🕗早朝ERでの申し送りの一コマ
- 看護師 「昨夜の入院は,イレウス,肺炎,KIT(キット)…」
- 内科医 (隣にいる外科医に小声で)「KIT(キット)って何?」
- 外科医 (小声)「これ,昔でいうGIST(ジスト)のことだよ」
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KITはKIT遺伝子にコードされている受容体型チロシンキナーゼ蛋白で,別名はCD117(cluster
of differentiation 117)他
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消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor;
GIST)は,このc-kit遺伝子などが機能獲得型の突然変異をすることで発生
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GISTは主に消化管に発生する間葉系腫瘍の一つで,その大半は KIT(c-kit,
CD117)蛋白質を発現し高頻度にKIT遺伝子異常あり
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GIST
はかつて平滑筋系腫瘍に分類されたが(悪性例は平滑筋肉腫),KIT遺伝子異常が発見され独立した疾患概念として定着
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GISTの好発年齢は40歳以上の中高年者であり男女差はない.部位は胃(約70%),小腸(約20%)に多く,大腸や食道はまれ
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肉眼的には粘膜下腫瘍の形態をとり内腔方向あるいは壁外方向へ進展するが,ほとんどの例で固有筋層と連続性が確認される
(投稿者 川崎)
- 概略 抗体欠乏を主とする原発性免疫不全症
- 病因 多くは原因不明(一部は常染色体遺伝)
- 症状 副鼻腔~肺の細菌性感染症を繰り返す
- 疫学 20~40代での診断が多い(性差はない)
- 診断 IgG低値と他の免疫不全疾患の除外ほか
- 合併 脾腫,LN腫脹,自己免疫疾患,癌など
- 治療 予防的IgG補充療法+感染時に抗菌薬
(投稿者 川崎)
- 他のコンテンツで心音クイズを作成しました.本ページにもアップしておきます(内容は少し変更しています)
健常者の心音である.記録部位はどこか.
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正解 A
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健常者ではⅠ音(S1)は低調で長く心尖部優位で,Ⅱ音(S2)は高調で短く心基部優位です.
- このパターンを耳にしっかり刷り込んでおけば,S1の減弱やS2の亢進に気づき易くなります.
心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶
(投稿者 川崎)
💟 双合診
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内診の一つで被験者が仰臥位で台の端に腰を据えて股関節と膝を曲げた姿勢で行う
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腟の中に検者が指を挿入し逆の手で恥骨の上から圧迫して子宮や卵巣の状態を触知
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下図のへガール徴候(Hegar's sign)は双合診による妊娠の可能性を示す身体所見
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双合診と直腸診(人差し指を腟に,中指を直腸に挿入)を組み合わせることもある
👉
生殖器に関する過去の投稿 ➜
コチラ
(投稿者 川崎)
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先日,頭痛をしばしば自覚する中年男性が総合診療科を受診されました.痛みは差し込むような片側性で,前駆症状はありませんでした.仕事を中断しなければならないほどつらい頭痛のようです.
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片頭痛より群発頭痛を疑いますが(両者の鑑別),持続時間が数分以内と言われました(群発頭痛は15分~3時間).そこで頭痛日記を記録してもらうことにしました(余白に出現と終了の時刻を記入)
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すると頭痛は15分以上持続していることが判明しました.最終診断は群発頭痛で,ベラパミル(添付文書DI)が予防にとても有効(頭痛ガイドラインでは推奨されていますがあくまでも適応外処方)
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頭痛に関する過去の投稿 ➜
コチラ
(投稿者 川崎)
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最近,有事再診という四文字熟語を院内カルテで見かける機会が増えました
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「便利だなー」と思って個人的にもちょくちょく記載するようになりました
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先日,その乱用への警句を眼にしました.共感する部分が多かったので共有
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カルテ上もなんとなく収まりがよく若手医師の間では流行語(もはや定着用語)
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若者言葉やバイト敬語など言葉はいきものだが,この有事再診は看過できない
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有事とは災害や戦争など国家の非常事態用語で患者の病状に使用するのは不適
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悪化時再診または再燃時再診とはっきりと書くべき(必要時再診でもよいかも)
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まとめ:患者と医師の関係で「有事」という単語は不適切で使用すべきでない
(投稿者 川崎)
- 両側の趾痛を訴える高齢者 -
🚑 臨床現場
- 左第2趾と5趾に黒色部分(左図と中央図)
- 左第5趾は血液汚染と疼痛,右母趾も黒色
- CTで腹部大動脈~総腸骨動脈に瘤状拡張
- 動脈瘤周囲の血管壁には血栓付着(下図)
- CTで動脈狭窄はなくABIも正常内(下図)
- 大動脈瘤に対してステント留置術を予定
😐 追加コメント(Blue Toe Syndrome)
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類似した病態に青色趾症候群(ブルートウ症候群/Blue Toe
Syndrome)があります(自験例).その機序はコレステロール塞栓症(アテローム塞栓症)で,カテーテル検査後などに生じることが多いと思います.
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本例では患趾の生検は未施行ですが,大動脈瘤に関連した血栓性塞栓症と考えられました.大動脈へのステントグラフト治療を行っている同僚(心臓血管外科医)が,これはよくある病態だと教えてくれました.
👻「今週の一枚」の過去の投稿は
コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 川崎)
- 先日,高マグネシウム血症で意識障害を生じた症例を経験しました(緩下剤の過剰摂取).その機序を脳神経内科の先生に教えてもらいました(┌○ ペコリ)
- とても興味深かったので忘れないようにここに記載しておきます.なおマグネシウムは低値でも意識障害を生じるようです(日救急医会誌 1996;7:197-201)
👽 マグネシウム
- 生体内で4番目に多く存在する陽イオンで(他のイオンは下表),骨に70%弱存在して,細胞内には30%,血中にはわずかに0.2%
- 血清4~6 mg/dL超で低血圧や嘔気,尿閉,イレウス他を生じ,進行なら骨格筋弛緩性麻痺,腱反射低下,徐脈,呼吸抑制,昏睡
- 高濃度の細胞外Mgイオンは神経筋接合部のシナプス前からのアセチルコリン放出を抑制し,筋線維細胞膜の興奮性を低下させる
- 興奮性神経伝達物質グルタミン酸の受容体であるNMDA受容体を阻害する作用があるため,高Mg血症では意識レベルが低下する
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電解質に関する過去の投稿 ➜
コチラ
(投稿者 川崎)
😋
聞き間違いがあるかもしれませんが…
- Vasomotor symptoms (VMS)とは血管運動神経症状と訳され,ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)や大量の発汗(寝汗)、顔面の紅潮など更年期障害(閉経期症状)でよく見られる自律神経の乱れによると考えられる症状のこと
- α-フェトプロテイン(AFP)にはL1、L2、L3の3種類に分画があり,特にAFP-L3分画は肝癌に対する特異度が高い.しかし妊娠に伴い(特に早期に)増加することがあるため注意を要する
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未治療のバセドウ病では血中のALTやASTが上昇することがある.逆に橋本病などの甲状腺機能低下症でも上昇することがある.一方,透析患者でAST,ALTは低値を示す(尿毒症病態の酵素活性異常などによる).
- アンモニアの偽性高値として血液検体の常温放置がある(赤血球からの遊離や蛋白質の分解のため).2時間でおよそ2倍程度になるため,血液採取後はただちに氷水中に保存する必要がある.
- Phase Sensitive Inversion Recovery(PSIR)は心臓MRIの撮影法で,安定した心筋遅延造影撮像を可能にする.一度のinversion recoveryパルスに対して2回の撮像を行い位相補正を行うため,厳密なTIの設定や調整が不要(ルック・ロッカー法も不要)
- Pencil cell(Rod-shaped red cell/鉛筆細胞?)とは、末梢血液塗抹標本(血液検査の顕微鏡観察)で赤血球が細長く、鉛筆や棒のように変形した形態異常のこと.主に鉄欠乏性貧血の状態で出現する.
- 末端肥大症では成長ホルモンの過剰分泌により腫瘍発生が促進される可能性が示唆されている.中でも末端肥大症では大腸癌の合併が通常の2~4倍で,大腸ポ リープの頻度はさらに高い
- PVL(paravalvular leak)は心臓人工弁周囲逆流のことで,TAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)では認めることがあるが,SVAR(外科的大動脈弁置換術)では通常認めない.PVLは弁周囲(弁の外)なのでニュアンス的にはperivalvular leakと思うかもしれないが,通常はparavalvular leakを使用
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耳学問に関する過去の投稿 ➜
コチラ
(投稿者 川崎)