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2026-08-15

倦怠感と寒冷不耐性を訴える38歳女性

  • バイタルは正常(血圧130/70 mmHg、脈拍64回/分、体温36℃)。診察では両側の眼窩周囲および四肢の浮腫、乾燥・粗造な皮膚、頭髪の菲薄化を認めた。そして両側眉毛外側1/3の著明な脱落(下図)はクイーン・アン徴候(別名,Hertoghe徴候)に合致した。
  • 検査所見では、甲状腺刺激ホルモン100.4 mIU/mL(基準値0.6–4.2)、遊離サイロキシン0.58 ng/dL(0.8–1.8)、総トリヨードサイロニン64 ng/dL(80–220)であった。重度の原発性甲状腺機能低下症と診断し、レボチロキシンを1.6 μg/kg/日の補充量を開始した。

😐 その機序
  • 頭髪・眉毛の菲薄化は、毛周期の遅延(甲状腺ホルモン不足による毛包の成長期短縮・休止期延長)および皮膚のムチン(グリコサミノグリカン)沈着による粘液水腫性変化で生じてくるそうです.
  • 眉毛外側1/3のみが選択的に脱落する正確な機序は不明ですが、皮膚乾燥(xerosis)に伴う機械的摩擦(かゆみでこする等による二次的な脱毛は外側で生じやすい?)などが影響しているようです.

参考)QJM. 2026 Apr 1:hcag100、他
アン女王 ヘルトーゲ
(投稿者 川崎)

2026-08-14

VSRAD® ブイエスラド

  • 頭部MRIでアルツハイマー型認知症(AD)の原因である脳萎縮の評価法
  • Voxel based specific regional analysis system for Alzheimer's diseaseの略
  • 認知症で最多のアルツハイマー型では海馬傍回(側頭葉)付近が委縮
  • 対象は50歳以上で,脳ドック(MRI)のオプション(追加撮影,約6分)
  • 委縮判定の目安:0~1=なし,1~2=軽度,2~3=中等度,3~=高度

- 60歳男性例 -
(MRIのVSRADで左側頭葉前部の萎縮が強い/SPECTもほぼ同様)

(投稿者 川崎)

2026-08-13

今週の一枚 🎯 時には外頚静脈も活用

体重が少し増加した心不全例(座位)

😐 解説
  • 外頚静脈の明瞭な上下運動あり(矢頭)
  • 吸気保持で拍動は消失し膨隆(=怒張)
  • 当日のBNPは前回の700から1300に増加
  • 本症例はDCMで心不全の悪化と診断した
  • 利尿薬を追加して早めに再診を予定した

😶 追加コメント
  • 心不全の評価で用いる頚静脈は、外頚静脈ではなくて、内頚静脈です(もちろん右側)。これは解剖学的な理由です(外頚静脈は右房と直線的関係でなく、有効な逆流防止弁があり、胸鎖乳突筋の緊張の影響を受ける)。
  • ただし本例のように心周期に伴う拍動が明瞭な場合は、中心静脈圧の推定(心不全判定)に用いてもOKです。あるいは呼吸変動(自発呼吸に伴う変動あるいは深吸気負荷に伴う変化)がある場合も、判定可能と思われます。
  • 本例では外頚静脈に目が行きますが、よく見ると内頚静脈の拍動も十分に視認できます。通常呼吸時には鎖骨上窩で陥凹があり、吸気負荷後は頚部の中央(外頚静脈を含む)が面として周期的に陥凹しています。

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-08-12

原発性アルドステロン症(Primary aldosteronism; PA)関連

📌 カプトプリル試験(原発性アルドステロン症の機能確認検査の1つ)
  • ACE阻害薬のカプトプリルを投与すると、アンジオテンシンⅡの産生が阻害されるため、通常であればnegative feedbackが減少し、レニン分泌が亢進
  • 一方、原発性アルドステロン症(PA)ではアルドステロンが自律的な過剰分泌状態であるため、カプトプリルを投与してもレニンの分泌反応が乏しい
  • 診断基準① 負荷後(60分または90分)PAC(CLEIA法)/PRA比(ARR)≧200 但し,ARR 100〜200を「ARR境界域」とし暫定的に陽性とする
  • 診断基準② 負荷後(60分または90分)PAC(CLEIA法)/ARC比(ARR)≧40 但し,ARR 20〜40を「ARR境界域」とし暫定的に陽性とする


📍 原発性アルドステロン症の判定基準
  • 血漿アルドステロン濃度(PAC[CLEIA法])と血漿レニン活性(PRA)を測定し,PAC/PRA比(ARR)³≧200かつPAC≧60 pg/mLで陽性と判定する.但し,CLEIA法による測定値が普及,一般化し,CLEIA法による至適カットオフ値が確立するまでは,ARR 100〜200を「ARR境界域」と位置付け,ARR 100〜200かつPAC≧60 pg/mLも暫定的に陽性とし,患者ニーズと臨床所見,特に低カリウム血症や副腎腫瘍の有無,年齢などを考慮して,機能確認検査実施の要否を個別に検討する.また,PAC(CLEIA法)<60 pg/mLでもPAは完全には否定できない。


(投稿者 川崎)

2026-08-11

MR関連高血圧

  • 3種類以上の異なる降圧薬を併用してもコントロールできない難治性高血圧のうち、ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬の併用療法が有効な病態
  • 慶応大学の柴田先生らが提唱した病態で(Am J Hypertens 2012;25:514-23)、血漿アルドステロン値が高いものと正常なものの2つのサブタイプに分類
  • 前者は、原発性アルドステロン症(PA)、アルドステロンブレイクスルー現象、閉塞性睡眠時無呼吸などで、MR拮抗薬を第一選択薬として投与すべき
  • 後者は、肥満、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などでARB/ACE阻害薬を第一選択薬として投与し、MR拮抗薬は追加薬

- MR-associated hypertension -

(投稿者 川崎)

2026-08-10

心音クイズ:Q3

心音の無料ゲーム「心音マイスター」より


💫 解説
  • 上記の心音は聴診器のベル(小さい方)で聴こえた音で、S1周囲に過剰音があります。
  • 聴診器の膜(大きい方)では聴こえなかったので(=低調音)、Ⅳ音と診断できます。

😎 S4について
  • 低調成分が主体の心音で、ベルを心尖部に軽く当てると聴取できますが、ベルを強く押し当てたり、膜では聴取できません。
  • 機序は心房収縮時の血液流入(心エコーのA波)に伴う心室壁の振動と考えられています。よって心房細動では聴取しません。
  • S3と異なり聴診したら常に異常で、肥大型心筋症や虚血性心疾患など心室のコンプライアンスが低下する病態で出現します。

(投稿者 川崎)

2026-08-09

第55回(2020年)理学療法士国家試験


腱反射が亢進する疾患はどれか.







判定


😐 解説
  • 腱反射が亢進するのは上位運動ニューロン(錐体路)障害で、選択肢の中では多発性硬化症のみが該当する。多発性硬化症は中枢神経の脱髄疾患で錐体路が障害されるため腱反射亢進・病的反射陽性を呈する。
  • 多発性筋炎は筋自体の炎症性疾患、Guillain-Barré症候群は末梢神経の脱髄性疾患、尿毒症性ニューロパチーは末梢神経障害、Duchenne型筋ジストロフィーは筋線維の変性疾患で、いずれも腱反射は減弱

(投稿者 川崎)

2026-08-08

浮腫の部位


 寝たきりの高齢者で浮腫の判断に適した部位はどこか. 2つ選べ







判定


😐 解説
  • 水分は重力によって低い位置に集まるため、常に仰臥位なら背部や仙骨部に浮腫が生じやすい。

(投稿者 川崎)

2026-08-07

ネフィー®(アドレナリン点鼻液)

  • 鼻噴霧してアドレナリンを投与する国内初アナフィラキシー補助治療剤
  • 2025年9月に本邦で製造販売承認を取得、2026年2月に発売(添付文章
  • 鼻粘膜には毛細血管が豊富であり、噴霧後速やかにアドレナリンが吸収
  • 血中アドレナリン濃度はエピペン®とほぼ同等(立ち上がりは少し遅い)
  • 処方する医師はオンライン登録講習を受講して、処方医師の登録が必要
  • 投与量は<30kgなら1回1mg、≧30kgなら1回2mg(10分後を目途に2回目)

- 保育士や教職員の使用 -

令和8年4月16日付の文部科学省等からの事務連絡「学校等におけるアナフィラキシーショック時のアドレナリン点鼻液(ネフィー®)投与について」で、学校等における児童等のアナフィラキシーショック発現時に、教職員等によるネフィー®投与について一定の条件を満たした場合に医師法第17条の違反とならないことが示されています。(※現時点で救急救命士への通達なし)

ネフィー®の実際
GoodRX:日本では電話は119/2回目は10分が目途)
(投稿者 川崎)

2026-08-06

今週の一枚 🎯

以前から続く起立時のふらつきで来院した高齢男性


(投稿者 川崎)