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2026-09-13

グロームス腫瘍(グロムス腫瘍)  glomus tumor

  • グロムス体(皮膚の動静脈吻合で体温調節・血圧制御に関与)由来の良性腫瘍
  • 1812年にWoodが初めて記載し、1924年にMassonがグロムス体由来を確立した
  • glomusはラテン語で「糸くずの玉」や「毛糸玉」、「小さな球体」を意味する
  • 全軟部腫瘍の2%未満で、手指の爪下に好発し「爪下グロムス腫瘍」と呼ばれる
  • 三徴は疼痛・限局性圧痛・寒冷過敏性で駆血で疼痛消失(Hildreth's sign、
  • ダーモスコピーや超音波、MRIが病変の局在把握に有用で確定診断は病理組織
  • 鑑別診断は血管腫、静脈奇形、外骨腫、粘液嚢腫、悪性黒色腫、神経腫など
  • 治療は経爪的アプローチによる外科的完全切除で、完全摘出後の再発は少ない

引用)Eplasty 2008;8:e48、他

- 薬指のglomus腫瘍を有する44歳女性 -
3か月前から爪の変色、痛み、冷感の増強を訴えて来院。術前の爪の状態(左)、爪甲除去後の病変(中央上)、爪母からの腫瘍切除(中央下)、および術後2年経過した軽度の爪の変形を示す画像(右)。

(投稿者 川崎)

2026-05-27

NCD登録

👀 NCD(National Clinical Database)
  • 手術症例のデータベースとして2010年に設立された一般社団法人
  • 日本外科学会や日本小児外科学会など本邦の外科系10学会が参画
  • わが国で行われている該当領域手術の95%以上が登録されている
  • 各種専門医制度では入力データが手術実績の管理面で中核をなす
  • NCDのビッグデータを活用した臨床研究、政策研究も数多く実施
  • 個人情報は匿名化(登録拒否は各医療機関のオプトアウト対応)



(投稿者 川崎)

2026-05-22

周術期 Perioperative period

  • 日常臨床で「周術期」という言葉をよく使用しますが、(私の)認識が少し曖昧だったのでまとめておきます。

📌 周術期(Perioperative period)
  • 手術決定した時点~入院、麻酔、手術、回復、退院~社会復帰した時点を指すことが多い。つまり入院中あるいは術中だけでなく、その前後を含めた一連の期間。合併症を防ぎ、安全かつ早期に回復するために多職種が連携して患者をサポートする。

(投稿者 川崎)

2026-04-16

今週の一枚 🎯

転倒してガラスが右臀部に刺さった症例

🚑 臨床現場
  • 外観は右臀部に2 cmの切創があるのみ
  • レントゲンで3つの異物を確認(上図)
  • 救急室では1つのガラス片のみ確認可
  • 残る二つは鑷子(セッシ)にも触れず
  • 追加CTでガラス片は残存(下図矢印)
  • 手術室に移動し残る2つを摘出(下図)


👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-04-12

タイプ II エンドリーク

  • 血管内腹部大動脈瘤修復術(EVAR)後のエンドリークの一つ(下図を参照)
  • EVARを受けた37名で術後1月と6ヵ月の時点で37.8%にエンドリークが陽性
  • タイプIが10.8%、タイプIIが27%(内訳:腰動脈18.9%、下腸間膜動脈8.1%)


👶 独り言
  • 一般にタイプ1とタイプ3は予後が悪く、タイプ4は良いと考えられています。タイプ2に関しては臨床上問題ないとする意見が多いようですが、心血管事故が増加するという報告もあり、今後のエビデンスの集積が待たれます。

💁 腹部大動脈瘤に関する過去投稿は コチラ
(投稿者 川崎)

2026-04-09

今週の一枚 🎯

他疾患で手術を予定している高齢者

解説
  • 臍部に腹腔内から腸管と脂肪組織の脱出
  • 腹壁からの観察では特記すべき異常なし
  • 偶発的に見つかった臍のヘルニアと診断
  • 臍ヘルニアに関する症状は全くない様子
  • 予定されていた他疾患の手術を実施した

⛯ 成人の臍ヘルニア(Umbilical Hernia in Adults)
  • 欧米では中年の女性に多いが,わが国では比較的まれ
  • 一度閉鎖した臍輪が,後天的に脆弱となるために発生
  • 誘因は高度肥満や妊娠・多産,腹水,腹腔内腫瘤など
  • 鑑別は上腹壁・傍臍・腹壁瘢痕ヘルニア,尿膜管遺残
  • 自然治癒は少なく陥頓する可能性があるため早期手術
  • 単純閉鎖や腹直筋筋膜を重ね合せ縫合,メッシュ修復
  • 再発率はBMI<30以下で8.1%,>30では31.8%と増加


👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-03-28

チャールソン併存疾患指数 Charlson Comorbidity Index

  • さまざまな併存疾患を持つ患者の死亡率(10年生存率)を予測するモデル
  • 米国の疫学などを研究する医師 Mary E. Charlson らが1987年に開発(
  • オリジナルは計19のカテゴリーを考慮(追試結果に基づいて何度か修正)
  • スコアがゼロの場合は併存疾患なく,スコアが高いほど予測死亡率が高い
  • 判断基準の一例:0=低い、1~2=中等度、3~4=高い、≧5=とても高い  
  • 医師にとっては原疾患をどの程度積極的に治療するか決定するのに役立つ

🍃 チャールソン併存疾患指数(の一例)
  • 1点 ➜ 心筋梗塞、うっ血性心不全、末梢血管疾患、脳血管疾患、認知症、慢性肺疾患、リウマチ性疾患、消化性潰瘍、肝疾患(軽症の場合)、糖尿病(コントロールされている場合) 
  • 2点 ➜ 片麻痺または対麻痺、腎疾患、悪性腫瘍(局所性の場合)、糖尿病(コントロールされていない場合)、白血病、リンパ腫
  • 3点 ➜ 肝疾患(中等症/重症の場合)
  • 6個 ➜ エイズ、悪性腫瘍(転移性腫瘍の場合)
  • 追加ポイント ➜ 50~59歳 +1ポイント、60~69歳 +2ポイント、70~79歳 +3ポイント、80歳以上 +4ポイント


(投稿者 川崎)

2026-02-21

知っ得:ガイドライン

📗 12誘導心電図
  • 低リスク手術でのルーチンの術前12誘導心電図は推奨されない(推奨クラスIII No benefit・エビデンスレベル B)

📘 BNP/NT-proBNP
  • 中,高リスク手術において,臨床的リスクにて上昇リスク群(例 血管手術でRCRI 1項目以上,非血管手術2項目以上)では,さらなるリスクの層別化にBNPまたはNT-proBNPの測定を考慮してもよい(推奨クラスIIb・エビデンスレベル C)(付帯事項:アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬はBNP値に影響を与える可能性があり注意する.RCRI(Revised Cardiac Risk Index)「低リスク群」に測定する意義は低い)

📙 心エコー図
  • ルーチンの術前経胸壁心エコー図検査は推奨されない(推奨クラスIII No benefit・エビデンスレベル C)(付帯事項:臨床的に適応になるような状況では心エコー図検査を考慮してもよいが,心エコー図検査のためだけに必要な手術が遅れないように注意する)


(投稿者 川崎)

2026-02-17

Invoiceインボイス ならぬ INVOSインボス

  • Invoice(インボイス)➜ 2023年10月に開始された、事業者が消費税の仕入税額控除を受けるために必要な適格請求書.課税売上高が1,000万円を超える場合は考慮するが,病院は同制度による税額の増加は通常ない.
  • INVOS(インボス)➜ メドトロニック社が提供している脳オキシメータシステム(ココ).近赤外線分光法(Near Infra-Red Spectroscopy: NIRS)を用いて脳や骨格筋の組織酸素飽和度をリアルタイムに測定できる.

- INVOSのイメージ -

(投稿者 川崎)

2025-12-28

破格(はかく)

  • 先日「~の血管破格」という発表に出会いました.日常では「破格の待遇」や「破格の値段」などが思いつきますが医学では…
  • 破格」の意味(精選版 日本国語大辞典):きまりや先例を破ること,標準を破ること,通常の程度を甚だしく超えること,他
  • 解剖学で「破格」とは通常の人体構造から逸脱した形態を意味.必ずしも異常とは限らず,多様性の一つとして捉えられています.
  • Google Scholar で「血管破格」を調べると71件がヒットします(ココ).ただし「破格」は循環器用語集(第4版)には未収載

- Adachi V型血管破格を伴う胃癌の1例 -

(投稿者 川崎)

2025-12-09

手術室:空気清浄度100?

  • 空気清浄度の基準として日常的にはNASAクラス基準が使用されてきた(例:手術室はクラス100)。これは米国連邦規格で、1立方フィートあたりの最大許容粒子数を示す(細菌の短径と同じ0.5μmが基準)。
  • この規格は工業領域での規格であり、人が出入りする手術室の清浄度を表現するには好ましいとはいえない。日本ではJIS B9920(クリーンルームの空気清浄度の評価方法)が1975年に制定され以後数度改訂。
  • 日本や米国ではいまだNASAクラス基準の呼称が一般的であるが、早急にISO表現に慣れていかなければならない。最近では空気清浄度はフィ ルタ濾過効率と換気条件により表現されることが一般的である(下表)



(投稿者 川崎)

2025-12-06

カプリーニスコア Caprini Score

  • 周術期に静脈血栓塞栓症(VTE)の発症リスクを予想するスコア
  • 米の外科医 Caprini らが1991年に開発()➜ その後複数回改訂
  • 静脈鬱滞、内皮損傷、過凝固状態に関連する因子を定量化(下表)
  • 高リスク患者を早期に特定し抗凝固療法および機械的予防を考慮
  • 低リスク 0~1点:早期の歩行開始、薬物療法や機械的予防は不要
  • 中程度リスク 2 点:必要に応じて機械的予防または薬理学的予防
  • 高リスク 3〜4 点:入院中は薬物予防が推奨、必要なら機械的予防
  • 超高いリスク 5点以上:薬物と機械的予防の併用かつ退院後も延長
  • (ただし項目が多く本邦では広く使用されず検証も十分ではない)

参考)StatPearls [Internet],他


(投稿者 川崎)

2025-08-19

待機的虫垂切除術 Interval appendectomy

  • 急性虫垂炎の治療法のひとつで,抗菌薬による炎症の鎮静化後に待機的に実施される虫垂切除術
  • 利点は手術法選択,癌スクリーニング,合併症低下に加え日程調整,医療費削減,早期社会復帰
  • 炎症が比較的軽度で、穿孔や膿瘍などの合併症を伴わない単純性虫垂炎に実施されることが多い
  • しかし近年では複雑性虫垂炎に対してもInterval appendectomy戦略が有効の報告あり(下図表)


🚑 虫垂炎に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-07-05

ビルロート徴候

  • 「ビルロート徴候?」と思った方もおられるのでは? 投稿者もある問題の選択肢で見たときに「??」でした.でもBillroth法と聞けばピンと来る医療従事者が多いと思います.
  • 胃切後の再建法の一つ,Billroth 法に関連する症状:ダンピング症候群(早期:動悸や発汗,めまい/後期:低血糖,倦怠感など)や輸入脚症候群(腹痛や吐気・嘔吐,体重減少など)

👻 復習(胃切後の再建法)
  • Billroth I 法 ➜ 残胃と十二指腸の直接吻合(生理的だが縫合不全がやや多い)
  • Billroth II 法 ➜ 残胃と空腸を吻合し十二指腸は閉鎖(ダンピング症候群など)
  • Roux-en-Y 法 ➜ 残胃と空腸を吻合し残空腸をY字型に吻合(全摘後では最多)

看護roo

💁 胃癌に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-06-20

痔疾患治療薬(内服薬)

治療の主は「外用薬」であるが、補助的に「内服薬」を使用する場合がある。

ヘモナーゼ®配合錠(ブロメライン・トコフェロール酢酸エステル配合剤)
【効能・効果】
  • 痔核・裂肛の症状(出血、疼痛、腫脹、痒感)の緩解
  • 肛門部手術創
【薬効・薬理】
  • ブロメライン:抗炎症作用、血栓溶解作用
  • トコフェロール酢酸エステル:末梢血行改善作用・創傷治癒促進作用

ヘモリンガル®舌下錠0.18mg(静脈血管叢エキス)
【効能・効果】
  • 痔核の症状(出血、疼痛、腫脹、痒感)の緩解
【薬効・薬理】
  • 生体アミン類の循環機能調節作用、線維素溶解作用、抗炎症・抗浮腫作用、組織修復作用

ヘモクロンカプセル®200mg(トリベノシド)
【効能・効果】
  • 内痔核に伴う出血・腫脹
【薬効・薬理】
  • 循環障害改善作用、抗浮腫作用、創傷治癒促進作用

乙字湯(トウキ、サイコ、オウゴン、カンゾウ、ショウマ、ダイオウ)
【効能・効果】
  • 病状がそれほど激しくなく、体力が中位で衰弱していないものの次の諸症:キレ痔、イボ痔
【薬効・薬理】
  • トウキ:血を補い、めぐらせる(補血・活血)
  • サイコ:熱を冷ます(清熱)、気を持ち上げ、活力や緊張を回復(昇提・止痛)
  • カンゾウ:緩和
  • ショウマ:気を持ち上げ、活力や緊張を回復(昇提・止痛)
  • ダイオウ:瀉下

💁 に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 小森)

2025-04-09

Virgin Abdomen バージン腹部

  • 医療業界で使用される俗語で開腹手術の既往がない腹部
  • 一般に開腹手術の既往があれば癒着を起こしやすくなる
  • Virgin Abdomenの小腸閉塞なら開腹することが多かった
  • しかし現在では保存療法が選択されることも少なくない


バージン腹部の手術症例
(AとB,腸重積症;CとD,小腸捻転;E,腸係蹄閉塞;F,腸間膜リンパ腫)

(投稿者 川崎)

2025-02-20

今週の一枚 🎯

- 前日から嘔吐を繰り返してる高齢女性 -

😐 解説
  • 小腸の拡張と液貯留(腹腔内遊離ガスなし)
  • 左閉鎖孔から腸管突出・嵌頓(下図を参照)
  • 閉鎖孔ヘルニア(obturator hernia)と診断
  • 緊急手術(ヘルニア門閉鎖/腸管切除なし)

💁 復習:閉鎖孔ヘルニア
  • 坐骨と恥骨で構成される閉鎖孔をヘルニア門とするヘルニア(骨盤を構成する骨
  • 特徴は高齢・女性・多産・やせ(過去の投稿)で本例も多産以外あり(BMI 16.8)
  • 閉鎖孔を通る閉鎖神経の圧迫症状が出やすい(大腿の痺れや痛み他:本例はなし)

💫 ヘルニアに関する過去の投稿 ➜ コチラ

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2024-09-08

腹膜垂炎 Epiploic appendagitis

腹膜垂(Epiploic appendage)
  • epiploic 大網の,appendage 付属物/発音 E. appendageE. appendagitis
  • 結腸紐にぶら下がる脂肪塊で腸管から連続する奬膜で被われている(下図)
  • 腹膜垂静脈が長く蛇行して茎部が細く捻れ易い解剖学的特徴を有している


💥 腹膜垂炎(56例の検討:
  • 疫学 性別は34:22と男性に多く,ピークの年齢は30代(平均42.3歳)
  • 症状 全例腹痛,腹膜刺激28例,腫瘤11例,悪心・嘔吐10例,下痢2例
  • 部位 S状結腸24例(最多),上行18例,横行7例,盲腸5例,下行1例
  • 合併 腸閉塞6例,急性虫垂炎2例,憩室炎・膿瘍・腸管壊死が各1例
  • 画像 CTで1~4cmの大腸に接する脂肪織腫瘤像(周囲に腸間膜炎症)
  • 診断 術前診断は10例(17.9%)で46例(82.1%)は術中所見で診断
  • 治療 49例が手術(腹膜垂切除32例),保存治療は術前診断10例中7例

(投稿者 川崎)

2022-05-24

主治医のナイスプレイ!

🚑 現場中継
  1. 強い腹痛を訴える若者が深夜ER室に搬入された
  2. 本例には癒着性イレウスで複数の開腹歴があった
  3. 採血や腹部CTに特記すべき異常所見はなかった
  4. 試験開腹は見合わせて,その日は観察入院した
  5. 翌朝の採血にも特記すべき異常は認めなかった
  6. 自覚症状と臨床データの乖離から詐病を疑った
  7. 関連者の病歴聴取から過去の詐病歴が判明した
  8. 最終的に本人も詐病であったことを認めて退院

👹 つぶやき

(投稿者 川崎)

2022-04-08

Revised Cardiac Risk Index: RCRI

👹 概略
  1. 高リスク手術(鼠径上の血管または腹腔内・胸腔内の手術 )
  2. 虚血性心疾患の既往 
  3. 心不全の既往
  4. 脳血管障害(脳卒中あるいは一過性脳虚血)の既往
  5. インスリンを要する糖尿病
  6. 腎機能障害(Cr >2.0 mg/dL)

👺 判定例Can J Cardiol 2017;33:17-32
  • 0点=3.9%, 1点=6.0%, 2点=10.1%, 3点以上=15%

💁 リスク評価に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)