👀
カンファレンスにて...
- 先日、男性が腹痛を訴えて救急外来を受診されました。男性からの発語はなく、問診などに対する返答はすべて付き添いの叔母でした。どうやらその男性が会話可能なのは叔母のみであることが分かりました。こういう状況を医学用語で緘黙(かんもく)と呼ぶことを初期研修医から教えてもらいました。その時のカンファレンスに参加していた指導医は誰も知りませんでした😅
- 概要:話す能力はあるのに、学校など特定の場面で一貫して話せない。通常は家庭では話せる
- 原因:DSM-5で不安症群に分類。反抗やわがままではなく、強い不安により話せなくなっている
- 疫学:国内の大規模調査では小学生の約0.15%。2〜5歳での発症が多く、女児にやや多い傾向
- 分類:特定の場面で話せない場面緘黙と、家庭を含む全場面で話せない全緘黙の2型に分かれる
- 背景:不安の強い気質が基盤にある。二言語環境や自閉スペクトラム症、言語発達の遅れも関与
- 症状:筆談や身振りが使える例から、全く反応できない例まで。体が固まる緘動を伴うことも
- 診断:家庭と学校での発話の差を確認。1か月以上持続し、言語の知識不足では説明できない
- 鑑別:自閉スペクトラム症、言語症、吃音、難聴などと区別。成人発症では器質疾患も考える
- 治療:刺激フェイディングなど段階的な行動療法が中心。重症例や年長児ではSSRIの併用も検討
- 支援:話すことを強いず、筆談など代替手段を保障。家庭・学校・医療が連携し早期介入する
- 予後:早期介入ほど予後良好。未治療では成人まで残り、社交不安症や不登校につながりうる
(投稿者 川崎)
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定期開催しているウェブ講義「フィジカル広場✨LIVE」の要約です。
- 「明日から使える4つのポイント」を中心にA4一枚にまとめています。
- 商業目的を除き院内勉強会や後輩指導などでご自由にご利用ください。
(投稿者 川崎)
労作時の息切れと心雑音で紹介受診
😦
解説
- 心室中隔の基部から中部に肥大あり
- 僧帽弁が収縮期に前方運動している
- 両者から閉塞性肥大型心筋症を疑う
- (不自然な乳頭筋の付着部位も合致)
- よく見ると下側壁に壁運動低下あり
- 冠動脈造影ではその灌流血管に狭窄
- 冠動脈バイパス+心筋切除術を実施
😶
臨床現場
- 非対称性中隔肥大(ASH: asymmetric septal hypertrophy)と僧帽弁収縮期前方運動(SAM: systolic anterior motion)がそろえば、閉塞性肥大型心筋症を考えます。
- 肥大型心筋症では、本例のように僧帽弁複合体(mitral valve apparatus:弁尖・弁輪・腱索・乳頭筋)の異常を伴うことも稀ではありません(Circulation 1992;85:1651-60)。
- 受診契機となった「労作時の息切れ+心雑音」は閉塞性肥大型心筋症で説明できますが、偏在性の左室壁運動異常もあり、当初から冠動脈疾患の合併を疑っていました。
- 目立つ(稀な?)所見(SAM+ASH)にはつい目を奪われがちですが、たまたま合併しているありふれた疾患を見逃さないことの大切さを、改めて実感した症例でした。
👻「今週の一枚」の過去の投稿は
コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 川崎)
- 概要:答えの出ない事態に耐える力。性急に帳尻を合わせず、宙ぶらりんを持ちこたえる能力。
- 由来:詩人キーツがシェイクスピアに見出した「負の力」。精神分析医ビオンが臨床に広めた。
- 対比:迅速・的確な問題解決力(ポジティブ・ケイパビリティ)は急性期医療では欠かせない。
- 必要:この力がないと、解決できない問題から目を背けるか、躍起になって燃え尽きてしまう。
- 応用:苦情を訴える患者の話を、なだめずただ聴くと場が収まる。正論で遮ると火に油を注ぐ。
- 問題:職場研修は問題解決力の育成に偏りがち。心理的安全性のある組織づくりは管理者の責任。
- 姿勢:結論を焦らず、わからなさに耐えて考え続ける。処理する力ととどまる力を使い分ける。
(投稿者 川崎)
📢
心音を演題名に含む発表(5演題)
[SP7-3]
心音・心電AI解析による心負荷指数の多様な臨床シーンへの応用 (関東中央病院 循環器センター)
- AMI社の心音計(Cardio-EGG)は、心音・心電データの深層学習による波形解析から弁膜症に加えて心負荷指数(BNP 100 pg/mL超の推定を目標に開発)を算出する。慢性期では一部を除きBNPとの相関は良好で、急性期にはBNPでは捉えきれない臨床変化にも追随した。BNP/ANPを補う指標となる可能性があるが、各シーンでのサブ解析とメカニズム解明が今後の課題である。
[LB1-6]
心音・心電ベースAI「eBNP」モデルからの心不全予後予測の検討 (神戸大学大学院医学系研究科 循環器内科学分野)
- Cardio-EGGの心音・心電情報から血中BNP値を推定するAIモデル(Estimated BNP:eBNP)について、心エコーとCardio-EGGを同時記録した488例でeBNP重症度を5段階に分類し、全死亡または心不全入院を主要評価項目として検討した。eBNP重症度の追加によりC-indexは0.692から0.749に向上し、非侵襲的リスク層別化により専門施設への迅速な紹介につながる可能性が示された。
[O22-3]
心音図由来心疾患指数を用いた心不全リスク評価の可能性:BNPとの関連解析 (加治木温泉病院)
- 遠隔医療支援システム「クラウド超診」に実装された心疾患指数(BNP関連情報および心エコー所見のAS・MR・ARを学習)が、BNPに反映される心血管負荷を捉えうるかを検討した。心疾患指数は、年齢や腎機能の影響を受けるBNPの解釈を補完し、BNPに反映される心血管負荷を捉えるデジタルバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
[MO4-5]
心音・心電由来心負荷指数のBNP/hANP関連と透析評価 (関東中央病院 循環器病センター)
- 同日に心音図とBNPまたはhANPを測定した外来患者129例(平均76歳、男性72%、BNP中央値38.1 pg/mL、hANP中央値54.1 pg/mL)で、心負荷指数はBNP(r=0.575)およびhANP(r=0.473)と相関した。心不全患者の心負荷評価や、透析患者の体液・除水評価の補助指標となる可能性がある。
[MO25-7]
心臓血管外科術後における心音図検査装置を活用した心不全管理の有用性 (関東中央病院 リハビリテーション室)
- 心音図検査装置AMI-SSS01シリーズ(心音計)の心負荷評価を術後心不全管理に用いた症例報告。80歳代女性、急性心筋梗塞(LVEF 26%、NT-proBNP 21,790 pg/mL)に対し待機的CABG(LITA-LAD、SVG-OM)を施行。POD32に心不全を発症し、POD83に自宅退院した。心音計は心エコーを補い、ベッドサイドで非侵襲的かつ頻回に心機能を客観視できるデバイスとなりうる。
💓 心音を抄録に含む発表(上記演題を除く5演題)
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[JS7-1] CIEDs遠隔モニタリングによる心不全再入院予防 ―遠隔モニタリングデータを活用した看護介入と多職種連携― (埼玉医科大学国際医療センター)
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[JS7-2] Ⅲ音と活動量の遠隔モニタリングによる心不全関連イベントの早期予測 (A-wave株式会社/大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科)
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[SY4-2] 聴診DX:心不全デジタルバイオマーカーの開発と社会実装 (AMI株式会社/加治木温泉病院 循環器内科)
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[SY7-2] 植込み型心臓デバイスにおける遠隔モニタリングの現状と課題 (埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科)
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[O6-4] BNP分布に対する年齢・腎機能・Hbの影響:リアルワールドデータを用いた検討 (加治木温泉病院)
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学会に関する過去の投稿 ➜
コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 川崎)
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心臓聴診の基本は5点とされています(聴診の順番は心基部からでも心尖部からでもOK)。しかし5点をしっかり聴診していると時間がかかります。そこで2点に絞ったシンプル聴診法
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心音図と心エコー図を同時期に行った1000余のレポート比較を行い、弁膜症の診断では、心尖部+2LSBまたは心尖部+3LSBは、5点聴診法と比較して非劣性であることを示しました。
Highlights
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Two-site auscultation was noninferior to five-site auscultation for
detecting VHD.
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Performance was preserved at the apex and the second or third left sternal
border.
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Differences in sensitivity and specificity were within the −3%
noninferiority margin.
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Apex-containing site pairs consistently achieved the highest sensitivity.
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Prospective validation with conventional stethoscopes in primary care is
needed.
👉 追加コメント
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筆頭著者の林先生が当院の初期研修医時代にまとめられた研究です(その後、循環器内科を専攻😊)
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2LSBと3LSBはⅡ音肺動脈成分の亢進の判定に必須、心尖部はⅢ音やⅣ音の聴診に必須のため好都合
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5点中、2点の全ての組み合わせも調べましたが、心尖部+2LSBまたは心尖部+3LSBの診断能がベスト
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弁膜症以外の雑音を生じる病態(大動脈弁硬化やHOCM、人工弁、CHDなど)を含めても結果は不変
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論文の過去投稿は
コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 川崎)
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定期開催しているウェブ講義「フィジカル広場✨LIVE」の要約です。
- 「明日から使える4つのポイント」を中心にA4一枚にまとめています。
- 商業目的を除き院内勉強会や後輩指導などでご自由にご利用ください。
(投稿者 川崎)
- 概要:好中球の数または機能の先天異常で、乳幼児期から細菌や真菌の感染を反復する疾患群。
- 減少:重症先天性好中球減少症は骨髄の成熟障害による。一部は骨髄異形成や白血病へと移行。
- 周期:周期性好中球減少症は約三週ごとに減少。単回採血では見逃しうるため連続測定が必要。
- 接着:白血球接着不全症は好中球が血管外に出られず、臍帯脱落遅延や膿のない感染を呈する。
- 殺菌:慢性肉芽腫症は活性酸素の産生障害による。ブドウ球菌やアスペルギルスに感染しやすい。
- 顆粒:チェディアック・東症候群や好中球二次顆粒欠損症など、顆粒の異常による病型もある。
- 症状:乳児期から皮膚膿瘍、肺炎、肝膿瘍、歯肉炎を反復する。ウイルス感染は比較的少ない。
- 検査:好中球数推移と骨髄像を確認。活性酸素産生能や表面抗原を測定し、遺伝子検査で確定。
- 治療:好中球減少には刺激因子製剤、慢性肉芽腫症には予防内服。根治療法は造血幹細胞移植。
(投稿者 川崎)
🍥 勃起と射精のメカニズム
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勃起:副交感神経の働きで、陰茎海綿体に血液が充満して生じる
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切替:オーガズム直前、交感神経(下腹神経Th10-L2)が優位へ
- 移送:精管・精嚢・前立腺の平滑筋が蠕動し、精液を後部尿道へ
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連動:交感神経で膀胱出口の括約筋が締まり、膀胱への逆流防止
- 反射:精液が後部尿道に達すると、陰部神経(S2-4)の仙髄反射
- 射出:球海綿体筋などが約0.8秒間隔で収縮し、精液を体外へ射出
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弛緩:射精後は交感神経でらせん動脈が収縮し海綿体洞の内圧低下
- 還流:白膜による静脈圧迫が解け、血液が静脈へ流出し元の状態へ
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要点:勃起は副交感、射精は交感(陰部神経=体性神経も一部関与)
🐰 性交に関連する症状
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頭痛:オーガズム時の雷鳴頭痛では、くも膜下出血やRCVSを除外
- 一過性全健忘:性交時の内頸静脈逆流で、海馬がうっ滞するため?
- 胸痛:心筋酸素需要の急増で冠攣縮や狭窄による狭心症・心筋梗塞
- 不整脈:カテコラミンサージで、洞頻脈・期外収縮・PSVT・AFなど
- 精液アレルギー:女性がPSAに対するIgE抗体で即時型反応ありえる
- 気管支攣縮:性交の労作・情動や精液アレルギー他で誘発ありえる
(投稿者 浅野/川崎)
大動脈弁置換術後の症例
😦
解説
- 胸骨正中にある切開痕(いわゆるジッパー瘢痕)は開心術後に合致
- よく見ると左傍胸骨部に小さい瘢痕(下図矢印)と隆起(下図〇)
- 本例は原因不明の失神に対しループレコーダー植込み後(下図参考)
- 3年が経過し失神の再発はなし/電池寿命のため近日中に抜去予定
😶
植込み型ループレコーダー vs MRI
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国内で利用できる主要な植込み型ループレコーダー(Implantable loop recorder: ILR)は基本的に「条件付きMRI対応(MR Conditional)」で、ペースメーカ/ICDのような設定変更(MRIモード)は不要です。ただしこれはMRI撮影では機械が壊れないという意味で、不整脈の記録が全く影響を受けないという意味ではありません。MRIによるノイズが不整脈として誤記録されたり、本来の重要なエピソードが上書きされる可能性があるため、当院では検査前後でデバイスをインテロゲートして、保存エピソードを確認するようにしています。
👻「今週の一枚」の過去の投稿は
コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 川崎)