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2026-03-28

チャールソン併存疾患指数 Charlson Comorbidity Index

  • さまざまな併存疾患を持つ患者の死亡率(10年生存率)を予測するモデル
  • 米国の疫学などを研究する医師 Mary E. Charlson らが1987年に開発(
  • オリジナルは計19のカテゴリーを考慮(追試結果に基づいて何度か修正)
  • スコアがゼロの場合は併存疾患なく,スコアが高いほど予測死亡率が高い
  • 判断基準の一例:0=低い、1~2=中等度、3~4=高い、≧5=とても高い  
  • 医師にとっては原疾患をどの程度積極的に治療するか決定するのに役立つ

🍃 チャールソン併存疾患指数(の一例)
  • 1点 ➜ 心筋梗塞、うっ血性心不全、末梢血管疾患、脳血管疾患、認知症、慢性肺疾患、リウマチ性疾患、消化性潰瘍、肝疾患(軽症の場合)、糖尿病(コントロールされている場合) 
  • 2点 ➜ 片麻痺または対麻痺、腎疾患、悪性腫瘍(局所性の場合)、糖尿病(コントロールされていない場合)、白血病、リンパ腫
  • 3点 ➜ 肝疾患(中等症/重症の場合)
  • 6個 ➜ エイズ、悪性腫瘍(転移性腫瘍の場合)
  • 追加ポイント ➜ 50~59歳 +1ポイント、60~69歳 +2ポイント、70~79歳 +3ポイント、80歳以上 +4ポイント


(投稿者 川崎)

2025-05-24

終末期予後予測:PaPスコア & PPI

PaPスコア(Palliative Prognosis Score:計算ページ
  • 月単位の中期的な生命予後を予測するためのスケール(客観性にやや欠ける)
  • イタリアの医師 Pirovano らが開発(J Pain Symptom Manage 1999;17:231-9
  • 臨床予後、活動・症状、白血球(多い=悪)、リンパ球(低%=悪)から算出
  • 判断の目安は9点以上を21日以下(週単位)、5.5点以下を30日以上(月単位)

PPI(Palliative Prognostic Index:計算ページ
  • 日本で開発された短期的な予後(週単位)を予測する指標で血液検査が不要
  • 聖隷ホスピスの Morita らによって報告(Support Care Cancer 1999;7:128-33
  • 経口摂取量(TPN=0点)、浮腫、安静時呼吸困難、せん妄の合計得点から算出
  • 6.5点以上なら21日以下(週単位)、3.5点以下なら42日以上(月単位)と判断

💁 緩和 に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右下から選択可能)

(投稿者 川崎)

2024-06-30

最近の耳学問 👂

  • 心不全症例のBNP変動は±30%ならOKで,>50%なら原因を考える
  • 則末先生らの著書「終末期ディスカッション」は一読の価値あり
  • 大動脈弁逆流の手術はDd, Ds, EFが70, 50, 30mmまでに(いわゆる七五三)
  • 糖尿病の昔の名前は蜜尿病,近い将来にダイアベティス(Diabetes)?
  • 神経生検は通常,踝の腓腹神経(純粋な感覚神経で運動麻痺の後遺症なし)
  • BRCA1とBRCA2は遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)に多い変異で性別を問わず50%の確率で遺伝
  • ラエンネックは第2音を発見したが心房収縮に関連と考えた(弟子のBertinが訂正)
  • Stereotactic Radiosurgeryとは大線量を1回で照射する定位手術的照射で外科手術とは無関係(複数回に分割する方法はstereotactic radiotherapy)
  • 眼振は緩徐相と急速相が明瞭な衝動性眼振と不明瞭な振子様眼振に分類
  • 生活習慣病は医学用語ではない(日本医学会 医学用語辞典に掲載されていない)

💁 忘備録に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2024-02-23

公正証書 Notarial deed

😐 先日,尊厳死宣言の公正証書を持参された方を経験しました.

🏢 公正証書(Notarial deed)
  • 概略 私人の嘱託により公務員である公証人によって作成された公文書で極めて強力な証拠力を有す
  • 種類 法律行為に関する証書(契約や遺言等)と私権に関する証書(知的財産権管理や尊厳死宣言等)
  • 作成 原則本人が公正証書の作成を依頼するが,本人の委任状を持った代理人によっても作成は可能
  • 現状 日本全国で法務大臣に任命された公証人は約500名で公証役場の数は約300カ所(2018年時点)

参考)日本公証人連合会,ほか

尊厳死宣言公正証書の1例

💁 リビングウィルに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2023-10-11

グリーフケア Grief care

  • 死別を経験すると不安定な状態になる(喪失と立ち直りの間の揺れ動き=グリーフ)
  • その結果様々な不調に至る(心[精神]的反応,身体的反応,日常生活や行動の変化)
  • グリーフケアはその状態に寄り添い援助すること(別名は遺族ケアや死別ケアなど)
  • このような人生における危機を回復をもたらす力(レジリアンス)となる転機に変える


訪問看護師が実践するグリーフケアの一例

(投稿者 川崎)

2022-12-07

もしバナゲーム™ Go Wish Game™

  • 終末期に関する対話を促進する目的で開発された Go Wish Game™ の日本語版
  • Go Wish Game™は1999年に米国医師会を中心とした全米の調査()に基づく
  • 36枚のカード「どのようにケアして欲しいか」「自分にとって何が大事か」他
  • 一例:余命6カ月として5枚のカードを選び順位づけをしてその理由を話し合う
  • プレイを通じて参加者がAdvance Care Planning(ACP)を行う動機付けになる


一般社団法人iACP (アイ・エー・シー・ピー)が翻訳・制作・出版

💁 終末期に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-09-23

皮下輸液法

緩和医療で用いられることが多い手技ですが,通常の日常臨床でも利用することがあるのでまとめておきます.以下の文言と図は 終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン(2013年版) からの抜粋です.

👀 皮下輸液の実施法
  • 1mL/分の滴下速度(1.5L/日まで,刺入部が 2 カ所の場合は 3.0L/日まで)
  • 500mL/h の投与速度を超えない
  • 1~4 日毎に注射針,チューブを交換する
  • 刺入部の浮腫,発赤,痛み,感染,液漏れなどを観察する

👌 皮下投与が可能な薬剤
  • 等張液(生理食塩液※,5%ブドウ糖液,1,3 号液,各種リンゲル液)
  • ビタミン類※(C,B1,B2,B6,B12,K,葉酸,ニコチン酸)
  • 抗菌薬(βラクタム系,モノバクタム系,クリンダマイシン,アミノグリコシド系)
  • 抗精神病薬(ハロペリドール),ベンゾジアゼピン系(ミダゾラム,ジアゼパム)
  • 麻薬類(モルヒネ※,ペンタゾシン※)
  • 抗コリン薬(ブスコパンなど),メトクロプラミド
  • 抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン※,ジフェンヒドラミン)
  • ステロイド,インスリン※,ヘパリン※,トラネキサム酸,リドカイン,フロセミドなど

※添付文書上,皮下投与が可能なもの。
その他は経験的に使用されており,安全であることを保証する論文はない。

🚫 皮下投与が不可である薬剤
  • 上記以外の抗菌薬,パミドロネート,ジゴキシン,フェニトイン,ジアゼパムなど

(投稿者 川崎)

2020-05-26

心不全緩和ケアトレーニングコース(HEPT)

  • HEPTHEart failure Palliative care Training program for comprehensive care provider
  • 目的:末期の心不全症例に対する基本的な緩和ケアを実践できる技術を身につけること
  • 対象:当初は循環器内科の専攻医らが想定されたが最近では医師以外にも広がっている

👴 HEPTは5つの要素で構成
  1. 心不全緩和ケア概論
  2. 意思決定支援のおけるAdvance Care Planning
  3. 主な身体症状への対応
  4. 心不全患者への精神ケア
  5. DNAR指示と治療の差し控えにおける臨床倫理


🉐 関連投稿(緩和編)
(投稿者 川崎)

2020-04-02

QOD

  • QOL ➜ Quality of Life(生活の質)
  • QOD ➜ Quality of Death(死の質)

  • QODが主にカバーする期間は死が近づいた終末期~臨死期~死の瞬間
  • ただし高齢者でQODを高めるには終末期からQOLを高めることが必要
  • 看取の有無と個の自立の有無による新しい死の概念(状態)も要考慮

関連投稿 🉐

(投稿者 川崎)

2020-03-20

PEACEプロジェクト

  • PEACE=Palliative care Emphasis program on symptom management and Assessment for Continuous medical Education)
  • 日本緩和医療学会が作成した「症状の評価とマネジメントを中心とした緩和ケアのための医師の継続教育プログラム」


🉐 緩和医療する投稿コチラ(ウェブバージョンなら画面右の分類からも選択可能です)

(投稿者 川崎)

2019-09-29

全人的苦痛 Total Pain

英国の看護師(その後39歳で医師になった)シシリー・ソンダース Cicely Saunders (1918–2005)が提唱した観念.終末期の苦しみには身体的,精神的,社会的,霊的(スピリチュアル)な4つの要素があり,これらが相互作用して全体的な苦しみ(全人的苦痛)を形成する.ソンダースは1967年に英国ロンドンに世界で初めてのホスピス(セント・クリストファー・ホスピス St Christopher's Hospice)を設立した.そして終末期の積極的なオピオイド導入などの緩和ケア(palliative care)を行い,全人的医療(holistic medicine)を実践した.

  1. 身体的苦痛 (Physical pain) ➜ 疼痛,倦怠感,嘔気,呼吸困難感など
  2. 精神的苦痛 (Psychological pain) ➜ 不安,孤独,怒り,抑うつなど
  3. 社会的苦痛 (Social pain) ➜ 職場や家庭での役割喪失や経済問題など
  4. 霊的苦痛(Spiritual pain) ➜ 罪の意識や人生の意義,死の恐怖など

関連投稿 🉐

(投稿者 川崎)

2019-07-25

緩和医療におけるステロイド

【効果】
  1. サイトカインに対する効果:局所におけるサイトカインの産生を抑制し、がん悪液質症候群に伴う食思不振や倦怠感を改善する。
  2. 抗浮腫・抗炎症効果:腫瘍周囲に出現する浮腫や炎症反応を減少することにより、腫瘍による圧迫や浸潤を緩和し、症状を改善する。
  3. 中枢神経系に対する直接的効果
【処方例】
  • 漸増法:ベタメタゾン0.5mg/日で開始し、徐々に増量(4mg/日まで)する。
  • 漸減法:ベタメタゾン4-6mg/日を3-5日間投与し、有効であれば効果のある最小量(0.5-4mg/日)に漸減する。効果がない場合には中止する。
(生命予後が不明確、または3ヶ月以上)長期投与による合併症を避けるため、1-5日間の短期投与を反復。
(生命予後が3ヶ月未満)長期投与による合併症を観察しながら、効果の期待できる最小量に漸減(0.5-4mg/日)

がん悪液質状態によって引き起こされる倦怠感や食思不振に対するステロイドは、広く使用されている一方で、その効果はまだ明確に証明されてはいない。
患者の生命予後と全身状態を評価した上で、副作用の出現に留意しつつ、開始することが重要である。

【参考】静脈経腸栄養 Vol.23 No.4 2008

(投稿者 小森)

2019-05-20

末期心不全の緩和ケア

  • 終末期心不全 ➜ 呼吸困難(60~88%),全身倦怠感(69~82%),疼痛(35~78%),抑うつ症状(入院症例の70%)(参考:急性・慢性心不全診療ガイドライン 2017年改訂版
  • 2018年の診療報酬改訂 ➜ 「緩和ケア診療加算」の対象に特定の要件を満たす「末期心不全」患者が追加/(1日につき390点)
  • 算定条件 ➜ 「緩和ケアチームのうちいずれか1人は専従。ただし、緩和ケアチームの診療患者数が1日15人以内の場合は、いずれも専任で差し支えない」

末期心不全の定義 以下のア~ウまでの基準及びエ~カまでのいずれかに該当
  • ア) 心不全に対して適切な治療が実施されている。
  • イ) 器質的な心機能障害により、適切な治療にかかわらず、慢性的にNYHA重症度分類Ⅳ度の症状に該当し、頻回又は持続的に点滴薬物療法が必要な状態。
  • ウ) 過去1年以内に心不全による急変時の入院が2回以上。
  • エ) 左室駆出率が20%以下。
  • オ) 医学的に終末期であると判断される状態。
  • カ) エ又はオに掲げる状態に準ずる場合。

(投稿者 川崎)

2018-11-04

村田理論

  • 京都ノートルダム女子大学名誉教授かつ対人援助研究所所長である村田久行先生が提唱された観念
  • スピリチュアルペインを「自己の存在と意味の消滅」から生じる苦痛と定義(スピリチュアルケア研究会 2008.12)
  • スピリチュアルな(霊的な/魂の)問題に対するアプローチ法の一つで近年,緩和ケア領域で注目されている

スピリチュアルペイン(以下はその定義の例)
  • 物質的世界を超越して探求する人間の部分に関係する苦痛や苦悩と認識されるもの
  • 心の痛みの一部であり,精神的・心理的苦痛および宗教的苦痛とは簡単に区別できない
  • すべての人間が抱える霊的・宗教的苦痛で人生の意味や自己存在の目的,死の理由など

参考文献:洛和会病院医学雑誌 2011;22:37-42(一読をおすすめ)

(投稿者 川崎)

2018-05-16

VSED 自発的飲食拒否

  • VSED = Voluntarily Stopping Eating and Drinking
  • 終末期医療において患者が自ら飲食をやめること

この観念は1990年代から報告されている(Arch Intern Med 1993;153:2723–8JAMA 1994;272:179–81
ただし医療サイドからVSEDの提案・サポートについては自殺ほう助に関する問題点が解決されていない

じっくり向き合ってみたい方

(投稿者 川崎)

2018-03-28

ACP and POLST

ACP=Advance Care Planning/アドバンス・ケア・プランニング
  • 将来にむけ,予め早い段階から,意思決定能力低下時も,患者が語ったり書いたりしたものにより,患者の意思が尊重され,家族や医療スタッフも,患者にとっての最善のケアが選択されると思えるような対話のプロセス(日老医誌 2015;52:217-23

POLST=Physician Orders for Life-sustaining Treatment/生命維持治療に関する医師による指示書
  • 事前指示の長い実践経験の延長上に米国で提唱された概念であり,指示内容に心停止時に心肺蘇生をしない Do Not Attempt Resuscitation(DNAR)を包含している(日集中医誌 2017;24:216-26

実際の様式例

(投稿者 川崎)

2018-03-18

緩和医療におけるオピオイド

モルヒネ・オキシコドン・フェンタニルの基本を理解しておく必要がある


一般名 商品名例 剤形 投与経路 間隔 放出 半減期(h)
モルヒネ MSコンチン® 経口 12時間毎 徐放性 2.58±0.85
オプソ® 内服液 経口 定期は4時間毎
レスキュードーズは1時間
速放性 2.9±1.1
アンペック® 皮下・静脈内・硬膜外・くも膜下 単回・持続 静脈内 2.0
オキシコドン オキシコンチン® 経口 12時間毎 徐放性 9.2±2.6
オキノーム® 経口 定期は6時間毎

レスキュードーズは1時間毎
速放性 4.5~6.0
パビナール® 皮下 単回・持続 不明 オキシコドン 4.1±1.9
ヒドロコタルニン 2.0±0.7
フェンタニル デュロテップ®MT 貼付 経皮 72時間毎 徐放性 21~23
フェンタニル 静脈内・硬膜外・くも膜下 静・硬:持続
くも膜下:単回
静脈内 3.65±0.17

(投稿者 川崎)