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2019-10-05

ヒューリスティック & 認知バイアス

医学ジャーナルにおけるclinical problem-solvingのスタイルで主な特徴は,診断名が伏せられていること,エキスパート診断医(ディスカッサント)の暗黙知(タシット・ナレッジ)が時系列的にそれぞれの臨床場面において記述されることである.エキスパート診断医が迅速な推論を行う場合には,ヒューリスティックを用いており,その主要なルールにはオッカムの剃刀等がある.診断遅延または診断エラーの原因には認知バイアスもあり,行うべきワークアップを途中で止めてしまうことをプリマチュア・クロージャー(早期閉鎖)という.
※徳田安春先生の文言

臨床推論におけるヒューリスティックの主要なルール
名称意味
オッカムの剃刀比較的若年者で単一の疾患を仮説として挙げること
ヒッカムの格言高齢者等で複数のコモン疾患を仮説として挙げること
サットンの法則病変部位を直接的に検査する方針(病理診断等)
オーバーコンフィデンス他者の仮説をそのまま受け入れる
前後即因果稀な事象が続くときには発生順で因果関係を考えること
日内会誌 2017;106:2559-61


臨床推論における主要な認知バイアス
邦名英名代表的な疾患
アベイラビリティavailability最近遭遇した疾患を考える
アンカーリングanchoring最初に考えた仮説に固執する
コンファメーションconfirmation仮説に適合する事実のみを探して,不適合な事実は無視する
オーバーコンフィデンスoverconfidence他者の仮説をそのまま受け入れる
ハッスルhassle心理的プレッシャーのなかで早く処理をしてしまう
日内会誌 2017;106:2559-61

👴 おまけ
  • Visceral bias(本能的バイアス)とは,患者に対する感情が決断に影響を与えること.つまり感情が乱されると適切な判断が困難になる.その他のバイアスに関して一読をおすすめ ➜ 診断に関連するエラー - 地方厚生局

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(投稿者 川崎)

1 件のコメント:

TK さんのコメント...

【追加】

ルールバイアス Rule bias
・一般的には正しいが過信すると誤診に繋がる