックの吸収値は低いもの (-100) から高いもの (120) がありそう。
もし同じものがあれば、マーカーと一緒にどこか診断の邪魔にならないところに置いて撮像するといいかもしれません。

(投稿者 小谷)

感染症の勉強法

感染症の勉強は、地道にコツコツと。
ICD(Infection Control Doctor)取得を目指すことも、1つの近道。
⇒感染症学会や集中治療医学会に加入、所定のコースで単位取得必要。

次の問題が即座に答えられますか?(現 福知山市民病院 川島先生の感染症小テスト)

例1 肺炎を疑った患者さんで、痰が出ない時はどんな肺炎をイメージする?
例2 血液培養2セットのうち、1セットのみ陽性でもコンタミの可能性が低い菌は?

勉強法は様々ですが、自分に合う本を良く探すこと。
医学書、書籍、学会、研究会参加などへの投資は惜しまないこと。将来の自分への投資です。
自分も半分以上が、自宅の本棚にお蔵入りしてます。

参考として
NCGM感染症レビューコース(インターネットで視聴できる感染症のレクチャー)
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
国際感染症センター 国際感染症対策室 
にあります。ルールを守って視聴しましょう(無料、登録必要あり)。

問題の答え 例1、マイコプラズマ肺炎など非定型肺炎 例2、グラム陰性桿菌、肺炎球菌

(投稿者 安田)

2016-11-04

カンピロバクター感染症

グラム染色では陰性桿菌に分類される.
らせん状にねじれてた独特の形態であるが,とても細いためグラム染色で判断することは容易ではない.
便培養から本菌を分離することが最も確実な診断方法であるが結果が判明するまでに数日間を要する.

(電子顕微鏡像 国立感染症情報センター

多くは自然治癒するため特別治療を必要とせず,予後も良好である.重篤な状態ではマクロライド系薬剤が推奨される.ニューキノロンには耐性菌が少なくなく,セフェム系対しては多くが自然耐性を示す.

(投稿者 川崎)

NEJMカンファレンス

気腫性腎盂腎炎
糖尿病コントールの悪い51歳男性が発熱と倦怠感を主訴に来院した。
左腎臓に気腫を認め、糖尿病による神経因性膀胱による逆行性感染により気腫性腎盂腎炎を来たした。
原因菌は大腸菌。

NEJMのページ


熱帯性痙性不全対麻痺症
英語 Tropical Spastic Paraparesis
別名 HTLV-1関連ミエロパチー(HAM)
HTLV-1の感染による骨髄を中心とした中枢神経の慢性・緩徐進行性の脊髄症クローヌスを来たす。

NEJMのページ

(投稿者 八代)

松下金曜会 「耳痛」

耳痛のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 体重減少 ⇒ 腫瘍
  2. 分泌物を伴う持続性の耳痛で夜間に悪化する ⇒ 壊死性外耳炎(悪性)
  3. 50歳以上の患者で,咀嚼した時の耳の付近の疼痛 ⇒ 側頭動脈炎
  4. 耳の鉤部に疼痛と腫れがある小児で,最近上気道炎か耳の感染症を起こした ⇒ 乳様突起炎
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2016-11-03

細菌性食中毒

頻度が多い順にカンピロバクター,ブドウ球菌,サルモネラ,ウェルシュ菌,腸管出血性大腸菌
そのうち70%以上がカンピロバクターで2015年は2089件発症で死亡なし(厚生労働省データ

 細菌 潜伏期間 主な感染源
 カンピロバクター 3~5日 鶏肉
 ブドウ球菌 1~3時間 おにぎり,お弁当
 サルモネラ 12~36時間 卵,肉類

  イメージ  カンピロバクターは鳥刺身を食べた数日後に下痢と腹痛

(投稿者 川崎)

2016-11-02

NEJMカンファレンス

皮膚エリテマトーデス
・日光への暴露で誘発されることが多い
・抗核抗体、抗Ro抗体、抗La抗体などが陽性になる
・皮膚生検で確定診断
・発疹は通常、頬から鼻、鼻唇溝にかえて出現する
・治療はステロイド

NEJMの記事

鰓裂異常
・頸部腫瘤の鑑別として、先天性、感染性、腫瘍と並んで挙げるべき疾患
・鰓裂欠陥は、のう胞、洞、瘻などの形で現れる
・発生部位によって第1~第3まである
・第一鰓裂異常は、鰓裂異常の10%程度を占める
・外耳道、顔面神経などのそばに生じる

NEJMの記事

(投稿者 岩崎)

嫌気性 vs 好気性

  • 好気性菌 酸素呼吸しながら有機物を分解するため酸素がないと生育できない菌
  • 嫌気性菌
    1. 通性嫌気性菌 酸素があっても好気性菌なみに生育する条件付の嫌気性菌
    2. 偏性嫌気性菌 酸素があると生育できない絶対的な嫌気性菌

 ※通性嫌気性菌は好気性菌として取り扱うことが多い

 頭の整理 
  • ぶどう球菌,腸球菌=グラム陽性球菌=通性嫌気性菌
  • 連鎖球菌=グラム陽性球菌=多くが通性嫌気性菌
  • 大腸菌,クレブシエラ(肺炎桿菌),インフルエンザ菌=グラム陰性桿菌=通性嫌気性菌

(投稿者 川崎)

2016-10-31

精巣捻転

精巣捻転は、下腹部の激痛は訴え受診する。
「タマが痛い」と訴える。
通常、左側に多く、陰嚢がやや腫れて、位置がやや挙上している。
新生児期と思春期に2峰性のピークがある。

診断はカラードプラーにて血流の有無を診断する。

正常な血流
精巣捻転している場合
精巣捻転を見たら、疑ったらまずすること。
「泌尿器科医を呼ぶ事」
緊急オペの可能性がある。そして、徒手整復を試みること。ほとんどは、内側に捻転している。だから、外側に整復する。「Open Bookの方向」と言われる。
6時間以内の整復(手術含む)が、患者さんの「精巣機能」を維持する。
⇒遅れると不妊の原因にもなり得る。

重要な所見に精巣挙筋反射の消失がある。知りたい人は成書を確認。
Prehn徴候;陰嚢を持ち上げると痛みが和らげば精巣上体炎、痛みが変わらなければ精巣捻転→精度が低く鑑別に役立たない。
(投稿者 安田)

抗菌薬の中途半端な効果

抗菌薬の効果が不十分なときのグラム染色



上記写真ではグラム陰性桿菌が連結してひも状になっている
 抗菌薬が有効 ⇒ 陰性桿菌は消失
 抗菌薬が無効 ⇒ 陰性桿菌が多数(例はココ

本例では抗菌薬が中途半端に有効であるため弱った菌が連結している

(投稿者 川崎)

2016-10-30

YAM(ヤム)

YAM = Young Adult Mean = 20~44歳までの健康女性の骨密度の平均値
骨密度 = BMD (Bone Mineral Density) = 骨量÷面積(単位g/cm2
測定する部位(腰椎あるいは大腿骨)によっても異なるがYAMは概ね1.0 g/cm2

骨密度測定検査で算出した骨密度がYAMの70%未満なら骨粗鬆症として治療を考慮

(投稿者 川崎)

2016-10-29

経口三世代セフェム

バイオアベイラビリティー(腸から吸収される割合)がとても低いため効果が期待できない
セフジニル(セフゾン)はたったの25%,セフカペン(フロモックス)に至っては記載すらなし
点滴三世代セフェムは大事な武器であるが,経口三世代セフェムを要する症例は極めて稀
(岩田 健太郎先生の抗菌薬の考え方、使い方Ver.3より)

バイオアベイラビリティが良好な経口抗菌薬は ココ にまとめられています

(投稿者 川崎)

2016-10-28

松下金曜会 「無月経」

無月経のレッドフラッグと考慮すべき病態
  1. 最近の避妊しないままでの性交 ⇒ 妊娠
  2. 頭痛,乳汁漏出症,周辺視野欠損 ⇒ 頭蓋内腫瘍
  3. 理想体重を15%下回る体重およびボディイメージ障害 ⇒ 食欲不振
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2016-10-27

外傷に対するFAST

FAST(ファスト) = Focused Assessment with Sonography for Trauma
外傷症例に行う迅速簡易超音波検査法で,液体貯留(出血)の検出に有用

FASTでは以下の順にエコーで確認
  1. 心膜腔
  2. 肝腎境界(モリソン窩)と右胸腔
  3. 脾周囲と左胸腔
  4. 膀胱直腸窩/ダグラス窩
分かりやすいページ ←クリック

 おまけ 
ダグラス窩は厳密には直腸子宮窩であるため女性にしか存在しないが,男性の膀胱直腸窩を便宜的にダグラス窩と呼ぶことがある

(投稿者 川崎)

ERでのミオコール スプレー

ミオコール スプレーは,狭心症だけでなく高血圧を伴った肺水腫にも使用する
血行動態の改善,自覚症状の改善,挿管の回避などに有用と考えられる

日本循環器学会の急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)では
初期評価と急性心筋梗塞の除外後に真っ先に施行すべき対応として記載(赤線)


ただし血圧低下症例では注意する必要がある.同ガイドラインには,「収縮期血圧が90mmHg以下の患者では,かえって臓器灌流を低下させ,腎血流量が保てなくなる可能性がある.」と記されている

実際の使用方法添付文書から)

ミオコールスプレーの噴霧回数に関する記載はガイドラインには見当たらない
添付文書では「成人には1回1噴霧を舌下に投与する.なお効果不十分の場合は1噴霧を追加投与する.」

(投稿者 川崎)

2016-10-25

肺炎の治療効果判定について〜その時期と指標〜

成人市中肺炎診療ガイドラインより一部改変

治療効果の判定時期と主な判定事項(抗菌薬効果判定)

①3日後(重症例は2日)の判定;初期抗菌薬の有効性の評価
②7日以内の判定;有効性の評価や終了時期の決定
③14日以内の判定;終了時期や薬剤変更の決定

抗菌薬投与終了時期の目安

①感染防御機能が正常と考えられる場合(明らかな基礎疾患が無い場合)
下記効果判定基準4項目中3項目以上を満たした場合
②感染防御機能が冒されていると思われる場合 (基礎疾患がある場合)
下記判定基準4項目中3項目以上を満たした4日後

効果判定の指標と基準

①解熱(目安;37°C以下)
②白血球増加の改善(目安;正常化)
③CRPの改善(目安;最高値の30%以下へ低下)
④胸部 X 線陰影の明らかな改善

(投稿者 安田)

当院ルール:吐下血時のCT

ショックや腎機能障害,アレルギー例などを除いて造影CTを施行
理想の撮像プロトコール:単純CT → ダイナミックCT → 平衡相CT

造影CTで出血自体が描出されることは稀と考えられるが
吐血時の胃動脈瘤の有無や憩室出血時の出血部位の同定に役立つことがある

(投稿者 川崎)

NEJMカンファレンス

腸間膜虚血
【症状】
 腹痛、嘔吐、血便など
【虚血部位】
 上腸間膜静脈塞栓症が50%
 上腸間膜動脈血栓症が20%
 ※非閉塞性虚血(Non-occlusive mesenteric ischemia: NOMI)が20-30%
【診断】
 腹部(造影)CT、血管造影
 乳酸の高値は感度100%、特異度42%
【治療】
 手術:血栓除去あるいは血行再建術を施行し、壊死腸管があれば切除
 保存的治療:血栓溶解療法、抗凝固薬

NEJMの記事

先天性風疹症候群(CPS)
【症状】
 3大症状:心疾患(動脈管開存症)、難聴、白内障
【治療】
 CPS自体の治療法はない。
 心疾患、白内障は可能であれば手術
【予防】
 風疹(を含む)ワクチン → MRワクチンまたは風疹ワクチン
 ※妊娠可能年齢の女性で風疹抗体がない場合には、積極的にワクチンで免疫を獲得しておく。
 妊娠中のワクチン接種は避ける。

NEJMの記事

(投稿者 結城)

2016-10-24

肺炎球菌尿中抗原迅速検査の注意事項

肺炎球菌感染症の迅速診断において、尿中抗原検査は重要。
感度80%、特異度94%と立派な検査法である。

【注意事項】
①尿中抗原陽性となるのは、発症から3日以降
⇒迅速で陰性であっても、否定はしないこと(早すぎる検査)。疑わしければ再検すること。(抗生剤治療の影響を受けない)
②抗原は尿中に数日〜数ヶ月に渡り排出されるため、陽性であっても既往歴の有無は必須
③もちろん治療効果判定には使えない。
(投稿者 安田)

市中肺炎と非定型肺炎の鑑別

1. 年齢60歳未満
2. 基礎疾患がない、あるいは軽微
3. 頑固な咳嗽がある
4. 胸部聴診状所見が乏しい
5. 喀痰がない、あるいは迅速診断で原因菌らしいものがない
6. 末梢血白血球数が10000/μL未満である

4つ以上満たせば、非定型の可能性が高くなってくる。
(投稿者 安田)

酸塩基平衡の「マジックナンバー15」

酸塩基平衡の理解の大原則は
①pH,PaCO2,HCO3-から代謝性,呼吸性,アシドーシス,アルカローシスを評価する。
である。

しかしながら、この時点で断念する人は多い。

重要な「マジックナンバー15」

★代謝性アシドーシス,アルカローシスでは,実測HCO3-+15=予測PaCO2で代償
★実測PaCO2=予測PaCO2ならば正常の代償機構
★実測PaCO2>予測PaCO2ならば呼吸性アシドーシスの合併
★実測PaCO2<予測PaCO2ならば呼吸性アルカローシスの合併

pCO2,HCO3-(BEも)から、大まかにアシドーシス、アルカローシス、代謝性、呼吸性を判断しておく事は重要。

ここからは、経験を積んで少しでも早く判断できるようになるべし!

(投稿者 安田)

双球菌

双球菌を見たら肺炎球菌(ニューモコッカス)腸球菌(エンテロコッカス)を考える

喀痰なら肺炎球菌 ⇒ PC系抗菌薬(抗菌薬先行投与あるいはPC耐性ならCTRXなど)
尿中なら腸球菌 ⇒ PC系抗菌薬(培養でフェシウムと同定されたらVCMなど)


上記は尿のグラム染色で,白血球に貪食されている双球菌は腸球菌のフェカーリスであった

(投稿者 川崎)

2016-10-23

妊娠中・授乳中のアセトアミノフェン

アセトアミノフェンは妊娠中でも処方可能であると考えられる (日本医事新報 No.4654
さらに授乳中でも安全に使用できると思われる (国立成育医療研究センターHP

(投稿者 川崎)

マッコーネル徴候 McConnell sign

右心負荷が急性発症か慢性変化を判断するときに利用できる心エコ-の指標
右室心尖部が過剰運動を示せばマッコーネル徴候陽性⇒右心負荷は急性の疑い


上の動画は呼吸困難感で来院し,急性肺血栓塞栓症と診断された症例(マッコーネル徴候は陽性)
右室(画面左)は瘤化しているが右室心尖部(中央Vマーク左下)のみペコペコ動いている点に注目

McConnell MV, et al. Regional right ventricular dysfunction detected by echocardiography in acute pulmonaryembolism. Am J Cardiol. 1996;78:469-73.

(投稿者 川崎)

オーグメンチンとパセトシンの併用

臨床現場でしばしば行われる処方
 オーグメンチン(250)3錠+パセトシン(250)3錠,分3毎食後

オーグメンチン=アモキシシリン(AMPC)+クラブラン酸カリウム(CVA:βラクタマーゼ阻害剤)
パセトシン=アモキシシリン(AMPC)単剤
 ⇒ アモキシシリン(AMPC)が重複している

重複投与される理由
  • 細菌性感染ではアモキシシリン高用量が望ましい(1.5~2.0g/日)
  • クラブラン酸カリウムの副作用である下痢や嘔気を増やさないため
(投稿者 川崎)

2016-10-22

連続性雑音

収縮期から拡張期に移行するタイミング(Ⅱ音)で音質が変化しない雑音
(必ずしも心周期のすべてで雑音が聞こえる必要はない点に注意)

動脈管開存やバルサルバ洞動脈瘤破裂,肺動静脈瘻,冠動脈瘻などで聴取


    蕎麦や豆を挽くときの石臼を回すような感じ(ウゥ~ウゥ~)

※厳密に言うと連続性雑音は心雑音ではないよ(心外にある血管の雑音)

(投稿者 川崎)

腸管粘膜のターンオーバー

腸管粘膜は3~5日で新しい細胞に置き換えられる
胃粘膜もほとんど同じ周期で新生されている

Adult intestinal stem cells: critical drivers of epithelial homeostasis and regeneration. Nat Rev Mol Cell Biol. 2014;15:19-33.

(投稿者 川崎)

2016-10-21

NEJMカンファレンス

癒着胎盤
・子宮腔内の脱落膜の欠損部位から絨毛が子宮筋層に直接侵入し、分娩後自然脱落することできない状態
・無理な胎盤剥離や胎盤部分剥離が起これば大出血からショック
・DICを引き起こし、母体予後を悪化させる
・発生頻度:1例/2500例
・多くは前置胎盤・子宮手術既往のある症例に発生
NEJMの記事

Thelazia callipaeda(東洋眼虫)
・体長8~16mmの白色の小線虫
・感染は,動物の涙液を摂取し栄養分とする分泌物採食性で,非刺咬性のハエを介しておこる
・犬の眼脂を好んで摂食するショウジョウバエの1種のメマトイが、ヒトの眼瞼などに止まった時に感染すると考えられている
・軽度の結膜腺炎、結膜の濾胞肥大、異物感、流涙、掻痒、充血、腫張、光 への過敏性、角膜炎を引きおこす場合がある
・治療は、虫体の機械的除去
NEJMの記事
(投稿者 大槻)

松下金曜会 「複視」

複視のレッドフラッグと重篤な原因疾患
  1. 眼痛または頭痛 ⇒ 脳動脈瘤・海綿静脈洞腫瘤病変・頭蓋内圧亢進・髄膜炎
  2. 顔面のしびれ感 ⇒ 海綿静脈洞腫瘤病変
  3. 顔面脱力 ⇒ 脳幹病変
  4. 下肢脱力・下肢のしびれ感・不均衡・傾眠状態 ⇒ 髄膜炎
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2016-10-20

研修医マニュアル「急患帳®」

石巻赤十字病院 研修医マニュアル「急患帳®」は、すでに第4版!
”九官鳥のようにまねることから始まる”という意味でまとめられており、HPからダウンロードできるよう公開されています。
実際の現場に即した使いやすいマニュアルとなっています。

ローカルルールも入っていますが、まさに「虎の巻」です。
http://www.ishinomaki.jrc.or.jp/recruit/juniorresident/kyukancho/

一度ご覧あれ。完成度に感動します。

(投稿者 安田)

Polymicrobial pattern

様々な菌が同時に見える状態のこと


上記写真では大型と小型のGPCとGNC,GNRが観察されるが,周囲に好中球が存在しないため病原菌より常在菌と考える

(投稿者 川崎)

ERでのグラム染色

  1. スライドガラスに尿や喀痰をできるだけ薄く塗る(1円玉程度の大きさ)
  2. 常温で自然に乾燥するまで待つ(目安は喀痰5分,尿10分)
  3. 検体をアルコールスプレーで固定(検査室ではガスバーナー固定)
  4. ビクトリアブルー(青液)をたっぷりかけて1分後に水洗い
  5. ピクリン酸(黄液)を青色が目立たなくなるまでかけて30秒以内に水洗い
  6. サフラニン(赤液)をたっぷりかけて1分後に水洗い
  7. 乾燥後(ドライヤーや濾紙の利用も可)に光学顕微鏡で観察
  8. はじめは100倍で観察(好中球やフィブリン,扁平上皮の有無)
  9. 油浸を加えて1000倍で観察(菌の分類や貪食の有無を判定)

(投稿者 川崎)

誤嚥性肺炎

喀痰のグラム染色の特徴は・・・
  • 多菌種の混在(グラム陽性/陰性,桿菌/球菌)
  • 菌が集簇してクラスターを形成
  • 白血球による貪食像
  • 扁平上皮が多い(口腔内由来)


※もちろん喀痰に混じったお米などの食物残渣を確認できることもある

(投稿者 川崎)

2016-10-19

食物アレルギー

食物アレルギー診療ガイドライン2012より抜粋

アナフィラキシーのグレード分類
Sampson HA. Pediatrics 2003を改変.すべての症状が必須ではない.症状のグレードは最もグレードの高い臓器症状に基づいて判定する.グレード1はアナフィラキシーとはしない.



即時型反応・アナフィラキシー出現時の治療
ヒスタミンによる即時型反応~アナフィラキシーであるので発症初期にはヒスタミンH1受容体拮抗薬が有効である.症状の進行が認められたときにはアドレナリンの速やかな筋注が必要となる。循環不全に対しては糖とカリウムを含まない等張液による急速輸液が必要である.

(投稿者 川崎)

Japan Coma Scale (JCS)

日本で主に使用される意識障害の程度の分類法

Ⅰ.覚醒している
   0 意識清明
   1 見当識は保たれているが意識清明ではない
   2 見当識障害がある
   3 自分の名前・生年月日が言えない
Ⅱ.刺激に応じて一時的に覚醒する
   10 普通の呼びかけで開眼する
   20 大声で呼びかけたり、強く揺するなどで開眼する
   30 痛み刺激を加えつつ、呼びかけを続けると辛うじて開眼する
Ⅲ.刺激しても覚醒しない
   100 痛みに対して払いのけるなどの動作をする
   200 痛み刺激で手足を動かしたり、顔をしかめたりする
   300 痛み刺激に対し全く反応しない

3-3-9度方式であるためJCS III-200などと表記されることもあるが,JCS 200と記載することが正しいようである
1974年に脳外科医である鈴木二郎らの委員会で作成されたようであるが出典は不明(以上Wikipediaより)

 コメント
Japan Coma Scaleを用いた報告の学術データベースへの初収載は以下
 PudMed: No Shinkei Geka. 1986;14:817-21.
 Google scholar: Sogo Rinsho 1985;34:477-482.

(投稿者 川崎)

2016-10-17

Glasgow Coma Scale (GCS)

1.開眼(E:eye opening)
 4自発的に開眼
 3呼びかけにより開眼
 2痛み刺激により開眼
 1なし

2.最良言語反応(V:best verbal response)
 5見当識あり
 4混乱した会話
 3不適当な発語
 2理解不明の音声
 1なし

3.最良運動反応(M:best motor response)
 6命令に応じて可
 5疼痛部へ
 4逃避反応として
 3異常な屈曲運動
 2伸展反応(除脳姿勢)
 1なし

※E3V4M5のように表現し、合計点数で評価
※15点満点(正常)、最低点は3点(深昏睡)  一般に8点以下を重症とする

JCSの方がぱっと見は分かりやすいかも・・・

(作成者 結城)

PM/DMの身体所見

1.筋症状
a.筋力低下:下枝を初発とすることが多く、四肢近位、頸部屈筋の対称性筋力低下を来す。Gowers徴候(登攀性起立が見られることもある)。重症度は徒手筋力テスト(MMT)により診断。

*MMT
5(normal)-強い抵抗を加えても運動可能
4(good)-重力および中等度の抵抗を加えても関節運動が可能
3(fair)-重力に逆らって関節運動が可能であるが、それ以上の抵抗を加えればその運動は不能
2(poor)-重力の影響を除去すれば、その筋の収縮によって関節運動が可能
1(trace)-筋収縮はみられるが。それによる関節運動は見られない
0(zero)-筋収縮がまったく見られない

b.筋の自発痛、把握痛

2.皮膚症状(a~dはDMに特徴的)
a.ヘリオトロープ疹:両上眼瞼部の紫紅色調の浮腫性病変
b.Gottron徴候:手指の関節伸背面の落屑性紅斑
c.ショール徴候
d.Vネックサイン
e.四肢伸側の紅斑
f.爪床部紅斑、毛細血管拡張、小梗塞

3.多発性関節炎

4.肺症状(間質性肺炎)

5.心症状:不整脈、心筋炎、心膜炎


参照:YearNote 2016

(投稿者 湯浅)

麻黄湯(マオウトウ)

発汗作用があり,体の熱・腫れ・痛みを発散する.病気の初期で体力が十分ある場合に適する
(例:慢性疾患のない健常者で,カゼの初期段階かつ寒気や発熱,関節痛などがあるとき)

配合生薬:麻黄(マオウ),桂皮(ケイヒ),杏仁(キョウニン),甘草(カンゾウ)
 ⇒ 甘草を含むため大量服用で偽アルドステロン症や低カリウム血症によるミオパチーを生じることがある

 おまけ 
 麻黄湯はインフルエンザの治療にも有効であるという報告がある

2016-10-16

急性精巣上体炎

尿路系の感染症を疑った時に除外すべき疾患として,急性前立腺炎に加えて急性精巣上体炎がある
  • 解剖 : 精巣上体は精巣の横にあり,副睾丸ともいわれる
  • 役割 : 精巣でつくられた精子を貯蔵し,精管に輸送する
  • 症状 : 陰嚢の痛み・腫脹・熱感,排尿時痛,膿尿,発熱
  • 原因 : 若者ではクラミジアや淋菌,中高年では大腸菌の感染
  • 鑑別 : 精巣捻転(精巣腫大なくドプラで血流低下もしくは消失)

(投稿者 川崎)

2016-10-15

MEPM+CLDM

原因菌が不明の壊死性筋膜炎などtoxic shock syndrome(TSS)治療では
メロペネムMEPM(メロペン)とクリンダマイシンCLDM(ダラシン)を併用する時がある

これは必ずしも嫌気性菌のダブルカバーを行っているわけではない
CLDMは毒素産生に対して抑制効果を有することが報告されている
(Pretreatment of mice with clindamycin improves survival of endotoxic shock by modulating the release of inflammatory cytokines. Antimicrob Agents Chemother. 2001;45:2638-42.)

(投稿者 川崎)

2016-10-14

インフルエンザ菌 Haemophilus influenzae

グラム陰性桿菌であるが,大腸菌など通常のグラム陰性桿菌より小さい(図の丸中央)
短桿菌であるため球状に見えたり(図の矢印),注意深く観察しないと見落としたりする
ヘモフィルス属の中で最も一般的な病原性菌種のため,単にヘモフィルスと呼ぶこともある


 おまけ 
命名は1800年代のインフルエンザの大流行時の発見によるが,インフルエンザとは無関係
b型菌のことをHib(ヒブ)と呼び,子供の髄膜炎や喉頭蓋炎の予防ワクチンとして普及している

(投稿者 川崎)

松下金曜会 「悪心・嘔吐」

悪心・嘔吐のレッドフラッグと重篤な原因疾患
  1. 大量吐血 ⇒ 消化性潰瘍,静脈瘤またはマロリー・ワイス裂傷からの出血
  2. 頭部外傷歴 ⇒ 頭蓋骨折
  3. 嘔吐前に腹痛 ⇒ 急性虫垂炎
  4. 精神状態の変化 ⇒ 頭蓋内出血,腫瘤,または感染
  5. 体がゆれるような動きで増悪(例,階段を下りる時) ⇒ 腹膜炎
  6. 一定の上腹部痛が30分以上持続 ⇒ 急性胆嚢炎
  7. 左腕への放散痛 ⇒ 急性心筋梗塞
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

企図振戦(きとしんせん)

何かの目的で行動しようとすると生じる振戦(例,物を取ろうと手を伸ばす時)
小脳の損傷によって生じやすい(多発性硬化症,脳卒中,ウィルソン病など)
小脳振戦あるいは意図振戦と呼ばれることもある

その他の振戦
  • 安静時振戦:筋肉を使っていない時に生じる振戦で,パーキンソン病に多い
  • 姿勢振戦:重力に逆らって姿勢を保とうとするときなどに生じる振戦
  • 本態性振戦: 高齢になるほど目立つが,通常は重篤な病態にはならない
  • 生理的振戦:ストレスや疲労,カフェインの過剰摂取などによる一過性の振戦
  • 羽ばたき振戦:厳密には振戦ではなく,肝機能障害(特に肝性脳症)と関連する
(投稿者 川崎)

2016-10-12

緑膿菌

グラム陰性桿菌(GNR)で多くの抗菌薬に耐性である
 
 
  • グラム染色の特徴は染色性が悪く細くて集簇する
  • ムコイド型の緑膿菌では菌が粘液物質で包まれる
  • 色素を分泌するため培地や傷口が緑に着色する
 
(投稿者 川崎)
 

2016-10-11

胸痛 OPQRST

胸痛を訴える症例に対する問診テクニック いわゆる ”OPQRST”
  1. O : Onset: いつ始まったのか
  2. P : Provoking and palliating: 増悪あるいは緩解因子
  3. Q : Quality: 胸痛の性状(鈍い痛み,圧迫感,鋭い痛み,不快感など)
  4. R : Region and radiation: 胸痛の場所と放散(左胸から左腕に広がるなど)
  5. S : Severity and symptons: 症状の程度(1-10のスケール)と随伴症状(嘔気や動悸の有無)
  6. T : Timing: 持続時間
もちろんこの ”OPQRST” 問診テクニックは胸痛以外にも応用できます
(投稿者 川崎)

松下CT道場より 「症例4:食欲不振と衰弱の60代男性」

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(投稿者 川崎)

2016-10-10

冠動脈ステントとMRI

一般的に冠動脈にステント留置2ヵ月以内はMRIを回避すべきと考えられている.
これは発熱によるステント血栓症やステント移動のリスクがあるからと推察される.

しかし下記の報告を考慮すると,留置早期でも必要時はMRIを回避すべきではないと考える

留置2週間以内(平均6日後)に3TのMRIが行われた連続72例の心筋梗塞
 ⇒ ステント血栓症,死亡,心筋梗塞はいずれもなし(Eur Radiol. 2009;19:2913-8.

留置8週間以内(平均18日後)に1.5TのMRIを受けた111例での検討
 ⇒ ステント血栓症なし,非心臓死4例,再治療3例(J Am Coll Cardiol. 2003;42:1295-8.

最も汎用されているのステントの一つXIENCE Alpineでは,単一留置あるいは最大71mmまでステントをオーバーラップさせて留置した場合、留置直後から特定のMRI検査で危険性のない「MR Conditional」に該当することが立証されている。 (http://www.info.pmda.go.jp/ygo/pack/340733/22600BZX00529000_A_01_04/

(投稿者 川崎)

2016-10-08

MRI と刺青の安全性

MRIでは、ループ形成や金属の存在により熱傷をきたすことが知られています。

医療安全情報: 高周波電流ループ形成による熱傷
http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_56.pdf

タトゥーによるI度熱傷の例
http://www.livescience.com/32801-do-mri-machines-affect-tattoos.html

あと、技師さんがこんなものを見つけてくれました。
MRI合併症と有害事象の調査
https://www.bayer-diagnostics.jp/static/pdf/publications/mriinmedicine/mri_3/MRI_Vol_3-2.pdf
p10 MRIとアートメイク:合併症と有害事象の調査

他にもいくつか論文を探しましたが、1~2度熱傷までしか見つかりませんでした。
論文でも、MRIを受けられない不利益を問題にしていますね。たしかにMRIを受けられない場合は不利益があることは理解できます。

ただ、「無条件大丈夫」とは言えません。
また、皮膚に刺入する顔料も昔と今とでは異なっていると思われ、昔の刺青はどうなのか調査から多くが漏れているのではないかと推察します。

刺青も青系は危ない、とか、赤系は危ない、とか都市伝説的に語られていますが、これらもはっきりした根拠は見つけられませんでした。
ご存知の方は御教授ください。

もちろん、MRI室への金属の持込は、絶対にやめてくださいね☆
http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_94.pdf
(投稿者 小谷)

バイオアベイラビリティが良好な経口抗菌薬

腸から薬がどれだけ吸収するのか!=bioavailabilityです。

ペニシリン系(アモキシシリン) 90%
セフェム系(セファドロキシル,セファレキシン) 90-99%
ニューキノロン系(レボフロキサシン,モキシフロキサシン) 90-99%
テトラサイクリン系(ドキシサイクリン,ミノサイクリン) 93-95%
ニトロイミダゾール系(メトロニダゾール) 100%
葉酸代謝拮抗薬(ST 合剤) 98%
リンコサミド系(クリンダマイシン) 90%
オキサゾリジノン系(リネゾリド) 100%

(投稿者 安田)

経口抗菌薬への早期切り替え、誤嚥性肺炎でも有効か?

市中肺炎において、早期に抗菌薬の点滴静注から経口投与に移行するスイッチ療法の有効性が報告されているが、誤嚥性肺炎については報告されていなかった。

聖路加国際病院呼吸器内科 宇仁 暢大氏らは、誤嚥性肺炎においても抗菌薬の早期経口スイッチングの可能性を報告している。(Uni M, et al. Respir Investig. 2015;53:225-231)

早期の切り替えの基準は
◎バイタルサインが安定していること
 (体温:38℃以下、呼吸数:24回/分以下、脈拍:24時間以上100回/分以下)
◎嚥下評価が良好
 (反復唾液嚥下テスト2点以上、改訂水飲みテスト4点以上)

(投稿者 安田)

市中肺炎において、経口抗菌薬への早期切り替えは可能か?

Ans:条件を満たせば可能

下記の全ての項目を満たした場合、早期切り替えは可能。
◎咳嗽および呼吸困難など呼吸器症状の改善
◎CRP 15 mg/dL未満
◎経口摂取機能の十分な改善
◎12時間以上にわたって体温が38℃以下に保たれていること

(投稿者 安田)

肺炎において血液培養は必要か?

市中肺炎において血液培養の採取が推奨される患者

ICU入室
空洞性浸潤影
無脾症
アルコール乱用
胸水の出現
重症慢性肝疾患
好中球減少
尿中肺炎球菌抗原陽性

上記の病態以外では血液培養の採取は任意

(投稿者 安田)

2016-10-07

直腸診の所見

左側臥位(Sims体位)で行う

・視診:痔、肛門周囲膿瘍、直腸脱など
・腫瘤:下部直腸癌など
・出血、血便:色調などから上部or下部消化管出血の鑑別
・肛門括約筋の収縮低下:神経因性膀胱
・Douglas窩の圧痛、硬結:子宮内膜症など
・前立腺:大きさ、硬さ、表面、圧痛の有無から前立腺肥大症、前立腺癌、前立腺炎などを鑑別
  前立腺に圧痛がある場合は前立腺炎を疑う
  ※前立腺マッサージは敗血症のリスクあり禁忌!

(投稿者 結城)

2016-10-06

下血のファイブ・ルール

下血時には
  • 5 cc     ⇒ 便潜血陽性
  • 50 cc   ⇒ 血便
  • 500 cc ⇒ 鮮血
もちろん目安にすぎませんが・・・

(投稿者 川崎)

2016-10-05

JCS 0 は一桁に含まれるか否か

JCS 0 は一桁に含まれるか否かであるが、一桁に含む場合もあれば含まない場合もある、とういうのが今のところ正しいと思われる。

脳卒中ガイドライン2009には一桁に0は含んでいない。その他多数のサイトやYearNoteでは一桁に0を含んでいる。
ガイドラインをevidenceレベルが高いとするのが自然なような気もするが、このガイドラインの表の引用元は”急性期意識障害の新しいgradingとその表現法.(いわゆる3-3-9度方式) 第3回脳卒中の外科研究会講演集 1975;pp61-69”であり、evidenceレベルは定かではない。
また、ガイドラインに0は一桁に含まないと明記されているわけでもない。

よって、”わからない”が得られた答えです。

(投稿者 湯浅)

高感度トロポニンTの正常値

高感度トロポニンTの基準値は2つある
  • 0.014ng/ml未満 ⇒ 健常人の99パーセンタイル値から設定
  • 0.1ng/ml未満 ⇒ 心筋梗塞を疑うときの基準
ERで使用するときは原則0.1ng/mlをカットオフとして考えればいい

 注意点 
心筋梗塞時でも発症1-2時間以内では高感度トロポニンTが偽陰性になることがある
基本的な考え方は0.014 ng/mL未満なら心筋梗塞を除外,0.1 ng/mL以上なら確定
0.014 ng/mL~0.1 ng/mLなら他の所見(心電図や症状など)で判断あるいは少し後にトロポニンT再検

 おまけ 
トロップT(トロポニンTの定性)のカットオフは0.1ng/ml

(投稿者 川崎) 

2016-10-04

意識障害の鑑別

Alcohol(アルコール)
Insulin(低血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、高血糖性高浸透圧性非ケトン性症候群)
Uremia(尿毒症)
Encephalopathy(肝性脳症、脳炎)/Endocrinopathy(内分泌異常)/Electrolytes(電解質異常)
Opiate(麻薬)/Over dose(薬物中毒)/O2(低酸素)
Trauma(脳挫傷、急性・慢性硬膜外血腫)/Tumor(脳腫瘍)/Temperature(低体温、悪性症候群)
Infection(脳炎、髄膜炎、脳膿瘍、肺血症、呼吸器感染症)
Psychiatric(精神疾患)/Porphiria(ポルフィリア)
Syncope(失神)/Seisure(てんかん)/Stroke(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)

(投稿者 松井)