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2026-06-01

フェノコピー Phenocopy

  • pheno(表現型)+ copy(複製)の合成語で、芳名は表現型模倣など
  • 遺伝子型は異なるが、環境要因により同じ表現型が現れる現象のこと
  • 類語にジェノコピー(Genocopy): 異なる遺伝子変異で同じ表現型
  • Phenocopy=環境の遺伝子模倣、Genocopy=遺伝子同士の相互模倣

👬 臨床現場での実例
  • 肥大型心筋症は遺伝子の異常に関連する心肥大と考えられるが、高血圧性心疾患や大動脈弁狭窄症、スポーツ心臓、心臓アミロイドーシス、ファブリー病などもよく似た左室形態を呈する(phenocopy 現象)。よって肥大型心筋と診断する時には、これらのフェノコピー疾患を除外する必要がある。

(投稿者 川崎)

2026-05-31

ICLS研修

  • ICLS とは Immediate Cardiac Life Support の略語
  • 突然の心停止に対する最初10分間の処置を重要視
  • 心停止直後の処置には全医療者が一員として参加
  •  ICLSコースでは、その基本的な事項を習得できる


BLS・ACLS・ICLS 比較表(目安:AI作成のため細部は要確認)
BLS
Basic Life Support
ACLS
Advanced Cardiovascular Life Support
ICLS
Immediate Cardiac Life Support
日本語名 一次救命処置 二次心肺蘇生法(二次救命処置) 心停止初期対応教育コース(?)
主催団体 AHA(アメリカ心臓協会) AHA(アメリカ心臓協会) 日本救急医学会(JRC準拠)
対象者 一般市民〜医療従事者全般 医師・看護師・医療従事者 医療従事者全般(医師・看護師・救急救命士・薬剤師・臨床工学技士・研修医など)
対応範囲 心肺停止・呼吸停止への一次対応
  • 心肺停止・呼吸停止への二次対応
  • 重症不整脈(徐脈・頻脈)
  • 急性冠症候群
  • 急性肺水腫・ショック
  • 急性虚血性脳卒中
  • 蘇生後管理
突然の心停止に対する最初の10分間の対応に特化
主な処置内容
  • 胸骨圧迫(CPR)
  • 人工呼吸
  • AED操作
  • BLSの内容を含む
  • 気管挿管
  • 手動式除細動器の使用
  • 静脈路確保・薬物投与
  • 高濃度酸素投与
  • BLS(一次救命処置)
  • AED操作
  • 心停止時の心電図4波形の診断
  • 除細動・電気ショック
  • 気道管理
  • 薬剤投与
  • チーム蘇生
使用器具 AED・手のみ(特殊器具不要) 手動式除細動器・挿管セット・点滴セット・薬剤など専門器具 AED・除細動器・気道管理器具・薬剤など
コース形式 講義+実技 講義+実技+試験 実技実習中心(講義は少ない)・シミュレーション
コース時間 数時間〜半日 1〜2日程度 約1日
資格有効期間 2年間(要更新) 2年間(要更新) プロバイダーは期限なし
インストラクター・CDは2年ごと更新
特徴・目標 専門的医療機器なしに誰でも実施可能な救命処置 認定医・専門医試験の受験資格として必須。心停止以外も対象 「Immediate(即座)」な対応に特化。チーム医療を重視
準拠ガイドライン AHA Guidelines 2020(約5年ごとに更新) AHA Guidelines 2020(約5年ごとに更新) JRC蘇生ガイドライン2020

参考

・ 三谷雄己(踊る救急医)「BLS・ACLS・ICLSの違いと要点まとめ」dancing-doctor.com(2021年4月24日)  https://dancing-doctor.com/2021/04/24/bls-acls-icls/
・ 「JRC 蘇生ガイドライン 2020 オンライン版」一般社団法人 日本蘇生協議会(JRC)
・ 日本救急医学会 ICLS  https://www.icls-web.com/index.html
・ 日本ACLS協会  https://acls.or.jp/

(投稿者 川崎)

2026-05-30

フェリチン vs むずむず脚症候群

🔍 レストレスレッグス症候群(RLS)
  • 下肢の不快感で不眠をきたす睡眠関連運動障害
  • その有病率は欧米で7–10%,アジアでは1–4%程度
  • 病態には遺伝的・環境因子の相互作用が関与する
  • 末梢神経障害や片頭痛、Parkinson 病にも合併
  • 血清フェリチン値が50ug/L未満なら鉄剤の追加
  • 脳内鉄欠乏はドパミンやオピオイドなどの異常
  • 血清鉄やフェリチンはRLS 群と健常群に差なし
  • 髄液中は鉄とフェリチンはRLS 群で有意に低い
  • 髄液と血清のフェリチン値はRLSでは相関なし


- RLSの病態生理学的モデル案 -


(投稿者 川崎)

2026-05-29

Waddell's Sign ワデル徴候

  • 腰痛患者で手術後の予後不良例を予想する方法。近年では心因性(あるいは不適切な非器質性腰痛)を検出するために用いられることが多い。
  • スコットランドの整形外科医 Gordon Waddell (1943–2017)が提唱した8つの臨床的身体所見から成る(Spine (Phila Pa 1976) . 1980;5:117-25
  • 表在性圧痛、非解剖学的圧痛、軸方向荷重、寛骨臼回旋、注意散漫下肢挙上不一致、局所的な感覚障害、局所的な筋力低下、過剰反応から判定
  • 器質的な原因を排除するものではなく、レビューでは「詐病との関連性に関する主張を裏付ける証拠はほとんどない」という否定的意見もある。

参考)StatPearls [Internet].、他

Waddell's Signの実際

(投稿者 川崎)

2026-05-28

今週の一枚 🎯

労作とは関係ない胸痛を訴えて来院した高齢者

💀 解説
  • 左写真:耳垂に皺あり(フランク徴候が陽性)
  • 右写真:「胸部症状はどこですか?」の質問後
  • 手掌で心臓のあたりを指すパームサイン陽性
  • 緊急カテで左回旋枝に高度狭窄を認めPCI施行

💫 臨床裏話
  • 本症例は他院で肥大型心筋症として長年フォローされていた方でした.来院時の心電図では著明な左室肥大を認めました(ST上昇はなし).心エコー図では不均一な左室肥大がありましたが,明らかな壁運動異常はないと判断.高感度トロポニンも陰性
  • 非発作時には心電図のST低下が少しだけ改善しました.しかし派手な左室肥大を呈する肥大型心筋症例では,後負荷や前負荷,心拍数の変化でST-T部分が変わることは稀ではありません.我々もこの時点では積極的に冠動脈疾患を疑っていませんでした.
  • 一旦,入院で経過観察しつつ,かかりつけ医からの情報提供を待つことにしました.しかし,その後も断続的に5-10分持続する胸部症状が出現しました.フランクサインとパームサイン(いずれも虚血性心疾患と関連)もありCAGに踏み切りました.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-05-27

NCD登録

👀 NCD(National Clinical Database)
  • 手術症例のデータベースとして2010年に設立された一般社団法人
  • 日本外科学会や日本小児外科学会など本邦の外科系10学会が参画
  • わが国で行われている該当領域手術の95%以上が登録されている
  • 各種専門医制度では入力データが手術実績の管理面で中核をなす
  • NCDのビッグデータを活用した臨床研究、政策研究も数多く実施
  • 個人情報は匿名化(登録拒否は各医療機関のオプトアウト対応)



(投稿者 川崎)

2026-05-26

Selective decontamination of digestivetract:SDD 選択的消化管内殺菌法

  • 重症患者の院内感染(内因性+外因性)を最小限に抑える予防戦略
  • 吸収されない経口および腸内抗生物質と非経口抗生物質を使用する
  • 口腔咽頭および腸管の好気性グラム陰性微生物やMSSA、酵母など
  • 60件以上のランダム化比較試験(RCT)で死亡率低下(NNTは約18)
  • 集中治療医学でエビデンスがあるにも関わらず普及率は極めて低い
  • 参考:ICU感染症の原因は、一次内因性>二次内因性>外因性の順

選択的消化管除菌戦略:経口摂取(通常のSDD)+口腔咽頭に局所適用(SODともいう)

(投稿者 川崎)

2026-05-25

循環器フィジカル - 100本ノック -


循環器領域の身体所見を学習するために作成された無料アプリ「循環器フィジカル -100本ノック-」の動画版です.2026年4月から循環器Physical Examination講習会の公式SNSに毎週金曜日にアップしています.こちらのコンテンツにも2週分ずつまとめてアップします.

👻「フィジカルノック」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2026-05-24

鼻疽びそ 類鼻疽るいびそ

  • 鼻疽は鼻疽菌 (Burkholderia mallei) が感染することによって起こる人獣共通感染症。おもに馬やロバに感染するが、ときにヒトにも感染する。 
  • 類鼻疽は類鼻疽菌 (Burkholderia pseudomallei)によって起こる人獣共通感染症。土壌や池の水など環境中から菌が分離されることがある。
  • いずれも東南アジア、アフリカ、中東地域などの熱帯・亜熱帯地域に分布し、自然感染の例がこれらの地域において散発的に発生している。
  • 鼻疽菌、類鼻疽菌、ともに感染症法にて4類感染症に分類されているため、診断後直ちに最寄りの保健所に届出を行う義務がある。 
  • 鼻疽は致死的感染~数年の潜伏感染など多彩。急性例では1~14日間の潜伏期を経て創部や鼻粘膜の感染およびリンパ節炎など。
  • 類鼻疽は、急性・慢性,局所性・全身性、顕性・不顕性の形態があり、菌血症・急性敗血症型、肺型、局所型、不顕性型に4分類
  • 採血では白血球数増加+核の左方移動を伴うが特徴的な生化学的所見はなし。確定は血液、喀痰、穿刺検体などの培養による同定
  • 治療は抗菌薬(特に鼻疽では早期の抗菌薬投与が必要)。利用可能なワクチンない。鼻疽菌、類鼻疽菌は生物兵器のリスクあり


類鼻疽(melioidosis、メロイドーシス)の発生率

(投稿者 川崎)

2026-05-23

いわゆる "Ductal shock" (動脈管ショック)

  • 病態:出生後に動脈管が自然閉鎖(生後1〜2日で縮み始め2〜3週間以内に閉鎖が多い)することによる急激な循環破綻
  • 背景:一部の先天性心疾患では、動脈管(ductus arteriosus)が開存していることで体循環または肺循環が維持されている
  • 疾患:大動脈縮窄症、大動脈弓離断症、左心低形成症候群、肺循環依存肺動脈閉鎖症、重症肺動脈狭窄、三尖弁閉鎖症など
  • 臨床:生後2週間以内に突然の循環不全やショック、チアノーゼ、代謝性アシドーシス(※心雑音が目立たないことあり)
  • 治療:プロスタグランジンの静脈投与で動脈管を再開通(副作用の無呼吸に対し挿管準備)、外科手術やカテーテル治療
  • 要点:新生児が突然ショック状態 → 必ずductal shockを疑う。特に高酸素試験(hyperoxia test)で酸素化の改善なし

(投稿者 川崎)