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2026-07-04

第141回日本循環器学会近畿地方会より

😗 個人的に気になった報告
 
1-15 海外留学生の未修復心室中隔欠損に伴う肺動脈性肺高血圧の一例
  • 症例はネパール出身の20歳代女性。未修復心室中隔欠損に伴う肺動脈性肺高血圧と診断した。患者はネパールの高地出身であり,慢性的な低酸素環境が肺血流増大による左心容量負荷の進行を抑制した可能性が考えられた。(投稿者追記:その解釈は興味深いが…)。

5-26 Arrhythmic mitral valve prolapseが疑われた1例
  • 症例は67歳男性。8年前の健診で心雑音を指摘され,他院で僧帽弁逸脱症(MVP),僧帽弁閉鎖不全症と診断された。6年前に心停止を起こしECPRで蘇生,ICD植え込みとなっていた。(投稿者追記:不整脈性MVPとは、他の不整脈基質がない状態で、僧帽弁輪離開の有無にかかわらずMVPと複雑な心室性不整脈が共存する病態)

6-14 Sense B noiseによるS-ICD不適切作動の1例
  • 症例は77歳男性。6年前に冠攣縮性狭心症を背景とした心室細動の診断で,皮下植込み型除細動器(S-ICD)の植込みを行った。昼食後に仰向けになり休んでいたところ,ショック作動があったが、エピソード記録では,不規則なアーチファクト様のノイズがみられ,オーバーセンシングによって心室細動と認識しショックが送出されていた。(投稿者追記:センスBノイズは、S-ICDシステムの問題に起因する、非生理的な信号過剰感知による不適切なショックの原因)


😀 当院からの発表
  • 2-13 高齢で診断された先天性左冠動脈閉鎖症の一例(循環器内科 大野貴都ほか)
  • 3-14 バレーボールの指導者に発症したPaget–Schroetter症候群の一例(循環器内科 足立沙瑛子ほか)
  • 4-20 通り抜け現象(ウォームアップ狭心症) を呈した冠動脈疾患の2症例(循環器内科 林 寛人ほか)
  • 7-1  運動誘発性のparadoxical jet flowを検出した心尖部肥大型心筋症の一例(循環器内科 本田早潔子ほか)
  • 7-6 低調成分を主体とする大動脈駆出音を伴った左脚ブロックの1例(循環器内科 川﨑達也ほか)

4編は発表前に英語論文化(2編は出版済,2編は投稿中) 👏

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-10-22

LOTロット-CRT:左脚領域ペーシング最適化心臓再同期療法

👻 LBBAP-optimized CRT (LOT-CRT)
  • left bundle branch area pacing (LBBAP) =左脚領域ペーシング
  • cardiac resynchronization therapy (CRT) =心臓再同期療法

🌎 国際多施設共同研究
  • 背景 従来の両室ペーシング (BiV-CRT) による心臓再同期療法 (CRT) ではQRS幅が広く不応例あり
  • 目的 左脚領域ペーシング (LBBAP、右室リードの代替) と冠状静ペーシングの組み合わせを検討
  • 対象 CRT適応のある非連続患者(LBBAまたは冠静脈)リードの追加はQRS波と植込み医師の裁量
  • 結果 LOT-CRTは112例中91例(81%)で成功してBiV-CRTと比較してより優れた電気的な再同期性

(投稿者 川崎)

2025-08-02

着用型心臓除細動器(WCD: wearable cardioverter-defibrillator)

  • 着用型ベスト内に接触型心電図電極と除細動パッドを有し有線で致死的不整脈に対して除細動を行う医療機器
  • 体表面から行うがICD(植え込み型除細動器)に劣らぬ診断感度,特異度でわが国でも2014年1月から保険適用
  • 使用例は急性虚血ならびに急性心不全のICD の一次予防の適応が確定するまでの期間,突然死予防を目的など
  • 非虚血性心筋症の報告は限定的:心筋炎後心筋症,たこつぼ心筋症,産褥後心筋症,拡張型心筋症の急性期など
  • 心移植待機例,ICD適応であるが感染でデバイス抜去後や他疾患の治療を優先すべき症例などにおいても要考慮
  • わが国ではWCDの使用は短期(3ヵ月間)が原則としているが,長期使用については,今後も検討が必要である



📍 WCDの使用を考慮する病態
  • 左室駆出率35%以下で、NYHAクラス II もしくはクラス III の心不全症状を有する急性心筋梗塞発症後40日以内の症例
  • 左室駆出率35%以下で、NYHA クラス II もしくはクラス III の心不全症状を有する冠動脈バイパス後または経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後 90 日以内の症例
  • 左室駆出率35%以下で、非虚血性急性心不全発症後90日以内の症例
  • 心移植待機条件を満たす非可逆性重症心不全症例
  • ICDの適応があるが、他の身体的状況により直ちに手術を行えない症例
  • ICDによる心臓突然死二次予防を考慮するが、臨床経過観察や予防治療の効果判定が優先される症例
  • 感染等の理由で一時的にICDを抜去する症例


🔦 おまけ
  • WCDの保険償還には植込み型除細動器(ICD)施設基準を満たす必要あり
  • つまり年に電気生理学的検査≧50例,開心術など≧30例,PM移植術≧10例
  • 関連医療従事者(医師およびメディカルスタッフ)がメーカー研修を受講
 
(投稿者 川崎)

2025-07-13

第139回日本循環器学会近畿地方会より

😃 個人的に気になった報告
 
2-12 クレアチニンキナーゼ欠損症を合併したST上昇型急性心筋梗塞の一例
  • 右冠動脈(RCA)#2 閉塞を認め,経皮的冠動脈形成術を施行した(total ischemic time 144分)。術後,高感度トロポニンI(hs-TnI)の上昇は認めたが,クレアチニンキナーゼ(CK)の上昇は認めなかった(peak CK[IU/L]/CK-MB[IU/L]/hs-TnI[pg/mL])=169/5/16863)。

2-16 自己免疫性心筋症の関与が示唆された虚血性心筋症の一例
  • 心臓MRI検査では冠血流支配領域に一致しない壁運動低下を認めた。さらに血液検査や心筋病理において,自己免疫性心筋症を疑う所見が得られ,至適薬物療法にも関わらず心機能は進行性に低下を認めた。

7-31 irAEによる洞不全症候群に対して心房リードレスペースメーカ植え込みを行った1例
  • ペースメーカ感染を認め全身麻酔下に経皮的リード抜去術を施行,全システム抜去術に成功した。元々のペースメーカ設定はAAIR⇔DDDR,60ppmであったが,累積心室ペーシング率が1%未満であったため心房リードレスペースメーカ(Abbott社製Aveir AR)の植込みを選択,右心耳基部に留置しAAI60ppmの設定とし た。

8-27 シトステロール血症の病原性変異の網羅的文献検索と早発性冠動脈硬化症
  • シトステロール血症はABCG5/G8遺伝子の病原性変異により発症する疾患で血中シトステロール高値に加えLDL-C高値,アキレス腱肥厚を伴い,家族性高コレステロール血症との鑑別を要する。


👻 当院からの発表
  • 2-10 冠動脈ステントで誘発されたコーニス症候群の1例(循環器内科 角本拓也ほか)
  • 4-16 心電図変化が気胸部位の推定に有用であった1例(循環器内科 江上 晟ほか)
  • 8-24 シンプル頚静脈©:負荷頚静脈法の学習アプリ(循環器内科 川﨑達也ほか)

江上先生は優秀賞ゲット & すべて英語論文として発表前に出版 👏

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-04-30

左脚領域ペーシングの初報

  • 心室内刺激伝導系ペーシングであるHis束ペーシングは2000年に報告
  • 左脚ペーシングはHis束ペーシングに少し遅れ2017年頃に中国で開発
  • 循環器医 Huang W らの症例報告(Can J Cardiol 2017;33:1736.e1-3
  • 右室中隔側よりリードをねじ込んで左脚を直接捕捉するという新発想
  • His束ペーシングの弱点(閾値上昇や手技困難など)を補うため注目
  • 左脚を捕捉できることもあれば左脚近傍ペーシングになることもある


各種ペーシング法のシェーマ(心電図は左脚領域ペーシング時)

💁 ペースメーカに関する過去の投稿 ➜ コチラ ペースメーカー

(投稿者 川崎)

2025-02-10

ペースメーカ植込み時のポケット洗浄

洗浄 vs 非洗浄
  • 対象 心臓埋込型電子機器の植込み術を受けた5467人のデータ(10件の臨床研究)
  • 感染 ポケット感染症の頻度はポケット洗浄群1.48%,非ポケット洗浄群3.49%
  • 効果 メタ解析でポケット洗浄の感染予防は有意(RR=0.44、95%CI:0.31-0.63)
  • 追加 生理食塩水と比較し抗生物質洗浄ではポケット感染の発生率が約59%減少

- ポケット洗浄の感染予防:メタ解析 -


生食洗浄 vs 抗菌薬洗浄
  • 対象 2018年1月から2022年2月までに心臓デバイス植込み術を受けた連続2,736人の成人患者
  • 追加 リードレスペースメーカーは除外し全ての患者は術前に予防的静脈内抗生物質の投与
  • 手技 皮下ポケットをバシトラシンまたはバンコマイシン溶液で洗浄,あるいは生食での洗浄
  • 感染 ポケット感染は20名(生食 vs バシトラシン, P=0.33/生食 vs バンコマイシン,P=0.21)

- グループ間比較(NS=生食)-

😋 独り言
  • ペースメーカを植込む直前に生食でポケットを洗浄しておくだけで良さげかな...

👉 ペースメーカに関するの過去の投稿は コチラ(PC版なら右欄から選択可能)

(投稿者 川崎)

2024-11-27

左脚領域ペーシングの予後

  • 近年,左脚領域ペーシング(LBBAP)が臨床現場に普及しつつあります.本邦から同手法を右室心尖ペーシング(RVAP)およびヒス束ペーシング(HBP)と比較検討した論文が出版されたのでアップしておきます. 

  • 対象 徐脈でペースメーカを植込んだ日本人424人を後向きに解析
  • 手技 成功率はLBBAP群の方がHBP群よりも高い(94.9%と81.5%)
  • 経過 閾値上昇>1VはLBBAP群でなし,HBP群9.4%,RVAP群5.1%
  • 予後 心不全入院の累積発生率はLBBAP群で有意に低率(下図参照)
  • 関連 予後不良因子は高齢,右室ペーシング割合,EF<50%,RVAP
  • 結語 RVAPやHBPと比較してLBBAPは徐脈患者のペーシングに有用


ペーシング方法と予後(右図はペーシング率>20%の症例)

👉 ペースメーカに関するの過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2024-11-26

🏆 論文

  • 総合診療科の専攻医 國延先生が循環器内科で経験した症例が出版されました
  • 左鎖骨下静脈経由のペースメーカ植込み術後に両側の気胸が判明した症例です
  • 心房スクリューリードが原因?(ただし心エコーやCTで心嚢液や穿孔像なし)
  • 左側のみ胸腔チューブを留置し1週間後に抜去.その後に無事退院されました


😀 追加コメント
  • ペースメーカ植え込みに伴う気胸の発生率は1%程度と報告されています(引用).対側気胸の機序としてリード穿孔がありますが発生頻度は0.0001%未満(引用).
  • 他に胸膜内交通(バッファロー胸:先天性あるいは手術や外傷後),縦隔気腫や皮下気腫などが提唱されていますが,今回の症例ではどちらもありませんでした.

🎉「論文」の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2024-07-13

左優位 Lefty JVP

息切れと下腿浮腫の高齢女性(座位)

👿 解説
  • 頸部の左側に周期的な隆起あり(動脈?)
  • 深吸気で明瞭化+上縁上昇(静脈の疑い)
  • 触診で静脈性拍動を確認(心不全と診断)
  • 心エコー図で高度の三尖弁逆流TRを確認

💙 なぜ左?
  • 左側優位の内頚静脈の拍動は稀です.内臓逆位では左側優位ですが(自験例),聴診からは考えにくい病態でした.右内頚静脈の狭窄や左上大静脈の遺残では左側優位の拍動になりますが,いずれもCTで否定.原因不明の症例(微妙な静脈解剖に由来?)も経験あり(自験例1自験例2).
  • 本例はペースメーカ植込み後の症例でした.リードの影響で上大静脈から左内頚静脈への角度が浅くなっているのではと推測しました(下図).また液体(血液)が物体(リード)に引き寄せられるコアンダ効果の影響もあるのかもしれません.後に判明した心膜剥離術の既往も影響あり?



心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2024-06-08

左脚領域ペーシング(LBBAP)

刺激伝導系ペーシングCSP: conduction system pacing) 
  • 刺激伝導系(ヒス束,右脚,左脚本幹〜枝)を捕捉するペーシング法の総称

右室心尖部ペーシングRVP: right ventricular pacing)
  • 非同期的収縮からペーシング誘発性心筋症(PICM: pacing induced cardiomyopathy)が12~20%に生じてイベントが増加

ヒス束ペーシングHBP: His bundle pacing)
  • 最も生理的なペーシング法であるが,リード留置が可能な領域が狭くかつ伝導途絶部位の遠位側を捕捉する必要があり一般的に手技難易度は高い

左脚領域ペーシングLBBAP: left bundle branch area pacing)
  • リード留置の標的となる領域が広く,心室波高やペーシング閾値がHBPより優れ手技成功率が90~98%前後と高い



😑 独り言
  • 右室心尖部ペーシング(RVP)でペーシング誘発性心筋症(PICM)を生じた場合には心臓再同期療法(CRT: cardiac resynchronization therapy)へのアップグレードが推奨されます.ただしCRTは施設制限があるため(新規届出なら心臓血管外科で開心術やバイパス術15例),自施設で行えない場合の敷居は高くなります.
  • PVPが実施できる施設では,左脚領域ペーシング(LBBAP)も可能です.上記ガイドラインにも「正常心機能症例において,心室ペーシング率が20%を超える,もしくは将来心室ペーシング率が増加すると予測される病態では,ペーシング誘発性心筋症を回避する目的でCSPを考慮してもよいと考えられる」と記載されています.
  • CSPの植込みには先端のヘリックス電極が格納されていない特徴的な構造を有する細径(4.1 Fr)のルーメンレスリード(SelectSecure™リード)を用いることが一般的です.厳密には現時点ではオフラベルの使用になるようですが,この問題も1-2ヵ月以内に解決されると聞いています(2024年5月末時点).

(投稿者 川崎)

2023-12-15

リードレスペースメーカ植込みリスク

👤 日本不整脈心電学会のコメント文言そのまま
  • 心嚢液貯留、心タンポナーデ発生のリスクに関しては、体格 (BMI<25)、高齢者(>75歳)、女性、慢性肺疾患、非心房細動例などがリスクファクターとなります。患者背景におけるリスク因子の重なりが、心嚢液貯留、心タンポナーデ発生に関与していることが判明していますが、特に体格の小さい高齢患者に対する植込み選択においては、慎重にも慎重を期して適応を検討いただきますようお願いいたします。

👥 国際臨床レジストリーの解析Europace 2022;24:1119–26
  • 対象 Micra国際共同試験で植込みを試みた2817例の解析
  • 定義 イベントは心嚢液貯留(心穿孔,タンポナーデ含)
  • 頻度 イベント発生は32症例(1.1%, 95%CI: 0.8~1.6%)
  • 因子 単変量は18変数(上図),多変量は11変数(下図)
  • 結語 イベントは経年的に減少かつ妥当な指標で予測可能



心嚢液貯留との単変量関連



多変量ラッソ・ロジスティック回帰分析とスコアリング・システム
 (*LASSO: least absolute shrinkage and selection operator)

💁 ペースメーカーに関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら左欄からも選択可能です)
ペースメーカ
(投稿者 川崎)

2023-08-31

今週の一枚 🎯

ペースメーカ外来を定期受診した症例



(投稿者 川崎)

2021-12-25

🌀 リール症候群 Reel Syndrome

  • ペースメーカーが平面(冠状面/前額面/coronal plane)で回転してリードが巻き取られた状態
  • 由来は英語のreel(巻き取る)で初報はスペインのCarnero-Varoら(Circulation 1999;100:e45-6
  • 回転が縦方向(つまり長軸方向)に回転する Twiddler's Syndrome の亜型と考えることもできる
  • この症候群も人名とは無関係で初報はカナダの外科医Baylissら(Can Med Assoc J 1968;99:371-3) 
  • 英語のtwiddle(ひねり・クルクル回す)の派生語twiddlerで神経質または無意識に操る人を意味



💁 ペースメーカに関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2021-09-27

電気自動車とペースメーカ

心リハ中の何気ない会話 💨
  • 患者さん 「手術してもらってホンマ,元気になったわ」
  • 理学療法士「ペースメーカもちゃんと動いてますよ」
  • 患者さん 「ところで今度,自動車を買うねん」
  • 理学療法士「それはいいですね」
  • 患者さん 「電気自動車なんやけど…大丈夫かな?」

🏢 厚生労働省通達(2013年3月19日 )
  1. 電気自動車の急速充電器は使用しないこと。
  2. 急速充電器を設置している場所には、可能な限り近づかないこと。なお、不用意に近づいた場合には、立ち止まらず速やかに離れること。
  3. 電気自動車の普通充電器を使用する場合、充電中は充電スタンドや充電ケーブルに密着するような姿勢はとらないこと


💁 ペースメーカに関する過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
ペースメーカー
(投稿者 川崎)

2021-09-07

植込み型ループレコーダー Implantable loop recorder: ILR

  • 前胸部の心臓近くの皮下(心電図のV3-4辺り)に差し込む様に植込む小さなデバイス(下図)
  • 様々な検査でも原因不明の失神の約2/3は植込み型ループレコーダーで診断可(ガイドライン
  • 基本的に1.5テスラ及び3テスラMRIが植込み当日から可能(前もってデータの読み出しが理想)
  • 償還価格は標準型が394,000円で特殊型(植込みツール+心房細動アルゴリズム)は451,000円


💰 診療報酬(令和2年4月1日施行)
  • 植込型心電図記録計移植術 1,260点
  • 植込型心電図記録計摘出術 840点
  • 体外ペースメーキング術 3,370点
  • ペースメーカー移植術(経静脈電極の場合)9,520点
  • ペースメーカー交換術 4,000点
  • 両心室ペースメーカー移植術(経静脈電極の場合)31,510点
  • 両心室ペースメーカー交換術(経静脈電極の場合)5,000点
  • 植込型除細動器移植術(経静脈リードを用いるもの)31,510点

💁 ペースメーカの関連投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2021-07-14

🏆 論文

  • 当院の初期研修医である酒井健紀先生が書いた論文が出版されました
  • ペースメーカ植込み中にリードが何かに絡みついて難渋した症例です
  • どうしてもリードを抜去できず最終的に転院し開心術を施行しました
  • リードが絡んでいた何かはキアリ網であることが術中に判明しました
  • 本例では術前および術中の経胸壁心エコー図でキアリ網は全く見えず


😗 コメント
  •  キアリ網(キアリネット,Chiari's net anatomy)は心エコー図で稀に観察される胎児期の静脈洞弁遺残です.術前エコーで同構造物を認めれば,カテーテル操作を慎重にする必要があります.
  • 本例のポイントは,術前エコーでキアリ網を認めなくても油断できないということです.合併症例ですが,カテーテルを扱う医師に警笛を慣らす意味でも報告する意義があると考え論文化しました.

👿「論文」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2020-12-24

🎯 今週の一枚

ペースメーカ植込み慢性期に創部異常を認めた症例

😈 コメント
  • 皮膚が壊死してペースメーカ本体が露出し,創部からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出された.抗菌薬投与と創面切除(デブリードマン)では完治せず,最終的にペースメーカ抜去を要した.
  • ポケット感染の発生頻度は759手術中20例(約3%)で,3月以内が5例,7ヵ月〜2年が12例(心臓 2002;34:639-43).その予後は不良で,感染デバイス416件の30日死亡は5.5%, 1年死亡は14.6%(Heart Rhythm 2011;8:1678-85) 
  • 一旦ポケット感染を発症した症例では,創部治癒後に再手術を対側に行うことが多いが,再感染を生じるリスクが低くない.心房ペーシングが必須でないなら,リードレスペースメーカ(下図)を植込む選択肢がある.

🎯「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

🔌 ペースメーカに関連する投稿は コチラ

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2020-12-19

LMNA関連心筋症

  • ラミンA/C(=LMNA)は核膜の裏打ち蛋白Lamin A/Cをコードする遺伝子である
  • LMNA異常(ラミン病/laminopathy)は骨格筋障害に加えて心疾患も発症しうる
  • LMNA関連心筋症 ➜ 拡張型心筋症,洞不全症候群,房室ブロック,心房細動など
  • 拡張型心筋症の6~8%にLMNA異常があり(さらに伝導障害を伴えば30%に上昇)
  • LMNA異常による(見かけ上)拡張型心筋症は心不全や致死性不整脈の頻度が高い


👾 思い出
  • 投稿者が医師になった1990年代前半,初めて担当した症例は拡張型心筋症で,次の症例も拡張型心筋症でした.特に2例目の方は拡張型心筋症+完全房室ブロックで,明らかな家族歴あり(たしか7人兄弟姉妹中6例が同じ病態)
  • 2例目の方にはペースメーカを植え込みましたが,今から考えるとLMNA関連心筋症だったのかもしれません.当時,指導医の先生方が同症例をelectrical cardiomyopathy (ECM; 電気性心筋症?)と呼んでいたことを思い出します.

(投稿者 川崎)

2020-09-08

更生医療

自立支援医療制度とは心身の障害を除去・軽減するための医療について医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度で以下の3つから構成
  1. 精神通院医療 ➜ 精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で通院による精神医療を継続的に要する者
  2. 更生医療 ➜ 身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた者でその障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)
  3. 育成医療 ➜ 身体に障害を有する児童でその障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳未満)

特に内科医は厚生医療の内部障害に関与することが多い(対象障害と治療例は以下)
  1. 視覚障害 ➜ 白内障の水晶体摘出手術,網膜剥離手術,角膜混濁の角膜移植術
  2. 聴覚障害 ➜ 鼓膜穿孔閉鎖術,外耳性難聴の形成術
  3. 言語障害 ➜ 外傷性又は手術後に生じる発音構語障害 → 形成術 唇顎口蓋裂に起因した音声・言語機能障害を伴う者であって鼻咽腔閉鎖機能不全に対する手術以外に歯科矯正が必要な者 → 歯科矯正
  4. 肢体不自由 ➜ 関節拘縮や関節硬直の形成術・人工関節置換術等
  5. 内部障害
    • 心臓 ➜ 先天性疾患に対する手術,ペースメーカ植込み術
    • 腎臓 ➜ 人工透析療法,腎臓移植術(抗免疫療法を含む)
    • 肝臓 ➜  肝臓移植術(抗免疫療法を含む) 
    • 小腸 ➜ 小腸機能障害の中心静脈栄養法
    • 免疫 ➜  HIVによる免疫機能障害の抗HIV療法や感染症に対する治療

👀 おまけ 実施主体は市町村であるため詳細は居住地により少し異なるようです.例えば大阪市では自己負担費は原則1割で,世帯の市町村民税額(所得割)が235,000円以上の場合は原則対象外になります().

(投稿者 川崎)

2020-06-20

ペースメーカ植込み術後

😳 ペースメーカ植込み1月後に再診した症例

  • 術中および術後経過は順調で退院したが1月後に創部感染が疑われた
  • 疼痛や発熱がないため,抗菌薬は投与せずに排膿切開もしなかった
  • 感染は局所に限局していると判断して1週間後に再診することにした

😙 1週間後の再診時

  • 患者さんによると,病変はどんどん黒くなり自壊したが,その後は病変は乾燥しているようであった(この時点の採血で炎症反応はなし)
  • 当院ではペースメーカ植込み後の閉創は,深部をV-Loc™で連続縫合 ➜ 浅部をPDS*II™で埋没縫合 ➜ ステリストリップ™で表皮固定
  • おそらく創部から侵入した菌が合成吸収性モノフィラメント縫合糸であるPDS*II™に局所感染したと予想(ただし毛嚢炎の合併もあり?)
  • 創部に露出していたPDS*II™の2糸は容易に抜去できた.PDS*II™の張力保持期間は約6週間で,吸収期間は180~210日(引用).

🉐 ペースメーカに関連する過去の投稿コチラ

(投稿者 川崎)