医学ジャーナルにおけるclinical problem-solvingのスタイルで主な特徴は,診断名が伏せられていること,エキスパート診断医(ディスカッサント)の暗黙知(タシット・ナレッジ)が時系列的にそれぞれの臨床場面において記述されることである.エキスパート診断医が迅速な推論を行う場合には,ヒューリスティックを用いており,その主要なルールにはオッカムの剃刀等がある.診断遅延または診断エラーの原因には認知バイアスもあり,行うべきワークアップを途中で止めてしまうことをプリマチュア・クロージャー(早期閉鎖)という.
※徳田安春先生の文言
臨床推論におけるヒューリスティックの主要なルール
名称 | 意味 |
オッカムの剃刀 | 比較的若年者で単一の疾患を仮説として挙げること |
ヒッカムの格言 | 高齢者等で複数のコモン疾患を仮説として挙げること |
サットンの法則 | 病変部位を直接的に検査する方針(病理診断等) |
オーバーコンフィデンス | 他者の仮説をそのまま受け入れる |
前後即因果 | 稀な事象が続くときには発生順で因果関係を考えること |
臨床推論における主要な認知バイアス
邦名 | 英名 | 代表的な疾患 |
アベイラビリティ | availability | 最近遭遇した疾患を考える |
アンカーリング | anchoring | 最初に考えた仮説に固執する |
コンファメーション | confirmation | 仮説に適合する事実のみを探して,不適合な事実は無視する |
オーバーコンフィデンス | overconfidence | 他者の仮説をそのまま受け入れる |
ハッスル | hassle | 心理的プレッシャーのなかで早く処理をしてしまう |
👴 おまけ
- Visceral bias(本能的バイアス)とは,患者に対する感情が決断に影響を与えること.つまり感情が乱されると適切な判断が困難になる.その他のバイアスに関して一読をおすすめ ➜ 診断に関連するエラー - 地方厚生局
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(投稿者 川崎)
1 件のコメント:
【追加】
ルールバイアス Rule bias
・一般的には正しいが過信すると誤診に繋がる
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