完全左脚ブロック
完全左脚ブロック症例のBMIPP、運動負荷TlおよびDipyridamole負荷Tl像(上)とtetrofosmin1回注射の初期像/後期像(下)
完全左脚ブロック症例のBMIPP、運動負荷TlおよびDipyridamole負荷Tl像(上)とtetrofosmin1回注射の初期像/後期像(下)
💚 解説
- BMIPPは中隔に集積低下があり、負荷時Tlと近似の所見を呈している。
- 完全左脚ブロックにおける心筋虚血の判定に際し、BMIPPの中隔集積低下の解釈には留意する必要がある。
- Dipyridamole(またはアデノシン)負荷では中隔の集積低下の頻度は少なくなり、FDG-PETではブドウ糖代謝は亢進していないと報告されていることをあわせ考えると、BMIPPの中隔の集積低下の機序として心筋虚血以外の因子を考慮する必要がある。
- Tetrofosminの1回投与、2回撮像では中隔に逆再分布が認められ、同部位の心筋細胞膜/ミトコンドリア膜の機能異常が推定される。
- 伝導異常により、中隔の壁運動は低下しており、壁運動低下の程度と血流、エネルギー産生が低レベルで均衡している状態であるのかもしれない。
- 実験的作成の左脚ブロック(右室ペーシング)では中隔の血流低下、ブドウ糖代謝の低下があり、これらは中隔の虚血ではなく、壁運動の低下と拡張期の中隔心筋内圧の上昇がその機序と推定されている。
👤 ひとり言
- 完全左脚ブロックは新しい検査法が登場するたびに不思議な所見を呈する。
- Ⅱ音の奇異性分裂、中隔の奇異性運動(dyssynchrony)、負荷心筋イメージングでの中隔集積低下、BMIPPの中隔の集積低下、tetrofosminの逆再分布、MRI tagging法での回旋運動異常(前壁が時計方向、下壁が反時計方向回転)などであり、循環器病学における“完全左脚ブロックの謎”である。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 杉原)
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