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2022-12-31

VIP症候群

  • 患者が医師である時,標準治療とは異なる医療を提供しやすくなる状態
  • 担当医師が患者をVIP(very important person/重要人物)と考えるため
  • 1964年にWeintraubが提唱()し2007年にVIP syndromeと命名された

👿 医師の反応リッカート尺度
  1. 私の医師患者は、他の患者には与えられない特定の特権を得ることができた ➜ 81%同意
  2. 私は医師患者から引きこもりを感じた ➜ 0%同意
  3. 他の病院スタッフが私の医師患者から引き離されたと感じた ➜ 24%同意
  4. 医師と患者の治療中にストレスを感じた ➜ 52%同意
  5. 私は、医師である患者に特別な治療を提供するようプレッシャーを感じた ➜ 33%同意
  6. 私は、医師患者が自分のケアを要求または指示しようとしていると感じた ➜ 52%同意
  7. 病院の管理者や同僚から、医師と患者の要求に応じるようプレッシャーを感じた ➜ 38%同意
  8. 私の通常のケアへのアプローチは、医師と患者を治療する際に何らかの点で異なっていた ➜ 24%同意
  9. 医師である患者をがっかりさせないようにというプレッシャーを、他の患者よりも強く感じた ➜ 57%同意
  10. 医師としての私の患者の役割または以前の役割は、彼/彼女/彼らの医療全体に影響を与えた ➜ 57%同意

引用)JAMA Netw Open 2022;5:e2236914の表2を改編

💣 もう一つのVIP
  • VIP(vasoactive intestinal peptide/血管作動性腸管ペプチド)産生膵内分泌腫瘍(非β膵島細胞腫瘍)による水様性下痢,低カリウム血症,無酸症を呈するWDHA(waterydiarrhea-hypokalemia-achlorhydria)症候群

(投稿者 川崎)

2022-12-30

アルカプトン尿症 Alkaptonuria

  • 原因:ホモゲンチジン酸-1,2-ジオキシゲナーゼの酵素欠損による常染色体潜性[劣性]遺伝疾患
  • 診断:尿中ホモゲンチジン酸の増加(24時間尿で通常20~30mgが1〜8gへ増加)➜ 遺伝子検査
  • 頻度:米国の発症率は約25万人に1人,スロヴァキア北西で頻度が高い(およそ19,000人中1人)
  • 三徴:暗褐色尿または放置後に暗褐色尿,色素沈着(30歳〜),脊椎・大関節の関節炎(20歳〜) 
  • 合併:大動脈弁や僧帽弁の石灰化・逆流,大動脈拡張,腎結石,前立腺結石,甲状腺機能低下など
  • 治療:対症療法/欧州では進行を遅らせるニチシノン(高チロシン血症治療薬)(日本は未承認)



(投稿者 川崎)

2022-12-29

🎯 今週の一枚:耳ウインクサイン(Winking earlobe sign)

下腿浮腫とBNP上昇で紹介受診した症例(端座位)

💛 解説
  • 顎下に周期的な拍動(陥凹)を認める ➜ 内頸静脈の拍動
  • 耳朶も拍動あり(winking earlobe sign,耳ウインクサイン)
  • 座位であることを考慮すると中心静脈圧は高度上昇の疑い
  • 耳垂に45度の皺(earlobe crease,フランク徴候)もあり
  • 心エコー図で心肥大と肺高血圧あり ➜ 最終診断はHFPEF

💜 追加情報
  • 身体所見はマスクの着用で過小評価されることがあります(マスクでマスクと勝手に命名:自験例1自験例2).本例ではマスクを外しても,あまり変わりませんでした.マスクのゴム紐などには影響を受けない「強い静脈拍動」と思われます.
  • 本例ではフランク徴候を認めましたが,その後の精査で冠動脈狭窄はありませんでした.耳垂皺の3万例以上のメタ解析(Int J Cardiol 2014;175:171-5)では冠動脈疾患に対する感度は62%,特異度は67%と報告(臨床的には今ひとつ😐)
  • ちなみに本例は息切れなどの心不全症状は乏しかったのですが,これは認知症によると思われました.システマティックレビュー(J Card Fail 2017;23:464-75)では,心不全患者の認知機能障害の合併頻度は43%(95%信頼区間30~55)

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2022-12-28

BOSI: bending oxygen saturation index

💟 前向き臨床研究Eur J Heart Fail 2022;24:2108-17
  • Bendopnea=前屈時呼吸困難(例:前かがみで靴をはく)で心不全を示唆
  • BOSI=端座位の状態から前かがみになった時に低下する酸素飽和度の程度
  • 安定した外来心不全症例でBOSI3%以上の低下は独立した予後予測因子
  • しかし前かがみ時の息切れ症状は心事故とは関連せず (95% CI 0.83–1.31)

👤 独り言
  • 前屈時の呼吸困難の出現が予後と関連しなかったことは意外でした.しかしなんとなく分かる気がします.実はつい先ほど,ビールを飲みながら椅子に座ってこのコンテンツを作成中,下に落ちたペンを拾おうとしたら胸が圧迫され息苦しさを感じたからです(僕は心不全に罹患していないはず 😅).自覚症状ってあまりあてにならないことがあります.

🉐 心不全に関する過去の投稿 ➜ コチラ

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(投稿者 川崎)

2022-12-27

リンパ節腫脹の鑑別:CHICAGO

👽リンパ節腫脹を生じる一般的な原因の頭字語
Cancers(がん) 
  • 血液系悪性腫瘍:ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、急性・慢性白血病、ワルデンストレーム・マクログロブリン血症、多発性骨髄腫(稀)、全身性肥満細胞症
  • 転移性 "固形 "腫瘍:乳癌、肺癌、腎細胞癌、前立腺癌、その他

Hypersensitivity syndromes(過敏症症候群)
  • 血清病
  • 薬剤感受性:ジフェニルヒダントイン、カルバマゼピン、プリミドン、金、アロプリノール、インドメタシン、スルホンアミド、その他
  • シリコン反応
  • ワクチン関連
  • 移植片対宿主病

Infections(感染症)
  • ウイルス性:伝染性単核球症(Epstein-Barrウイルス)、サイトメガロウイルス、伝染性肝炎、ワクチン後リンパ節炎、アデノウイルス、帯状疱疹、HIV/AIDS、ヒトT-リンパトロピックウイルス1型
  • 細菌性:皮膚感染症(ブドウ球菌、連鎖球菌)、ネコひっかき病、甲状腺腫、メリオイデス症、結核、非定型抗酸菌症、原発性および続発性梅毒
  • クラミジア:性病性リンパ肉芽腫
  • 原虫性:トキソプラズマ症
  • 真菌症:ヒストプラスマ症、コクシジオイデス真菌症
  • リケッチア:ツツガムシ病
  • 寄生虫症:フィラリア症

Connective tissue diseases(結合組織病)
  • 関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、混合結合組織病、シェーグレン症候群

Atypical lymphoproliferative disorders(非定型リンパ増殖性疾患)
  • 血管毛包性(巨大)リンパ節過形成(キャッスルマン病)、異プロテイン血症を伴う血管免疫芽球性リンパ節症、血管中心性免疫増殖性疾患、リンパ腫様肉芽腫症、ヴェゲナー肉芽腫症

Granulomatous disorders(肉芽腫性疾患)
  • 結核、ヒストプラスマ症、マイコバクテリア感染症、クリプトコッカス、珪肺症、ベリリウム症、ネコひっかき病

Other unusual causes of lymphadenopathy(その他のリンパ節腫脹の異常な原因)
  • リンパ節の炎症性偽腫瘍、組織球性壊死性リンパ節炎(菊池リンパ節炎)、大量のリンパ節症を伴う洞組織球症(Rosai-Dorfman病)、洞の血管変化、胚中心部の進行性変化


😎 独り言
  • CHICAGOとうまくまとまっているけど,無理して覚えてもいつも使う環境でなければすぐに忘れます.もっとも毎日鑑別する環境なら覚えなくても勝手に身につきます.こういう語呂って時々見直して頭の整理をするのがいいのかな〜と思います.あとどうしても診断がつかない時の網羅的検索用 😙
  • 他にもALL AGES (age, location, length of time present, associated signs and symptoms, generalized lymphadenopathy, extranodal associations, splenomegaly and fever/年齢、部位、発症期間、関連徴候・症状、全身リンパ節腫脹、節外関連、脾臓腫脹、発熱)などもあります.

💁 語呂合わせに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-12-26

タンジール病 Tangier disease

  • 先日,Twitterで印象的な咽頭所見を見かけました.一度見たら決して忘れない身体所見です.臨床現場でまだ経験したことはありませんが,将来困らないように調べてみました.
(そのツイッター/オリジナルはココ

🧡 タンジール病(Tangier disease)
  • HDLコレステロールとアポリポタンパクA-I濃度が著しい低値を示す常染色体劣性遺伝疾患
  • アメリカ東海岸のバージニア州タンジール島で初めて発見されたことから名付けられた病気
  • 原因はATP binding cassette transporter A1(ABCA1)の遺伝子異常で稀(日本で10家系程度)
  • HDL-Cが10mg/dL未満で,鑑別疾患にはLCAT欠損症や二次性低HDLコレステロール血症など
  • オレンジ色の咽頭扁桃腫大(上図)、肝脾腫、角膜混濁、末梢神経障害,若年性冠動脈疾患
  • 遺伝子治療などの根本的な治療はまだない(合併する動脈硬化性疾患の予防・治療が中心)

参考)難病情報センター タンジール病(指定難病261)


🉐 オレンジに関する過去の投稿 ➜ コチラ

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(投稿者 川崎)

2022-12-25

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

書籍(非売品)
表紙(表,背,裏)・序説・あとがき

序説

 心臓核医学検査は、循環器診療の有用な検査法の一つとして確立され、診断、病態評価、治療法の選択、予後評価に寄与している。
 1970年代からTl心筋シンチグラム(心筋血流)と心プールシンチグラフィ(心機能)を二本柱として発展してきた。後者の検査頻度は少なくなったが、1990年台からMIBG(心臓交感神経機能)、BMIPP(心筋脂肪酸代謝)、MIBI/tetrofosmin(心筋血流)が登場し、目的に応じて使い分けられている。最近、骨シンチグラム製剤であるPYPが急性心筋梗塞のみならず、トランスサイレチン型心アミロイドーシスの診断に感度・特異度が優れることが報告され、検査件数が増加している。
 京都府立医大付属病院で約20年、パナソニック健康保険組合松下記念病院で約20年の計40年あまり心臓核医学検査に携わってきた。現在なお運動負荷心筋イメージングおよびその診断に従事しているが、時折輝く画像に出会い、胸をときめかせている。
 主治医の依頼に応じ、診療に役立つイメージングをし、的確な診断をすることが最も大切であることは言うまでもない。当初は画像がnuclearならぬunclearと揶揄されたが、機器の進歩もあり、最近はnew clearと評価されているらしい。
 心臓核医学のそれぞれの核種による画像には典型例、希少例、自慢例があり、著者の性格上、後二者を中心に循環器専門医のみならず、レジデント、研修医にも見ていただきたいと思い、本書を手掛けた。ややとっつきにくく、敬遠されがちなこの分野に少しでも興味を持っていただくには、画像を見て“interesting”と感じてもらうのが一番と考えた。
 心臓核医学画像は基本的には集積低下/欠損を判定するものであるが、補助情報を加えて読影し、さらに臨床所見、心電図、心エコー、冠動脈造影などを組み合わせることにより、その画像がとても優雅に見えることがある。アイソトープを注射して撮像するという単純な検査であるが、時にとっさのひらめきによる工夫で磨かれた画像になることもある。
 提示された画像を優雅と感じるか否かは、読影者の知識・感性・努力・追及心に大きく左右される。優雅な心筋イメージングを見出す“匠”になったつもりで、画像を集めてみた。40年の歴史故、セピア色と化した画像が含まれることも味わっていただきたい。唯我独尊、自画自賛、尊大不遜との批判を覚悟の上である。
 “心臓核医学の基礎・研究および一例一例を大切にすること”をご指導していただいた足立晴彦先生(なかつかさ・足立医院)に深謝する。また、後輩でありながら常に循環器病学の最新情報を教示していただき、自由に心臓核医学検査を続けさせていただいた川﨑達也先生(パナソニック健康保険組合松下記念病院副院長)に謝意を表する。京都府立医大 旧第二内科で心臓核医学の臨床・研究をともにした鳥居幸雄、宮永一、中川博昭、窪田靖志、稲垣末次、中川達哉、片平敏雄、志賀浩治、馬本郁男、原田佳明、大槻克一、谷口洋子、伊藤一貴、寺田幸治、松本雄賀、中村智樹、米山聡嗣、木下法之、足立芳彦、阪本健三、松下記念病院でともに循環器診療を楽しんだ高橋 徹、川崎信吾、神谷匡昭、万井弘基、肌勢光芳、坂谷知彦、宮井信幸、谷口琢也、三木茂行、浅田聡、山野倫代、赤壁佳樹、階元 聡、張本邦泰、酒井千恵子、本田早潔子、松木あゆみ、川俣博史、車古大樹の諸先生に感謝したい。さらに、常に読影に最適な心筋イメージングを作成していただいた松下記念病院RI検査室の放射線技師、鹿園貴士、廣谷有立、高田春彦、中井恵莉、出口紘平の諸兄に感謝する。最後に本書の出版にあたり、終始多大なるご協力をいただいた株式会社朝陽堂会長高橋東作氏(幼稚園から高校までの同級生)に謝意を表したい。

あとがき

 最後まで見ていただいたことに感謝する。
 一枚でも二枚でもinterestingと感じていただく画像があったなら幸いである。
 書き終えると、冠攣縮、肥大型心筋症、完全左脚ブロック、PESP、心房がよく登場し、通常の心臓核医学の成書とはかけ離れる内容であることを再認識した。心臓核医学の分野もデータ・診断の標準化がすすんでいると耳にする。標準化は重要なことであるが、心臓核医学を斜めから見て楽しむことも忘れないでいただきたい。
 本書は京都府立医大旧第二内科→循環器内科の心臓核医学部門の歴史を物語る一冊としての画像集になったとも言える。心臓核医学は循環器診療の一つの検査法にすぎないが、その一枚の画像を大切にする心を持ち続けることが、診療の質を高めるだけでなく、新たな発見を世界に発信することにつながると信じている。医者として、循環器内科医として、40年以上の長きにわたり心臓核医学に従事できたことを幸せに思っている。

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(投稿者 杉原)

2022-12-24

MINOCAミノカ

🏥 夕方,医局前の廊下を歩きながら...
  • 専門医A 「今日のACS,どうだった?」
  • 専門医B 「ミノカでした」
  • 専門医A 「そっか,なんやろね〜」

💜 MINOCA(ミノカ)
  • Myocardial infarction with non-obstructive coronary arteries(冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞)
  • 通常の心筋梗塞 MI with obstructive coronary artery disease(MICAD)と対比して使用する表現
  • オーストラリアの循環器内科であるBeltrame JFが提唱した観念(J Intern Med 2013;273:182-5
  • 診断:心筋トロポニン>健常人99%値+冠動脈造影<50%狭窄+胸痛を引き起こす他の原因なし
  • 最終的診断ではなく更なる検討を必要とする急性期診療での暫定的な診断(working diagnosis)
  • 急性心筋梗塞の5%〜6%でMICAD患者にくらべ若年(58歳 vs 61歳)で女性に多い(50% vs 25%)
  • 高脂血症の有病率が低く,他の冠危険因子(高血圧,糖尿病,喫煙,家族歴)についても同様
  • MINOCAの院内死亡率は0.9%,12ヵ月死亡率は4.7%(MI-CADに比べ予後良好とする報告が多い)


🔎 MINOCAの原因
  • プラーク破綻(plaque rupture,plaque erosion,calcified nodule)
  • 冠動脈機能異常(冠攣縮・冠微小循環障害)
  • 冠動脈血栓塞栓症 
  • 特発性冠動脈解離(SCAD
  • Type 2 急性心筋梗塞(需要-供給不均衡)

- MINOCA 診断アルゴリズム -
 👻 おまけ
  • よく似た表現にINOCA(ischemia with non-obstructive coronary arteries)があります.これは狭心症症状を有し非侵襲的検査で虚血所見が認められるにもかかわらず,冠動脈造影で冠動脈に狭窄病変を認めない病態を意味します.冠攣縮と冠微小血管障害の2つの病態が関与していると考えられています.


(投稿者 川崎)

2022-12-23

SWOT スウォット 分析

  • 外部環境や内部環境を以下の4因子で分析して最適活用を図る経営戦略策定方法の一つ
  • 1960〜70年代にかけスタンフォード研究所で開発されたと考えられている(諸説あり)
  • 営利・非営利団体,政府・自治体,個人など広く適用可(最近は病院の利用がすすむ

  1. Strengths(強み)
  2. Weaknesses(弱み)
  3. Opportunities(機会)
  4. Threats(脅威)

- 医療現場での活用例 -
SWOT 分析 analysis スウォット
(投稿者 川崎)

2022-12-22

🎯 今週の一枚:漏斗胸と右室拍動

心電図異常の精査で来院した無症候例の座位

🐤 解説
  • 左右対称の胸骨および肋骨の陥凹 ➜ 漏斗胸と診断
  • 心窩部に出現と消退を繰り返す拍動を認める(矢印)
  • 拍動は吸気時には明瞭であるが,呼気時には不明瞭
  • 頸静脈は座位陰性クスマウル左上肢挙上も陰性
  • BNP値は正常内で心エコー図や冠動脈CTも異常なし

 🐦 つぶやき
  • 心窩部の明瞭な拍動は,拡大した右室が前胸部と広い範囲で接するために顕性化した右室拍動が多いと思われます(稀に肝拍動のこともあり)
  • しかし心疾患(特に右室負荷)を認めない症例で,明瞭な拍動を呈することは稀です.本例ではやはり漏斗胸が関連していると考えられます.
  • 漏斗胸では吸気時の胸郭容積の増加が制限されます.吸気時には右室への静脈還流も増加するため本例では右室拍動が目立ったと理解しました.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2022-12-21

心臓サルコイドーシスのPET

🍚 検査前の食事内容
  • 12-18時間の絶食単独では心筋への18F-FDG集積抑制が不安定であることから,絶食前の食事を低炭水化物糖質制限食に切り替えることが推奨される.この場合炭水化物は5g未満とする.
  • 18F-FDG投与前の高脂肪食を追加する報告が散見されるが,現時点では単独では明らかなエビデンスはない.
  • 糖尿病患者では血糖コントロールがついている状況で非糖尿病患者と同様のプロトコールで行うことを推奨.長時間絶食の場合は低血糖に留意することが必要である.
  • 18F-FDG PET/CT 前のルーチンとしてのヘパリン投与は推奨しない.

- 実際の判定方法 -
  • A:心筋に18F-FDGの集積を全く認めないもの(none)。陰性所見である。
  • B-1:心筋に局在性の18F-FDG集積を認めるもの(focal)。本所見は陽性と判定される。しかし、局在性の集積を示す他の心疾患(例:虚血性心疾患、肥大型心筋症など)の除外が必要である。また、正常者でも側壁領域の18F-FDG集積が報告 されるケースがあり、同領域の局在性集積は陽性と判定しないとする報告もある。また、中隔基部の限局性集 積や心基部の全周性集積なども、生理的集積である可能性が指摘されている。見解は一致していないが、これらの領域への18F-FDG集積に関しても取り扱いに注意を要する。これらの偽陽性所見に対して、心筋血流像との対比が鑑別に役 立つとの意見がある。
  • B-2:心筋にびまん性の18F-FDG集積が認められるが、そのなかに局在性の強い集積が存在するもの(focal on diffuse)。 本所見は、一般に陽性と判定される。しかし、偽陽性例が含まれる可能性も指摘されているので、注意を要する。また、 心機能低下例や心不全症例では、絶食条件下でも心筋びまん性の18F-FDG集積を伴うことがあるので、この場合の判定は むずかしい。
  • C:左室壁全体にびまん性の18F-FDG集積があるが、局所的な高集積を認めないもの(diffuse)。病理組織学的検討から、 サルコイドーシスの心筋病変はびまん性ではなく局在性であることが知られているので、このようなタイプの18F-FDG集積は異常集積とは判定されない


🍩 心疾患のPET適応
  • 虚血性心疾患による心不全患者における心筋組織のバイアビリティ診断(他の検査で判断のつかない場合に限る)
  • 心サルコイドーシスの診断(心臓以外で類上皮細胞肉芽腫が陽性でサルコイドーシスと診断され、かつ心臓病変を疑う心電図又は心エコー所見を認める場合に限る)又は心サルコイドーシスにおける炎症部位の診断が必要とされる患者に使用(※投稿者補足:つまり疑い症例では適応なし

※ 令和2年3月5日 保医発0305第1号 の349ページから抜粋

💁 PETに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-12-20

マイヤーズカクテル Myers' cocktail

  • ビタミンB群,ビタミンC,カルシウム,マグネシウムの点滴
  • 命名は点滴を実施していたボルチモアの医師 John A. Myers
  • レシピは Myersの死後に医師 Alan Gaby が公開(下枠参照)
  • にんにく注射とも呼ばれ一部で5000円前後で施行されている
  • 医学的エビデンスには乏しく米国のQuackwatchに含まれる

Gaby AR. Intravenous nutrient therapy: the "Myers' cocktail". Altern Med Rev. 2002;7:389-403のAbstract(DeepL翻訳
  • 故ジョン・マイヤーズ医学博士の研究を基に、著者はビタミンとミネラルの点滴療法を幅広い臨床症状の治療に用いてきた。マグネシウム、カルシウム、ビタミンB群、ビタミンCからなる改良型「マイヤーズカクテル」は、急性喘息発作、片頭痛、疲労(慢性疲労症候群を含む)、線維筋痛症、急性筋痙攣、上気道感染、慢性副鼻腔炎、季節性アレルギー性鼻炎、心臓血管疾患、その他の疾患に有効であることがわかってきた。この論文では、静脈内栄養剤の治療的使用の根拠を示し、関連する発表された臨床研究をレビューし、著者の臨床経験を述べ、潜在的な副作用と注意事項を論じている。

(投稿者 川崎)

2022-12-19

モンドール病 Mondor’s disease

  • 概要:体表に触知可能な紐状の硬結構造物を呈するかなり稀な良性の血栓性静脈炎
  • 初報:仏外科医 Mondor(Mémoires de l'académie de chirurgie 1939; 65: 1271-1278)
  • 症状:索状の触知可能な硬結(稀に痛み,こわばり,紅斑,発熱,不快感などを伴う)
  • 診断:身体検査(+血管エコー)/ただし他の基礎疾患に関連した二次性は除外必要
  • 原因:特発性45%,外傷性22%(きついブラジャーを含),医原性20%,乳がん5%
  • 部位:前外側胸腹部壁(オリジナル),陰茎,および腋窩(別名は腋窩ウェブ症候群)
  • 疫学:病変は主に片側性で,女性と男性の比率は9:1〜14:1と女性に多い(特に中年)
  • 経過:原発性は治療不要で4~8週間で自然治癒し再発は稀(二次性は基礎疾患による)

参考)Intern Med 2018;57:2607–12,ほか

胸壁モンドール病(52歳・男性)
胸痛と柵状構造物の触知で来院.右上肢の挙上時に出現(図1)して,上肢を降ろすと消失(図2)が特徴的.(Intern Med 2019;58:3349) 

陰茎モンドール病(28歳・男性)
1週間前に妻と激しいセックス.性的禁欲だけで2週間以内に病変は解消し2年間の追跡期間中,再発も勃起不全も観察されず.(Intern Med 2018;57:2607–12

腋窩モンドール(腋窩ウェブ症候群)(32歳・男性)
疼痛で来院して腋窩の柵状構造物とエコー所見から診断.無治療で4週間以内に改善.(Intern Med 2019;58:1805

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(投稿者 川崎)

2022-12-18

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

肥大型心筋症の心内膜下虚血
肥大型心筋症の心内膜下虚血に関連する事項
Kawasaki T & Sugihara H : J Cardiol ;63:89-94 ; 2014



(投稿者 杉原)

2022-12-17

「OP/CEPはありません」

👿 臨床現場
  • 先日,胸部CTの診断欄に「OP/CEPを示唆する所見はありません」と記載されていました.

CEP(chronic eosinophilic pneumonia)=慢性好酸球性肺炎
  • 特徴:女性,40代発症,アトピー素因,2週~4カ月程度の症状先行,非喫煙者など
  • 確定:BALで好酸球≧25%以上,血中好酸球の上昇,肺生検で好酸球性肺炎の証明

OP(organizing pneumonia)=器質化肺炎
  • 特徴:性差なく50~60代で発症し喫煙との関連は否定的(以前はBOOPと呼称)
  • 誘引:気道感染症,薬剤,膠原病,悪性疾患,放射線療法などが報告されている

👾 独り言
  • OPとCEPはともにCTで散在性かつ非区域性に多発する気管支血管束周囲や胸膜直下へのすりガラス状陰影を認めます.
  • 高分解能CTを用いても画像だけでは両者の鑑別が難しので,OP/CEPとひとまとまりとして記載されているようです.

(投稿者 川崎)

2022-12-16

コタール症候群 Cotard's syndrome

  • 先日,興味深い症例報告(Case 34-2022, NEJM)を読んだので簡単ですがまとめておきます.特筆すべきは,その主訴です:When she was asked to elaborate on her concerns, she stated, “He is dead. I am dead.

コタール症候群(Cotard's syndrome)
  • 妄想的信念を抱く精神障害のひとつで「迫害妄想病」と異なる「否定妄想病」を抱く
  • 具体的には自分自身が既に死亡している,腐敗している,内臓を失っていると訴える
  • フランスの精神科医である Jules Cotard(1840–1889)が1880年に提唱した(引用
  •  3つの時期:発芽期(症状出現),開花期(症候群の完全発達と否定妄想),慢性期
  • 治療は抗うつ薬,抗精神病薬,気分安定薬など(うつ病患者では電気けいれん療法)

(投稿者 川崎)

2022-12-15

🎯 今週の一枚

呼吸困難感でERに搬入された症例の動脈血ガス分析
(10Lリザーバーマスク,呼吸数は30回/分,会話不能)

【問題】アシドーシスの原因は?




判定



(投稿者 川崎)

2022-12-14

”tophi”とは...😯

  • 先日,主訴の英語”tophi”が分からなかったので…反省を込めて😅

  • 痛風結節を意味するtophus (ラテン語で石の意味)の複数形
  • その発音は tóufài(トウファイ),実際の音声は コチラ


💁 痛風に関する過去投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-12-13

日本内科学会 第238回近畿地方会より

😐 個人的に気になった報告

演題38 経口避妊薬が原因と考えられた急性膵炎の1例
  • 入院時の血液検査にてTGが4633 mg/dlと高値であった。その原因として患者が服薬していた経口避妊薬であるドロスピレノン・エチニルエストラジオールが疑われた。

演題52 Sick dayに家族がSGLT2阻害薬を内服させ、正常血糖ケトーシスを発症した1例
  • 本症例では高度な慢性便秘により食事摂取量が低下している状況下(+認知症)でSGLT2阻害薬を内服したことにより正常血糖ケトーシスを発症したと考えられた。

演題146 発熱患者における血液ガスを用いた入院判断
  • Lac<2 , pO2<65 , 3.3<K<4.4 の3条件のうち、ひとつでも満たさない患者は入院と判断されており、感度90%、特異度83%であった。

演題181 左房拡張障害を呈した食道裂孔ヘルニアの1例
  • 食道裂孔ヘルニアによる左房拡張障害が肺動脈圧の上昇に寄与し、結果として心不全症状を来したと考えられた。

演題195 バイアスを意識し診断し得た憩室出血、真性多血症の1例
  • 認知要因は「また同じ憩室出血だろう」という利用可能性バイアス,血小板増多を精査しなかった検索に対する満足,血小板増多がAvWSを合併しうることを知らないという医療情報不足と考えられた.


👻 当院からの発表
  • 演題56 メトホルミン内服中に腎後性腎不全による乳酸アシドーシスを来した1例(糖尿病・内分泌内科 堀内萌生先生)
  • 演題62 アルコール性ケトアシドーシスを契機に発見された緩徐進行1型糖尿病の症例(糖尿病・内分泌内科 山本慎大先生)
  • 演題207 非髄膜炎菌性Waterhouse-Friderichsen症候群疑いの1例(総合診療科 間瀬泰我先生)

😇 みんなの発表とてもナイスだったそうです(今回は循環器地方会と同日のため参加できず)

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-12-12

第134回日本循環器学会近畿地方会より

😃 個人的に気になった報告
 
A-8 MINOCA による心室中隔穿孔だったことが剖検で確認できた一例
  • MINOCA=Myocardial Infarction With Nonobstructive Coronary Arteries.剖検では,穿孔部位を支配する心外膜冠動脈に閉塞は認めず,微小血管へのヘモジデリン沈着と周囲の繊維化を認めたことから,微小血管閉塞による心筋梗塞の確定診断に至った.

G-36 特発性左房解離の一例
  • 経食道心エコー図にて P2 flail に伴う重 症 MR,さらに左心耳入口部下縁に接して中隔側左 房壁に幅約2cmの膜状構造物を認めた。同構造物と 左房壁との間隙は無エコー域で心室心周期に一致す る可動性を認め左房解離と診断した。

H-28 診断に苦慮した Valsalva 洞破裂の一例
  • Valsalva 洞破裂は通常連続性雑音を呈するとされている。今回,頻脈もあったため汎収縮期雑音と誤認したが心音図では拡張期雑音であり,その後の精査で Valsalva 洞破裂と 診断した。

H-35 急性心筋梗塞治療後のフォローアップ中に Dressler 症候群を疑う心膜炎を発症した一例
  • 経胸壁心臓超音波検査で心嚢水は極少量であったものの,造影 CT で造影効果を伴う心膜肥厚を認め,心筋梗塞後急性心膜炎の疑いで緊急入院となった。

J-29 ペースメーカ感染を起こし局所麻酔下で経皮的リード抜去術を行いリードレスペースメーカ植込術を行った1例
  • 全身麻酔は高リスクであったものの開胸術後であり心タンポナーデのリスクは低いと判断し,局所麻酔下で経皮的リード抜去術を施行した。高齢であり菌血症にも至っていなかったため一期的にリードレスペースメーカ植え込みを施行した。


👻 当院からの発表
  • F-17 甲状腺機能亢進症の治療のみで軽快した肺高血圧症の1例(循環器内科 熊田早紀子ほか)
  • I-5 急性心筋梗塞を発症したWellens症候群の1例(循環器内科 本田早潔子ほか)
  • I-25 心雑音を契機に発見された未破裂右バルサルバ洞動脈瘤の1例(循環器内科 野口理希ほか)
  • 特別セッション3 Physical Examinationを学ぶ『聴診で分かること』(循環器内科 川﨑達也)

症例報告の3演題中2演題は英語論文として報告済み(残る1例も準備中です)

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2022-12-11

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

肥大型心筋症における運動負荷FDG
肥大型心筋症の運動負荷直後FDG投与イメージング
Yamano M et al : Heart ;95:1051 ; 2009



(投稿者 杉原)

2022-12-10

経食道心エコー法の禁忌

食道静脈瘤があると分かっている症例に経食道心エコーを行なうことになりました.禁忌?相対禁忌?など少し曖昧な認識でした.そこで同検査の禁忌などを調べてみました.


 行うべきではない疾患や病態
  • 食道狭窄,食道静脈瘤(red color sign[RC]1以上),食道憩室,胃・食道術後,食道癌
  • 胃・食道の出血・潰瘍・腫瘍
  • 頚部・縦隔放射線治療の既往
  • 頚椎損傷など頚部の可動性に問題がある疾患
  • 検査への理解・同意が得られない,または協力が得られない症例
  • 局所麻酔薬や鎮静薬に対する過敏症の既往

慎重さが求められる疾患や病態
  • 不安定狭心症や急性心筋梗塞の発症3日以内
  • 血圧がコントロールされていない急性大動脈解離や腹部大動脈瘤
  • 脳出血・脳梗塞急性期,破裂リスクの高い脳動脈瘤

注意点
  1. 滑脱型食道裂孔ヘルニアでは,プローブの位置に注意すれば安全に検査を施行できる
  2. 肝硬変では,上部消化管内視鏡検査で食道静脈瘤の有無を事前に確認するほうがよい
  3. 検査施行前に,出血傾向,血小板や凝固機能の異常の有無を確認することも必要

💁 禁忌に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-12-09

メラス(MELAS)の診断

医局での会話 💨
  • 他科の専攻医 「先生,心臓の質問いいですか?」
  • 循環器専門医 「おぅ,なんでも聞いてくれ」
  • 他科の専攻医 「メラスってどうやって診断するんですか?」
  • 循環器専門医 「乳酸が高くて,あとは遺伝子だけど…汗」

  • Mitochondrial myopathy, Encephalopathy, Lactic Acidosis and Stroke-like episodes
  • 邦名はミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群
  • 多彩なミトコンドリア病の一つでMELASは最多(日本の741例中31.4%)
  • 診断の流れ:疑う ➜ 障害臓器を同定 ➜ ミトコンドリア機能異常の証明
  • 血液の乳酸やピルビン酸は常に高値とは限らず(髄液のみが高値例あり)

- ミトコンドリア病診断のためのフローチャート -

診断特異度が高いミトコンドリア機能異常の証明
病理検査
  • 骨格筋病理における酵素活性低下又は赤色ぼろ線維(ゴモリ・トリクローム変法染色におけるragged-red fiber:RRF)、高SDH活性血管(コハク酸脱水素酵素におけるstrongly SDH-reactive blood vessel:SSV)、シトクロームc酸化酵素欠損線維、電子顕微鏡によるミトコンドリア病理学的異常 
  • 骨格筋以外でも症状のある臓器野細胞・組織のミトコンドリア病理異常
  • 核の遺伝子変異の場合は、培養細胞などでミトファジーの変化や融合・分裂の異常を確認

酵素活性・生化学検査
  • 罹患組織や培養細胞を用いた酵素活性測定で、電子伝達系、ピルビン酸代謝関連 及びTCAサイクル関連酵素、脂質代謝系関連酵素などの活性低下(組織:正常の20%以下、培養細胞:正常の30%以下)
  • ミトコンドリアDNAの転写、翻訳の低下

DNA検査
  • 病因的と報告されている、又は証明されたミトコンドリアDNAの質的異常である欠失・重複、点変異(MITOMAP:http://www.mitomap.org/ などを参照)や量的異常である欠乏状態(正常の20%以下)
  • 又は、ミトコンドリア関連分子をコードする核遺伝子の病的変異

参考)難病情報センター ミトコンドリア病(指定難病21)

💁 ミトコンドリアの過去投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2022-12-08

🎯 今週の一枚

収縮期雑音で循環器内科を紹介受診した症例(端座位)

🍙 解説
  • 頸部に周期的拍動あり ➜ 動脈性あるいは静脈性の判断が必要
  • 動脈性なら頸動脈のコリガン脈 ➜ 大動脈弁逆流(拡張期雑音
  • 静脈性なら頸静脈のランチシ徴候 ➜ 三尖弁逆流(収縮期雑音
  • 外頸静脈は見えず+左側にも拍動あり(矢印)➜ 動脈性を示唆
  • 本例の最終的な診断は大動脈弁逆流による頸動脈のコリガン脈

😗 余談
  • 頸静脈拍動は陥凹することが多いのですが,中心静脈圧が高度に上昇すると陽性波を形成することがあります(典型例).陽性波が動脈性か静脈性かは拍動の触診で鑑別できますが,なんとか視診のみで診断したいといつも思っています(本ページでは様々な方法で鑑別に挑戦しているので検索窓から探してみてください)
  • 本例のポイントは収縮期雑音として紹介受診した点です.臨床現場では,大動脈弁逆流例が拡張期雑音で紹介されてくることはむしろ稀だと思います.拡張期雑音はとても見逃しやすい音です.本例も大動脈弁狭窄はありませんが,相対的な大動脈弁狭窄によると思われる収縮期雑音が目立ちました(厳密には往復雑音でした)

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-12-07

もしバナゲーム™ Go Wish Game™

  • 終末期に関する対話を促進する目的で開発された Go Wish Game™ の日本語版
  • Go Wish Game™は1999年に米国医師会を中心とした全米の調査()に基づく
  • 36枚のカード「どのようにケアして欲しいか」「自分にとって何が大事か」他
  • 一例:余命6カ月として5枚のカードを選び順位づけをしてその理由を話し合う
  • プレイを通じて参加者がAdvance Care Planning(ACP)を行う動機付けになる


一般社団法人iACP (アイ・エー・シー・ピー)が翻訳・制作・出版

💁 終末期に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-12-06

ブルンベルグ徴候 Blumberg's sign

今更のブルンベルグ徴候ですが,少し混乱してきたので頭の整理も兼ねて...😨

👥 ブルンベルグ徴候(Blumberg's sign)
  • 腹壁を用手的に圧迫後,手を急に離す時に鋭い疼痛(反跳痛/rebound tenderness)があれば陽性.腹膜炎を示唆する腹膜刺激症状の一つで,虫垂炎や腹膜炎、子宮外妊娠などで生じる.
  • ドイツの外科医・産婦人科医 Jacob Moritz Blumberg(1873–1955)の初報に由来(Blumberg JM. Ein neues diagnostisches Symptom bei Appendicitis. Münchener medizinische Wochenschrift. 1907;54: 1177-8)
  • 圧迫部位は問わない.類似した所見には筋性防御(muscular defense),左側臥位で増強する圧痛のローゼンシュタイン徴候(Rosenstein's sign),左下腹部圧迫で生じる右下腹部の圧痛であるロブシング徴候(Rovsing's sign)などがある.

👤 部位が問われる所見
  • 虫垂炎を示唆する所見として,ランツ(Lanz)圧痛点(上前腸骨棘を結ぶ直線の右1/3分割点),マックバーネー(McBurney)圧痛点(右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の右1/3分割点),キュンメル(Kummel)圧痛点(臍の右下方1~2cm),モンロー(Munro)圧痛点(右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の中点)などがあります.

💁 虫垂炎に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-12-05

👴 歴史クイズ




(投稿者 川崎)

2022-12-04

心筋イメージング:輝きを放つ一枚

AMIにおけるPCI直後のPYP
急性心筋梗塞で来院時のtetrofosmin像とPCI直後の PYP像(上)とPCI中の冠動脈造影と心電図(下)
伊藤一貴先生(伊藤クリニック)提供



(投稿者 杉原)

2022-12-03

LDL/HDL(L/H)比

😅 先日の診察室で...
  • 検診結果を持参された患者さんから,表に記載されていたL/H比に関して質問されました.もちろんLDLコレステロール値➗HDLコレステロール値で算出される動脈硬化の指標の一つです.ただし正常値やその意義に関しては”ふわっと”しか答えられなかったため調べてみました.

👺 L/H比の目安
  • 1.5未満 ➜ 正常(基準値)
  • 1.5以上 ➜ 動脈硬化が生じ始める
  • 2.0以上 ➜ 動脈硬化の可能性が大きい
  • 2.5以上 ➜ 心筋梗塞や脳梗塞のリスクあり

😋 追加コメント

(投稿者 川崎)

2022-12-02

これなら安心

拡張型心筋症+アブレーション後の症例
診察前の心電図検査で心房細動が再発していることが判明した

🐦 解説
  • 端座位で鎖骨上に内頸静脈の拍動なし ➜ 中心静脈圧の高度上昇なし
  • 吸気負荷でも拍動は出現せず ➜ 中心静脈圧の中等度〜高度上昇なし
  • 左上肢の挙上でも拍動は視認せず ➜ 中心静脈圧の中等度の上昇なし
  • 息切れなどの心不全症状なく聴診でもⅢ音を聴取せず ➜ 1月後再診

🐳 独り言
  • 以前は吸気負荷で内頸静脈の拍動が出現しなかったら(広義のクスマウル徴候陰性),「これなら一安心」と判断していました.しかし最近では心不全(新規または再発・増悪)が疑われる症例では,吸気負荷が陰性の場合に吸気と左上肢挙上の同時負荷を行うようにしています.
  • 実は本症例は診察室に入ってきて椅子に腰掛けた直後の検査で,左上肢挙上負荷は陽性でした.しかしスマホを取り出して撮影許可を得た後の上記記録では陰転化していました.1〜2分の座位で視認できなくなる静脈圧の上昇なら,急いで介入しなくても大丈夫だろうと判断しました.

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2022-12-01

🎯 今週の一枚

突然の背部痛を自覚した高齢者



(投稿者 川崎)