- 奇脈(pulsus paradoxus)とは、吸気時に収縮期血圧が正常より大きく低下する現象(10mmHg超の低下:正常例では低下が10mmHg以内)
- 収縮性心膜炎や心タンポナーデといった心疾患を診断する手掛かりになることもあるが、手技的な煩雑性もあり、臨床ではあまり行われない
- その奇脈の逆が逆奇脈(リバース奇脈、reversed pulsus paradoxus)で、吸気時に血圧が上昇する(あるいは呼気時に低下する)現象のこと
- N Engl J Medにも掲載されたことがある(Massumi RA, et al. Reversed pulsus paradoxus. N Engl J Med. 1973 Dec 13;289(24):1272-5)
🔁 逆奇脈を生じる3病態とその機序
- 間欠的陽圧換気 ➜ 胸腔内圧の変動が通常の呼吸とは逆になるため、吸気血圧は呼気血圧よりも高くなる。吸気相では、陽圧換気による胸腔内圧の上昇が胸部大動脈に伝達され、さらに左心室拍出量が増加する。
- 閉塞性肥大型心筋症 ➜ 呼気時に左心室圧が高く、動脈圧が低いこと、および左心室-上腕動脈圧が同時に上昇する。これは呼気時に左心室流出路閉塞が増強していることを示唆している。
- 等頻度房室解離 ➜ 吸気時の洞調律の増加により、洞調律が房室解離よりも優位になる。洞調律では房室同期が保たれるため、その結果、呼気時の房室非同期に比べて脈拍量が大きくなる。
(投稿者 川崎)




