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ラベル 麻酔 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2024-07-19

GABAA受容体

  • GABAはγ -aminobutyric acid の略で成熟脳での主要な抑制性神経伝達物質
  • A受容体(Cl-イオンに選択性)とB受容体(K+上昇やCa2+低下など)に二分
  • A受容体はGABAが結合し神経細胞膜電位の過分極で活動電位発生を抑制する
  • アルコールやベンゾジアゼピン(BZP),propofol他はGABAA受容体に結合



🍫おまけ
  • GABAと言えばチョコレートです.実際にリラックス効果があり(検討1),睡眠の質や認知機能に良い影響を与える(検討2)様です.
  • GABAチョコレートを食する時に,GABAA受容体が作用する上記の機序を思い出してみてください.よりリラックスできるかも...😁

(投稿者 川崎)

2023-10-20

輸液製剤:晶質液 vs 膠質液

🍵 晶質液(crystalloid/しょうしつえき)
  • 一般的な電解質輸液やブドウ糖溶液(生理食塩水や乳酸加リンゲル液など)
  • 2/3以上が血管外に分布するため血管内容量・血圧の保持には膠質輸液を併用

🍹 膠質液(colloid/こうしつえき)
  • 膠質浸透圧を生み出す輸液製剤(アルブミン製剤やデキストラン製剤など)
  • 血管内容量を増加させたいとき(血管内を狙った輸液)に使用されている

- 同じ膠質液でも分子量によって血管内に留まる時間は異なる -

(投稿者 川崎)

2022-10-10

呼気CO2測定装置:カプノメータ Capnometer

  • 呼気中の二酸化炭素分圧からPaCO2を推測する生体モニター(正常値は35~45 mmHg)
  • 手術室で頻用されているが近年,非挿管での呼吸モニターとしても関心が高まっている
  • 呼吸の評価は酸素化(パルスオキシメータ)換気状態(カプノメータ)の両方で評価


  •  非侵襲な連続モニターであるが経皮的に使用できない点が少し不便
  • しかしカプノメータは無呼吸の発生を最も早く感知できると思われる

💁 呼吸管理に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2020-11-18

BIS vs TCI

  • BISbispectral index(バイスペクトラルインデックス,二つの波長の指標)
  • 1994年に米国のAspect Medical Systems社(現Coviden社)が開発した指標
  • 全身麻酔中の鎮静度モニターで前頭部に貼付したセンサーから導出(下図)
  • BIS値は0(平坦脳波)~100(覚醒状態)で全身麻酔中は40-60の間を維持
  • 詳細なアルゴリズムは未公開であるが脳波をデータベースと比較して算出
  • 超高齢者や小児,脳機能障害例あるいは筋弛緩薬併用時には誤差に要注意

参考)医機学 2016;86:543-8,他

Wiki

  • TCItarget control infusion(目標濃度調節静注あるいは標的濃度調節静注)
  • 薬物動態モデルから予測された血中濃度を目標にプロポフォールの量を調整
  • BISと組み合わせて全静脈麻酔(TIVA,total intravenous anesthesia)が可能
  • 予測と実測の濃度差が大きいことがあり吸入麻酔薬と比べて個人差は大きい


日本臨床麻酔学会誌 2016;36:441-7/オリジナルは総合医学社 東京 2009:140-1)

💁「麻酔」に関連した過去の投稿は コチラ
(投稿者 川崎)

2020-08-02

ラリンジアルマスク LMA: Laryngeal mask airway

  • イギリスの麻酔科医Archie Brain (1942〜) が開発した(Anaesthesia 1982;37:345
  • 先端にカフが付いた気道確保に用いられる換気チューブの一つで省略名はラリマ
  • 確実性および侵襲性ではフェイスマスクと気管内チューブの中間の特性を有する

- 進化の歴史 -

- 設置位置 -


"ラリマ"の適応と禁忌


🉐 関連投稿(呼吸管理編)

(投稿者 川崎)

2020-06-14

プロポフォール注入症候群 PRIS

  • PRIS=PRopofol Infusion Syndrome ➜ プロポフォールの長期投与により発生する致命的な症候群
  • 主症状は肝腫大,脂肪肝,脂肪血症,代謝性アシドーシス,横紋筋融解やミオグロビン血症など
  • 機序はミトコンドリア機能の抑制と脂肪酸代謝の抑制によるATP産生低下および脂質過負荷など
  • 成人と比較して小児症例で多いため投与期間を限定することが大切(4mg/kg/h以下+48時間以内)
  • 初報は米国の麻酔科医(?)であるParkeらによる小児5症例の報告(BMJ 1992;305(6854):613-6


🉐 関連投稿(麻酔編)

(投稿者 川崎)

2019-12-16

ICUの鎮静・鎮痛

当院のモーニングカンファレンスから 💨

  • 『鎮痛(苦痛をとる)は十分に,鎮静は最小限に』が原則
  • 『患者が落ち着いて,苦痛がなく,協力的で,コミュニケーションがとれる状態』が理想的

レベルプレセデックスフェンタニルプロポフォールエスラックス
内科自発呼吸必要時必要時
術後自発呼吸必要時
内科人工呼吸必要時
術後人工呼吸必要時必要時

関連投稿 👀

(投稿者 川崎)

2018-02-05

分離肺換気

左右の肺を別々に換気する方法で,英語表記はdifferential lung ventilation
スウェーデンの臨床生理学者Carlens E.が開発(J Thorac Surg 1949;18:742-6

肺切除術中の片肺換気など患側肺と健側肺の換気パターンを独立して設定することができる
気管チューブがダブルルーメン構造で左用と右用がある (例 ブロンコ・キャス気管支内チューブ

胸部手術の歴史 💨
The history of anesthesia for thoracic surgery (MINERVA ANESTESIOLOGICA. 2007;73:513-24)
➜ 1880年頃から始まった歴史の総括で,昔の写真を見るだけでも楽しいよ 🙆

(投稿者 川崎)

2017-06-03

Oberst麻酔 オベルスト麻酔

指先の麻酔をするときに基部を麻酔して神経の支配領域をブロックする手技
通常は1本の指に対して背側に2本,掌側に2本の計4本の指神経が走行
別名はブロック注射・指ブロック・digital blockで,足趾にも応用可能である

ドイツの外科医Maximilian Oberst (1849–1925)が1882年に報告
(Public domain)

ポイント
 ・細い針(26G以上)でキシロカインを緩徐に注射して少し待つ
 ・エピネフリン添加薬は末梢循環不全のリスクのため避けること

(投稿者 川崎)