このブログを検索

2026-05-04

心内血栓:時期は?

😎 MRI vs 心内血栓
  • MRIでは、血栓に捕捉された赤血球のヘモグロビン(Hb)中の酸素状態と水分含有量によって血栓の年齢の推定が可能
  • 血栓中のHbは通常、オキシヘモグロビン → デオキシヘモグロビン → メトヘモグロビン → ヘミクロムへ経時的に変化
  • 最終的にHb分子は酵素によって複数の小さな断片に分解され、マクロファージによって取り込まれる(ヘモジデリン)
  • 復習:MRIのT1・T2強調画像の水分は、T1では黒(低信号)、T2では白(高信号)(覚え方:T1 白脂、T2 水ブシャー!)
  • オキシヘモグロビンとヘミクロムは不対電子を持たず、弱い反磁性(T1緩和時間やT2緩和時間に影響を与えない)
  • デオキシヘモグロビンとメトヘモグロビンは、鉄原子あたり4個と5個の不対電子を持ち常磁性(T1とT2を短縮する)
  • 血栓の検出可能は8時間内、信号強度が最大となるのは約3週間後、その後は横ばいで半年まで持続し数週間かけ消失


心臓血栓のMRIタイムライン

ステージ T1強調画像 T2強調画像
● 超急性期(12時間未満) 等信号 高信号
● 急性期/亜急性期(最初の2~3週間) 高信号 高信号(第1週では低信号の領域を含む)
● プラトー期(3週間~6ヵ月) 信号が徐々に不均一に減衰
● 慢性期(6ヵ月以上) 等信号 等信号


(投稿者 川崎)

2026-05-03

パジェット病 Paget病

  • 汗器官由来の細胞であるパジェット細胞が増殖した表皮内癌の一種
  • 真皮まで浸潤したらパジェット癌(パジェット病に含むこともあり)
  • 乳房パジェット病と陰部や腋などに生じる乳房外パジェット病に二分
  • 乳房パジェット病は乳頭や乳輪に生じて病乳癌と同じように扱われる
  • 乳房外パジェット病が狭義のパジェット病で60歳以上の高齢者に多い
  • 稀な皮膚がんで本邦での頻度は人口10万人あたり男女ともに0.8人/年
  • 乳房外パジェット病は原則として手術切除(+植皮や皮弁などの再建)
  • リンパ節転移が広範囲におよんだり臓器に転移がある場合は化学療法
  • 英国の外科医かつ病理医である Sir James Paget(1814–1899)に由来

参考)日本皮膚悪性腫瘍学会,ほか

パジェット病:肉眼とダーモスコピーの所見

👻 皮膚がんの過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2026-05-02

🦴 ハバース管とフォルクマン管

  • 骨は外側の密度が高い緻密骨と内側の網目状になっている海綿骨に大別
  • 緻密骨は骨単位(オステオン)という構造の集まり(バームクーヘン様)
  • 骨単位の中心にはハバース管が通り(骨の長軸方向)、中に血管や神経
  • 一方、フォルクマン管はハバース管同士を横方向に連絡している(下図)

イメージと覚え方

 
💀 なんでも調査隊
(投稿者 川崎)

2026-05-01

胆嚢腺筋腫症 Adenomyomatosis of the Gallbladder

  • Rokitansky-Aschoff sinus(RAS)が増殖し胆嚢壁肥厚をきたす良性病変
  • 臨床的診断の目安は画像で4 mm 以上の壁肥厚+拡張したRAS や壁在結石
  • 本症の頻度は胆嚢切除例の2.1~14%,人間ドックの 0.12~0.49% である
  • 病変の局在で底部型,分節型,びまん型,特殊型に分類する(下図参照)
  • 癌除外困難,分節型+胆石合併や変形例,症候例, 結石充満例は摘出術
  • 経過観察は初回は 3~6 月後,変化がなければ以後 は 6~12 月毎が推奨

- 胆囊腺筋腫症の分類 -

(投稿者 川崎)

2026-04-30

今週の一枚 🎯

他院フォロー中の超高齢者が息切れで当院搬入



(投稿者 川崎)

2026-04-29

大阪府警察医会 死体検案マニュアル

🔍 死体検案
  • 医師が死体を死後診察して、死因や死亡時刻、異状の有無などを判断すること
  • 医師が行う死体検案は以下の2通りがある
    1. 検案して異状があれば所轄警察署に届け出(医師法第21条)
    2. 異状死体に対し捜査の一助で警察に依頼された医師が行う
  • 異状死を警察に届け出る状況の例
    1. 外因死(損傷、事故、水死、火災、中毒、自殺等)、もしくはその疑いがある
    2. 心肺停止状態で救急搬送され、死因がわからない
    3. 外傷が原因で入院後、死亡した(後遺症も含む、入院の期間は問わない)
    4. 病死かもしれないが、搬送時の状況がおかしい
    5. かかりつけの患者であっても、死亡時の状況がおかしい、不審な外傷がある、等
    6. 診療行為中や直後の予期せぬ死亡



👻関連投稿 → 監察医・検視官・警察医など

(投稿者 川崎)

2026-04-28

日本初の聴診器

  • 日本で初めての聴診器は1848年(嘉永元年),オランダの軍医オットー・モーニッケが長崎の出島で医師の吉雄圭斎に紹介し,実物が今も長崎大学属図書館に保存されている.
  • これは自分の書籍やウェブコンテンツでしばしば引用してきた文言です.引用論文は見つけられませんでしたが,AI(Claude sonnet 4.6)に依頼したらすぐに探してくれました.


💁 聴診器に関する過去の投稿は コチラ

(投稿者 川崎)

2026-04-27

新アプリ:循環器フィジカル - 100本ノック -

  • 2025年4月から1年間にわたり循環器に関するフィジカルクイズを毎週X(旧Twitter:@PhysicalExamin1)で発信してきました(監修:循環器Physical Examination講習会).
  • こちらのページには2週分ずつまとめてアップしてきました(ココ).この計100問を簡単に復習できるように無料アプリにまとめました循環器フィジカル -100本ノック-
  • アプリ化にあたり福田先生に全問題をレビューいただきました(本当にありがとうございます🙏).成績に応じて格付けされ,100問をミスなく完遂したらマイスターに認定
  • マイスター到達時は,フィジカルの巨匠 坂本二哉先生の金言が表示されます(下図右下:ご本人の了解を得ております).練習モードや復習モードもあるのでご活用ください.


心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2026-04-26

コーラ溶解療法 Cola Dissolution Therapy

  • 腸石は通常無症状で特定の集団における有病率は0.3%から10%程度
  • 小さい腸石は断続的に排出される(画像では必ずしも視覚化されず)
  • 腸石は一次型(髪石、植物石、糞石など)と二次型(移動胆石など)
  • 症候性症例は治療:ダブルバルーン内視鏡、手術、コーラ溶解療法
  • コーラは腸石と酸塩基反応を生じ微細気泡が線維結合を軟化させる
  • コーラ注入に伴うリスクは炭酸による粘膜損傷や腸内圧の上昇など

イレウス管からのコーラ注入(1回100~200ml,1日2〜3回)を行った胃石嵌頓による小腸閉塞の1例

(投稿者 川崎)

2026-04-25

キャサヌル森林病 Kyasanur forest disease

  • 概要 フラビウイルス科のキャサヌル森林病ウイルスによる感染症
  • 経路 主にマダニとげっ歯類で感染環が維持→刺咬によりヒト感染
  • 症状 潜伏期間は3~12日で、発熱や頭痛、筋肉痛、咳嗽を生じる
  • 経過 約40%に出血性肺水腫→一部は寛解後に髄膜炎や脳炎を発症
  • 予後 致死率は3~5%であるが、基本的に後遺症を残すことはない
  • 診断 血液や髄液のPCR、IgM抗体の検出、ペア血清による判定など
  • 地域 インドの南西部が主な流行地で、年間400~500人が発症する
  • 治療 有効な抗ウイルス薬は未開発で対症療法(予防では刺咬回避)



👿 おまけ
  • キャサリヌス森林という名称は、この病気が1957年3月にインドのカルナータカキャサヌール森林地帯にあるカッティナケレ村で初めて報告されたためだそうです。当時はサルの間で流行したため、地元ではサル病(monkey disease)またはサル熱(monkey fever)としても知られているようです。
  • サル痘(Monkeypox)は、差別的表現を避けるため最近、エムポックス(Mpox)に改称されました。地域差別や偏見を避けるため、WHOは病名への地名使用を控えるよう勧告しています。キャサヌル森林病という病名が消えるのも近いかも…ちなみに本邦では、同疾患は4類感染症に指定されています。

(投稿者 川崎)