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2019-04-30

インフルエンザB型 vs 腹痛

インフルエンザB型はA型と比較して腹痛が出やすいという噂があります

☆ 支持データ


★ 不支持データ


😈 客観的な評価が難しい問題で,問診の方法にも大きく影響を受けそうです.何れにせよ季節外れのインフルエンザB型がくすぶっているようなので今暫く要注意!

(投稿者 川崎)

2019-04-29

TSS(toxic shock syndrome)

TSS (toxic shock syndroome)

  • 黄色ブドウ球菌や連鎖球菌, 人工妊娠中絶後のクロストリジウム・ソルデリなどの毒素による病態
  • 黄色ブドウ球菌は, 以前はタンポン使用で有名。現在は術後が多い。黄色ブドウ球菌は血液培養などから検出されないことが多い一方で連鎖球菌は軟部組織感染などに合併し, 培養検出されやすい。
  • 発疹を伴う急速なショック(昨日まで元気であった患者が急にショックになる)で想起する。
  • 発疹は紅斑で目立たないこともあり慎重に観察する(手掌, 足底部位が時間とともに剥けてくる)。
  • 下痢などの消化器症状, 多臓器不全(腎/肝障害, 血小板減少), 咽頭痛, 結膜充血などを呈する。
  • 他にリステリア, レプトスピラとの鑑別が必要。
  • 治療は, 敗血症の管理に加え, デブリードマン, ドレナージ, 異物除去が大切。
  • CLDMを毒素抑制のために併用することが多い(溶連菌にはPCG, MSSAにはCEZ, MRSAにはVCM, LZD, DAP)。
  • IVIGの有効性が示唆されているが, 日本の保険承認量を超える投与となる。
  • TSSや壊死性筋膜炎にIVIGを行っても, 死亡率も在院日数も下がらなかった(Clin Infect Dis 2017;64:877-85. PMID:28034881)

(投稿者 渡邉)

第116回日本内科学会総会・講演会より

先週末に日本内科学会総会・講演会がポートメッセなごやで開催されました
医学生・研修医の日本内科学会ことはじめで当院総合診療科も発表しました

  • 演題70 谷口雄基(血栓閉塞型急性大動脈解離の診断にカルシウムサインが有用であった1例)
  • 演題84 吉岡 希(完全埋め込み型中心静脈カテーテルが断裂し右心系に迷入した1例)
  • 演題93 瀧上夏未(FIFAワールドカップ観戦中に急性心筋梗塞を発症した冠動脈拡張症の1例)
  • 演題150 赤井智香(高血糖にて浸透圧性脱髄症候群をきたした一例)
  • 演題292 白井衿帆(自然寛解を得た血球貪食症候群の一例)
  • 演題302 松岡千紘(自然軽快が得られたIgG4関連リンパ増殖性疾患・ミクリッツ病の一例)
🎊 初期研修医(2年目)の6人ですが皆,とても2上手でした 🎉

(投稿者 川崎)

2019-04-28

心房中隔瘤

卵円窩に一致する心房中隔の突出で,目安は心房中隔平面から15mm以上の変位+基部の直径が15mm以上(Int J Cardiol 2016;223:656-9

心房中隔瘤22例の検討超音波検査技術 1993;18:256-61
  • 疫学 頻度0.3%,発見は中高年(平均64歳),女性優位(22例中16例)
  • 機序 先天性なら心房中隔に脆弱部分が存在、後天性なら炎症など
  • 動態 基本的に拡張期に右房側へ突出(収縮期は左房側の症例あり)
  • 症状 無症状~動悸,稀に息切れや胸部圧迫感,めまい,意識消失
  • 合併 上室性の不整脈が多い(発作性上室頻拍や心房細動・粗動など)
  • 経過 4例を3年以上観察 ➜ 心房中隔瘤は増大し振幅も増加していた

自験例1松下心エコー塾症例31) 心房中隔瘤(両心房間を大きく移動)+心尖部の転移性腫瘍(脊索腫)

自験例2松下心エコー塾症例52) 心房中隔瘤(右房側への固定性変位)+心房中隔脂肪性肥大の疑い

😶 おまけ
心房中隔瘤自体は病的意義に乏しく,積極的な治療対象にはならないと考えられる.もちろん心房細動や心不全などを伴うときは各合併疾患に対する治療が必要.

(投稿者 川崎)

2019-04-27

Bendopnea 前屈時呼吸困難症

  • 前かがみになった時(例えば靴をはく行為 👞)に息切れが生じる状態(心不全の症状)
  • 米国の循環器内科医Thibodeauらによる造語(J Am Coll Cardiol HF 2014;2:24–31
  • 右房圧や肺動脈楔入圧の上昇時に前かがみでさらに圧上昇(特に心拍出量低下時)



上図の解説 ➜ bendopneaがある心不全例ではNohria-Stevenson 分類で予後不良の指標であるProfile C(うっ血所見あり+低灌流所見あり/wet-cold)が多い 💀

(投稿者 川崎)

2019-04-26

白血球分類(機械分類)での乖離症例

<白血球分類(機械分類)での乖離症例>

臨床検査部情報 No.250 (2019.4.25) より

白血球分類は依頼種別(目視法、機械法)にかかわらず、一旦全て機械で測定する。
機械測定の結果、測定値が一定範囲外の検体は、機械分類値を参考値として仮報告している(電子カルテ結果の白血球分類欄上部に「検査中」と表示)。
目視依頼であっても「検査中」であれば機械値であることに留意。
また、鏡検後に目視結果へ変更する場合がある。


 

2019421

2019422

白血球数 (/μL)

9100

11600

好中球 (%)
   0.6
   97.4

好塩基球
   0.0
   0.2

好酸球
   0.8
   0.0

リンパ球
   2.8
   1.1

単球
   95.8
   1.3
                                              


                          4/21 機械分類にて単球と判断     4/22 機械分類にて好中球と判断



4/21の機械分類では左図の細胞を単球と分類され、翌日の同一患者の機械分類では好中球と分類された。
4/21の目視の結果では好中球であり、機械分類では誤った分類がされた。
機械分類では稀に目視と乖離した結果となることが報告されており、臨床症状と合わない時は検査科に問い合わせをするようにとのこと。

(投稿者 谷口)

MASCCスコア



上記表の該当項目を合算(満点は26点) 👀  21点以上なら低リスク群,20点以下なら高リスク群と判定

関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-04-25

被曝と合併症

症状 線量 (Gy) 発症時期
水晶体の混濁(検出可能)>1~2>5年
早期一過性紅斑22~24時間
一過性脱毛33週以内
水晶体/白内障(支障をきたす)>5>5年
主紅斑反応61.5週以内
永久脱毛73週以内
皮膚萎縮症(第1期)10>52週
硬化(浸潤性線維化)10
毛細血管拡張10>52週
皮膚壊死(遅発性)>12>52週
乾性落屑144週以内
晩期紅斑158~10週
虚血性皮膚壊死18>10週
湿性落屑184週以内
二次性潰瘍24>6週
皮膚がん未知>15年

おまけ 👿
  • グレイ(Gy)➜ 物質(人体を含む)が放射線から受ける単位質量あたりのエネルギー量を示す単位
  • シーベルト(Sv)➜ 人が受ける被曝の単位(=実効線量=吸収線量×放射線加重係数×組織加重係数)
  • ベクレル(Bq)➜ 物質から放出される放射線の物理量を表す単位(=1秒間に崩壊する原子の個数)

🙆 関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-04-23

貧乏ゆすり vs 深部静脈血栓症

👉 背景
長時間の坐位が死亡率の上昇と関連することを示す多数の研究データがある.複数の機序が推察されていて,坐位に伴う深部静脈血栓の関与は無視することができない.貧乏ゆすりがその予防に有効である可能性はあるが,あまり検討はされていない(ようです).

👂 面白い研究の紹介
Sitting Time, Fidgeting(貧乏ゆすり), and All-Cause Mortality in the UK Women’s Cohort Study (Am J Prev Med 2016;50:154-60)

  • 方法 英国女性12,778人(年齢37-78歳)を12年間に渡ってフォロー
  • 項目 1日の坐位時間,貧乏ゆすり,運動,食事,喫煙,飲酒,予後
  • 結果 7時間以上の坐位は死亡率を上昇させるが貧乏ゆすりで改善

👻 つぶやき
本研究では死因(深部静脈血栓の有無を含む)は検討されていないため,貧乏ゆすりが死亡率低下に関連した機序は不明です.個人的には深部静脈血栓の予防であったら面白いと思いますが,別の要因として筋肉によるエネルギー消費(運動効果)が従来から指摘されているようです(Annu Rev Public Health 2011;32:349-65

👉 他の都市伝説

(投稿者 川崎)

2019-04-22

心不全と利尿薬

再確認 クリニカル・シナリオ1の急性心不全では原則,利尿薬は不要


関連投稿

(投稿者 白川/川崎)

心音クイズ

【問題】健常者で記録した心音であるが,その記録部位で正しいのはどれか?









判定




心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2019-04-21

サパイラ Joseph D. Sapira



📕 独特で個性的な英語あるいはとても難解な英語と評されることがあるようです(毒舌との噂も…).でも実際は無駄のないとても分かりやすい英語だと思います(投稿者もオリジナルの初版を所有:上図).随所に挿入されている”ボールド書体”の部分は,まるでサパイラ先生が隣でつぶやいているような錯覚に陥ります.表紙はとても印象的です(特に色と写真).

👍 関連投稿(ティアニー先生編)

(投稿者 川崎)

2019-04-20

心臓CT

  • 大動脈弁を機械弁に置換した症例で冠動脈CTを行った
  • 得られたデータから人工弁と左室、冠動脈を3D構築した


👾 とても美しい画像であるが臨床的意義は・・・(もちろん人工弁の機能評価はできない)

(投稿者 川崎)

2019-04-19

POS 扁平呼吸/臥位呼吸

  • POS=Platypnea(臥位呼吸) Orthodeoxia(起座脱酸素) Syndrome(症候群)
  • 臥位より座位や立位で呼吸困難が出現する現象で起座呼吸(orthopnea)の逆
  • 初報はカナダ出身の循環器内科医Burchellら(Am J Physiol 1949;159:563–564)

POSの一般論N Engl J Med 2019;380:1360-5
  • 原因 最多は心内シャントで卵円孔開存心房中隔欠損(他の原因は下表参照)
  • 機序 体位変換に伴って生じた血流角度や方向の変化による右→左シャントの出現
  • 診断 心エコー図(生食バブル負荷&カラードプラ+体位変換:立位 vs 臥位など)
  • 治療 基本的には外科的シャント閉鎖術あるいは経カテーテル的シャント閉鎖術


👴 関連投稿

(投稿者 川崎)

2019-04-18

グラム染色

  • 尿路感染症が疑われる症例の尿グラム染色(強拡大 X1000倍)




(投稿者 川崎)

2019-04-17

Teichholzの読み方

  • 循環器学用語集(第3版)ではテイッシュホルツ(個人的にはタイクフォルツと読んでいました)
  • 左室を楕円形に近似させた左室駆出率の簡便な算出方法(多くの心エコー機械に搭載されている)
  • 米国の循環器内科医であるLouis Evan Teichholzらにより開発された(Am J Cardiol 1976;37:7-11

実際の計算方法
左室拡張末期容積=7/(2·4+左室拡張末期径) x 左室拡張末期径3
左室収縮末期容積=7/(2·4+左室収縮末期径) x 左室収縮末期径3
左室駆出率=(左室拡張末期容積-左室収縮末期容積)/左室拡張末期容積

🍷 名前のLouisからも推測できるようにフランス語的な発音になるようです➜ フランス語での実際の発音

(投稿者 川崎)

2019-04-16

B肝炎と皮疹

  • 倦怠感で来院して最終的に急性B型肝炎と診断された症例
  • 病初期に下腿に皮疹を認め他院で毛嚢炎と診断されていた
  • 当院を受診したときには皮疹はすでに消退し黄疸を認めた


👀 急性B型肝炎と皮膚病変

関連投稿 👤

(投稿者 川崎)

2019-04-15

先天性左室心室瘤&憩室

Congenital Left Ventricular Aneurysm and diverticulum (Europace 2009;11:1689–95)
  • 初報は200年以上前(Kreysig F. Berlin: Maurer’sche Buchhandlung;1816. p464)
  • 頻度は 500人に1人あるいは冠動脈造影の0.76%と(思っているより)少なくない
  • 予後不良と報告されてきたが,最近成人では良好という報告あり(ただし不整脈は多い)
  • 臨床的な診断は冠動脈疾患や炎症性疾患,外傷,心筋症が否定できればOK(みたいです)
  • 瘤と憩室の鑑別も臨床的には入口部>最大体部が1以上なら瘤,1以下なら憩室

(上図=瘤,下図=憩室/J Thorac Cardiovasc Surg 2006;131:433-7

先天性左室心室瘤と冠動脈奇型との関連

(投稿者 川崎)

2019-04-14

Khorana スコア

  • 癌の化学療法に伴う血栓塞栓症の発症リスクを予測するスコア
  • 米国の医師 Khorana らが開発(Blood 2008;111:4902-7
  • Khoranaの発音はコーナァ【kō-rä′nə】 実際の発音はココ


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(投稿者 川崎)

2019-04-13

でんたん+脾破裂



  • 脾破裂の原因は外傷以外にも,マラリアや伝単,悪性リンパ腫・白血病,腸チフスなど多岐にわたる
  • 伝単での脾破裂は非常に稀な合併症で頻度は0.1-0.5%と報告(Yale J Biol Med 1997;70:175-82

伝単による脾破裂の原因は不明であるが,単核球の浸潤で脾臓の被膜と脾索の繊維筋性構造が菲薄化するためという説がある.脾破裂の治療としては原因を問わず脾摘術が一般的である.しかし血行動態が安定している症例に対しは近年,脾動脈塞栓術による治療が選択される機会が増加している(ようです).いずれにしても肝脾腫が生じ得る伝単では腹部への衝撃による脾破裂を回避するため,運動を控えて安静を保ちたい.

👻 脾臓関連の投稿
  1. 脾臓 SANT
  2. Evans症候群
  3. Felty症候群
  4. 腹腔動脈瘤 Celiac Arterial Aneurysms

(投稿者 川崎)

2019-04-12

左室心筋緻密化障害 LVNC

  • LVNC=left ventricular non-compaction
  • 胎児心筋の緻密化過程が障害された先天性心疾患
  • 特徴は菲薄化した左室心筋+過剰な肉柱発達+深い間隙
  • 症状は無症候~心不全,不整脈,血栓塞栓症,突然死など
  • 乳幼児例は早期に重篤な心不全,成人例は軽症例が多い



💀 当院の張本先生の論文 ➜ HEART's Original 2008;40:1106-10

(投稿者 川崎)

2019-04-11

眼クイズ

  • 心疾患で入院中の症例.順調は経過で近日中の退院を予定していた.
  • ある朝,前日までは認めなかった左眼所見に気付いた(本人は無症状)




(投稿者 川崎)

2019-04-10

モニター波形クイズ

  • 急性心筋梗塞に対して緊急インターベンションを行った症例
  • 術後経過は順調であったが翌日にモニターで以下を記録した




(投稿者 川崎)

2019-04-09

心臓リハビリ

  • 心臓リハビリの集団運動療法は200m平地歩行が可能になった段階で導入することが多い
  • バーセル指数は歩行能力も含む基本的生活動作レベルADLを反映して問診で算出可能

当院で心臓リハビリを導入した223例での上記2指標の関係

  • 200m歩行が可能な111例では,その内96例(86.4%)でバーセル指数が90点以上
  • 200m歩行不能な112例でバーセル指数が90点以上は僅か13例(11.6%)(p<0.01)

👴 解釈

両指標に明らかな解離を認める.これはバーセル指数の評価項目の一つに歩行に関する質問(45m以上の歩行あるいは介助歩行の可否などで100点中15点分)が含まれることを考慮しても興味深い.

200m歩行の可否は心臓リハビリには重要なポイントである.つまり200m歩行可能 ➜ 監視下集団運動療法の導入 ➜ 心疾患罹患後の予後改善へと繋がっていくことが想定される.

バーセル指数が,歩行テストよりも安全かつ簡便であることは述べるまでもない.200m歩行が不能でもバーセル指数が高値であった症例では,より積極的な介入で200m歩行可能なレベルまで運動機能を向上させることが出来るかもしれない.

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(投稿者 川崎)

2019-04-08

フォンタン分類 Fontaine classification

  • フランスの外科医Fontaineらによる閉塞性動脈硬化症の重症度分類(Helv Chir Acta 1954;21:499-533
  • 循環器学用語集(第3版)ではフォンタンと記載されるが臨床現場ではフォンテインと読むことも多い
  • Fontaine分類 III〜IVなら重症下肢虚血(CLI; critical limb ischemia)(Rutherford分類で4〜6度に相当)

分類 重症度 症状
I軽度無症状(〜痺れ・冷感)
IIa中等度間欠性跛行
(200m以上の連続歩行可能)
IIb中等度間欠性跛行
(200m以上の連続歩行不能)
III高度安静時疼痛
IV高度潰瘍・壊死

🙆 Fontaineはレリシュ症候群(血栓性大動脈分岐閉塞症)として名を残した血管外科医Leriche(出典)の弟子です(出典).ちなみにFontaineもLericheも名前はRené(ルネ)で,聴診器を発明したRené Laennec含めて三人ともフランス人です.

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(投稿者 川崎)

2019-04-07

KPI

  • Key Performance Indicatorの略で,対応する日本語は重要業績評価指標
  • 病院経営や診療科評価などの資料で医師も眼にする機会が増えています
  • 例えば月別診療報酬請求額,手術件数,平均在院日数,逆紹介率など

関連投稿 👀

(投稿者 川崎)

2019-04-06

グラム染色の学び方

  • 自分の担当した症例のグラム染色像を毎回覚えていけばいいと思う
  • 当院の細菌検査レポートにはなんとグラム染色写真が付随(コチラ
  • 細菌検査室のスタッフによる力作の関連資料も利用可(下図の矢印

😶 この松下ERランチ・カンファレンスを グラム染色で検索 してもOKです.実に多数の症例が登録されているよ.もちろんスマホ対応📱

(投稿者 川崎)

2019-04-05

Classical LF-LG AS

  • LF-LG AS=low flow low gradient aortic stenosis=低流量低圧較差の大動脈弁狭窄症
  • Classical LF-LG AS=弁口面積は狭小化+高度の圧較差なし+収縮力が低下したAS
  • 同タイプではドブタミン負荷心エコー図で真(true AS)か偽(pseudo AS)かを判定


  • 上図の石灰化スコアの代わりにProjected EOA(見込まれた有効弁口面積)の計算(回帰直線から推測)も有効


  • 少しややこしいけど 🙍 左室駆出率が保たれているにも関わらず一回拍出量が低下している奇異性の低流量低圧較差AS(Paradoxical LF-LG AS)もあるよ(Eur Heart J 2016;37:2645-57

(投稿者 川崎)

2019-04-04

ブロム中毒

  • 病態 ブロムワレイヒ尿素による急性・慢性中毒
  • 原因 販薬(鎮痛薬や睡眠薬)からの過剰摂取
  • 代謝 基本的に腎代謝で半減期は10-14時間
  • 特徴 高クロール血症とアニオンギャップの低下
  • 症状 精神症状,構語障害,歩行障害など多彩
  • 治療 補液などの対症療法(必要に応じて透析)

当院で経験した症例は頭痛に対して販薬を長期間連用していた.血ガス中のCl値は137 mEq/LでAGは-18(ただし通常の採血検査機器では問題なし).特定の測定機器による不自然なデータに気が付いた検査室のスタッフがブロム中毒の可能性を指摘してくれた(👀 ナイスプレイ).知らないと単なるラボエラーで処理される可能性あり.なんと清涼飲料水コーラで生じたブロム中毒例も報告されている(J Toxicol Clin Toxicol 1997;35:315-20).

参考文献)Nephrol Dial Transplant 2005;20:1767-8Ann Pharmacother. 2001;35:386-7Crit Rev Toxicol 1987;18:189-213

(投稿者 川崎)