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2026-02-18

メンデルのランダム化解析 Mendelian randomization

👻 背景
  • 研究実施者による介入を伴わない観察研究では,交絡因子により生じるバイアスを念頭に置かなければならない.交絡バイアスを除去しなければ,ある曝露がアウトカムに与える因果効果を,適切に推定することはできない.この交絡バイアスを取 り除く統計手法の一つに操作変数法がある.操作変数法では,以下の3要件を満たす操作変数が必要である.
  1. 操作変数は曝露変数と関連する
  2. 操作変数は曝露変数を介してのみアウトカムに影響を与える(除外制約)
  3. 操作変数とアウトカムは共通原因を持たない


🍃 メンデルのランダム化研究
  • 自然界で行われている無作為化(対立形質が無作為に遺伝する:対立形質の無作為化割付が「神様」により為される)を利用した解析法


メンデルランダム化 vs 無作為化比較

(投稿者 川崎)

2026-02-17

Invoiceインボイス ならぬ INVOSインボス

  • Invoice(インボイス)➜ 2023年10月に開始された、事業者が消費税の仕入税額控除を受けるために必要な適格請求書.課税売上高が1,000万円を超える場合は考慮するが,病院は同制度による税額の増加は通常ない.
  • INVOS(インボス)➜ メドトロニック社が提供している脳オキシメータシステム(ココ).近赤外線分光法(Near Infra-Red Spectroscopy: NIRS)を用いて脳や骨格筋の組織酸素飽和度をリアルタイムに測定できる.

- INVOSのイメージ -

(投稿者 川崎)

2026-02-16

心尖拍動を診る

息切れで来院例の心尖拍動 (座位)

💁 解説
  • 座位で明瞭な心尖拍動を視認(動画の矢印)
  • 男性で拍動の最外側は乳輪の外側 ➜ 心拡大
  • 収縮期隆起は長い持続(抬起性) ➜ 心肥大
  • 心尖拍動は規則的でない ➜ 心房細動の疑い
  • 最終診断は肥大型心筋症+心房細動の心不全

😐 独り言
  • 肥大型心筋症で心室拡大をきたす例(拡張相あるいはend-stage)は稀で,通常は心尖拍動は乳輪内側に位置します.しかし病態が進行すると心房の拡大を呈するため,心室拡大がなくても心尖拍動は外側(下方)に偏位します.
  • 実際に左房容積が心尖拍動の左方偏位に最も関連する因子であることが報告されています(J Cardiol 2021;78:136-41).心拡大は心室 and/or 心房の拡大を意味すると思われるので,心拡大≠左室の内腔拡大でない点に要注意

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2026-02-15

とても大切な質問をいただきました

  • 先日,頚動脈拍動(コリガン脈)や甲状腺雑音,左季肋部の拍動(ゲルハルト様徴候/Gerhardt-like sign)など身体所見が特徴的であった甲状腺クリーゼの症例を発表しました.本例の主訴は意識障害でした.
  • 発表後に複数の質問があったのですが,一つが特に秀逸でした.「そもそも甲状腺クリーゼでは,どうして意識障害が生じるのですか?」という問いです.その場でうまく答えられなかったので調べてみました.

  • 甲状腺クリーゼで意識障害(意識混濁、せん妄、昏睡など)をきたす主な理由は、過剰な甲状腺ホルモンが中枢神経系(脳)に直接・間接的に甚大な負荷を与えることによる代謝・機能の破綻です。

(AI作成の病態モデル図と説明文)←PMIDは微妙?

👉 甲状腺に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄から選択可能)

(投稿者 川崎)

2026-02-14

SHATSシャッツを制圧せよ

  • 先日参加した病診連携の会での特別講演でSHATSという言葉を初めて聞きました.そして「SHATSを制圧せよ」はその講演のテーマの一つでした.

👉 SHATS(シャッツ)
  • 血圧サージの増大が血管疾患と悪循環を形成し循環器疾患の発症と臓器障害を加速させるという観念
  • systemic hemodynamic atherothrombotic syndromeの略で邦名は全身血行動態アテローム血栓症候群
  • 提唱は自治医科大学循環器内科の苅尾七臣(Kazuomi Kario)先生(Nat Rev Nephrol 2013;9:726-38
  • 血管スティフネスの増大は高血圧に先行して,「サージ血圧」の増大とその末梢へ影響を増幅させる
  • 従って血管疾患が進行している高血圧患者こそより厳格な血圧コントロールを徹底させることが重要


- SHATSの観念図 -

👉 血圧に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2026-02-13

アレルギー:Ⅰ型〜Ⅳ型

  • Ⅰ型 ➜ 即時型アレルギー、アナフィラキシー型
  • Ⅱ型 ➜ 細胞傷害型、細胞融解型
  • Ⅲ型 ➜ 免疫複合体型、Arthus型
  • Ⅳ型 ➜ 遅延型アレルギー、細胞性免疫、ツベルクリン型


- アレルギー反応の分類 -

(投稿者 川崎)

2026-02-12

今週の一枚 🎯

息切れで来院(血液疾患で化学療法中)

😐 解説
  • 眼周囲の明瞭な浮腫(puffy eyes)
  • 浮腫は下眼瞼より上眼瞼で目立つ
  • 浮腫の部分は心持ち蒼白?(pale)
  • 座位で右側内頚静脈の拍動は陽性
  • 心音はギャロップ+全収縮期雑音
  • 最終診断は薬剤性心筋症(HFrEF)

👽 心不全 vs 眼
  • 眼瞼浮腫は必ずしも病的とは言えません(寝不足や号泣後).しかし本例のように上眼瞼が主体の浮腫なら心不全を想起させます(ただしエビデンスは見つからず)
  • 眼瞼浮腫で発赤がないことは炎症やアレルギーに伴う変化の除外に有用と思われます.(本例は血液疾患による貧血に加えて,心不全による血液の希釈も影響?)
  • 心不全の浮腫と言えば下腿浮腫ですが,眼瞼や陰嚢などにも出現することがあります.心不全での眼瞼浮腫の頻度を調べましたが見つけることができませんでした.
  • 心不全ガイドラインは「下腿(末梢あるいは四肢)の浮腫とそれ以外の浮腫」という分類がされています.「眼」という漢字は一つも記載されていませんでした.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2026-02-11

感染性動脈内膜炎 IEA: infectious endoarteritis

  • 感染性大動脈炎と感染性動脈炎という共通した病態の包括
  • 院内で突然死133例の剖検で6例が感染性動脈内膜炎の所見
  • 動脈壁の破壊で瘤形成~破裂切迫なら制御困難で外科治療
  • 顕性化した時点では治療抵抗性で高い死亡率を有する疾患


- 感染性動脈内膜炎の初期から経過を追うことができた例 -

👺 発生機序(動脈は感染に対して強い抵抗性を有す)
  1. 血管栄養血管への細菌性微小塞栓(主に感染性心内膜炎が原因)
  2. 近接感染巣からの進展
  3. 遠隔一次感染巣からの血行性播種
  4. 動脈壁への外傷と直接のコンタミネーション


    (投稿者 川崎)

    2026-02-10

    ガマ腫 🐸 Ranula

    • 舌下腺導管が閉塞し舌下腺からの唾液が周囲間隙に漏出した貯留嚢胞
    • その命名はガマガエルが喉を膨らませた姿に似ていることに由来する
    • 10~20歳代に好発する疾患で, 組織学的には上皮細胞を欠く偽嚢胞
    • 口腔底限局の舌下型,顎下進展の顎下型,口腔底〜顎下の舌下顎下型
    • 治療は開窓術,嚢胞摘出術,舌下腺摘出術などの手術に加え硬化療法

    参考)口咽科 2023;36:59-64,他

    口腔底の腫脹を生じたガマ腫の12歳女性
    OK-432(ピシバニール®)高濃度注入法で消失

    (投稿者 川崎)

    2026-02-09

    フィジカルクイズ(No. 39 & 40)

    • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
    • 2025年4月から毎週金に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.



    👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

    心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

    (投稿者 川崎)