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2022-09-30

ボー線条 Beau's line

  • すべての指趾の爪甲表面のほぼ同位置に認める短軸方向の溝(隆起とくぼみ)
  • 機序は爪甲を作っている爪母の機能の一時的な低下によると考えられている
  • 名前の由来は初報のフランス人医師 Joseph Honoré Simon Beau (1806–1865)
  • 原因は麻疹,手足口病,川崎病など発熱性疾患や感染症,亜鉛欠乏,薬剤他
  • 爪溝の幅は原因疾患の罹病期間と相関し,その位置から罹病時期も推測可能



💁 に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-09-29

🎯 今週の一枚

安静時の左胸痛を訴える高齢者



(投稿者 川崎)

2022-09-28

DASI: Duke Activity Status Index 🏃 Duke活動状態指標

  • 冠動脈疾患,心筋梗塞,心不全など心血管疾患患者の機能的能力を評価するツール
  • 日常の活動程度から構成される12個のYes-No質問に答えていく(自動計算ページ
  • 肯定的な回答の合計点で判定(0から58.2の範囲で高スコアほど機能的能力が高い)
  • Duke大学の医師である Hlatky らにより開発された(Am J Cardiol 1989;64:651-4

💁 リスク評価に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-09-27

メディカルケアステーション MedicalCare Station: MCS

  • 地域包括ケア・多職種連携のためのコミュニケーションツール
  • 医療・介護従事者の連携に加え患者・家族とも情報共有が可能
  • パソコン・タブレット・スマートフォンなどマルチデバイス対応
  • LINEの様に招待してグループを構成し,タイムラインに書き込み
  • エンブレース株式会社により運営され全国で約18万人が利用中


💁 介護に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-09-26

🏆 論文:稀な僧帽弁逸脱の雑音

  • 当院の循環器内科の本田先生が執筆された論文が出版されました
  • 僧帽弁逸脱による逆流でフォロー症例の雑音が急に変化しました
  • Ⅱ音まで持続していた収縮期雑音がⅡ音100 ms前に終了(下図)
  • 心エコー図では以前と比較して僧帽弁逆流が減少しⅡ音前に終了
  • 下肢挙上で逆流がⅡ音まで持続したため脱水に伴う音変化と診断


👶 追加コメント
  • 僧帽弁逸脱のクリックと逆流音は前負荷や後負荷によって大きく変化することが知られています(本例ではクリックなし).基本は「前負荷が増加 ➜ 左室容積が増加 ➜ 逸脱が遅れる」または「前負荷が減少 ➜ 左室容積が減少 ➜ 逸脱が早まる」です(過去の投稿).
  • これらの変化はクリック出現と雑音開始のタイミングであり,雑音はⅡ音まで持続することが原則です.しかし本例では雑音の開始点ではなく終了点が変化していました.雑音がⅡ音手前で終了する変化を心音図で記録した報告は(検索範囲では)ありませんでした.
  • 本例では逆流程度の減少に加えて,左心室の拡張末期容積や左心房容積指数も減少していました.心音図の提示はありませんが,逸脱による逆流雑音では収縮早期に終了する症例も稀ではないという記載を見つけました(J Am Coll Cardiol 1989;13:1053-61).

💁 論文の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2022-09-25

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

褐色細胞腫
褐色細胞腫の手術前の腹部背面像(投与24時間後)と手術前後の心臓I-123-MIBGシンチグラム(15分後と4時間後像)
松本雄賀、他 : 核医学 32: 1023-1028 ; 1995



(投稿者 杉原)

2022-09-24

リッチェル理論 Ritschel's theory

  • 薬物を反復投与する場合,投与間隔半減期で除した値が3以下であれば半減期の5倍の時間で定常状態に達すること
  • 例:アムロジピンの半減期は約36時間で投与間隔は24時間 ➜ 36時間÷24時間=1.5で3以下なので定常状態に達する
  • つまり半減期が8時間以上の薬剤なら1日1回の投与でOKとなります(理由:半減期8時間×定数3=投与間隔24時間)
  • ちなみに定常状態に到達するためには薬剤の半減期の約4倍の時間が必要です(例:アムロジピンなら144時間=6日)
  • 提唱はチェコ共和国の科学者(薬理学と医学の博士号),哲学者,画家であるWolfgang A. Ritschel(おそらく)

(投稿者 川崎)

2022-09-23

皮下輸液法

緩和医療で用いられることが多い手技ですが,通常の日常臨床でも利用することがあるのでまとめておきます.以下の文言と図は 終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン(2013年版) からの抜粋です.

👀 皮下輸液の実施法
  • 1mL/分の滴下速度(1.5L/日まで,刺入部が 2 カ所の場合は 3.0L/日まで)
  • 500mL/h の投与速度を超えない
  • 1~4 日毎に注射針,チューブを交換する
  • 刺入部の浮腫,発赤,痛み,感染,液漏れなどを観察する

👌 皮下投与が可能な薬剤
  • 等張液(生理食塩液※,5%ブドウ糖液,1,3 号液,各種リンゲル液)
  • ビタミン類※(C,B1,B2,B6,B12,K,葉酸,ニコチン酸)
  • 抗菌薬(βラクタム系,モノバクタム系,クリンダマイシン,アミノグリコシド系)
  • 抗精神病薬(ハロペリドール),ベンゾジアゼピン系(ミダゾラム,ジアゼパム)
  • 麻薬類(モルヒネ※,ペンタゾシン※)
  • 抗コリン薬(ブスコパンなど),メトクロプラミド
  • 抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン※,ジフェンヒドラミン)
  • ステロイド,インスリン※,ヘパリン※,トラネキサム酸,リドカイン,フロセミドなど

※添付文書上,皮下投与が可能なもの。
その他は経験的に使用されており,安全であることを保証する論文はない。

🚫 皮下投与が不可である薬剤
  • 上記以外の抗菌薬,パミドロネート,ジゴキシン,フェニトイン,ジアゼパムなど

(投稿者 川崎)

2022-09-22

🎯 今週の一枚

時折,胸痛を自覚する症例



(投稿者 川崎)

2022-09-21

😀 大切な姿勢

日本循環器学会 / 日本血管外科学会合同ガイドライン 2022年改訂版 末梢動脈疾患ガイドラインで気になる記載がありました(11ページ).診断や治療に関する提言ではありませんが,とても大切なことだと思うので転記しておきます.

監督下運動療法
  • 従来,監視下運動療法という用語が一般に使用されてきたが,患者が受ける印象として,「監視」よりも「監督」が適切であると考えられることから,班会議にて,新たに「監督下運動療法」という用語を本ガイドラインから提案することとした.

💁 ガイドラインに関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄からも選択可能です)

(投稿者 川崎)

2022-09-20

重複下大静脈 Double inferior vena cava

  • 左右の主上静脈が遺残した先天性の静脈奇形で頻度は全人口の1~3%
  • 胎生初期に上主・下主・後主静脈から成る下大静脈の統合・消失不全
  • 自覚症状や身体所見に乏しくCTなどで偶発的に発見されることが多い
  • 様々な分類方法がある(以下の図はMoritaらの報告でType 1は正常例)
  • 深部静脈血栓症の5%に下大静脈奇形あり(奇形静脈の内皮機能不全)



💁 下大静脈に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-09-19

稀に左>右

息切れで来院した症例

🐤 解説
  • 安静座位の鎖骨上で内頸静脈の拍動を視認 ➜ 中心静脈圧の上昇
  • その拍動は右側より左側で明瞭(矢印)➜ 呼吸負荷後も左側優位
  • 呼吸音は清であるが心尖部でⅢ音あり ➜ 非代償性心不全と診断

🔗 ひとり言
  • 中心静脈圧の推定には,右房との直線的位置関係から右側の内頸静脈を使用します(解剖図).しかし稀に本例の様に,左側の拍動がより目立つ方がおられます.上記動画では左から光があたっているため右側は少し影になっていますが,それを差し引いても拍動は左側優位でした.
  • 頸静脈拍動が左側優位である経験を内臓逆位の症例で経験したことがあります(過去の投稿).また左上大静脈遺残でも同様の所見をきたす可能性があります.ちなみに本例ではいずれの所見もないと考えられました.

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(投稿者 川崎)

2022-09-18

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

心尖部肥大型心筋症
心尖部肥大型心筋症の運動負荷Tl心筋SPECT(左)およびMIBGの初期像、後期像、Bull's eye表示(右)



(投稿者 杉原)

2022-09-17

スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス Staphylococcus lugdunensis

👿 臨床現場
  • 発熱例で血液培養からグラム陽性が検出され S. lugdunensis と同定
  • 本例は最終的に大動脈弁の感染性心内膜炎(弁輪部膿瘍あり)と診断

👾 S. lugdunensis
  • グラム陽性球菌でコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase negative staphylococci: CNS)に分類される
  • 1988年に報告され,最初の菌株を分離したフランスの施設があるリヨンのラテン名 Lugdunum から命名
  • 皮膚常在で S. aureus(黄色ブドウ球菌)や S. epidermidis(皮膚ブドウ球菌)より弱毒と考えられていた
  • しかし S. lugdunensis の病原性は高く,近年は他のCNSとは区別され臨床的には S. aureus と同等に扱う


💁 感染性心内膜炎に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-09-16

自作聴診器:パート2

  • 本投稿は「自作聴診器:パート1」の続き
  • 8/10の "健康" ハートの日に心臓教室開催
  • 小学生向けに100均グッズで聴診器を作成


🐤 僕も小学生に紛れ込んで自作
  1. 前回の初号機(自作聴診器:パート1)の問題点を認識して改良!
  2. ヘッド部分に肉厚で継ぎ目のない金属漏斗を採用(100均で購入)
  3. チューブも肉厚の太いビニールに変更(ホームセンターで150円)
  4. 100均イアピースは耳に適合せず(左図)聴診器部品を転用(右図)
  5. しかしⅠ音やⅡ音,収縮期駆出性雑音は ”なんとか” 聴取可能レベル
  6. 過剰心音や拡張期雑音は不可(肥大型心筋症の巨大Ⅳ音も認識不能)

😓 独り言
  • 思ったよりもクオリティが低くて少しがっくりしました.奥まったところにある静かな診察室で試したので,単耳式だけが原因とは思えませんが…

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(投稿者 川崎)

2022-09-15

🎯 今週の一枚

持続する胸痛で来院した症例



(投稿者 川崎)

2022-09-14

最近よく耳にする用語:DXとNDB

DX=Digital Transformation
  • IT(Information Technology,情報技術)を活用し,人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること.デジタル化による変革またはデジタルトランスフォーメーションとも称される.単なるデータのデジタル化ではない点に注意が必要である.

NDB=National Database
  • 厚生労働省保険局に集積されている電子レセプト(医科,DPC,歯科,調剤)と特定健診データによる医療ビックデータ.医療費の適正化のため平成21年度(2009年)から匿名化後の集積が開始され,2011年より都道府県や研究者にも門戸が開放された.

💁 ビジネス用語コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-09-13

ペラグラ:”3D” or ”4D” 症候群

  • ビタミンB3(ナイアシン)の欠乏で生じる臨床所見の総称(3D)
  • ナイアシン補充により速やかに回復するが,放置すれば死(4D)

  1. Dermatitis(皮膚炎)
  2. Diarrhea(下痢)
  3. Dementia(認知症)
  4. Death(放置すれば死)

👹 おまけ
  • ペラグラ(pellagra)という不思議な語感は,イタリア語のpelle(皮膚)と agra(荒れた)に由来している
  • トウモロコシ(特にインディアンコーン)が主食の地域などで生じ,その本体は日光過敏性皮膚炎(左右対称性)


💁 ビタミンに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-09-12

自作聴診器:パート1

  • 8/10は "健康" ハートの日で小学生向けの心臓教室がありました
  • その2時限目は図工 ➜ 100均グッズで「聴診器を作ろう」でした


🐤 僕も小学生に紛れ込んで自作
  1. Y型ホースつぎ手が売ってなかったので,単耳式に変更
  2. ヘッドはケーキを作る時に用いる絞り口金を利用(左図)
  3. 実臨床で使用してみるとほとんど聞こえず(耳に合わず)
  4. よってイアピースを聴診器の予備パーツと交換(右図)
  5. Ⅰ音やⅡ音,収縮期駆出性雑音は ”なんとか” 聴取可能
  6. 過剰音は全く聞こえず(胸毛があれば通常音も聴取困難)

😅 現場
  • 患者さんに小学生への取り組みなどを説明したら,皆喜んで自作聴診器の機能評価に協力してくれました(中には自分にも聞かせてほしいという申し出あり).本当にありがとうございました.

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(投稿者 川崎)

2022-09-11

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

無集積
BMIPP心筋イメージングのplanar像(上)と別症例のTl/BMIPP同時投与によるplanar像とSPECT像(中)、および後者に施行したFDG-PET像(下)



(投稿者 杉原)

2022-09-10

平田病 Hirata disease

  • インスリン自己免疫症候群(insulin autoimmune syndrome: IAS)のこと.当時,九州大学の講師であった平田幸正先生らによって初めて報告された(糖尿病 1970;13:312-20
  • 平田先生はインスリン自己注射の適法化にも極めて重要な役割を果たした.1975年から東京女子医科大学第三内科の教授となり,大学病院初となる糖尿病センターを設立し初代所長に就任

👀 平田病(Hirata disease)
  • インスリンの注射歴がないにも拘らず重症の低血糖発作
  • 血中に大量インスリン(主にインスリン自己抗体と結合)
  • HLA DR4(DRB1*04:06)と強い相関あり(66例中61例)
  • 薬剤性も散見される(SH基を含有またはαリポ酸が誘因)
  • 発症年齢は比較的高く(60~69歳にピーク),女性優位
  • 治療は薬剤性なら原因薬の中止,分割食,ステロイド他


💁 インスリンに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-09-09

レバイン徴候 Levine's sign

  • 心筋虚血に関連する胸部症状を表すために胸の上に握られた握りこぶし
  • 下図は厳密には手のひらを使用しているためパームサイン(過去の投稿
  • アメリカの心臓専門医であるサミュエル A. レバイン(1891–1966)に由来
  • 世界中で使用されている心雑音の強度の分類(Levine分類)も作り出した

Twitterより)

💁 胸痛に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-09-08

🎯 今週の一枚

心肥大を呈する症例



(投稿者 川崎)

2022-09-07

MACEからNACEへ

💘 ともに心血管に関する臨床研究で頻繁に使用される複合エンドポイント
  • MACE(Major Adverse Cardiovascular Events=主要心血管イベント)➜ 例:心血管死,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中
  • NACE(Net Adverse Clinical Events=全臨床的有害事象)➜ 例:MACE+大出血 or MACE+標的血管再血行再建術など

NACCE(Net Adverse Clinical and Cerebral Events)という略語もあり

(投稿者 川崎)

2022-09-06

心不全療養指導士

一般社団法人 日本循環器学会 の 心不全療養指導士認定制度(2021年度開始)による民間資格.当院でも複数のスタッフが認定されています.

  • 目的 心不全の発症・重症化予防のための療養指導に従事する医療専門職に必要な基本的知識および技能など資質の向上 ➜ チーム医療を展開し心不全による増悪・再入院予防,生活の質の改善
  • 条件 看護師,保健師,理学療法士,作業療法士,薬剤師,管理栄養士,公認心理師,臨床工学技士,⻭科衛生士,社会福祉士の国家資格(医師は不可),or 学会専門医の推薦を受け委員会か承認
  • 実際 日本循環器学会入会(正会員・準会員)➜ eラーニング受講 ➜ オンライン申請 ➜ 書類審査(5症例)➜ 認定試験受験(毎年12月)資格更新制度(有効期間は5年間で更新料は10,000円)

💁 資格に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-09-05

👴 歴史クイズ

CC BY-SA 4.0



(投稿者 川崎)

2022-09-04

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

完全左脚ブロック
完全左脚ブロック症例のBMIPP、運動負荷TlおよびDipyridamole負荷Tl像(上)とtetrofosmin1回注射の初期像/後期像(下)



(投稿者 杉原)

2022-09-03

鼻瘤(びりゅう)👃 Rhinophyma

  • 鼻尖部の充血や肥厚で酒鍍の最も高度な型で,欧米に多いが本邦では比較的まれ
  • 機序は発赤と毛細管拡張 ➜ 皮脂の分泌亢進 ➜ 結合織増生と皮脂腺の排泄障害
  • 治療は腫瘤切除(+再上皮化を待つ or 皮膚移植),高周波レーザーによる切除


💁 に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-09-02

Track marks トラック・マーク

😐 先週のNEJMの症例報告で ”There were track marks on the legs." という記載がありました 
  • track=人や動物,車などが通過した跡,わだち
  • 薬物の頻繁注射による注射痕で麻薬常習者を示唆


🚚 おまけ
  • 貨物を運搬する車のトラックは truck です.荷台部分が傾斜するダンプカーは通常,dump truck と呼ばれる様です

(投稿者 川崎)

2022-09-01

🎯 今週の一枚 ”圧迫できない” 内頸静脈拍動

慢性心不全の増悪症例

👹 解説
  • 端座位で右鎖骨上に内頸静脈(+胸鎖乳突筋)の周期的な拍動(隆起)を認めるため,中心静脈圧はかなり上昇していると予想される.
  • 鎖骨上窩で内頸静脈の起始部を用手的に(かなり強く)圧迫したが,内頸静脈の拍動は消失していない点にも注目(解剖図はコチラ
  • 内頸静脈は深部静脈であるため圧迫は容易ではないと思われるが,その拍動は静脈とは思えないほど強い症例も少なくない(他の自験例

👺 ひとり言
  • 個人的な経験では,内頸静脈の拍動を容易に圧迫できない症例は心不全がより重篤なことが多いと思います.一般に拍動上縁が高位ほど中心静脈圧は上昇していると考えられますが,この ”圧迫できない” 内頸静脈拍動 も重症度判定に役立ちます.ただし問題点は,圧迫の程度を定量化することが困難なことです.よって僕は消失するか否かの二択で判断しています.ちなみに表在静脈の外頸静脈はどんな症例でも容易に圧迫できるので,この評価方法は適応できません.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)