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2026-09-25

ニンテダニブ(オフェブ®)

  • チロシンキナーゼ阻害剤(抗線維化剤):効能または効果:特発性肺線維症、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患、進行性肺線維症(添付文章情報)
  • 主な副作用は下痢: INPULSIS試験で、下痢はニンテダニブ群61.5% vs プラセボ群18.6%(ただし軽度〜中等度が多く、投与中止は4.4%程度)
  • 下痢の機序:上皮成長因子受容体(EGFR)による塩化物分泌の負調節が阻害され、管腔内に過剰な塩化物イオンが移動することによる分泌性下痢

塩化物分泌とEGFR-TKI関連下痢の関係
正常な腸管上皮における塩化物分泌機構(青点線)とEGFRによる塩化物分泌の負の制御(赤実線)。NKCC1:ナトリウム-カリウム塩化物共輸送体1型;CFTR:嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス調節因子;CaCC:カルシウム活性化塩化物チャネル;cAMP:環状アデノシン一リン酸;EGFR:上皮成長因子受容体;ErbB2:ヒト上皮成長因子受容体2;EGF:上皮成長因子;TGF-α:形質転換成長因子-α;ERK:細胞外調節タンパク質キナーゼ;PI3K:ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ;Akt:プロテインキナーゼB;PKC:プロテインキナーゼC。(AI訳)

(投稿者 山中/川崎)

2026-09-24

今週の一枚 🎯体位と頚静脈

拡張型心筋症の症例

🔎 解説
  • 座位:内頚静脈の明瞭な拍動(隆起)
  • 半坐位:拍動が不明瞭になっている
  • 臥位 (枕あり):外頚静脈の怒張あり
  • 本症例は心不全の悪化のため入院中

😐 コメント
  • 本例は座位で内頚静脈の拍動上縁が、顎下まで達しています。つまり中心静脈圧(右房圧)は高度に上昇しています(おそらく20 ㎝水柱以上)。このような症例では、半坐位や臥位では内頚静脈の拍動上縁が顎下よりも上方になり、その視認が難しくなるため注意が必要です。臥床で外頚静脈が怒張していますが、心不全診療で信頼すべきは内頚静脈です。
  • 一方、座位で内頚静脈の拍動を視認するためには、その上縁が少なくとも鎖骨上窩よりも上にあることが必須です。つまり、心臓と鎖骨の垂直距離を考慮すると、15 ㎝水柱以上の中心静脈圧(右房圧)を要します(正常参考値は4-8 cm水柱)。よって、軽度から中等度の上昇を見逃さないため、負荷頚静脈法です。無料アプリ「シンプル頚静脈」で学べます。

(投稿者 川崎)

2026-09-23

胃流出路閉塞 GOO: gastric outlet obstruction

  • 胃の出口が機械的に閉塞して、胃内容物が排出されなくなった病態の総称
  • 胃出口閉塞や胃排出路閉塞、幽門狭窄/幽門閉塞などと称されることあり
  • 主な原因は成人では悪性で膵頭部癌、遠位胃癌、十二指腸癌、胆管癌など
  • 良性では消化性潰瘍の瘢痕狭窄、術後変形、慢性膵炎、クローン病など
  • 小児で肥厚性幽門狭窄症(所謂ピロステ=pyloric stenosis:過去の投稿)
  • 症状は食後嘔吐(胆汁を含まない未消化の食物)、腹部膨満、早期満腹感
  • 身体所見は胃振水音(succussion splash)+可視性蠕動(visible peristalsis)
  • 血液検査では低クロール性・低カリウム性の代謝性アルカローシスを生じる
  • 治療は胃管・バルーン拡張・ステント留置・胃空腸吻合術(GJ、EUS-GE)他

- GOOによる可視性蠕動 -

💙 余談
  • ドイツ人医師のアドルフ・クスマウル(Adolf/ph Kussmaul、1822-1902)は、1869年に発表した論文で、胃出口閉塞とそれに伴う拡張への治療法(胃ポンプを使用)の可能性について言及しています(引用)。
  • クスマウルはクスマウル徴候(吸気時に頚静脈膨隆)、奇脈(吸気時の収縮期血圧が10mmHg以上低下)、クスマウル呼吸(糖尿病性ケトアシドーシスなどによる異常に深大な呼吸の連続)も報告(過去の投稿)

(投稿者 川崎)

2026-09-22

インパクトファクター Impact factor

🔍 現時点の医学系雑誌のインパクトファクターのランキング(生成AI作成)

順位 雑誌名 インパクトファクター
1 CA: A Cancer Journal for Clinicians 685.2
2 The Lancet 109.0
3 New England Journal of Medicine(NEJM) 84.5
4 JAMA 65.4
5 BMJ 55.1
6 Nature Medicine 52.5
7 European Heart Journal 45.3
8 Circulation 41.3
9 JACC 22.3
10 Circulation Research 18.0


🔎  現時点の全領域のインパクトファクターのランキング(生成AI作成)

順位 雑誌名 分野 インパクトファクター
1 CA: A Cancer Journal for Clinicians 腫瘍学 685.2
2 Nature Reviews Molecular Cell Biology 細胞生物学 118.0
3 The Lancet 医学(総合) 109.0
4 Nature Reviews Microbiology 微生物学 104.6
5 MMWR Surveillance Summaries 公衆衛生 96.9
6 Nature Reviews Clinical Oncology 腫瘍学 94.6
7 Nature Reviews Drug Discovery 薬理学 91.2
8 New England Journal of Medicine(NEJM) 医学(総合) 84.5
9 Nature Reviews Materials 材料科学 83.3
10 Signal Transduction and Targeted Therapy 分子医学 81.2


👻 独り言
  • CA: A Cancer Journal for Cliniciansというダントツの医学誌ですが、今まで聴いたことがありませんでした。調べてみると、隔月に出版され掲載される論文は1~2編のようです。オープン形式で、癌関連のGlobal Cancer Statisticsのような世界的にヘビーサイテーションされる総説が主なため、とんでもない数値をたたき出しているようです。同雑誌のホームページによると、投稿から最初の判定は2日(中央値)で、採択率は31%もあるようです。
  • 一方、世界的に有名なNatureのインパクトファクターは56.1、Scienceは45.8です。Natureの全投稿に対する採択率は約8%で、多くはピアレビューに回る前の「デスクリジェクト」(編集部の初期審査での不採択)のようです。Scienceの採択率も約7%未満(年間約12,000〜13,000件の投稿のうち採択は約800件)です。投稿の約80〜85%が査読に回る前のデスクリジェクトで、査読まで進んだ論文に限ると採択率は約30〜35%のようです。

(投稿者 川崎)

2026-09-21

心臓MRIのblack-blood(BB)法

♣ T2WBB(T2 Weighed Black Blood)
  • Spin echoシーケンスを用いて撮影し、血液の信号をゼロ(黒)とする.T2強調像での心筋内高信号域は心筋浮腫を反映すると考えられており,急性虚血や炎症性変化に伴う所見とされる.
  • 下図(Fig. 10)は心筋炎例のT2強調画像と遅延造影像の比較である.心筋炎では心筋中層から外膜側が侵されることが多く,LGE陽性部分にも一致して,炎症および浮腫を反映している.

♠ T1WBB(T1 Weighed Black Blood)
  • 心筋脂肪変性を検出するプロトコールである.ARVC(Arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy:不整脈原性右室心筋症)の心筋脂肪変性や腫瘍の性状評価を目的として撮影する.
  • 従来の脂肪変性検出は疑陽性が多いが,このプロトコールによる右室および左室心筋の脂肪変性検出はARVCの診断や生検部位の参照としても有用で,簡便にも撮影できるので利用価値は高い.

💁MRIのブラッドブラック法の過去の投稿 → コチラへ
(投稿者 川崎)

2026-09-20

ジアゼパム点鼻液 (スピジアⓇ)

  • 国内初のジアゼパムの鼻腔内投与製剤(2025年12月24日に発売)
  • 効果はてんかん重積状態(2歳以上で重積状態へ移行する恐れ含)
  • 医療機関外で医療者や介護者による投与可なレスキュー薬(下記)

📘 医政医発0415第1号(令和8年4月15日)より

学校、保育所、認定こども園、家庭的保育事業等、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、児童育成支援拠点事業、放課後子供教室、認可外保育施設、児童自立生活援助事業、児童発達支援、放課後等デイサービス等(以下「学校等」という。)に在籍又は利用する幼児、児童、生徒、学生(以下「児童等」という。)がてんかん発作を起こし、生命が危険な状態等である場合に、現場に居合わせた教職員を含む職員又はスタッフ(以下「教職員等」という。)が、ジアゼパム点鼻液(「スピジア®」)を自ら投与できない本人に代わって投与する場合が想定されるが、当該行為は緊急やむを得ない措置として行われるものであり、次の4つの条件を満たす場合には、医師法(昭和23年法律第201号)第17条違反とはならないと解してよい。
  1. 当該児童等及びその保護者が、事前に医師から、次の点に関して書面で指示を受けていること。学校等においてやむを得ずジアゼパム点鼻液を使用する必要性が認められる児童等であること、ジアゼパム点鼻液を使用する際の留意事項
  2. 当該児童等及びその保護者が、学校等に対して、やむを得ない場合には当該児童等にジアゼパム点鼻液を使用することについて、具体的に依頼(医師から受けたジアゼパム点鼻液を使用する際の留意事項に関する書面を渡して説明しておくこと等を含む。)していること。
  3. 当該児童等を担当する教職員等が、次の点に留意してジアゼパム点鼻液を使用すること。当該児童等がやむを得ずジアゼパム点鼻液を使用することが認められる児童等本人であることを改めて確認すること、ジアゼパム点鼻液を使用する際の留意事項に関する書面の記載事項を遵守すること
  4. 当該児童等の保護者又は教職員等は、ジアゼパム点鼻液を使用した後、当該児童等を必ず医療機関で受診させること。

(投稿者 川崎)

2026-09-19

再確認:アミオダロンの血中濃度

📖 アミオダロンのClinical Question 6
  • 血中濃度が2.5~4 μg/mL(2500~4000 ng/mL)以上になると神経系や消化器系の副作用が発現してくるという報告がある.肺毒性については慢性期の高用量や高血中濃度との関連を示唆する報告もあるが,その詳細な臨床データはない.日本では欧米に比し低用量で用いられており,通常の治療中に血中濃度が2.0 μg/mL(2000 ng/mL)を超えることはまずない.このため,濃度依存性とされる肝,神経,皮膚に関する副作用の頻度は欧米に比し低い.ただし,低用量治療であっても,甲状腺機能障害や肺毒性は発現する.日本人でのアミオダロン肺毒性発現の要因を検討した報告では,年齢,維持量,デスエチルアミオダロン血中濃度が有意であり,低用量であってもデスエチルアミオダロン血中濃度が 0.6 μg/mL(600 ng/mL) 以上になると,肺毒性のリスクが高まる.(※赤色は投稿者が追加)


💣 アミオダロンの復習
  • アミオダロンの分布容積は66 L/kgと非常に大きく大半は血管外の組織に分布
  • 脂溶性がとても高いため,心臓への分布を血中濃度のみから把握するのは困難
  • 消失半減期が長く,経口薬連投後で14~107日,単回静注後でも14.6±7.9日
  • 経口投与では生物学的利用率が35~65%と低く,消化管からの吸収は不完全
  • ほとんどが肝で代謝され主な代謝物にデスエチルアミオダロンが知られている
  • デスエチルアミオダロンは活性代謝物で,薬理効果はアミオダロンとほぼ同等


(投稿者 川崎)

2026-09-18

香雪こうせつ記念病院

  • 医師A「松下記念病院は松下幸之助さんの病院ですね」
  • 投稿者「そうです。現在の病院は4代目にあたります」
  • 医師A「ということは、香雪記念病院の関連ですか?」
  • 投稿者「香雪? すいません、聞いたことありません」
  • 医師A「だって幸之助さんはすごい金持ちだったから」

- 香雪記念病院 -
  • 兵庫県西宮市に昭和42年(1967年)に開院した「高級ホテル」のような病院
  • 朝日新聞社の創業者・村山龍平氏の没後30年を記念し計画(香雪は彼の雅号)
  • 建坪2,200坪、病床111床で建設費は土地込みで約13億円(当時としては破格)
  • オープンシステム導入(患者がかかりつけ医を連れてきて診療を受けられる)
  • 病室のほとんどが個室で最上階には一流ホテル料理人による本格的レストラン
  • 老朽化などで2002年に大規模改修され現在は西宮協立リハビリテーション病院

(投稿者 川崎)

2026-09-17

災害診療記録/J-SPEED

  • 災害診療記録とは災害医療チームが使用する診療録標準様式(標準カルテ)
  • J-SPEEDとは、災害診療記録とセットで運用される診療日報標準様式である
  • J-SPEED=Japan-Sur veillance in Post Extreme Emergencies and Disasters
  • 世界保健機関が提唱するSPEEDを日本の災害医療体制(DMAT等)へ標準化
  • J-SPEED情報提供から災害診療記録/J-SPEED診療日報がダウンロード可能

災害医療記録・J-SPEEDの概要


熊本地震のJ-SPEEDデータ(2016年)

(投稿者 川崎)

2026-09-16

大動脈僧帽弁カーテン Aortomitral curtain

  • 大動脈弁と僧帽弁の間をつなぐ線維性の膜状構造(心臓の線維骨格の一部) 
  • 具体的には大動脈弁左冠尖・無冠尖と僧帽弁前尖の間をつなぐ組織(下図)
  • 別名は僧帽弁大動脈間膜様部(intervalvular fibrosa)やaortomitral continuity
  • 感染性心内膜炎で弁輪周囲膿瘍あるいは偽性瘤を形成しやすい部位として重要
  • 外科的には大動脈弁と僧帽弁の同時再建(Commando手術など)で操作必要
  • 不整脈領域では心室期外収縮や心室頻拍など心室性不整脈の基盤となりうる
  • 石灰化しやすくTAVR(経カテーテル大動脈弁置換術)では穿孔のリスク部位


大動脈僧帽弁カーテンのシェーマ

(投稿者 川崎)