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2017-08-31

グラム染色クイズ

免疫力低下症例の血培で嫌気性ボトルとそのグラム染色

嫌気性ボトルがあわ立ち,グラム染色で多数の陽性桿菌を認めた(好気性ボトルからは検出されず)
最終的にはクロストリディアム・パーフリンジェンス Clostridium perfringens であった

C. perfringens
  • 動物(ヒト含む)の腸内細菌叢の主要菌で、河川や土壌,海などにも広く分布している
  • 別名はウェルシュ菌で食中毒(特にカレー)や筋肉壊死(ガス壊疸)を生じることがある

グラム陽性桿菌 ⇒ コリネバクテリウム(V字型が特徴)やクロストリジウム(嫌気性),バチルス(主に好気性菌)など

(投稿者 川崎)

Wells スコア

肺塞栓の可能性を判定するスコア (Wells PS, et al. Thromb Haemost. 2000;83:416-20
深部静脈血栓を判定するスコアもある(Wells PS. J Thromb Haemost. 2007;5:41-50

※いずれの疾患も陰性診断的中率の高いDダイマーとうまく組み合わせて使用することが大切
ウェルズ 深部静脈血栓 肺血栓 PE DVT
(投稿者 川崎)

2017-08-30

ERでの心エコー図:大動脈弁狭窄 AS

ERで大動脈弁狭窄ASの有無をエコーで評価することは難しくない(重症度判定は専門医に任せる)

・大動脈弁狭窄例の傍胸骨左室長軸像と左室短軸像(大動脈弁レベル)


・健常者の傍胸骨左室長軸像


心エコー図にはいろいろな断面があるが傍胸骨左室長軸像が一番のお勧め
左室の壁運動・拡大・肥大,大動脈弁狭窄,僧帽弁逆流などがすべて分かる
⇒ 心エコ-図を学びたければ 松下心エコー塾 (あとは実践あるのみ)

(投稿者 川崎)

Ogilvie syndrome オギルビー症候群

機械的閉塞機転がなく大腸が急速に拡張する疾患(概ね10cm以上)
別名は急性大腸偽性腸閉塞症で中毒性巨大結腸症とは異なる病態
英国の外科医William H. Ogilvieが1948年に報告(Br Med J. 1948;2:671-3

(By Milliways - Own work, CC BY-SA 3.0)

  • 原因 不明(自律神経異常?) 様々な全身疾患に併発,特に術後に続発
  • 症状 腹部膨満感,腹痛 (排ガスはある程度保たれる点に注意)
  • 治療 脱水補正,ネオスチグミン,内視鏡的減圧(←中毒性巨大結腸症では禁忌)
  • 予後 原疾患に大きく依存(盲腸穿孔時の死亡率は50%)

中毒性巨大結腸症やHirschsprung病との鑑別はコチラへ ⇒ 巨大結腸症:横浜市立大学附属病院

(投稿者 川崎)

2017-08-29

FEUN 尿素窒素部分排泄率

FEUN=fractional excretion of urea nitrogen
=[(随時尿BUN/血中BUN)/(随時尿Cr/血中Cr)]×100
基準値55~65%,FEUN<35%で腎前性の急性腎障害を示唆
⇒ 感度90%,特異度96%(Kidney Int. 2002;62:2223-9

急性腎障害で腎前性と腎性の鑑別にはFENaを用いることが多い
基準値は1%未満で腎性腎障害なら上昇するが利尿薬使用時にも上昇
FEUNは利尿薬の影響を受けないため利尿薬使用時にも応用可能

(投稿者 川崎)

2017-08-28

ムコール症

ムコール菌による感染症の総称で別名は接合菌症(日和見型深在性真菌症
 ムコール菌=広く自然界に遍在するムコール目の真菌
  接合菌=接合胞子嚢(多核の菌糸)を作る菌類(例:ケカビやクモノスカビ)
  • 経路 環境中に浮遊する真菌の吸引(経気道的感染)
  • 診断 病理組織学的検査および真菌学的検査
  • 分類 鼻脳型,肺型,皮膚型,消化管型,播種型
  • 症状 発熱,疼痛,腫脹,壊死など(部位により大きく異なる)
  • 治療 基礎疾患治療+病変部切除,大量アムホテリシンB
  • 予後 皮膚型を除き不良(急性に進行して多くは致死的)
ムーコル
典型例 ⇒ 急速な転帰を辿った鼻副鼻腔ムコール症の1例(耳展1997;40:192-199)

(投稿者 川崎)

2017-08-27

SAHと破裂動脈瘤

CTでクモ膜下出血を診断したら血腫の分布から破裂した動脈瘤の部位を推定


(くも膜下出血をシェーマで理解する【画像診断チャンネル】SAHより)

(投稿者 川崎)

2017-08-26

市販薬ブスコパン

医師が処方するブスコパン(ブチルスコポラミン)が薬局でも購入可能
いずれも医療用と同量含(1錠中にブチルスコポラミン臭化物10mg)
  • ブスコパンA錠/ブスコパンMカプセル エスエス製薬
  • ストマオフ糖衣錠 ゼリア新薬工業
  • ブチスコミン 佐藤製薬
  • ブスポンS 小林薬品工業


※腹痛に対して売薬ブスコパンを連用してイレウスが増悪した症例を経験したので要注意

(投稿者 川崎)

松下金曜会 「骨盤痛」

骨盤痛のレッドフラッグと重篤な原因
  1. 疼痛の持続期間<15日 ⇒ 虫垂炎,急性骨盤内炎症性疾患
  2. 淋菌保有者との性的接触,発熱または悪寒 ⇒ 骨盤内炎症性疾患
  3. 異常な膣出血 ⇒ 骨盤内炎症性疾患,子宮内膜症,異所性妊娠(子宮外妊娠),急性虫垂炎,閉経後女性の子宮内膜癌
  4. 一過性の反復痛で始まる進行性の疼痛 ⇒ 付属器捻転
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2017-08-25

気管軟化症

気管や気管支の脆弱性により高度の呼気性気道虚脱が生じる閉塞性気道性疾患
  • 疫学 乳児や幼児に多い(2歳頃までに軽快しやすい),先天性食道閉鎖症の約10%に合併
  • 症状 犬吠様咳嗽,持続する喘鳴,繰り返す呼吸器感染,チアノーゼ発作,無呼吸など
  • 診断 気管支鏡で呼気時に気道閉塞の確認,吸気と呼気時のCT(目安は>50%の虚脱)
  • 原因 軟骨部/膜性部の低下(通常は4~5),発育異常,大動脈などによる圧迫など
  • 治療 呼気終末陽圧管理,人工呼吸,気管切開,外・内ステント術,大動脈前方固定術

小児の疾患と捉えられることが多いが成人でも稀ながら報告されている点に注意
数年来喘息と誤診されていた中年男性例 ⇒ 日呼吸会誌 2000;38:476-479
 
※今回経験した症例は先天性心疾患を合併した学童でnasal highflowが有効であった

(投稿者 川崎)

2017-08-24

薬剤性発熱

昨日の総診カンファレンスで議論された内容のメモ書き(エビダンス未確認
  • 比較的三原則:比較的徐脈,比較的元気,比較的CRP低値(2つあればOK)
  • 原因薬剤の内服を開始1週間程度で出現(多くは開始3~14日後の範囲)
  • ただしバクタとアシクロビルは内服開始直後から薬剤性発熱の出現もあり

(投稿者 川崎)

皮膚常在菌

三大メジャーな皮膚常在菌
  1. 表皮ブドウ球菌(その他のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌:CNS)
  2. コリネバクテリウム
  3. プロピオニバクテリウム(アクネ菌など)

連鎖球菌,マイクロコッカス,バチルス黄色ブドウ球菌なども検出されることあり

(投稿者 川崎)

2017-08-23

ADPKDの概略と診断基準

ADPKD=autosomal dominant polycystic kidney disease=常染色体優性多発性嚢胞腎
両側腎に嚢胞が進行性に増加する頻度の高い遺伝性疾患で腎以外にも障害が生じる
  • 頻度は3,000~7,000人に1人/70歳までに約半数が末期腎不全(透析導入原因の2~3%)
  • 30~40歳代までは多くが無症状/初発症状は肉眼的血尿や腹痛,腰背部痛,腹部膨満


(投稿者 川崎)

専門用語

最近当院で経験した循環器領域の医学用語の混乱から
  • takotsubo cardiomyopathy ⇔ たこつぼ心筋症(心筋障害) たこつぼ心筋症(心筋障害)
  • hypertensive heart disease ⇔ 高血圧性心疾患 高血圧性心臓病高血圧性心不全
  • Leriche's syndrome ⇔ レリシュ症候群 リシュ症候群


(投稿者 川崎)

"3-6-9" ルール

腸管壁の肥厚の目安
 ・小腸>3mm,大腸>6mm,盲腸>9mm

おまけ 動脈瘤の手術タイミングの目安
 ・胸部大動脈>60mm,腹部大動脈>50mm,腸骨動脈>40mm

(投稿者 川崎)

2017-08-22

無症候性の下腿DVT

下肢静脈エコーで無症候性の孤立性深部静脈血栓を認めることがある(例:ヒラメ静脈の血栓)
どのように対処すべきか日本循環器学会ガイドラインシリーズには記載されていない(と思う)
しかし2016年の米国胸部専門医学会ガイドラインには明示されている(Chest. 2016;149:315-52


要約
  1. 重篤な症状や増悪するリスク因子がなければ抗凝固は行わずに2週間後に再検
  2. 画像検査のフォローで増悪なければ抗凝固不要,増悪していれば抗凝固推奨

(投稿者 川崎)

心臓MRの遅延造影

ガドリニウム投与10-15分後に撮影⇒線維化した部分が造影される
ガドリニウム遅延造影の分布様式は心筋疾患の鑑別に有用である

おまけ T2強調MRIは浮腫(線維化にはまだ至っていない)の検出に有用(高信号として描出される)

(投稿者 川崎)

2017-08-21

抗Sm抗体

2本鎖DNAに対する自己抗体である抗ds-DNA抗体と同様,SLEに対する特異度が高い(陽性率15-30%)
基準値:7U/ml未満(陰性),7-10U/ml(判定保留),10U/ml以上(陽性)(平成27年12月18日より)

おまけ Smの命名はSmithという名前のSLE患者の血清中に見いだされた抗体であるため

(投稿者 川崎)

2017-08-20

ADL vs IADL

ADL=activities of daily living=日常生活動作
 生活を営む上で不可欠な基本的行動:移動・食事・排泄・入浴など

IADL=instrumental activities of daily living=手段的日常生活動作
 ADLより複雑で高次な動作:外出・買い物・金銭管理・家事・服薬の管理など

※高齢者などの生活自立度を評価する場合はADLだけでなくIADLも考慮したい
基本的日常生活動作能力(Basic Activities of Daily Living=BADL)
(投稿者 川崎)

2017-08-19

グラム染色クイズ

咽頭炎で来院した子供の咽頭拭い液のグラム染色

解説
  • イカのような形をした細胞は線毛上皮細胞(cilliated epithelial cell)
  • 気道上皮は線毛細胞,杯細胞,無線毛細胞および基底細胞などで構成
  • 線毛細胞の役割は異物排除,水分吸収,各種サイトカイン調節,抗原提示など
  • 線毛は脱落しやすいためグラム染色で眼にすることはあまり多くない

気道粘膜について詳しく学びたい方 ⇒ 気道粘膜の生理と病態(日薬理誌2002;120:13-19)

(投稿者 川崎)

松下金曜会 「膝およびふくらはぎの疼痛」

膝およびふくらはぎの疼痛のレッドフラッグと考慮すること
  1. ロッキング ⇒ 半月板断裂または関節腔内の遊離体
  2. 膝折れ ⇒ 靭帯損傷
  3. 熱感,滲出液,発熱+重度の疼痛,冷感,青変色,感覚消失,遠位部の脱力・疼痛 ⇒ 敗血症関節,血管損傷,神経損傷
  4. 保存療法の失敗 ⇒ 誤診,より重症の疾患
  5. 片側ふくらはぎの腫脹 ⇒ 深部静脈血栓症,蜂巣炎
参考書籍:「聞く技術 答えは患者の中にある」

(投稿者 川崎)

2017-08-18

大腸アメーバ

健診で便潜血を指摘され大腸に単発の小潰瘍を認めた症例(見た目からは癌は否定的)
同性愛や海外渡航はないが念のため生検組織の一部を軽く押しつぶして無染色で検鏡

赤血球を貪食した虫体を認め赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)と診断
検体が冷えるとアメーバの可動性が低下するため採取から検鏡まで急ぎたい

(投稿者 川崎)

タイプDパーソナリティ

近年,注目されるようになった心疾患発症の心理学的要因と考えられる個人的資質
Tyoe DのDはdistressを意味する(Lancet. 1996;347:417-21
ネガティブ感(Negative Affectivity)と社会的抑制(Social Inhibition)の2つが特徴
  • ネガティブ感情=不安,抑うつ,怒り,攻撃,敵意を喚起する自己に対する消極的な考え
  • 社会的抑制=他者からの反感を避けるため社会的な場面で感情表現を抑制する傾向

タイプAパーソナリティ(例:負けず嫌い,競争心が強い,出世欲が強い,短気でせっかち)も心筋梗塞や突然死のリスクが高いと報告されていたが現在ではあまり用いない

参考:心疾患患者におけるタイプDパーソナリティ尺度の開発(健康心理学研究.2014;27:177-184

(投稿者 川崎)

2017-08-17

レイカン 冷汗・冷感・冷寒

goo辞書によると
  1. 冷汗 ひどく恥ずかしかったり,恐ろしかったりしたときなどに出る汗.(例:冷汗三斗の思い)
  2. 冷感 ひんやりとして冷たい感じ.(例:冷感スプレー)
  3. 冷寒 冷たく寒いこと.また,そのさま.寒冷.(例:冷寒な(の)地)

もちろんショック状態で記載する「れいかん」は上記1の冷汗です
ただ「ひやあせ」とも読むため「冷や汗」と記載したほうが良いかも・・・

(投稿者 川崎)

エーラス・ダンロス症候群 Ehlers-Danlos syndrome

皮膚や関節,血管など全身的な結合組織の脆弱性に基づく遺伝性疾患
  • 原因 コラーゲン関連酵素の遺伝子変異(COL5A1,COL5A2,TNXB,PLODなど) 
  • 分類 関節可動亢進型,古典型,多発性関節弛緩型,皮膚弛緩型,後側彎型,血管型など
  • 頻度 約1/5,000人(関節可動亢進型と古典型が最も多く,その他は極めて稀)
  • 症状 皮膚過伸展,関節過動性・易脱臼,内出血,心臓弁膜症,大動脈解離,子宮破裂など
  • 診断 国際専門者会議による診断基準および本邦研究班作成の診断基準が利用可能
  • 治療 有効な治療方法はなし,生活指導(運動回避など),各合併症に対しては随時対応
  • 予後 20歳までに25%,40歳までに80%に重大合併症,死亡年齢の平均は48歳


(投稿者 川崎)

全身硬直症候群

筋肉の弛緩異常に起因する成人の進行性神経性疾患
  • 発作性有痛筋痙攣から始まり,数週~数ヵ月で持続性の全身性筋硬直に至る
  • 音や接触などの感覚刺激で誘発され,嚥下障害や構音障害を生じることもある
  • GABAやグリシン関連物質に対する自己免疫疾患(50-70%で抗GAD抗体陽性
  • 頻度は極めて稀(100万人に1人?)で,本疾患の約5%で悪性腫瘍を合併する

様々な別名
スティッフパーソン症候群,スティフ・マン症候群,全身強直症候群
Stiff person syndrome (SPS),Moersch-Woltman syndrome

1956年にメイヨークリニックから14例の報告(Proc Staff Meet Mayo Clin. 1956;31:421-7).

(投稿者 川崎)

2017-08-16

高安動脈炎 Takayasu’s arteritis

大動脈とその分枝,冠動脈,肺動脈に生ずる非特異的血管炎
高安病や大動脈炎症候群,脈無し病と呼ばれることもある
  • 原因は不明であるが,自己免疫的な機序の関与が疑われている
  • 男女比は1:8で20歳前後の女性に好発ただし中高年でも稀でない
  • 初報は1908年に本疾患を発見した金沢大学の眼科医 高安右人
(日本循環器学会ほか 血管炎症候群の診療ガイドライン http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2008_ozaki_h.pdf より 2017年8月閲覧)

(投稿者 川崎)

BNP vs NT-proBNP

BNPは血管拡張作用&ナトリウム利尿作用+交感神経系抑制&レニンアンジオテンシン系抑制+繊維化抑制
 ⇒ 心臓にとても優しい癒し系のホルモン(ペプチド)

臨床現場では以下の2種類が測定可能
  • BNP = brain (or B-type) natriuretic peptide
  • NT-proBNP = N-terminal pro brain natriuretic peptide

表.BNPとNT-proBNPの特徴

両者のざっくりとした違い
  • BNPはEDTA採血で氷冷保存して迅速に測定する必要があるが,腎機能の影響は少ない
  • NT-proBNPは採血法に制限が少ない(クリニックでも可能)が,腎機能低下に伴い著増!

もっと詳しく知りたい方は コチラ へどうぞ

(投稿者 川崎)

プランマー・ビンソン症候群  Plummer-Vinson syndrome

鉄欠乏性貧血,舌炎,嚥下困難を三主徴とする疾患/食道膜や口角炎,口唇炎を伴うこともある
メイヨークリニックのPlummer HS (Am Med Assoc. 1912;58:2013-5) とVinson PP (Med Clinics North Am. 1919;3:623-6)が報告
Paterson–Brown–Kelly症候群あるいはsideropenic dysphagia(鉄欠乏性嚥下困難)と呼ばれることもある

  • 原因は解明されていないが,遺伝的要因あるいは食生活の関与が疑われている
  • 中年女性(特に50歳以上の閉経後)に多いが,栄養状態の改善した現代では珍しい
  • 鉄剤の投与(稀に食道拡張要)で予後は良好だが,食道や咽頭の扁平上皮癌のリスク

(投稿者 川崎)

2017-08-15

画像クイズ(転倒して右手首を負傷)


正解はどちら? 1.コーレス骨折  2.スミス骨折 ⇒ 答えはコチラへ
(本例は同日に整復して後日手術しました)

(投稿者 川崎)

グラム染色と抗菌薬

グラム染色を基にした第一選択抗菌薬の大まかな目安
  • GPC ペニシリン系(ただし黄色ブドウ球菌のみ第一世代セフェム系)
  • GNR 第三世代のセフェム系
  • GPR ペニシリン系あるいはバンコマイシン
  • GNC 第三世代のセフェム系

もちろんグラム染色で特定の菌種が推定できれば自院のアンチバイオグラムで決定
培養で細菌が同定できたら抗菌薬のデエスカレーション,耐性菌なら変更が必要

(投稿者 川崎)

2017-08-14

画像クイズ(無症状)


ベルガ腔 cavum vergae
(投稿者 川崎)

筋肉 

種類特性(得意分野)熱産生量ミオグロビン毛細血管密度糖尿や肥満
赤筋(Ⅰ型)遅筋(例:有酸素運動=長距離走)多い多い高い合併少ない
白筋(Ⅱ型)速筋(例:無酸素運動=短距離走)少ない少ない低い合併多い

※白筋(Ⅱ型)はさらにⅡaとⅡbに分類され,Ⅱa型筋繊維はⅠ型筋繊維に近い性質を有す
※白筋・赤筋の比率は概ね遺伝的要因で決定されるが,筋トレでⅡbが増加し,持久性トレで赤筋化(Ⅱb⇒Ⅱa)

(投稿者 川崎)

2017-08-13

クリプトコッカス

ステロイドを内服中の症例で肺炎を発症した
喀痰グラム染色では酵母様真菌が疑われた
血培陽性でありグラム染色と墨汁染色を追加

最終的にクリプトコッカスと診断された
・クリプトコッカスは莢膜を有するため墨汁染色が分かりやすい(本例は血培後なので髄液と異なり不明瞭)
・酵母を認めるが菌糸がなく,β-D-グルカンが陰性であるときにクリプトコッカスを疑う(本例でも共に陰性)

(投稿者 川崎)

2017-08-12

輸入感染症

アフリカから帰国した発熱症例の末血をギムザ染色した(グラム染色ではない)


おまけ
・熱帯熱マラリアでは赤血球内に複数の原虫を確認することあり(熱帯熱マラリアに特異的)
・三日熱マラリアでは赤血球が腫大するが熱帯熱マラリアでは赤血球の大きさは変化しない

(投稿者 川崎)

2017-08-11

比較的徐脈

体温が1℃上昇すれば脈拍は8〜10bpm増加 (参考 デルタ心拍数20ルール+α


覚え方 ブルブルずれ落ち脈さがる (単語帳ドットコムより一部改変)
※ ブル=ブルセラ菌,ず=髄膜炎,れ=レジオネラ,お=オウム病,ち=チフス,脈さがる=比較的徐脈
比較的徐脈 相対的徐脈
(投稿者 川崎)

2017-08-10

球桿菌

厳密にはグラム陰性桿菌に分類されるが,見かけ上は球菌と区別が困難な細菌の俗称
短径と長径の差が少ない時に使用する用語「短桿菌」との使い分けは厳密ではない(と思われる)

百聞は一見に如かず ⇒  ヘモフィルス百日咳菌

(投稿者 川崎)

2017-08-09

PCOS(ピーコス)

PCOS=polycystic ovary syndrome/邦名は多嚢胞性卵巣症候群
排卵過程の阻害によって生じた多数の卵巣内卵胞に起因する病態

若い女性に多いが原因は十分には解明されていない
症状 月経不順や無月経,不妊,肥満,多毛,ニキビ,声の低音化,陰核肥大
治療 肥満の改善,メトフォルミン,ホルモン療法,腹腔鏡下卵巣焼灼術など


(投稿者 川崎)

2017-08-08

ヒューム熱 Fume fever

金属ヒューム熱(metal fume fever)/ポリマーヒューム熱(polymer fume fever)とも呼ばれる
【fjúːm】 ヒューム 【名】〔有害な〕煙や蒸気,嫌な臭い 【動】(煙霧を)出す・放つ
  • 原因 金属(酸化亜鉛や酸化銅など)や化学物質(テフロンなど)の吸引
  • 症状 発熱,咳嗽,口渇,悪寒,知覚異常,胸部圧迫感,呼吸困難感など
  • 経過 1~2日間で軽快・消失するが,原因が除去されない限り繰り返す

繰り返す発熱で内因性(例:家族性地中海熱)ではなくて外因性の職業性疾病

(投稿者 川崎)

2017-08-07

フレンツェル眼鏡 Frenzel goggles

内部に小電球がついた厚い凸レンズの眼鏡で目の焦点が合わなくなる
ドイツ人医師Frenzelが開発(フランス人医師Fresnelと誤解されることあり)


被験者は外界を注視できない/頭を動かして非注視眼振の有無を判定
通常,内耳障害では非注視眼振(+)かつ注視眼振(-),中枢性では共に眼振(+)

めまいの復習 ⇒ めまいの診断.沖縄医報 2012;48:92-94

(投稿者 川崎)

2017-08-06

RS3PEと悪性疾患

RS3PE症候群で悪性疾患との関連を検討(Clin Rheumatol,2012;206:206-214
  • 頻度 33例中9例(27.3%)に悪性腫瘍を合併
  • 年齢 79歳(70-87歳)
  • 性別 男:女=7:2
  • 内訳 胃癌2例,大腸癌2例,乳癌2例,肺癌が2例,前立腺癌1例
  • 治療 ステロイド反応性は全症例良好(2例で再発)


  RS3PE症候群はparaneoplastic syndromeとしても認識すべし

(投稿者 川崎)

2017-08-05

医師のゲシュタルトとは…

Gestalt 【ドイツ語】 形や形態,状態 ≒ 【英語】shape

ゲシュタルト診断=「見た目診断」=直観による診断(※直感や勘ではないby Dr.岩田健太郎)
ゲシュタルト心理学(精神を要素の集合でなく体的な枠組みから捉える学派)から生まれた用語

(投稿者 川崎)

2017-08-04

痙攣時のアンモニア上昇

ERに搬入された121名の非肝臓疾患の成人てんかん症例での検討(Epilepsia. 2011;52:2043-9
  • アンモニアは68%で上昇,平均7.8時間で低下(250μg/dLから54μg/dL)
  • 全般発作症例は焦点発作症例より高頻度(76.5% vs. 21.1%)
  • 男性やアルコール,糖尿病,来院時の重炭酸濃度とも関連
  • 来院時のアンモニア上昇は予後は関連せず

アンモニア以外にも上昇するマーカー
  • プロラクチン(痙攣発作後15-25分で最高値,1時間で正常化)
  • CK(発作後3時間を超えるとおおむね80%で上昇)
  • WBC(感染症の有無にかかわらず62%で>12000/μl)

※てんかん全般のお薦めスライド ⇒ 第5回 「痙攣,てんかん」 - SlideShare 聖路加国際病院

(投稿者 川崎)

2017-08-03

SLRテスト 下肢伸展挙上テスト

SLR=straight leg raising

腰痛の原因を調べる検査で坐骨神経を進展させて坐骨神経根の刺激の有無を判定
仰臥位かつ膝関節伸展位で患側下肢を45度以上挙上して疼痛が出現すれば陽性
⇒ 坐骨神経根(おおよそL4〜S3)の圧迫症状=腰痛,臀部や大腿の疼痛や痺れ他


(Straight Leg Raising Test by MDforAllより)

(投稿者 川崎)

2017-08-02

低周波公害

先日,低周波による体調不良を訴える方を診察したのでまとめてみました

定義 低い周波数の空気振動(100Hz以下)によって生じる様々な障害
症状 窓の振動,置物の移動,睡眠不足,不穏,胸部圧迫感,腹部違和感,耳鳴りなど
原因 高架橋,冷凍機,送風機,ダム放水時,下水管の共鳴,ボイラー,風車,滝など



(投稿者 川崎)

2017-08-01

動脈系血栓+静脈系血栓

同時に生じた症例(例:肺血栓塞栓+脳梗塞)に遭遇した時に思い出す三病態+1

(投稿者 川崎)

グラム染色

鼻水が止まらない子供の鼻汁をグラム染色した

グラム陰性の双球菌(まるで腎臓が並んでいる様)が好中球に貪食されている ⇒ 培養でモラクセラと診断

・モラクセラは多くがペニシリナーゼ産生で,オーグメンチン・クラリスロマイシン・ニューキノロンなどで治療
・病原性を有するグラム陰性球菌とくれば,モラクセラと一部のナイセリア(髄膜炎菌,淋菌)の3菌種
・モラクセラ・髄膜炎菌・淋菌はグラム染色で類似して鑑別困難だが部位で推定可(順に気道・髄液・生殖器)

(投稿者 川崎)