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2026-09-13

グロームス腫瘍(グロムス腫瘍)  glomus tumor

  • グロムス体(皮膚の動静脈吻合で体温調節・血圧制御に関与)由来の良性腫瘍
  • 1812年にWoodが初めて記載し、1924年にMassonがグロムス体由来を確立した
  • glomusはラテン語で「糸くずの玉」や「毛糸玉」、「小さな球体」を意味する
  • 全軟部腫瘍の2%未満で、手指の爪下に好発し「爪下グロムス腫瘍」と呼ばれる
  • 三徴は疼痛・限局性圧痛・寒冷過敏性で駆血で疼痛消失(Hildreth's sign、
  • ダーモスコピーや超音波、MRIが病変の局在把握に有用で確定診断は病理組織
  • 鑑別診断は血管腫、静脈奇形、外骨腫、粘液嚢腫、悪性黒色腫、神経腫など
  • 治療は経爪的アプローチによる外科的完全切除で、完全摘出後の再発は少ない

引用)Eplasty 2008;8:e48、他

- 薬指のglomus腫瘍を有する44歳女性 -
3か月前から爪の変色、痛み、冷感の増強を訴えて来院。術前の爪の状態(左)、爪甲除去後の病変(中央上)、爪母からの腫瘍切除(中央下)、および術後2年経過した軽度の爪の変形を示す画像(右)。

(投稿者 川崎)

2026-09-12

トラヘルパー 輪状甲状靭帯穿刺針

【使用目的又は効果】
  • 本品は輪状甲状膜に留置することを目的としたチューブで、気管切開後の気道確保、緊急時の気管切開による気道確保、気管内分泌物の吸引、気管内及び気管切開孔の狭窄防止や保持の何れかを目的として、気管切開後の気管内に挿管して使用す

【禁忌・禁止】
  • 再使用禁止
  • 12歳以下の症例、血液凝固異常、咽頭外傷、気管損傷、声門下狭窄、高度肥満
  • カフ付きの気管内チューブや気管切開チューブの適応となる長期呼吸管理が必要な症例には使用しないこと。[カフがなく、チューブ径も細いため、長期人工呼吸管理には適さない。]


トラヘルパー 輪状甲状靭帯穿刺針




(投稿者 川崎)

2026-09-11

クラゲ刺傷

  • 先日,クラゲに刺された症例をカンファレンスで議論しました.
  • 当院は海から離れたエリアにあるためこのような症例は稀です.
  • 担当医が調べてくれたことを忘備録としてアップしておきます.
   
💢クラゲ刺傷💢
  • クラゲが属する刺胞動物は、1本の触手に数千の刺胞を持つ。刺胞に含まれる毒素によって、様々な症状が生じる。クラゲが自発的に人を襲うことはなく、偶発的に接触することで危害は生じる。世界中で年間1億5000万件程度のクラゲ刺傷が起きているとされる。危険なクラゲの種類として、ハコクラゲ、ライオンタテガミクラゲ、ヤナギクラゲ等が知られる。
  • 症状は、あまり重篤でないことが多い。軽度な症状としては、痛み・掻痒感・皮疹がある。重度の症状として、呼吸困難、筋痙攣、胸痛、水疱、流涙、嘔気・嘔吐、大量発汗、嚥下困難、腹痛などが生じることがある。クラゲ刺傷に特異的な検査は特に存在しない。
  • 治療は、 ①淡水でなく海水で傷口をしっかり洗浄する(淡水は未発射の刺胞を刺激する)。 ②ピンセットや手袋を使って、皮膚から触手を取り除く。 ③酢や消毒用アルコールを皮膚に塗布する(カツオノエボシに対して酢は使用禁)。 ④疼痛に対し、カラミンローションやヒドロコルチゾン軟膏に塗布する、温水に浸すなどの対症療法を行う。 ⑤痛み止め、抗毒素、抗ヒスタミン薬を処方することもある。

【参考】

(投稿者 岡本/川崎)

2026-09-10

今週の一枚 🎯

食事中にピアスを飲み込んだ若い男性

💋 解説
  • 胃内に棒状の金属性異物の疑い
  • 腹腔内に遊離ガスは認められず
  • 緊急上部内視鏡を行い異物除去
  • 脱落した唇ピアスの一部だった

👂 追加コメント
  • はじめは,「どうやって食事中にピアスなんて飲み込んだんだろう?」と思いましたが,耳のピアスではなくて,口のピアスでした.
  • 唇ピアス vs 耳たぶピアスの脱落率を直接比較した論文は見つかりませんでしたが,リップピアスの方が落下しやすいと思われます.
  • その理由は,口の物理的な負荷の多さ(会話や食事など)に加え,装着による歯肉退縮(Dent Traumatol 2006;22:7-13)など?

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-09-09

奇脈  Reverse pulsus paradoxus

  • 奇脈(pulsus paradoxus)とは、吸気時に収縮期血圧が正常より大きく低下する現象(10mmHg超の低下:正常例では低下が10mmHg以内)
  • 収縮性心膜炎心タンポナーデといった心疾患を診断する手掛かりになることもあるが、手技的な煩雑性もあり、臨床ではあまり行われない
  • その奇脈の逆が逆奇脈(リバース奇脈、reversed pulsus paradoxus)で、吸気時に血圧が上昇する(あるいは呼気時に低下する)現象のこと
  • N Engl J Medにも掲載されたことがある(Massumi RA, et al. Reversed pulsus paradoxus. N Engl J Med. 1973 Dec 13;289(24):1272-5

🔁 逆奇脈を生じる3病態とその機序
  1. 間欠的陽圧換気 ➜ 胸腔内圧の変動が通常の呼吸とは逆になるため、吸気血圧は呼気血圧よりも高くなる。吸気相では、陽圧換気による胸腔内圧の上昇が胸部大動脈に伝達され、さらに左心室拍出量が増加する。
  2. 閉塞性肥大型心筋症 ➜ 呼気時に左心室圧が高く、動脈圧が低いこと、および左心室-上腕動脈圧が同時に上昇する。これは呼気時に左心室流出路閉塞が増強していることを示唆している。
  3. 等頻度房室解離 ➜ 吸気時の洞調律の増加により、洞調律が房室解離よりも優位になる。洞調律では房室同期が保たれるため、その結果、呼気時の房室非同期に比べて脈拍量が大きくなる。


(投稿者 川崎)

2026-09-08

心不全の頚静脈評価:レアケース

息切れを訴える非閉塞性の肥大型心筋症(座位)

🔎 解説
  • 安静座位で頚部に周期的な拍動あり(矢頭)
  • 用手的に容易に圧迫可→動脈ではなく静脈
  • 時相は前収縮期(橈骨拍動前)→頚静脈a波
  • 吸気後はa波が消失(他の陥凹や隆起なし)
  • 本例は最終的にHCMの心不全と診断された

😐 追加コメント
  • 肥大型心筋症では、頚静脈のa波を半数以上の症例で視認できます。これは心房収縮時に硬い心室に血流がスムースに流入できずに、頚静脈に逆流するからです。右室肥大がなくても左室肥大の硬さが、心室中隔を介して右心系にも伝わります(ベルンハイム効果)。
  • HCMの約7割にa波を認めますが、これは臥位であって、座位で視認できる症例は稀です(その頻度)。座位で認めるためには、中心静脈圧がある程度、上昇している必要があるためと思われます。よって座位でa波を認めるHCMでは、心不全の合併を疑います。
  • 本例は吸気後にはa波の拍動が不明瞭です。通常、a波は視認することが難しい弱い波で、吸気負荷など筋肉(胸鎖乳突筋など)の緊張時には、まず見えないと思います。もっとも、重症心不全ならHCMでも、x谷やy谷の陥凹あるいはv波の隆起を座位で視認します。

(投稿者 川崎)

2026-09-07

心音クイズ:Q4

心音の無料ゲーム「心音マイスター」より


💫 解説
  • 上記の心音は聴診器のベル(小さい方)で聴こえた音で、S2周囲に過剰音があります。
  • 聴診器の膜(大きい方)では聴こえなかったので(=低調音)、Ⅲ音と診断できます。

😀 S3について
  • S3はS2直後に出現する低調な過剰音であるため、聴診器のベル(小さいほう)を心尖部に軽く当てて聴診します。
  • 機序は急速流入期の血流(心エコーのE波)による心室壁の衝撃音で、立位より左半側臥位が分かりやすいです。
  • 心不全や僧帽弁逆流で出現しやすく(本例は拡張型心筋症)、若い健常者でも聴取することが少なくありません。

(投稿者 川崎)

2026-09-06

脳底動脈先端症候群(Top of the Basilar Syndrome, TOBS)

  • 脳底動脈先端部の閉塞に起因した脳梗塞に伴ってみられる症候群の総称
  • 部位は中脳, 視床,小脳上部,側頭葉内側,後頭葉で片側性 or 両側性
  • 塞栓が多く症状は多彩(眼球運動・瞳孔異常,意識障害, 記憶障害など)
  • 提唱はアメリカの神経内科医 Louis R. Caplan(Neurology 1980;30:72-9

- 意識障害を伴う脳底動脈上部症候群の73歳男性 -

図A:頭蓋磁気共鳴画像法の拡散強調画像で視床に左右対称の高信号域(赤矢印)
図B:頭蓋磁気共鳴血管造影画像で右視床穿通動脈に閉塞あり(赤矢印)


(投稿者 川崎)

2026-09-05

壊死性筋膜炎の「三つの過ぎ」

😖 「痛すぎ」

  • 概要 pain out of proportion(POOP)が壊死性筋膜炎の診断上、最も重要な所見
  • 実際 所見の乏しさに比して耐えがたい激痛,蜂窩織炎と異なり発赤を超えて痛む
  • 注意 血管血栓形成に伴う皮下神経障害により,進行すると疼痛が消失し麻痺する



💣 「バイタル悪すぎ」

  • 概要 重症化すれば発熱・頻脈・敗血症性ショック・多臓器不全に至りうる
  • 実際 入院時に発熱を認めるのは25〜40%のみで,必ずしも高頻度ではない
  • 注意 初期は元気そうに見えることも多く,これが早期診断を妨げる一因



⏱ 「進行早すぎ」

  • 概要 感染は急速に進行し(分単位・時単位),外科的緊急疾患として扱われる
  • 実際 文献上は数時間で急速拡大、24〜48時間で紫色変色・水疱形成との記載
  • 注意 発症から24時間を超えた遅い外科的介入は死亡率上昇の独立した危険因子


(作成 生成AI/投稿者 川崎)

2026-09-04

キキクル(危険度分布)

  • 気象庁が提供する防災情報システムで「危機が来る」に由来する愛称
  • 大雨に伴う災害リスクを地図上でリアルタイムに色分け表示(下図)
  • 土壌雨量指数・表面雨量指数・流域雨量指数という3つの指数を使用
  • 4種類:土砂キキクル、浸水キキクル、洪水キキクル、大雨キキクル
  • 白(心構え)、黄(注意)、赤(警戒)、紫(危険)、黒(災害切迫)

- 雨による災害リスク評価 -

(投稿者 川崎)