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2026-05-01

胆嚢腺筋腫症 Adenomyomatosis of the Gallbladder

  • Rokitansky-Aschoff sinus(RAS)が増殖し胆嚢壁肥厚をきたす良性病変
  • 臨床的診断の目安は画像で4 mm 以上の壁肥厚+拡張したRAS や壁在結石
  • 本症の頻度は胆嚢切除例の2.1~14%,人間ドックの 0.12~0.49% である
  • 病変の局在で底部型,分節型,びまん型,特殊型に分類する(下図参照)
  • 癌除外困難,分節型+胆石合併や変形例,症候例, 結石充満例は摘出術
  • 経過観察は初回は 3~6 月後,変化がなければ以後 は 6~12 月毎が推奨

- 胆囊腺筋腫症の分類 -

(投稿者 川崎)

2026-04-15

第123回日本内科学会講演会 医学生・研修医・選考委の内科学 ことはじめ2026より

😀 個人的に気になった演題

演題 19 機械学習モデルを用いたガットフレイル関連因子の解析
  • ガットフレイル(Gut Frailty)とは、胃腸(Gut)の機能が長期にわたって低下し、弱った(Frailty)状態を示す新たな概念です。便秘や下痢、胃もたれといった不調が慢性的に続くことで、将来的な老化の進行や、がん、糖尿病、認知症(アルツハイマー病)などの全身疾患のリスクを高める要因として注意が喚起されています。

演題 74 飛行機移動を契機に出現した左側大量難治性肝性胸水に対し、腹腔内色素注入による横隔膜交通症を証明し外科的閉鎖を行った一例
  • 横隔膜交通症とは腹腔と胸腔の間の横隔膜に小さな穴(瘻孔)ができ、腹腔内の液体(主に腹膜透析液)が胸腔へ漏れ出る病態。飛行機の離着陸時や急激な天候変化(低気圧)などによる急激な気圧変動を受けた際に、顕性化することがある。

演題 317 MAGIC症候群が疑われる気道病変に対する気道ステント留置症例
  • 再発性多発軟骨炎は、全身の軟骨組織に炎症が生じる疾患です。耳や鼻、目、関節など、軟骨やコラーゲンを豊富に含む組織に多彩な症状を引き起こします。本疾患がベーチェット病を合併した場合は、MAGIC症候群(Mouth And Genital ulcers with Inflamed Cartilage syndrome:炎症性軟骨を伴う口腔および陰部潰瘍)と呼ばれます。

演題 519 HBOC患者の多重癌にみられるBRCA2の2nd hitの多様性
  • HBOC遺伝性乳がん卵巣がん症候群:Hereditary Breast and Ovarian Cancer syndrome)は、主にBRCA1またはBRCA2遺伝子に生まれつき存在する変異(病的バリアント)によって、乳がんや卵巣がん、前立腺がん、膵がんなどを発症しやすくなる体質を指します。遺伝性腫瘍の代表的な例であり、親から子へは約2分の1の確率で受け継がれる可能性があります。

😎 当院からの発表演題
  • 演題 157 感染を契機に重症の甲状腺機能低下症に至った一例(糖尿病・内分泌内科 太田羽奏先生)
  • 演題 388 Guillain-Barre症候群様の急激な末梢神経障害を呈しベンラリズマブが奏功した好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例(総合診療科 松村実穂先生)

😃 二人ともとてもいい発表でした(松村先生は優秀演題賞ゲット!)

💁 “学会”に関連する過去の投稿 ➜ コチラ(ウェブ版なら右欄からも選択可能)
(投稿者 川崎)

2026-03-08

シトルリン血症 Citrullinemia(CTLN)

  • 尿素サイクルの律速酵素であるアルギニノコハク酸合成酵素(ASS)の異常をきたし,高アンモニア・シトルリン血症をきたす遺伝性疾患
  • ASS遺伝子の異常による新生児・小児期発症の古典的シトルリン血症(I 型,III 型)とASS蛋白の肝細胞量的低下による成人発症 II 型に分類
  • 常染色体劣性 [不顕性] 遺伝性疾患で,日本でのヘテロ接合体の頻度は約50~78人に1人,ホモ接合体の頻度は17000人に1人と推定されている
  • II 型の発症年齢は20~50歳代に多く,高アンモニア血症により意識障害や失見当識,異常行動,痙攣など多彩な精神神経症状+脂肪性肝疾患
  • CTLN 2の約30%はてんかんや統合失調症,うつ病,精神遅滞などと初期診断されていて,アンモニア高値をとらえていない場合は診断が困難
  • CTLN 2では,幼少時より豆類や乳製品,卵などの蛋白質や脂質の多いものを好み,米飯や甘いもの,アルコールを嫌う特異な食癖が特徴的
  • この偏食は,豆類がASSの基質であるアスパラギン酸の供給に役立ち,米飯や飲酒で細胞質内のNADHが上昇し症状が出現〜悪化と推測
  • 根治治療は肝移植で10年生存率は94.3%.病因の治療法は肝に蓄積したNADHの再酸化目的で,低糖質・高脂肪食やピルビン酸ナトリウム

参考)日消誌 2013;110:432-40,他

- 繰り返す意識障害を認めた高シトルリン血症の33歳男性 -

(投稿者 川崎)

2026-01-05

肝頚静脈逆流 Hepatojugular reflux: HJR (or Abdominojugular test)

  • 肝頚静脈逆流のメタアナリシス(J Gen Fam Med 2022;23:393-400)を眼にしたのでPICO(ピコ)形式で共有します

    1. P – 7件の研究とその5195人
    2. I – 二変量ランダム効果解析
    3. C – 心不全に対する診断能
    4. O – 感度0.12,特異度0.96

😑 「う~
  • 先日,卒後15年目くらいの臨床バリバリ循環器専門医から「hepatojugular refluxって何ですか?」と聞かれました.個人的にも実臨床で行うことはまずありません.心不全の感度12%では致し方ないでしょうか...
  • ただし2025年改訂版 心不全診療ガイドラインには(まだ)記載されています「この(←頚静脈のこと)拍動が吸気や腹部圧迫によって明瞭化する所見(Kussmaul徴候,肝頸静脈逆流)も 体うっ血を示唆する」(P32)
  • 肝頚静脈逆流(HJR)の陽性基準は,自発呼吸下で右上腹部を10秒以上圧迫したとき頚静脈圧3cm以上かつ15秒以上続く場合が多いと思います(過去の投稿)…いやはやシンプル頚静脈の方がはるかに簡単で感度も高そう

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-10-25

腺房せんぼう 細胞癌 (Acinar cell carcinoma: ACC)

  • 膵臓の腺房細胞を発生母地とする稀な悪性膵外分泌腫瘍
  • 発生頻度は全膵腫瘍の1%程度(90%以上が膵管腺がん)
  • 男性に多く平均50~70代と膵管癌に比べやや若年に好発
  • 非特異的な症状が多く体重減少・腹痛・嘔気などがある
  • 膵管癌より柔らかく膵頭部に生じても黄疸を生じにくい
  • 発見時には腫瘍の径が大きく遠隔転移を伴う症例が多い
  • 切除不能なら薬物(専用治療はなく通常の膵がんに準ず)


📍 他の希少膵がん
  • 腺扁平上皮がん ➜ 膵悪性腫瘍全体の約0.7%で10万人当たり約0.1人
  • 粘液がん ➜ 膵悪性腫瘍全体の約0.4%で10万人当たり約0.07人の頻度
  • 髄様がん ➜ 膵悪性腫瘍全体の約0.001%で10万人当たり約0.001人未満
  • 退形成がん ➜ 膵悪性腫瘍全体の約0.2%で10万人当たり約0.02人
  • 充実性偽乳頭状腫瘍 ➜ 膵悪性腫瘍全体の約0.05%で10万人当たり約0.02人


(投稿者 川崎)

2025-10-03

日本内科学会 第249回近畿地方会より

😀 個人的に気になった報告

演題5 中年期に診断された下垂体茎離断症候群の1例
  • 造影MRIで下垂体茎の離断、前葉の低形成、異所性後葉を認め、周産期異常に関連した下垂体茎離断症候群(PSIS)と診断した。原因として、周産期異常、頭部外傷や手術による機械的な下垂体茎の断裂、下垂体の胎生期の発生異常などが関係する可能性が考えられている。発症率は約0.5/10万人で、出生に伴うPSISは0.5/100万出生と極めて稀である。※PSIS=Pituitary stalk interruption syndrome

演題10 虚血性心筋症と診断されていたが中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)と判明した1例
  • 経過中のLDLコレステロール値は50mg/dl前後で管理していたが短期間で冠動脈病変の著しい進行が認め、虚血性心筋症以外を疑いBMIPP心筋シンチ施行した所、Wash out rate 7.7%と低下認め、TGCVと診断した。TGCVは、2008年に提唱された新規疾患概念であり、細胞内の中性脂肪(TG)分解が障害され、難治性心不全、びまん性冠動脈疾患、心室性不整脈等を呈する循環器病の仮面をかぶった代謝病である。※TGCV=Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy

演題129 ジスチグミン臭化物によるコリン作動性クリーゼをきたした1例
  • 神経因性膀胱に対してジスチグミン臭化物5mg/日を10年前より内服していた。入院2日前より下痢を認め、入院当日より湿性咳嗽、排痰困難、多量の気道分泌物を認め、当院へ救急搬送された。ジスチグミン臭化物(ウブレチドなど)によるコリン作動性クリーゼは内服開始2週間以内に発症することが多いが、長期内服中に脱水や腎機能低下を契機に発症することもある。

演題131 HFNCによる100%酸素吸入法によって, シャント率の測定を行った肝肺症候群の1例
  • 経胸壁心エコーでは肺高血圧の所見はなく、バブルテストで 6,7心拍後に左房に大量のバブル流入を認め、肺内シャントが示唆された。右心カテーテル検査・肺血流シンチグラフィ・肺動脈造影CT検査で他疾患の除外を行った。右心カテーテル検査・肺血流シンチグラフィに加え、high-flow nasal cannula(HFNC)を用いた100%酸素吸入法によってシャント率を測定し、いずれも同等な値であった。HFNCを用いた100%酸素吸入法は、低侵襲な検査であり、利便性の点から有用であると考えられた。

演題155 SACIテストが局在診断に有効であったインスリノーマの1例
  • 造影CTで膵臓に早期濃染を伴う1cm台の腫瘤性病変を認め、EUSで膵頭体移行部に低エコー域を認め、EUS-FNAでクロモグラニンA、シナプトフィジン陽性細胞を認め神経内分泌腫瘍に矛盾しない所見であった。SACIテストでは脾動脈近位でグルコン酸カリウム注入前後でインスリン濃度が3.24倍に上昇したため膵中央部切除術を行う方針となった。※SACI=selective arterial calcium injection=選択的動脈内カルシウム注入法

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2025-09-10

FNH:Focal Nodular Hyperplasia 限局性結節性過形成

  • 特徴 組織学的に正常もしくはほぼ正常に見える肝細胞より構成される結節
  • 病理 中心性瘢痕と放射状に広がる線維性結合織(内部は動脈と胆管の増生)
  • 画像 ドプラで中心→辺縁の車軸状動脈性血管構築(spoke wheel pattern)
  • 疫学 良性肝腫瘍性病変では肝血管腫の次に高頻度で比較的若い女性に多い
  • 原因 局所的な動脈血流の異常に伴う過形成性変化が成因と考えられている
  • 鑑別 肝細胞癌(fibrolamellar含),肝腺腫,血管筋脂肪腫,肝血管腫など


- 健診で発見された肝限局性結節性過形成(FNH)の1例 -



(投稿者 川崎)

2025-08-25

Rosenbach sign ローゼンバッハ徴候

  • 大動脈弁逆流症で出現する右上腹部の拍動(肝臓の収縮期拍動)
  • 由来はドイツの医師Ottomar Ernst Felix Rosenbach(1851–1907)
  • 報告はÜber arterielle Leberpulsation. 1878:4:498-500(コレ?
  • 甲状腺機能亢進で出現する閉眼時の眼瞼の微細な震えも同名徴候

 

😁 おまけ
  • 個人的には甲状腺クリーゼの若者で肝拍動を視診できたことがあります.もちろんこれもローゼンバッハ徴候(Rosenbach sign)と呼んでいい? 

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-05-06

PSC vs PBC

  • PSC(Primary Sclerosing Cholangitis/原発性硬化性胆管炎,旧:原発性胆汁性肝硬変)とPBC(Primary Biliary Cholangitis/原発性胆汁性胆管炎)はともに自己免疫性肝疾患で胆管に炎症や損傷が生じますが,それぞれ異なる胆管が影響を受ける点に差異があります.先日のカンファレンスで少し混乱が見られたため,PSC Partners Seeking a Cureを参考にして日本語にしてみました.

PSC 原発性硬化性胆管炎 PBC 原発性胆汁性胆管炎
病変部位
  • 肝臓の内外の胆管
  • 肝臓内の小さな胆管のみ
診断方法
  • 通常は胆管MRI(まれに肝生検やERCPが必要)
  • 次のうち2つ: ALP値上昇,疾患特異抗体 (AMA) 陽性,肝生検
胆管がんと大腸がん
  • リスク上昇
  • リスク不変
ウルソデオキシコール酸
  • 肝臓の血液検査値が改善例あり(病気の進行を遅らせるかは未証明)
  • よく反応例では予後も改善
炎症性腸疾患(IBD)
  • 約80%は併存(主に大腸炎)
  • 非常に稀(約1%)
初期症状
  • かゆみ,疲労感,腹痛,胆管炎の悪化
  • かゆみ,疲労感,目や口の乾燥,腹痛
疫学
  • 主に40歳前後で男性60%,女性40%
  • 75%は45歳以上で男性10%,女性90%
過度のアルコール摂取
  • 関連なし
  • 関連なし
喫煙
  • ほとんどの場合,非喫煙者
  • 喫煙歴と関連



(投稿者 川崎)

2025-04-16

クールボアジェ徴候  Courvoisier's sign

  • 無痛性の胆嚢腫大を体表面から触知する状態
  • 胆管がんや膵臓がん,乳頭部がんなどで出現
  • 発見はスイスの外科医 Courvoisier (1843–1918)
  • Courvoisierの発音(フランス語)は コチラ

膵癌によるクールボアジェ徴候
StatPearls; Contributed by S Bhimji, MD)

(投稿者 川崎)

2025-04-08

HBsとHCV

  • HBs抗体が陽性 ➜ 過去にB型肝炎ウイルスに感染したことあり(治癒) or ワクチン
  • HCV抗体が陽性 ➜ C型肝炎ウイルスに感染したことがある=既往歴 or 現在の感染


😎 頭の整理
  • 術前感染症チェックではHBs抗体ではなくHBs抗原を測定することが多いと思います(陰性なら問題なし
  • 針刺し事故ではスタッフのHBs抗体を測定し陽性なら経過観察(陰性ならHBsヒト免疫グロブリンを筋注)
  • 一方,HCVに関してはHCV抗体を測定して陰性なら問題はないと判断しています(少なくとも当院では)

(投稿者 川崎)

2025-03-12

急性胆囊炎の重症度判定基準

重症急性胆囊炎(Grade Ⅲ)
 急性胆囊炎のうち,以下のいずれかを伴う場合 
  • 循環障害(ドーパミン≧5 μg/kg/min,もしくはノルアドレナリンの使用)
  • 中枢神経障害(意識障害) ・呼吸機能障害(PaO2/FiO2<300)
  • 腎機能障害(乏尿,もしくは Cr>2.0 mg/dL)
  • 肝機能障害(PT-INR>1.5)
  • 血液凝固異常(血小板<10万/mm3

中等症急性胆囊炎(Grade Ⅱ)
 急性胆囊炎のうち,以下のいずれかを伴う場合
  • 白血球数>18,000/mm3
  • 右季肋部の有痛性腫瘤触知
  • 症状出現後72時間以上の症状の持続
  • 顕著な局所炎症所見(壊疽性胆囊炎,胆囊周囲膿瘍,肝膿瘍,胆汁性腹膜炎,気腫性 胆囊炎などを示唆する所見)

軽症急性胆囊炎(Grade Ⅰ)
 急性胆囊炎のうち,「中等症」,「重症」の基準を満たさないもの


👉「胆嚢」に関する過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2025-02-15

CRP陰性の発熱

CRP(C-reactive protein,C反応性蛋白)
  • IL-6,IL-1β,TNF-α,IFN-γなどのサイトカインにより肝細胞で作られる主要な急性相の反応物質
  • 抗炎症作用と炎症促進作用を有し感染・外傷・梗塞・自己免疫・炎症性疾患・悪性新生物で上昇
  • CRPが陰性で高体温を呈する病態として薬剤熱や妊娠,習慣性高体温症などがよく知られている
  • 他にSLE(全身性エリテマトーデス)やCRPが産生できない肝硬変頭蓋内に限局した炎症(下図)


- 無菌性髄膜炎の37歳女性の臨床経過 -

👽 おまけ<
  • 頭蓋内に限局した炎症でCRPが生成されない理由は,各種サイトカインが血液脳関門(Blood-Brain Barrier; BBB)を通過できないためと考えられています.一方,アルコールやカフェイン,ニコチン,GABA,麻薬の一部などは通過できます.
  • CRPの発見は米国の医師 Tillett らである(J Exp Med 1930;52:561-71).はじめは肺炎球菌の細胞壁多糖類(C多糖類/C-polysaccharide)と反応する物質として同定されたため,C-reactive protein(C反応性蛋白)と命名されたようです.

(投稿者 川崎)

2025-02-13

今週の一枚 🎯

腹痛で転げまわる中年男性(腹部CTに異常なし)

👀 胆石発作(Biliary colic)
  • エコーで胆嚢頚部に13 ㎜の胆石(下図矢印)
  • 他院で胆石を指摘され手術を薦められていた
  • 症状は鎮痛薬+絶食+抗菌薬で経時的に改善
  • 経過中に出現した胆石性胆のう炎はごく僅か
  • 一旦退院して待機的に胆嚢摘出術を予定した

😐 追加コメント
  • 尿路結石とは異なり,胆石はCTで描出されないことが少なくありません(過去の投稿).よって腹部エコーがとても重要です.本症例では初期研修医の先生がCT前のエコーでちゃんと胆石を描出(👍ナイス).CTで胆石がなさそうなので,CT後にエコーで胆石の移動がないことも確認(👍👍ベリーナイス).
  • 本例は来院時,痛みで七転八倒されていたようです(床に転げまわっていたわけではありませんが安静を保つことが困難).このような症例では腹膜炎を生じていないことが多いようです.穿孔して腹膜炎を併発していれば,動くと痛みが増強されるため,逆にジッと不動の姿勢を保つ傾向が高いそうです.


👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2024-12-26

今週の一枚 🎯

倦怠感で動けない症例(右季肋部エコー)


(投稿者 川崎)

2024-10-08

肝予備能評価:ALBIスコア

  • 肝硬変の肝予備能を評価するChild-Pugh分類はBil・Alb・INRと肝性脳症・腹水で判定
  • ALBIは Albumin-Bilirubinの略で血液生化学的検査データ(T-BilとAlb)のみから算出
  • 英国のJohnson PJや大垣市民病院のToyoda Hらが提唱(J Clin Oncol 2015;33:550-8
  • ALBIグレードは従来のChild-Pugh分類よりも肝細胞癌の治療成績予測に有用であった
  • (log10(17.1×bil)×0.66) + (10×Alb×-0.085)で計算して,通常スコアは3グレードに分類
  • 最近はより細分化したmodified ALBI(mALBI)分類も利用されている(計算ページ) 

肝障害とALBIの変化FIB-4 indexやMELD scoreとの比較)

(投稿者 川崎)

2024-02-15

今週の一枚 🎯

末梢動脈疾患でフォロー中の症例が定期受診待中に嘔気と嘔吐

解説 💧
  • 胆嚢は拡張し,壁がやや肥厚している
  • 底部側に大量のガス有(頸部にも少量)
  • 胆嚢壁の気腫性変化なく胆石も認めず
  • 採血は軽微炎症反応(CRP値<1)のみ
  • 気腫性胆嚢炎と診断して消化器内科へ

嘔気と嘔吐 💦
  • 本例は発熱なく,腹痛の訴えもなし.元々受診時に予定していた採血でもあまり問題がなかったため,ウイルス性胃腸炎かな〜と完全に油断していた.
  • CTで想定外の疾患が見つかることは少なくない.病歴聴取と身体所見の確認が不十分と言われればその通りであるが,嘔気などが強いと容易ではない.
  • 先日も定期受診の方が診察待中に,嘔吐と嘔気があるため処置室に移動(朝からあった様子).腹部CTは問題なかったが頭部CTで小脳出血が判明した.
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(投稿者 川崎)

2024-01-25

今週の一枚 🎯

- 4ヵ月ほど息切れが続く肝硬変の症例 -

👽 解説
  • 心窩部に膨張した静脈を認めた(上図の矢印)
  • 同部位から連続性雑音を聴取した(上図の下)
  • 同雑音は吸気時に増強した(下動画に音あり)
  • 心電図と胸部X線、心エコー図は正常であった
  • 最終診断は Cruveilhier-Baumgarten 静脈雑音
  • 自覚症状の息切れは門脈圧亢進症に起因する?


💫 クリュヴェーリエ・バウムガルテン症候群(Cruveilhier-Baumgarten syndrome)
  • 肝硬変や特発性門脈圧亢進症などで臍静脈または臍傍静脈が拡張した病態(自然発生的な門脈側副血行路形成)で,静脈周囲で雑音(クリュヴェーリエ・バウムガルテン静脈ハム)やスリルを認め,肝萎縮や脾腫なども伴う.
  • 名前の由来はフランスの解剖学者 Cruveilhier(1791-1874)の報告(Human JB Bailiere 1829-1835;1:16)とドイツの病理学者 Baumgarten(1848-1928)の報告(Arb Geb Pathol Anat Inst Tubingen 1907;6:93)
  • 同雑音を認めれば門脈圧亢進ありと判断できる().なおこの古典的な静脈性ハム音が吸気時に増強する機序は,心臓右側への静脈血流の増加によって説明可能(吸気時に三尖弁逆流が増加するリベロ・カルバイヨ徴候と同様)

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(投稿者 山本内科循環器科 山本正治)

2024-01-21

気腫性胆嚢炎 Emphysematous cholecystitis

  • ガス産生菌を起因菌として胆嚢の内外にガス像を呈する急性胆嚢炎の一亜型
  • 初報は仏の病理学者(?)Stolz A (Archiv f pathol Anat 1901;165:90–123
  • 起因菌は嫌気性菌のClostridium属 (35%),Klebsiella属 (16%),E.coli (13%) 等
  • 予想される機序は胆嚢壁が虚血状態に陥り,そこへガス産生菌が感染して発症
  • 糖尿病や高血圧などの合併が多く,胆石合併率は53%と通常の胆嚢炎より低い
  • 症状は右上腹部,発熱,吐気,嘔吐などで通常の急性胆嚢炎との鑑別は難しい
  • 診断は画像による胆嚢部ガス像によってなされる(腹部X線では胆嚢内niveau)
  • 急性胆嚢炎の死亡率はおよそ4%であるが気腫性胆嚢炎の死亡率は約15%と高い
  • 治療は胆嚢摘出術であるが,近年では経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)を先行


- 2型糖尿病と血液透析中の64歳女性 -
起炎菌は大腸菌で外科的デブリードマンを伴う胆嚢摘出術+2週間のPIPC/TAZで救命(矢印は気腹)

💁 胆嚢炎に関する過去の投稿 ➜ コチラ

2023-11-01

Alcoholicやfattyは不適切だそうです

  • 欧州肝臓学会は米国肝臓病学会,ラテンアメリカ肝疾患研究協会と合同で脂肪性肝疾患の病名変更を発表(J Hepatol 2023:S0168-8278(23)00418-X
  • その理由はalcoholic”および“fatty”という用語が不適切と見なされるためです.本邦の日本消化器病学会もこの変更の提案を妥当と判断し承認().

 非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease,ナッフルディ)
 ➜ MASLDmetabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:nonalcoholic steatohepatitis 、ナッシュ)
 ➜ MASHmetabolic dysfunction-associated steatohepatitis)

(投稿者 川崎)