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2025-10-06

心音クイズ(Q11・Q12)

  • 持田製薬さんと作成している心音クイズのシーズン2 第二弾です(GROUP T inc.さんにも感謝 🙏).今回はちょっと珍しい右心系の心雑音を呈した2症例です.ココで経験しておけば実際の臨床現場で遭遇した時にも迷わずフィジカル診断?
  • 今後も3ヵ月毎に2症例ずつアップする予定です(次回は2025年11月の予定).無料なのでよろしければご覧ください(※Q3以降は初回のみ簡単な登録が必要).一緒に聴診学の楽しさと奥深さを共有できれば作成者としては嬉しい限りです 😁


心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2025-02-19

スタージ・ウェーバー症候群 Sturge–Weber syndrome

  • 概要 頭蓋内の軟膜血管腫と顔面の毛細血管奇形,緑内障を特徴とする神経皮膚症候群の一つ
  • 命名 英国の医師 Sturge WA (1850–1919)と英国の皮膚科医 Weber FP (1863–1962)の報告(
  • 症状 顔面ポートワイン斑,難治性てんかん、精神運動発達遅滞,運動麻痺,視力障害など
  • 原因 9番染色体長腕上に存在するGNAQ遺伝子の単一ヌクレオチド、モザイク変異(非遺伝性)
  • 疫学 年間50,000~100,000出生に1人の発症率と推定(本邦では年間10~20人の発生となる)
  • 治療 対症療法(てんかんに対し薬や外科治療,顔面毛細血管奇形に対しレーザー治療など)
  • 予後 成人期まで観察した多数例の長期予後の報告はない(緑内障は緩序進行性で失明あり)


Sturge–Weber syndrome(SWS)の21歳女性

(投稿者 川崎)

2024-12-29

Angiosome 皮膚血管解剖領域

📙 先日読んだ論文の一文から
  • アンギオサムに基づく血行再建が創傷治癒に有効であるとされてきた」

💁 Angiosome(皮膚血管解剖領域)
  • 特定の動脈から供給され、特定の静脈から排出される皮膚・皮下組織・筋膜・筋肉・骨を含む組織領域.オーストラリアの形成外科である Taylor GI と Palmer JH が導入したコンセプトである(Br J Plast Surg 1987;40:113-41).
  • 例えば足は6つのアンギオソームで構成されている(下図:後脛骨動脈から3つ,腓骨動脈から2つ,前脛骨動脈から1つが発生).カタカナではアンギオサムやアンジオサム,アンギオソム,アンジオソーム,アンギオソームなどが混在
  • Angiosomeは日本循環器学会用語集には登録されていないが,YouTubeではアンジオゾームと発音されている様に聞こえる(実例).字面や音感もアンギオサムやアンジオサムよりかっこいい(より医学用語様)と思うのは僕だけ? 😯

👉 解剖に関するの過去の投稿は コチラ(PC版なら右下の欄から選択可能)

(投稿者 川崎)

2024-06-20

今週の一枚 🎯 漏斗胸:V1 ≒ aVR

検診で心電図異常を指摘された男性(無症状)

👶 解説
  • 前胸部に陥凹があり漏斗胸と判断
  • 心窩部に周期的陥凹もあり(矢印)
  • 橈骨動脈の拍動と一致し右室拍動
  • 本例は無症状で心エコー図も正常

😃 追加コメント
  • 漏斗胸では胸郭の前後径が小さくなり,右心系の異常がなくても明瞭な右室拍動をしばしば経験します(他の自験例:コチラ).三尖弁や僧帽弁の逆流を伴うこともありますが,本例くらいの漏斗胸で問題になることは少ないと思います.
  • 本例の受診契機は心電図異常でした.漏斗胸26例の手術前後での心電図検討:術後にII誘導のP振幅とV1のP陰性振幅が減少,平均QRS幅の減少,Sokolow-Lyon指数の減少,V4-V6のJ波が増加(J Electrocardiol 2016;49:174-81)   
  • 漏斗胸の心電図にはもっとピンポイント判定法があるようです.それはV1の陰性P+Qrパターン+陰性T波です(北海道医報 第1249号).V1電極がaVRと同じ角度になるからだそうです(なるほど&何事もその道の匠はすごい😳)

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👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2024-06-03

先天性小耳症 Congenital microtia

  • 1万〜1.5人に1人発生する先天性疾患(本邦では年間約100人前後出)
  • 外耳道閉鎖・狭窄を高率に合併するが片側性が90%で対側聴力は正常
  • 妊娠初期の外耳形態形成時期での多因子遺伝や環境因子が関与する?
  • 治療は形成外科が中心で73例中男児52例で平均11.8歳(10歳〜20歳)


肋骨軟骨を使用したベース フレーム製作の模式図
症例提示
合併症:鋼線突出(1.4%),皮弁静脈うっ血(2.3%),皮膚壊死・軟骨露出(1.7%)

💁 に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-04-02

トリーチャー・コリンズ症候群 Treacher Collins Syndrome (TCS)

  • 概略 特徴的な顔面形態を認める稀な先天性疾患(頻度は1万人あたりおよそ1人)
  • 命名 英国医師 Treacher Collins の初報(Trans Ophthalmol Soc UK 1900;20:190–2)
  • 別名 下顎顔面骨形成不全症あるいはTreacher Collins-Franceschetti Syndromeなど
  • 遺伝 多くは常染色体優性遺伝(約60%は新規突然変異/患者の子は50%の確率で罹患)
  • 外観 頬骨欠損や下顎骨形成不全,外耳奇形,下眼瞼欠損,伝音性難聴,口蓋裂など
  • 診断 臨床所見と画像,遺伝子変異(TCOF1が78%~93%, 他にPOLR1C・POLR1Dなど)
  • 治療 頭蓋顔面再建(口蓋裂含む),気道管理,外耳道再建,遺伝カウンセリング他 


異なる年齢のトリーチャー・コリンズ症候群(TCS)患者

(投稿者 川崎)

2023-12-18

鳩胸 Pectus carinatum

先日,SNSで高度の鳩胸の症例を見かけたので少しまとめてみました.

  • 概略 前胸壁が前方に突出した胸壁の先天異常(漏斗胸とは逆)
  • 原因 肋軟骨の伸長欠陥の疑い(25~33%で遺伝的要素あり?)
  • 疫学 発生率は約1000人に1人(漏斗胸の約1/10)で男:女は5:1
  • 合併 稀に側弯症,マルファン,僧帽弁逸脱,骨形成不全など
  • 経過 通常出生直後には確認されず成長で加速(10代で顕性化)
  • 症状 多くは無症状(稀に突出部位の圧痛や運動耐容能の低下)
  • 予後 良好で通常は長期的な健康への悪影響もないと思われる
  • 対応 矯正器具,外科的修復,隠蔽(ボディビル,女:豊胸術)


😉 なんでも探偵団
  • pectusはラテン語で胸(chest),carina(or keel)は古代ローマの船の竜骨(船底中央を縦に通す強度部材)から名付けられたようです().発音はココで,別名はkeel chestやpigeon chest
  • 逆の病態である漏斗胸の英名はpectus excavatumで,excavatumはラテン語でhollowed(空洞の)を意味するようです().発音はココで,sunken chestなどとも呼ばれることがあります.

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(投稿者 川崎)

2023-11-21

頭部脳回転状皮膚 Cutis Verticis Gyrata: CVG

  • 頭皮軟組織の過剰肥厚で脳のような外観を呈する病態
  • 初報は1837年にフランスの皮膚科医であるJLM Alibert
  • 隆起部は硬く圧を加えても平らにすることはできない
  • 頭皮の中央〜後部に多いが頭皮全体に及ぶこともある
  • 頻度は1/10万人以下で男女比6:1,好発は思春期〜30歳
  • 脳性麻痺やてんかん,精神神経疾患と関連する可能性
  • 二次性CVGは先端巨大症,母斑,炎症過程などと関連
  • 通常は良性疾患で治療不要(二次性では原疾患の治療)
  • 美容的に外科切除,皮膚充填剤,ヒアルロニダーゼ注射


- 頭部脳回転状皮膚を呈した先端巨大症の60歳男性 -

(投稿者 川崎)

2023-08-24

今週の一枚 🎯

転倒症例の頭部CT




(投稿者 川崎)

2023-06-08

🎯 今週の一枚

患者さん 「これ(青矢印って何ですか?」


🔗 剣状突起(Xiphoid process)
  • 胸郭前面の正中部にある扁平骨=胸骨(Sternum)の足側部分(他は頭側から胸骨柄と胸骨体)
  • ギリシア語由来のxiphoidとそれに相当するラテン語のensiformの意味はいずれも「剣のような」
  • 剣状突起は通常,第9胸椎およびT7 dermatome(皮膚分節)のレベルにあると考えられている
  • 15〜29歳頃に剣状突起は線維性関節で胸骨の本体(胸骨体)に融合するためその可動性は消失
  • 40歳頃に剣状突起の骨化が生じるため本例のように「コレなんですか?」と聞かれることあり
  • ちなみに剣状突起に生じうる分岐や穿孔には遺伝性があり遺骨と家族の推定に有用らしい 😮

📎 臨床的意義
  • 剣状突起は横隔膜を含む多くの筋肉の付着に関与し,腹直筋を固定しています.よって心肺蘇生(CPR)時の胸骨圧迫では剣状突起に圧力をかけないようにする必要があります.横隔膜裂傷や肝損傷(致命的内出血)に至ることがあるからです.
  • 剣状突起に関連して生じた痛みは剣状突起痛(Xiphodynia)と呼ばれています.筋骨格障害で明瞭な圧痛を認めるため,その診断に困ることは稀でしょうか.胸骨と剣状突起の間の接合部の炎症によって引き起こされると考えられているようです.

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(投稿者 川崎)

2023-03-28

プロテウス症候群 Proteus syndrome

  • 概要 複数の組織・臓器の過成長・過形成+腫瘍の発生リスク上昇
  • 頻度 非常に稀で100万人あたり1例未満の発生率(遺伝はしない)
  • 原因 癌遺伝子のAKT1に体細胞活性化変異 (c.49G→A、p.Glu17Lys)
  • 初報 米国の老年医学の医師Temtamyら(J Pediatr 1976;89:924-7
  • 命名 姿を変えることができるギリシアの海神プローテウスに由来
  • 所見 過成長・形成は左右非対称であることが特徴(学習障害なし)
  • 治療 根本的治療法なく対症療法が中心(必要時に手術などを行う)


プロテウス症候群の12歳少年

追加コメント
  • 映画「エレファント マン」の主題となった英国人のジョセフ・メリック(Joseph Carey Merrick、1862-1890)の身体の極度な変形、膨張はプロテウス症候群が原因と推測されているようです.ただしレックリングハウゼン病などとして知られる神経線維腫症1型などは完全に否定できていません.

(投稿者 川崎)

2022-09-03

鼻瘤(びりゅう)👃 Rhinophyma

  • 鼻尖部の充血や肥厚で酒鍍の最も高度な型で,欧米に多いが本邦では比較的まれ
  • 機序は発赤と毛細管拡張 ➜ 皮脂の分泌亢進 ➜ 結合織増生と皮脂腺の排泄障害
  • 治療は腫瘤切除(+再上皮化を待つ or 皮膚移植),高周波レーザーによる切除


💁 に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2021-03-02

外傷性刺青 Traumatic tattoo

  • 外的な力で異物が皮膚に入り色素沈着を呈する病態
  • 刺入創(鉛筆の芯など)や擦過創,爆損傷後に出現
  • 自然消退はないので初診時の洗浄や異物除去が重要
  • 治療はデブリードマンやレーザー(一部保険適応)


(投稿者 川崎)

2020-12-24

🎯 今週の一枚

ペースメーカ植込み慢性期に創部異常を認めた症例

😈 コメント
  • 皮膚が壊死してペースメーカ本体が露出し,創部からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出された.抗菌薬投与と創面切除(デブリードマン)では完治せず,最終的にペースメーカ抜去を要した.
  • ポケット感染の発生頻度は759手術中20例(約3%)で,3月以内が5例,7ヵ月〜2年が12例(心臓 2002;34:639-43).その予後は不良で,感染デバイス416件の30日死亡は5.5%, 1年死亡は14.6%(Heart Rhythm 2011;8:1678-85) 
  • 一旦ポケット感染を発症した症例では,創部治癒後に再手術を対側に行うことが多いが,再感染を生じるリスクが低くない.心房ペーシングが必須でないなら,リードレスペースメーカ(下図)を植込む選択肢がある.

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🔌 ペースメーカに関連する投稿は コチラ

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(投稿者 川崎)

2020-10-20

ポーランド症候群 Poland's syndrome

  1. 片側胸筋の発育不良や欠損,肋骨・肋軟骨異常,合短指・短指症などを特徴とする先天性疾患
  2. 英国の外科医 Sir Alfred Poland(1822–1872)が初報(Guy's Hospital Reports 1841;VI:191–3
  3. 頻度は2万~3万人に1人/75%が男性で75%は右側に出現/治療は豊胸術などの形成外科手術


(Indian J Hum Genet 2014;20:82–4/本例は左が患側)

  👾 トリビア調査隊
  • Sir Alfred Polandはロンドン生まれ・ロンドン育ちでポーランド人ではありません.ポーランドという姓は英語化されたアイルランド姓で,アイルランド以外では英語とドイツ語が起源のようです().ちなみにポーランドの国名は西スラヴの部族ポリャーネ族が由来で,ポリャーネの由来はスラヴ祖語でfieldを意味するようです().本邦にも日本という苗字の方がおられることを今回初めて知りました.読み方はひのもと・ひもと・にほん・にっぽん・やまとで,およそ150人の方がこの貴重な姓を持っておられるようです().

(投稿者 川崎)

2019-05-02

脂肪吸引 Liposuction

  • 基本的に5mm以下の吸引器を脂肪組織に挿入して脂肪(平均5000ml/回)を吸引する比較的シンプルな手技
  • 局所麻酔で施行可能であるが,大量吸引時や使用機器,患者リスクなどに応じて全身麻酔や脊椎麻酔も使用


合併症は全体で8.6~20% (Korean J Radiol 2015;16:1197-206Aesthet Surg J 2010;30:83-97)
  • 比較的高頻度 ➜ 輪郭変形(最多で20%),血清腫(seroma),色素沈着過度,非対称,肥厚性瘢痕
  • 重要または重篤 ➜ 皮膚壊死,感染症(蜂窩織炎など),壊死性筋膜炎,肺塞栓,死亡(0.02–0.25%)

術後に蜂窩織炎を生じた1例

(投稿者 川崎)

2018-07-26

ヒトアジュバント病

  • 異物を用いた美容外科手術後に生じる自己免疫疾患類似病態
  • adjuvant 【名】補助薬,【形】補助の(ˈædʒ.ə.vənt 実際の発音
  • 三好和夫らが提唱した疾患観念(日本医事新報 1964;2122:9-14

  • 機序 Tリンパ球が活性化し様々なサイトカインを放出による?
  • 英名 silicone granuloma や silicone lymphadenopathy など
  • 病理 サルコイドーシスに類似(リンパ球浸潤と多核巨細胞)
  • 鑑別 異物の存在および異物を貪食した細胞の存在が重要


(投稿者 川崎)