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2026-09-21

心臓MRIのblack-blood(BB)法

♣ T2WBB(T2 Weighed Black Blood)
  • Spin echoシーケンスを用いて撮影し、血液の信号をゼロ(黒)とする.T2強調像での心筋内高信号域は心筋浮腫を反映すると考えられており,急性虚血や炎症性変化に伴う所見とされる.
  • 下図(Fig. 10)は心筋炎例のT2強調画像と遅延造影像の比較である.心筋炎では心筋中層から外膜側が侵されることが多く,LGE陽性部分にも一致して,炎症および浮腫を反映している.

♠ T1WBB(T1 Weighed Black Blood)
  • 心筋脂肪変性を検出するプロトコールである.ARVC(Arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy:不整脈原性右室心筋症)の心筋脂肪変性や腫瘍の性状評価を目的として撮影する.
  • 従来の脂肪変性検出は疑陽性が多いが,このプロトコールによる右室および左室心筋の脂肪変性検出はARVCの診断や生検部位の参照としても有用で,簡便にも撮影できるので利用価値は高い.

💁MRIのブラッドブラック法の過去の投稿 → コチラへ
(投稿者 川崎)

2026-09-06

脳底動脈先端症候群(Top of the Basilar Syndrome, TOBS)

  • 脳底動脈先端部の閉塞に起因した脳梗塞に伴ってみられる症候群の総称
  • 部位は中脳, 視床,小脳上部,側頭葉内側,後頭葉で片側性 or 両側性
  • 塞栓が多く症状は多彩(眼球運動・瞳孔異常,意識障害, 記憶障害など)
  • 提唱はアメリカの神経内科医 Louis R. Caplan(Neurology 1980;30:72-9)

- 意識障害を伴う脳底動脈上部症候群の73歳男性 -

図A:頭蓋磁気共鳴画像法の拡散強調画像で視床に左右対称の高信号域(赤矢印)
図B:頭蓋磁気共鳴血管造影画像で右視床穿通動脈に閉塞あり(赤矢印)


(投稿者 川崎)

2026-09-03

今週の一枚 🎯

突然の頭痛と嘔吐,左上肢の痺れでER搬入された高齢女性

🚑 解説
  • 頭部単純CTで右小脳に出血を認める
  • くも膜下腔へ血腫の穿破が疑われる
  • その後,急速に意識低下と呼吸停止

🔍 追加コメント
  • 本例のCTをよく見ると,水平断層像(上図の左)で脳幹部のCT値が他の非出血部よりも低下していることに気づく.この所見は,脳出血による圧迫などで脳幹部の血流が低下していることを示唆する.本例の急激な状態の悪化(呼吸停止など)は,この脳幹障害で説明可能と思われた.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-08-28

Mural endocarditis 壁在性心内膜炎

  • 感染性心内膜炎 (IE)のうち、疣腫が弁ではなく心腔壁に形成される稀な病型
  • スペインのIE前向きにレジストリでは3676件中27件(0.7%)がmural IE (MIE)
  • MIEは若年(中央値59歳)、移植、血液透析、カテーテル由来、カンジダと関連
  • 病変部位は右心房が最多51.9%(ただし過去の文献では左心室が最多で47.2%)
  • 最多は黄色ブドウ球菌で(50%)、全身合併症は多かったが、死亡率は同程度

- 壁在性心内膜炎を呈した52歳男性 -
発熱と倦怠感を主訴に来院。全収縮期雑音があり、経胸壁心エコー検査で僧帽弁逸脱と左心房後壁への逆流ジェットが認められた。いずれの弁にも明らかな疣腫は認められなかった。血液培養検査ではStreptococcus mitis/oralisが陽性であった。経食道心エコー検査では、僧帽弁逆流ジェットに曝される左心房後壁のみに疣腫が認められた。


(投稿者 川崎)

2026-08-19

Frisén scale(フリーゼン分類)

乳頭浮腫(papilledema)の重症度を眼底所見で0〜5度に段階評価する分類方法.スウェーデンの神経眼科医 Frisén が提唱した(J Neurol Neurosurg Psychiatry 1982;45:13-8)
  • Grade 0 ➜ 正常。鼻側・上下の境界がやや不鮮明なことはあるが、神経線維層の放射状配列は保たれる
  • Grade 1 ➜ ごく早期。灰白色のC字型ハローが乳頭周囲に出現(耳側にギャップが残るのが特徴)。神経線維層の配列が乱れる
  • Grade 2 ➜ 早期。ハローが耳側も含めて全周性になる。鼻側の隆起あり。血管の隠蔽はなし
  • Grade 3 ➜ 中等度。乳頭から出る主要血管の一部が隠蔽される。ハローの外縁が不整で指状に伸びる
  • Grade 4 ➜ 高度。乳頭上の主要血管が完全に隠蔽される。視神経乳頭陥凹(cup)が消失
  • Grade 5 ➜ 最重度。乳頭上および乳頭から出るすべての血管が隠蔽される

フリーゼン分類のシェーマ

フリーゼン分類の眼底写真

(投稿者 川崎)

2026-08-14

VSRAD® ブイエスラド

  • 頭部MRIでアルツハイマー型認知症(AD)の原因である脳萎縮の評価法
  • Voxel based specific regional analysis system for Alzheimer's diseaseの略
  • 認知症で最多のアルツハイマー型では海馬傍回(側頭葉)付近が委縮
  • 対象は50歳以上で,脳ドック(MRI)のオプション(追加撮影,約6分)
  • 委縮判定の目安:0~1=なし,1~2=軽度,2~3=中等度,3~=高度

- 60歳男性例 -
(MRIのVSRADで左側頭葉前部の萎縮が強い/SPECTもほぼ同様)

(投稿者 川崎)

2026-08-06

今週の一枚 🎯

以前から続く起立時のふらつきで来院した高齢男性


(投稿者 川崎)

2026-07-22

ボクサー骨折 Boxer’s Fracture

  • パンチ動作に関連し生じた骨折で環指や小指の中手骨に多い
  • 特に先端の太い骨頭の根本の細くなった部分(頚部)に発生
  • 若年の男性でスポーツや喧嘩、肉体労働に従事する人に多い


- 職場での口論で机を叩きボクサー骨折を生じた56歳男性 -

(投稿者 川崎)

2026-07-09

今週の一枚 🎯

立ち上がり時のめまいで来院した症例

🔒 解説
  • 右眼の睫毛徴候陽性かつ右鼻唇溝は明らかに浅い
  • 起立は不安定で右へ容易に転倒(lateropulsion) 
  • MRIで右延髄外側にDWI高信号 (A) +ADC低下 (B)
  • 最終診断は右延髄外側梗塞(ワレンベルグ症候群)

🔓 臨床裏話
  • 本例のめまい感は頭位変換後30秒ほど持続し、安静により軽減しました。来院時には明らかな神経学的な異常所見がなく、頭部CTやMRIにも特記すべき異常所見はありませんでした。
  • BPPV(良性発作性頭位めまい症)と診断して耳鼻咽喉科に入院してもらいました。しかし、その後に右側顔面の異常が顕性化し、MRI再検(上記画像)で最終診断に辿り着きました。

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(投稿者 川崎)

2026-07-02

今週の一枚 🎯

床で寝ていたアルコール性肝硬変の男性

💥 解説
  • 意識JCS 1/GCS E4V4M6で血糖値は120 mg/dl
  • 構音障害あるも他に明らかな神経脱落所見なし
  • CTで迂回槽~左側脳室、第四脳室他に高吸収
  • 最終的にくも膜下出血を疑って他院に搬送した

💢 独り言
  • 本例には、家族も把握できない程の頻回・多量の飲酒歴がありました。酔うといつも呂律が回らなくなり、しばしば床の上で寝ていたそうです。
  • 今回も酔っていましたが、どうやら転んで頭を打ったようです。教訓:酔っ払いというアンカリングバイアスに惑わされないこと(失敗例)。

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(投稿者 川崎)

2026-06-27

4D Flow MRI

  • 心臓MRIは3次元でfull volumeのスキャンできるため(放射線被ばくなし/造影剤も不要),複雑な解剖を理解しやすい
  • 位相コントラスト法は傾斜磁場反転時のプロトン歳差運動を利用したスキャンで空間観測点の速度情報を得ることができる
  • 4D flow MRIでは心電同期シネ位相コントラスト法3方向をfull volumeで適用するため血行動態と心機能を同時に評価可能
  • 特に超音波カラードプラの到達しにくい大血管や右心系では大きな力を発揮するため先天性心疾患の外科手術において有用


4D flow MRIでみたFallot四徴症修復後の末梢肺動脈狭窄例
上段:Fallot四徴症一弁付きパッチでの修復後の30代女性の収縮期3Dでの流線.高度な肺動脈弁逆流に加えて右肺動脈の流線が高度に加速したうえで途絶していることがわかる.極めて強いbranchのPSであり,画像上も上行大動脈背側に狭小な右肺動脈を認める.
中段:術中所見.上行大動脈はいったん離断し,狭小な右肺動脈を末梢で離断.リング付き人工血管で右肺動脈を再建し,生体弁を挿入した人工血管で右室流出路再建,上行大動脈を人工血管で延長.
下段:術後4D flow MRI.良好に収縮した右室から流量の多い肺動脈血流が得られていると同時に流線は右肺動脈末梢まで繋がり,右肺動脈は大きく拡大していることがわかる.


(投稿者 川崎)

2026-06-15

LIE CT-ECV

  • Late Iodine Enhancement CT — Extracellular Volumeの略語
  • CTで心筋の細胞外容積分画(ECV)を定量的に評価する手法
  • 造影前後のCT値(HU)の変化量を測定しヘマトクリット補正
  • 延長する病態 ➜ 心筋線維化,心筋浮腫,アミロイド沈着など
  • 短縮する病態 ➜ 心筋への脂質や鉄成分の沈着または出血など
  • 正常目安:25〜28%(心アミロイドーシスで著増は特に有用)


項目 CT-ECV(LIE CT-ECV) MRI-ECV(LGE-MRI / T1 mapping)
造影剤 ヨード ガドリニウム
空間分解能 高い やや低い
軟部組織コントラスト やや劣る 優れる
検査時間 短い(数分) 長い(30分〜)
放射線被曝 あり なし
ペースメーカー・ICD 原則使用可 制限あり(条件付き対応機種を除く)
冠動脈同時評価 可能(冠動脈CTと同時施行) 困難

- 重度の大動脈弁狭窄症の80歳男性例 -

(投稿者 川崎)

2026-06-04

今週の一枚 🎯

ふらつきで来院した症例の側頭部のエコー


(投稿者 川崎)

2026-05-21

今週の一枚 🎯

健診の胸部X線で異常を指摘された症例


(投稿者 川崎)

2026-05-14

今週の一枚 🎯

頭痛と嘔気で来院した高齢者の頭部MRI/MRV(T1強調/造影/脂肪抑制)

💀 解説
  • 上矢状静脈洞の背側部分から右横静脈洞にかけての血栓形成の疑い.上矢状静脈洞血栓症(Superior Sagittal Sinus (SSS) Thrombosis)と診断して抗凝固療法を開始(ヘパリン→ワルファリン).経時的に症状は改善した.なおプロテインSやプロテインC,抗リン脂質抗体など,明らかな血栓性素因はなかった.

👀 臨床現場
  • 当初,髄膜炎の可能性を考慮したため,CTで脳室拡大がないことを確認後に髄液検査を実施.性状は水様透明で,細胞数増多や蛋白上昇はありませんでしたが,初圧は著明に上昇(>35 cmH2O,圧棒の上端に到達).
  • 髄液を16 mlほど排液すると,終圧は11 cmH2Oまで低下しました.それに伴い頭痛も改善しました.特発性頭蓋内圧亢進などを念頭に入院で精査をすすめ,最終的な診断(上矢状静脈洞血栓症)に辿り着きました.

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(投稿者 林/川崎)

2026-05-04

心内血栓:時期は?

😎 MRI vs 心内血栓
  • MRIでは、血栓に捕捉された赤血球のヘモグロビン(Hb)中の酸素状態と水分含有量によって血栓の年齢の推定が可能
  • 血栓中のHbは通常、オキシヘモグロビン → デオキシヘモグロビン → メトヘモグロビン → ヘミクロムへ経時的に変化
  • 最終的にHb分子は酵素によって複数の小さな断片に分解され、マクロファージによって取り込まれる(ヘモジデリン)
  • 復習:MRIのT1・T2強調画像の水分は、T1では黒(低信号)、T2では白(高信号)(覚え方:T1 白脂、T2 水ブシャー!)
  • オキシヘモグロビンとヘミクロムは不対電子を持たず、弱い反磁性(T1緩和時間やT2緩和時間に影響を与えない)
  • デオキシヘモグロビンとメトヘモグロビンは、鉄原子あたり4個と5個の不対電子を持ち常磁性(T1とT2を短縮する)
  • 血栓の検出可能は8時間内、信号強度が最大となるのは約3週間後、その後は横ばいで半年まで持続し数週間かけ消失


心臓血栓のMRIタイムライン

ステージ T1強調画像 T2強調画像
● 超急性期(12時間未満) 等信号 高信号
● 急性期/亜急性期(最初の2~3週間) 高信号 高信号(第1週では低信号の領域を含む)
● プラトー期(3週間~6ヵ月) 信号が徐々に不均一に減衰
● 慢性期(6ヵ月以上) 等信号 等信号


(投稿者 川崎)

2026-05-01

胆嚢腺筋腫症 Adenomyomatosis of the Gallbladder

  • Rokitansky-Aschoff sinus(RAS)が増殖し胆嚢壁肥厚をきたす良性病変
  • 臨床的診断の目安は画像で4 mm 以上の壁肥厚+拡張したRAS や壁在結石
  • 本症の頻度は胆嚢切除例の2.1~14%,人間ドックの 0.12~0.49% である
  • 病変の局在で底部型,分節型,びまん型,特殊型に分類する(下図参照)
  • 癌除外困難,分節型+胆石合併や変形例,症候例, 結石充満例は摘出術
  • 経過観察は初回は 3~6 月後,変化がなければ以後 は 6~12 月毎が推奨

- 胆囊腺筋腫症の分類 -

(投稿者 川崎)

2026-04-17

論文 🏆

  • 当院の初期研修医の先生が循環器内科で経験された症例が出版されました
  • 心不全で入院し,その後の精査で大動脈弁逸脱による重症の逆流症と診断
  • 左主冠動脈が右冠動脈洞から起始し中隔内走行を示した先天性冠動脈奇形
  • 同所見は”ハンモックサイン”として知られているようです(下図2D 矢頭)
  • 意外にも予後は悪くないようなので、本例も弁置換術のみを実施しました


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(投稿者 川崎)

2026-04-16

今週の一枚 🎯

転倒してガラスが右臀部に刺さった症例

🚑 臨床現場
  • 外観は右臀部に2 cmの切創があるのみ
  • レントゲンで3つの異物を確認(上図)
  • 救急室では1つのガラス片のみ確認可
  • 残る二つは鑷子(セッシ)にも触れず
  • 追加CTでガラス片は残存(下図矢印)
  • 手術室に移動し残る2つを摘出(下図)


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(投稿者 川崎)

2026-03-12

今週の一枚 🎯

中年女性の術前レントゲン

👀 頚肋けいろく(Cervical Rib)
  • 頚椎の横突起が先天的に過剰発達した状態(矢印)
  • 人口の約0.5~1%に発生して第7頸椎への付着が多い
  • 形状や付着部位は様々(片側性または両側性あり)
  • 多くの症例では症状なし(X線写真などで偶然発見)
  • 局所的な疼痛や周囲構造を圧迫時には介入が必要



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(投稿者 川崎)