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2026-10-17

ハプトグロビン Haptoglobin

  • 某医師「ハプトグロビンって何をしてるんだっけ?」
  • 生成AI「血中に遊離したHbを捕まえる蛋白質です」
  • 某医師「そうそう、確か溶血時の指標だったよね?」
  • 生成AI「はい、特に血管内溶血では重要な指標です」
  • 某医師「えっと、溶血性貧血で高くなるんだっけ?」
  • 生成AI「その逆です。ハプトグロビンは低下します」

👿 ハプトグロビン(Hp)
  • 主に肝臓で合成される血漿タンパク質で血漿中に放出された遊離Hbに結合
  • ヘモグロビンとの複合体は主にマクロファージに取り込まれ,処理される
  • 血管内溶血では遊離ヘモグロビンと結合・消費により血中濃度が低下する
  • ただし血管外溶血でも低下することがあり溶血部位をHp値だけで判定不可
  • 溶血を疑う時はLDHや間接ビリルビン,網赤血球数,Hb他と合わせて評価
  • 溶血性貧血に加え重度の肝障害による産生低下や先天性欠損でも低値を示す
  • 急性期タンパク質でもあり感染症や炎症では血中濃度が上昇することがある

ヘモグロビンの腎血漿クリアランス (モルモット)
ハプトグロビン(Hp)が存在すると、遊離HbはHb-Hp複合体内に隔離され長期間循環中に留まります。一方、遊離ヘモグロビンは血漿中で容易に二量体に解離し、腎尿細管への鉄沈着(茶色)とヘモグロビン尿症につながります。これは対照動物またはHpが投与され、HbがHb-Hp複合体内に隔離されたままの場合には観察されません。

(投稿者 川崎)

2026-10-16

ミティキュア・ダニ舌下錠

  • ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療薬(鳥居薬品)
  • ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの抽出物を含む(添付文書)
  • 皮膚反応又は特異的IgE抗体でダニアレルギー性鼻炎の確定診断要
  • 1週間は3,300JAUを1日1回1錠、2週目以降10,000JAUを1日1回1錠
  • 舌下で1分間保持した後に飲み込む(5分間はうがいや飲食を回避)
  • 1年以上投与しても治療効果が得られなかった場合は継続を要判断
  • 投与医師は前もって講習(e-learning)を受けて登録する必要あり
  • 名前(MitiCure)の由来はダニ(mite)を治癒(cure)の造語です
  • 類似薬はアシテア(塩野義)、スギ花粉はシダキュア(鳥居薬品)

- 各薬剤の治療経過は概ね良好 -
(投稿者 川崎)

2026-10-15

今週の一枚 🎯

不整脈で入院中の高齢者が数日前から頚部痛を自覚


(投稿者 川崎)

2026-10-14

馬鈴薯肝ばれいしょかん Potato liver

  • 肝臓の表面に大小不揃いの粗大な結節が突出し,ジャガイモのような肉眼像を呈する病態
  • 古い表現で現在の形態学的分類における大結節性肝硬変(macronodular cirrhosis)と共通
  • 不規則な結節(数mm~数cm)が生じ線維性隔壁で肝正常構造が改築され肝表面に凹凸
  • 馬鈴薯肝(potato liver)という形態に特異的な治療法はなく、肝硬変に対する治療を行う

- 馬鈴薯肝を呈した44歳女性 -

(投稿者 川崎)

2026-10-13

長期収載品の選定療養

  • 患者さん「前回から,薬局での支払いが増えました」
  • 担当医師「えっ?  Aさんのお薬は変えていませんが」
  • 患者さん「6月から薬のルールが変わったそうです」
  • 担当医師「薬のルール?  変わった?  何だろう??」

🏁長期収載品の選定療養
  • 後発品(ジェネリック)がある先発品を患者が自分の希望で選んだ場合、通常の自己負担とは別に「特別の料金」がかかる制度
  • 2024年10月に始まり、2026年6月からその水準が変更された(患者負担が先発品と後発品の価格差の1/4から1/2へ上げられた)
  • たとえば価格差が1,000円なら、これまでの追加負担は250円(+消費税)であったが、2026年6月からは500円(+消費税)
  • 対象となる薬は、後発品の発売から「5年以上」または「置換率50%以上」が基本的な条件(具体的な対象医薬品リスト)
  • もちろん医療上の必要性がある場合には、処方箋の「変更不可(医療上必要)」にチェックして対応するという使い分けになる

【窓口での案内チラシ】

(投稿者 川崎)

2026-10-12

循環器フィジカル - 100本ノック -


循環器領域の身体所見を学習するために作成された無料アプリ「循環器フィジカル -100本ノック-」の動画版です.2026年4月から循環器Physical Examination講習会の公式SNSに毎週金曜日にアップしています.こちらのコンテンツにも2週分ずつまとめてアップします.

👻「フィジカルノック」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-10-11

医療安全管理部門等が把握すべき重大事象:A類型とB類型

💣 3つの類型
  • A類型:患者への影響度が大きく、確実に回避する手段が普及している事象
  • B類型:患者への影響度が大きく、回避可能性は事象により異なる事象
  • C類型:患者への影響度が比較的小さい事象

重大事象の定義:A類型とB類型
(投稿者 川崎)

2026-10-10

頚静脈波形のy谷

  • 先日、身体所見のセッションで本物の匠の先生の講演を聞きました。自分の講演と重なったため、一部しか視聴できませんでしたが、とても深い解説でした。
  • 忘れないためにもここに記録しておきます。頚静脈波形の復習 ➜ v波≒右房への流入、y下降≒右室への流入(その他の詳細は以前の投稿を参照してください)

🚨 正常例でy下降が小さい2つの機序
  1. 正常では右房v波圧は2〜3 mmHgと低く、三尖弁開放時のRA圧(v波)−RV圧較差が小さい。 よってy下降は小さい
  2. 右房のバッファー効果。正常の右房は伸び縮みしやすいため、容量変化に伴う圧変化が乏しい。よってy下降が小さい。

🚩 右房圧(v波)が高いにもかかわらずy下降が減弱消失する場合
  • 拡張早期からの右室流入障害の存在 → 三尖弁狭窄・肥大型心筋症・心タンポナーデ (※右房圧の上昇した心膜液貯留例でy下降があれば心タンポナーデが否定できる)

(投稿者 川崎)

2026-10-09

心房性クリック Atrial click

💁 論文抄録のAI訳
  •  32例の心房性クリック症例を提示し、その臨床像と考えられる成因について検討した。「心房性」クリックとは、心房収縮期に低周波成分を伴わずに記録される鋭い音(snappy sound)と定義した(Figure 1)。振幅の大きい第Ⅳ音の高周波成分(Figure 2)は除外した。
  • 基礎疾患は多彩であり(Table 1)、心房性クリックを有する症例に共通する特異的な臨床像は、いずれの疾患単位においても認められなかった。
  • 心房性クリックは胸骨左縁第3肋間で最もよく記録され(Figure 8)、P波開始後130msec(時点)に出現した。第Ⅳ音との一致は32例中13例に認められたが、そのタイミングは一定せず、両者が完全に同時に生じることはなかった。
  • 心房性クリックは、ごく僅かな心膜摩擦音を伴って存在することがあり、自然経過により、あるいは薬理学的な介入や呼吸により、摩擦音へと変化することがあった。さらに、活動性心膜炎の摩擦音に続いて心房性クリックが出現する例、あるいはその逆の例もみられた。心腔内心音図では、心房性クリックが心腔内で見出されることは稀であった。収縮中期〜後期クリックとは対照的に、心房性クリックは心膜起源であると考えられた。

 
😑 独り言
  • クリックと言えば僧帽弁逸脱の収縮期クリックです(自験例).体位でかなり変化するため油断はできません(過去の投稿).されにクリックは(稀ながら)拡張期にも出現することがあります(自験例).そして今回,心房性クリックとは…The click (plot) thickens(謎はますます深まる)

(投稿者 川崎)

2026-10-08

今週の一枚 🎯 あれ? 😐いつもと違う

ふらつきと息切れで来院(座位)

😦 解説
  • 座位で右の鎖骨上窩に拍動あり
  • 頚部の正中にも隆起(前頸静脈)
  • よく見ると拍動は大きさが変動
  • 稀に隆起が大きくなる(矢印)
  • キャノンa波(大砲A波)疑い
  • ECGで3度房室ブロックを確認

😶 臨床現場
  • 本例は近医クリニックで徐脈を指摘されて、当科を紹介受診したご高齢の方です。症状はなく、何度か行った長時間心電図記録で最大の心室静止は2-3秒であったため、経過観察中でした。
  • 今回の受診も、3ヵ月毎の定期受診でした。直前に行っていたハートノート(1週間型のホルター心電図)の結果に問題がないことを確認後に、患者さんに診察室へ入ってもらいました。
  • しかし入室から椅子に座られる間に、以前にはなかった頚部の拍動に気が付きました。その後、ご本人から、1週間前からふらつき・数日前から息切れがあることを教えてもらいました。
  • 完全房室ブロックだけならcannon a waveを認めるのみです。本例はその後、徐脈による心不全を合併したため、座位で内頚静脈の拍動が陽性になったと思われました。症状にも合致

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-10-07

🏆 論文

  • 当院初期研修医の大野先生が循環器内科で経験した症例が出版されました🎉
  • 左室駆出率が保持された非代償性心不全(HFpEF)を呈した70代後半の患者
  • 冠動脈CT検査では右バルサルバ洞から起始する単一の冠動脈と思われました
  • CAGで右冠動脈から良好な側副血行路を介した左冠動脈の逆行性灌流を確認
  • 教訓:先天性LMCA閉鎖症は典型的な狭心痛を伴わない高齢者にもあり得る

🚀 独り言
  • 実はLMTの先天性閉塞は数年前にも経験したことがあったため(40代男性/その症例の論文 → コチラ)、本例の診断は比較的スムーズでした。
  • 本例を再び論文化した理由は、その年齢でしょうか。本疾患は小児~壮年に多く、検索範囲では最高は70代の3例でした(本例は78歳で最高齢)

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(投稿者 川崎)

2026-10-06

論文 🏆

  • 当院初期研修医の山中先生が循環器内科で経験された症例が出版
  • 完全房室ブロックを生じた3日後に気胸を発症したCOPD症例です
  • 心疾患の発症後に呼吸様式が変化して気胸を生じる可能性を言及

- 来院時の心電図と胸部X線 -

💁 論文の過去投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-10-05

血液循環説:そして、ハーヴェイへ

  • 現在では、心臓から出た血液が体を一周して心臓にもどってくるという血液循環は誰もが知る事実です。ただしこの常識を1628年にイギリスのウィリアム・ハーヴェイが『動物の心臓ならびに血液の運動に関する解剖学的研究』で証明するまでには、長い葛藤がありました。
  • 最近、私の元上司の、またその上司の先生からお借りした書籍『心臓とこころ:文化と科学が明かす「ハート」の歴史』(ヴィンセント・M・フィゲレド著、坪子理美訳)にその詳細が記載されていました。血液循環説で大きな役割を果たした3人の人物を取り上げました。

ガレノス(Galenus, 129年頃~216年頃)― 1400年続いた「医学の権威」
  • ローマ帝国時代のギリシャ人医師。当時は人体解剖が禁じられていたため、サルやブタなどの動物解剖を行い、それまでは「空気が流れている」と考えられていた動脈の中に血液が流れていることを示した。
  • 膨大な著作を残し、その体系は中世ヨーロッパやイスラム世界で約1400年間、絶対的な権威となった。しかし血液は肝臓で作られ、全身で消費されると考えた(循環という概念はなかった)。また血液は右心室から左心室へ、心室中隔の「目に見えない小孔」を通って移動すると考えた。

アンドレアス・ヴェサリウス(Andreas Vesalius, 1514~1564年)― 近代解剖学の父
  • ブリュッセル生まれの医師で、20代でイタリアのパドヴァ大学の解剖学教授となる。当時の講義は、教授がガレノスの本を読み、助手が解剖するのが普通だったが、ヴェサリウスは自ら解剖した。1543年、全7巻の解剖書『人体の構造について(De humani corporis fabrica)』を出版。
  • ガレノスの記載に約200か所の誤りがあることを、人体の観察にもとづいて指摘した。1555年の第2版では、心室中隔の小孔についても「見つけることができない」と疑問を呈した。晩年はスペイン王の侍医を務め、エルサレム巡礼の帰路、ギリシャのザキントス島で亡くなった。
ミカエル・セルヴェトゥス(Michael Servetus / ミゲル・セルベト, 1511年頃~1553年)― 肺循環を記し、火刑に処された人
  • スペイン・アラゴン地方出身の医師かつ神学者であった。パリで医学を修め、ヴェサリウスと同じ解剖学者ヨハン・ヴィンター・フォン・アンダーナッハに師事した。血液は右心室から心室中隔を通るのではなく、肺を通って空気と混ざり、左心へ戻ると記した。
  • この記述は、医学書ではなく神学書『キリスト教の復元』の中にあった。セルヴェトゥスは三位一体(父・子・聖霊を唯一の神とする教義)を否定したため、カトリックおよびプロテスタントの双方から異端とされ、1553年10月27日、自著とともに火刑に処された。

(投稿者 川崎)

2026-10-04

心音クイズ:Q5

心音の無料ゲーム「心音マイスター」より


💫 解説
  • 馬の駆ける音に似ているためギャロップ(奔馬調)と呼ばれている
  • その本体はS3やS4を伴う頻脈(聴診だけでS3かS4かの鑑別は困難)
  • 非代償性の心不全を示唆し、本例も後に重篤な心不全と診断された

😐 ギャロップについて
  • Ⅲ音とⅣ音は共に低調音であるため、心尖部で聴診器のベル(小さいほう)を用いて聴取する。騒がしい救急室での認識は必ずしも容易ではないが、診断的な意義が高い。
  • 過剰音がS3だけなら心室性ギャロップ、S4だけなら心房性ギャロップと言う。S3とS4が共存した四部調律(本例)や、S3とS4が重なった重合奔馬調という病態もある。

(投稿者 川崎)

2026-10-03

4q欠損症候群 4q deletion syndrome

  • 4番染色体長腕(4q)の部分欠失により生じる先天性染色体異常症候群
  • 別名は4番染色体長腕部分モノソミーやWolf-Hirschhorn症候群など
  • 頻度は1/50,000人程度で女児:男児=2:1(ただし未診断例が多い)
  • 欠失の範囲・部位により重症度・表現型が多彩:例、遠位部は心疾患
  • 主な所見は特徴的顔貌・先天性心疾患・精神運動発達遅滞など(下図)
  • アレイCGHやFISH法で微細欠失を検出し、核型分析と併用し確定診断
  • 治療は対症療法が中心で、心奇形には外科的修復、発達遅滞には療育


- 患者の臨床所見 -
a:上向きの眼瞼裂、広い鼻梁、前向きの鼻孔、広い鼻翼、滑らかな人中、滑らかな鼻唇溝、薄い唇、水平な口角、広い眉毛。b:耳介後転、下顎後退症、長いまつげ。c:高口蓋。d:犬歯の無形成と下顎の中切歯と左側切歯の癒合。e:母斑と乳頭の間隔が広い。f:背側後弯症と過前弯症。g:親指の近位埋没。h:陰核肥大(AI訳)

👻 初報問題

(投稿者 川崎)

2026-10-02

プレアルブミンの深堀:ATTR関連

  • 先日,カンファレンスでATTR心アミロイドーシスに関し,プレアルブミン(=TTR)について混乱がありました。AIと一緒に整理してみたので忘備録として下記にアップしておきます.
  • なおTTRは血中では主にホモ4量体として存在し、T4やビタミンAの輸送を担います。4量体が単量体に解離し、単量体がミスフォールドして、オリゴマーを経てアミロイド線維として沈着します。

👺 プレアルブミン値 vs 診断
  • ATTRwtの診断時TTR中央値は23 mg/dLで、正常下限付近(基準18–45 mg/dL)にとどまった(Circ Heart Fail 2018)。別の米国研究(45例)では、ATTRwt患者のTTRは対照と差がなかった(Circ Heart Fail 2018)。
  • 診断は、骨シンチとM蛋白の除外による非生検診断アルゴリズムが基本であり、血中TTRはその項目に含まれない(Circulation 2016)。

👹 プレアルブミン値 vs 予後
  • 生検で確定したATTRwtでは、診断時の血中TTRが低いほど生存期間が短く、独立した予後予測因子であった。経時的なTTR低下は心機能の悪化と対応していた。TTR <18 mg/dLの群では生存期間中央値2.8年、≥18 mg/dLの群では4.1年であった(HR 2.3)(Circ Heart Fail 2018)。
  • タファミジスを導入したATTRwt 169例では、ベースラインTTRが低いほど死亡リスクが高く(<18 mg/dLで高リスク)、導入30日後のTTR上昇幅が小さいほど(<7.5 mg/dL)心不全入院が多かった。両者がともに低値(ベースライン<18 mg/dLかつ上昇幅<7.5 mg/dL)の群でイベント率が最も高かった(Eur J Heart Fail 2026)。

👿プレアルブミン値 vs 薬力学的指標(基本:安定化薬で↑、サイレンサーで↓)
  • タファミジス:実臨床のATTR-CM 72例では、血中TTRが21.8から29.3 mg/dLへ34.5%上昇した(JACC CardioOncol 2021)。ATTR-ACTの事後解析では、80 mgで1か月時点に平均36.3%上昇し、30か月まで持続した。早期上昇が5 mg/dL大きいごとに全死亡のオッズは45.0%低下したが、TTR上昇の機序と臨床的意義はなお不明確とされている(Cardiol Ther 2026)。
  • アコラミジス:ATTRibute-CMでは第28日までに平均9.1 mg/dL上昇し、30か月まで維持された。早期上昇が5 mg/dL大きいごとに死亡オッズは31.6%低く、この関連はバリアントの有無、NYHA分類、NACステージ、ベースラインTTRで補正後も独立していた(J Am Coll Cardiol 2025)。
  • サイレンサー(ブトリシランなど):肝でのTTR産生を抑制するため、血中TTRは大きく低下する。HELIOS-Aでは3週以内に低下し、18か月後の定常状態で平均81.0%(トラフ)低下した。血清ビタミンAもTTRと並行して低下した(Amyloid 2023)。

(投稿者 川崎)

2026-10-01

今週の一枚 🎯

他院から転院してきた難治性心不全例

💘 解説
  • 心拡大と両側の胸水貯留は心不全に矛盾せず
  • よく見ると心陰影の中に人工構造物(拡大図)
  • これは Corvia® Atrial Shunt システム(IASD®)
  • 医原性に心房中隔シャント作成(下のCT参照)
  • おまけ:この心房シャントは条件付きMR対応


👂 心房シャントデバイス
  • IASD(Interatrial Shunt Device)は、左房(LA)から右房(RA)へと血流を導く経カテーテル的心房中隔デバイスのこと。HFpEF/HFmrEFでは運動時に左房圧が上昇しやすく、これが呼吸困難や運動耐容能低下の主因となります。そこで心房中隔に恒久的な交通孔を作成し、LA圧をRAへ逃がすことで、労作時のうっ血を軽減することを狙ったデバイス。欧州連合(EU)では販売されていますが,米国内での商業的流通は認められていません(現時点ではおそらく)。本邦でも未承認で現在,治験中(jRCT1080224934)だそうです。

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(投稿者 川崎)

2026-09-30

第74回日本心臓病学会学術集会より(出島メッセ長崎)

📢 心音を演題名に含む発表(2演題)

演題O-23-5 AI心音図計“超聴診器”を用いた非心臓手術術前心疾患スクリーニング(鳥取大学医学部附属病院 循環器内科)
  • 超聴診器は心音図解析から心雑音指数、心負荷指数を算出し、それらを総合した心疾患指数によって心疾患リスクを評価する。非心臓手術のため麻酔科術前スクリーニング外来655例中28例(4.3%)が循環器内科紹介基準に該当した。全例で心臓エコー検査が施行され、重症弁膜症2例(未指摘1例)、中等症弁膜症6例(未指摘5例)、慢性心不全1例を認め、術前介入またはフォローアップが施行された。持続性心房細動を10例(未指摘1例)に認め、軽度以下弁膜症のみの症例は15例認めた。

演題S16-5 8秒の心音図で右室容積を推定する新規指標(心雑音エネルギー指数:Cardiac Murmur Energy Index)の開発(済生会宇都宮病院 小児科)
  • AI心音図(超聴診器)を用いて拡張期雑音を記録し、当該領域のRMS音圧値を算出した。これを基準音圧比から平均dB値に変換し、雑音持続時間との積により面積積分値を算出し、新規指標「心雑音エネルギー指数(Cardiac Murmur Energy Index:CMEI)」と定義した。心臓MRIにより右室拡張末期容積指数(RVEDVI)を測定し、CMEIとの相関を解析した。CMEIはRVEDVIと強い正の相関を示した(r=0.85)。

💓 心音を抄録に含む発表(上記演題を除く7演題)
  • 演題[O-4-1] 冠動脈疾患の診断に対するⅣ音の臨床的意義 (松下記念病院 循環器内科)
  • 演題[PE2-2] 労作時呼吸困難の増悪を認めた肺動脈性肺高血圧患者 (高知高須病院 循環器内科)
  • 演題[PE3-1] 僧帽弁逆流におけるⅡ音分裂の臨床的意義 (医療法人社団 倫生会 みどり病院 循環器内科)
  • 演題[O-24-5] 弁膜症の診断に対する2点聴診法の有用性 (松下記念病院 循環器内科)
  • 演題[C-12-6] 特異的な聴診所見を呈したbileaflet mitral valve prolapseの一例 (倫生会 みどり病院 検査科)
  • 演題[P-1-22] 透析導入時の体液除水前後に超聴診器・心負荷評価を用いて観察した1例 (公立学校共済組合 関東中央病院 循環器センター・検査科)
  • 演題[C-16-6] 心不全モニタリング指標であるHeartLogicインデックスを活用した多職種による早期介入が有用であった一例 (順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学)

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-09-29

循環器フィジカル - 100本ノック -


循環器領域の身体所見を学習するために作成された無料アプリ「循環器フィジカル -100本ノック-」の動画版です.2026年4月から循環器Physical Examination講習会の公式SNSに毎週金曜日にアップしています.こちらのコンテンツにも2週分ずつまとめてアップします.

👻「フィジカルノック」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-09-28

フィジカル広場✨Podcast

  • ベッドサイドの診断技術を、身体所見の達人に教わる「フィジカル広場✨LIVE」の音声版です。
  • 視診・触診・聴診のコツを、耳から学ぶとういう、新たな試みです。無料かつながら学習可能


🎧 フィジカル広場Podcast  ▶︎ Spotify ▶︎ Apple Podcasts ▶︎ Amazon Music

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2026-09-27

Grad-CAMとLIME

  • ディープラーニングによる診断AIの判断基準はブラックボックス
  • この不透明さを可視化する代表的な2つの方法がGrad-CAMとLIME
  • Grad-CAM とは Gradient-weighted Class Activation Mappingの略
  • LIME とは Local Interpretable Model-Agnostic Explanationsの略

Grad-CAMとLIMEの大まかな比較
Grad-CAM LIME
得意なデータ 画像・動画 表形式データ・画像・テキスト何でも
モデルへの要件 内部(勾配)にアクセス可能なこと 出力さえ得られればよい
出力 ヒートマップ(粗い) 特徴量ごとの寄与度
弱点 局在精度が低い 結果が不安定


Grad-CAM:AIが心房細動と判定する時の注視部位


LIME:心電図診断時の注視部位

(投稿者 川崎)

2026-09-26

典型的な心雑音・予期せぬ診断❓

🎶 気になった論文(Case Rep Cardiol 2026:2026:3461386)より
  • 症例は45歳の女性で主訴は運動中の動悸と呼吸困難.大動脈領域で最もよく聴取されるグレード3/6の粗い収縮期雑音あり.頸部に良好に放散するため,当初は大動脈弁狭窄症が疑われた.しかしその後の心エコー図で,大動脈弁の構造異常や大動脈弁狭窄を示唆する圧較差は認められなかった.
  • 一方,僧帽弁の後尖P2に著しい逸脱があり,中等度から重度の僧帽弁逆流が確認された.筆者らは,僧帽弁の逆流ジェットが前内側方向へ進み,大動脈基部と心房中隔に衝突する結果,その振動の音響エネルギーが左心室流出路と頸部構造に伝わり,大動脈弁狭窄症に似た雑音を生じると考察

😐 独り言
  • 本論文には心音図や音声が付いていないため,実際に聴いて判断してみるができませんでした.しかし大動脈弁狭窄と僧帽弁逆流の鑑別が容易ではない症例が存在することは事実です.
  • 例えば,僧帽弁逆流でも重症ならダイヤモンド型の漸増漸減パターンになります(自験例).この時にⅢ音を減弱したⅡ音と誤認すると,ますます重症の大動脈弁狭窄と誤診します.
  • また上記論文の症例のように,僧帽弁後尖の逸脱では,ジェットが左房前壁に向かうため,雑音が通常のMRのように心尖部で最大にならず,心基部に広く放散します(自験例).

(投稿者 川崎)

2026-09-25

ニンテダニブ(オフェブ®)

  • チロシンキナーゼ阻害剤(抗線維化剤):効能または効果:特発性肺線維症、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患、進行性肺線維症(添付文章情報)
  • 主な副作用は下痢: INPULSIS試験で、下痢はニンテダニブ群61.5% vs プラセボ群18.6%(ただし軽度〜中等度が多く、投与中止は4.4%程度)
  • 下痢の機序:上皮成長因子受容体(EGFR)による塩化物分泌の負調節が阻害され、管腔内に過剰な塩化物イオンが移動することによる分泌性下痢

塩化物分泌とEGFR-TKI関連下痢の関係
正常な腸管上皮における塩化物分泌機構(青点線)とEGFRによる塩化物分泌の負の制御(赤実線)。NKCC1:ナトリウム-カリウム塩化物共輸送体1型;CFTR:嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス調節因子;CaCC:カルシウム活性化塩化物チャネル;cAMP:環状アデノシン一リン酸;EGFR:上皮成長因子受容体;ErbB2:ヒト上皮成長因子受容体2;EGF:上皮成長因子;TGF-α:形質転換成長因子-α;ERK:細胞外調節タンパク質キナーゼ;PI3K:ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ;Akt:プロテインキナーゼB;PKC:プロテインキナーゼC。(AI訳)

(投稿者 山中/川崎)

2026-09-24

今週の一枚 🎯体位と頚静脈

拡張型心筋症の症例

🔎 解説
  • 座位:内頚静脈の明瞭な拍動(隆起)
  • 半坐位:拍動が不明瞭になっている
  • 臥位 (枕あり):外頚静脈の怒張あり
  • 本症例は心不全の悪化のため入院中

😐 コメント
  • 本例は座位で内頚静脈の拍動上縁が、顎下まで達しています。つまり中心静脈圧(右房圧)は高度に上昇しています(おそらく20 ㎝水柱以上)。このような症例では、半坐位や臥位では内頚静脈の拍動上縁が顎下よりも上方になり、その視認が難しくなるため注意が必要です。臥床で外頚静脈が怒張していますが、心不全診療で信頼すべきは内頚静脈です。
  • 一方、座位で内頚静脈の拍動を視認するためには、その上縁が少なくとも鎖骨上窩よりも上にあることが必須です。つまり、心臓と鎖骨の垂直距離を考慮すると、15 ㎝水柱以上の中心静脈圧(右房圧)を要します(正常参考値は4-8 cm水柱)。よって、軽度から中等度の上昇を見逃さないため、負荷頚静脈法です。無料アプリ「シンプル頚静脈」で学べます。

(投稿者 川崎)

2026-09-23

胃流出路閉塞 GOO: gastric outlet obstruction

  • 胃の出口が機械的に閉塞して、胃内容物が排出されなくなった病態の総称
  • 胃出口閉塞や胃排出路閉塞、幽門狭窄/幽門閉塞などと称されることあり
  • 主な原因は成人では悪性で膵頭部癌、遠位胃癌、十二指腸癌、胆管癌など
  • 良性では消化性潰瘍の瘢痕狭窄、術後変形、慢性膵炎、クローン病など
  • 小児で肥厚性幽門狭窄症(所謂ピロステ=pyloric stenosis:過去の投稿)
  • 症状は食後嘔吐(胆汁を含まない未消化の食物)、腹部膨満、早期満腹感
  • 身体所見は胃振水音(succussion splash)+可視性蠕動(visible peristalsis)
  • 血液検査では低クロール性・低カリウム性の代謝性アルカローシスを生じる
  • 治療は胃管・バルーン拡張・ステント留置・胃空腸吻合術(GJ、EUS-GE)他

- GOOによる可視性蠕動 -

💙 余談
  • ドイツ人医師のアドルフ・クスマウル(Adolf/ph Kussmaul、1822-1902)は、1869年に発表した論文で、胃出口閉塞とそれに伴う拡張への治療法(胃ポンプを使用)の可能性について言及しています(引用)。
  • クスマウルはクスマウル徴候(吸気時に頚静脈膨隆)、奇脈(吸気時の収縮期血圧が10mmHg以上低下)、クスマウル呼吸(糖尿病性ケトアシドーシスなどによる異常に深大な呼吸の連続)も報告(過去の投稿)

(投稿者 川崎)

2026-09-22

インパクトファクター Impact factor

🔍 現時点の医学系雑誌のインパクトファクターのランキング(生成AI作成)

順位 雑誌名 インパクトファクター
1 CA: A Cancer Journal for Clinicians 685.2
2 The Lancet 109.0
3 New England Journal of Medicine(NEJM) 84.5
4 JAMA 65.4
5 BMJ 55.1
6 Nature Medicine 52.5
7 European Heart Journal 45.3
8 Circulation 41.3
9 JACC 22.3
10 Circulation Research 18.0


🔎  現時点の全領域のインパクトファクターのランキング(生成AI作成)

順位 雑誌名 分野 インパクトファクター
1 CA: A Cancer Journal for Clinicians 腫瘍学 685.2
2 Nature Reviews Molecular Cell Biology 細胞生物学 118.0
3 The Lancet 医学(総合) 109.0
4 Nature Reviews Microbiology 微生物学 104.6
5 MMWR Surveillance Summaries 公衆衛生 96.9
6 Nature Reviews Clinical Oncology 腫瘍学 94.6
7 Nature Reviews Drug Discovery 薬理学 91.2
8 New England Journal of Medicine(NEJM) 医学(総合) 84.5
9 Nature Reviews Materials 材料科学 83.3
10 Signal Transduction and Targeted Therapy 分子医学 81.2


👻 独り言
  • CA: A Cancer Journal for Cliniciansというダントツの医学誌ですが、今まで聴いたことがありませんでした。調べてみると、隔月に出版され掲載される論文は1~2編のようです。オープン形式で、癌関連のGlobal Cancer Statisticsのような世界的にヘビーサイテーションされる総説が主なため、とんでもない数値をたたき出しているようです。同雑誌のホームページによると、投稿から最初の判定は2日(中央値)で、採択率は31%もあるようです。
  • 一方、世界的に有名なNatureのインパクトファクターは56.1、Scienceは45.8です。Natureの全投稿に対する採択率は約8%で、多くはピアレビューに回る前の「デスクリジェクト」(編集部の初期審査での不採択)のようです。Scienceの採択率も約7%未満(年間約12,000〜13,000件の投稿のうち採択は約800件)です。投稿の約80〜85%が査読に回る前のデスクリジェクトで、査読まで進んだ論文に限ると採択率は約30〜35%のようです。

(投稿者 川崎)

2026-09-21

心臓MRIのblack-blood(BB)法

♣ T2WBB(T2 Weighed Black Blood)
  • Spin echoシーケンスを用いて撮影し、血液の信号をゼロ(黒)とする.T2強調像での心筋内高信号域は心筋浮腫を反映すると考えられており,急性虚血や炎症性変化に伴う所見とされる.
  • 下図(Fig. 10)は心筋炎例のT2強調画像と遅延造影像の比較である.心筋炎では心筋中層から外膜側が侵されることが多く,LGE陽性部分にも一致して,炎症および浮腫を反映している.

♠ T1WBB(T1 Weighed Black Blood)
  • 心筋脂肪変性を検出するプロトコールである.ARVC(Arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy:不整脈原性右室心筋症)の心筋脂肪変性や腫瘍の性状評価を目的として撮影する.
  • 従来の脂肪変性検出は疑陽性が多いが,このプロトコールによる右室および左室心筋の脂肪変性検出はARVCの診断や生検部位の参照としても有用で,簡便にも撮影できるので利用価値は高い.

💁MRIのブラッドブラック法の過去の投稿 → コチラへ
(投稿者 川崎)

2026-09-20

ジアゼパム点鼻液 (スピジアⓇ)

  • 国内初のジアゼパムの鼻腔内投与製剤(2025年12月24日に発売)
  • 効果はてんかん重積状態(2歳以上で重積状態へ移行する恐れ含)
  • 医療機関外で医療者や介護者による投与可なレスキュー薬(下記)

📘 医政医発0415第1号(令和8年4月15日)より

学校、保育所、認定こども園、家庭的保育事業等、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、児童育成支援拠点事業、放課後子供教室、認可外保育施設、児童自立生活援助事業、児童発達支援、放課後等デイサービス等(以下「学校等」という。)に在籍又は利用する幼児、児童、生徒、学生(以下「児童等」という。)がてんかん発作を起こし、生命が危険な状態等である場合に、現場に居合わせた教職員を含む職員又はスタッフ(以下「教職員等」という。)が、ジアゼパム点鼻液(「スピジア®」)を自ら投与できない本人に代わって投与する場合が想定されるが、当該行為は緊急やむを得ない措置として行われるものであり、次の4つの条件を満たす場合には、医師法(昭和23年法律第201号)第17条違反とはならないと解してよい。
  1. 当該児童等及びその保護者が、事前に医師から、次の点に関して書面で指示を受けていること。学校等においてやむを得ずジアゼパム点鼻液を使用する必要性が認められる児童等であること、ジアゼパム点鼻液を使用する際の留意事項
  2. 当該児童等及びその保護者が、学校等に対して、やむを得ない場合には当該児童等にジアゼパム点鼻液を使用することについて、具体的に依頼(医師から受けたジアゼパム点鼻液を使用する際の留意事項に関する書面を渡して説明しておくこと等を含む。)していること。
  3. 当該児童等を担当する教職員等が、次の点に留意してジアゼパム点鼻液を使用すること。当該児童等がやむを得ずジアゼパム点鼻液を使用することが認められる児童等本人であることを改めて確認すること、ジアゼパム点鼻液を使用する際の留意事項に関する書面の記載事項を遵守すること
  4. 当該児童等の保護者又は教職員等は、ジアゼパム点鼻液を使用した後、当該児童等を必ず医療機関で受診させること。

(投稿者 川崎)

2026-09-19

再確認:アミオダロンの血中濃度

📖 アミオダロンのClinical Question 6
  • 血中濃度が2.5~4 μg/mL(2500~4000 ng/mL)以上になると神経系や消化器系の副作用が発現してくるという報告がある.肺毒性については慢性期の高用量や高血中濃度との関連を示唆する報告もあるが,その詳細な臨床データはない.日本では欧米に比し低用量で用いられており,通常の治療中に血中濃度が2.0 μg/mL(2000 ng/mL)を超えることはまずない.このため,濃度依存性とされる肝,神経,皮膚に関する副作用の頻度は欧米に比し低い.ただし,低用量治療であっても,甲状腺機能障害や肺毒性は発現する.日本人でのアミオダロン肺毒性発現の要因を検討した報告では,年齢,維持量,デスエチルアミオダロン血中濃度が有意であり,低用量であってもデスエチルアミオダロン血中濃度が 0.6 μg/mL(600 ng/mL) 以上になると,肺毒性のリスクが高まる.(※赤色は投稿者が追加)


💣 アミオダロンの復習
  • アミオダロンの分布容積は66 L/kgと非常に大きく大半は血管外の組織に分布
  • 脂溶性がとても高いため,心臓への分布を血中濃度のみから把握するのは困難
  • 消失半減期が長く,経口薬連投後で14~107日,単回静注後でも14.6±7.9日
  • 経口投与では生物学的利用率が35~65%と低く,消化管からの吸収は不完全
  • ほとんどが肝で代謝され主な代謝物にデスエチルアミオダロンが知られている
  • デスエチルアミオダロンは活性代謝物で,薬理効果はアミオダロンとほぼ同等


(投稿者 川崎)

2026-09-18

香雪こうせつ記念病院

  • 医師A「松下記念病院は松下幸之助さんの病院ですね」
  • 投稿者「そうです。現在の病院は4代目にあたります」
  • 医師A「ということは、香雪記念病院の関連ですか?」
  • 投稿者「香雪? すいません、聞いたことありません」
  • 医師A「だって幸之助さんはすごい金持ちだったから」

- 香雪記念病院 -
  • 兵庫県西宮市に昭和42年(1967年)に開院した「高級ホテル」のような病院
  • 朝日新聞社の創業者・村山龍平氏の没後30年を記念し計画(香雪は彼の雅号)
  • 建坪2,200坪、病床111床で建設費は土地込みで約13億円(当時としては破格)
  • オープンシステム導入(患者がかかりつけ医を連れてきて診療を受けられる)
  • 病室のほとんどが個室で最上階には一流ホテル料理人による本格的レストラン
  • 老朽化などで2002年に大規模改修され現在は西宮協立リハビリテーション病院

(投稿者 川崎)

2026-09-17

災害診療記録/J-SPEED

  • 災害診療記録とは災害医療チームが使用する診療録標準様式(標準カルテ)
  • J-SPEEDとは、災害診療記録とセットで運用される診療日報標準様式である
  • J-SPEED=Japan-Sur veillance in Post Extreme Emergencies and Disasters
  • 世界保健機関が提唱するSPEEDを日本の災害医療体制(DMAT等)へ標準化
  • J-SPEED情報提供から災害診療記録/J-SPEED診療日報がダウンロード可能

災害医療記録・J-SPEEDの概要


熊本地震のJ-SPEEDデータ(2016年)

(投稿者 川崎)

2026-09-16

大動脈僧帽弁カーテン Aortomitral curtain

  • 大動脈弁と僧帽弁の間をつなぐ線維性の膜状構造(心臓の線維骨格の一部) 
  • 具体的には大動脈弁左冠尖・無冠尖と僧帽弁前尖の間をつなぐ組織(下図)
  • 別名は僧帽弁大動脈間膜様部(intervalvular fibrosa)やaortomitral continuity
  • 感染性心内膜炎で弁輪周囲膿瘍あるいは偽性瘤を形成しやすい部位として重要
  • 外科的には大動脈弁と僧帽弁の同時再建(Commando手術など)で操作必要
  • 不整脈領域では心室期外収縮や心室頻拍など心室性不整脈の基盤となりうる
  • 石灰化しやすくTAVR(経カテーテル大動脈弁置換術)では穿孔のリスク部位


大動脈僧帽弁カーテンのシェーマ

(投稿者 川崎)

2026-09-15

悪性水腫菌(Clostridium septicum)

  • グラム陽性の芽胞形成偏性嫌気性桿菌で土壌中などに広く分布している
  • 牛や馬など家畜の創傷感染症「悪性水腫」の原因菌として同定された菌
  • α毒素による壊死性筋炎から急速かつ進行性の菌血症性ショックに陥る
  • 誘因は好中球減少や大腸癌による腸管粘膜バリアの破綻(8割が癌合併)
  • 診断は血液培養・グラム染色、CTでの軟部組織ガス像評価(下の写真)
  • 治療は緊急外科的デブリードマンと広域抗菌薬(+悪性腫瘍への対応)
  • 生存率は C. septicum 菌血症で50%,ガス壊疽合併例では21%まで低下


大腸癌穿孔を伴う悪性水腫菌によるガス壊疽例(来院16時間で死亡)
(投稿者 川崎)

2026-09-14

循環器フィジカル - 100本ノック -


循環器領域の身体所見を学習するために作成された無料アプリ「循環器フィジカル -100本ノック-」の動画版です.2026年4月から循環器Physical Examination講習会の公式SNSに毎週金曜日にアップしています.こちらのコンテンツにも2週分ずつまとめてアップします.

👻「フィジカルノック」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2026-09-13

グロームス腫瘍(グロムス腫瘍)  glomus tumor

  • グロムス体(皮膚の動静脈吻合で体温調節・血圧制御に関与)由来の良性腫瘍
  • 1812年にWoodが初めて記載し、1924年にMassonがグロムス体由来を確立した
  • glomusはラテン語で「糸くずの玉」や「毛糸玉」、「小さな球体」を意味する
  • 全軟部腫瘍の2%未満で、手指の爪下に好発し「爪下グロムス腫瘍」と呼ばれる
  • 三徴は疼痛・限局性圧痛・寒冷過敏性で駆血で疼痛消失(Hildreth's sign、※)
  • ダーモスコピーや超音波、MRIが病変の局在把握に有用で確定診断は病理組織
  • 鑑別診断は血管腫、静脈奇形、外骨腫、粘液嚢腫、悪性黒色腫、神経腫など
  • 治療は経爪的アプローチによる外科的完全切除で、完全摘出後の再発は少ない

引用)Eplasty 2008;8:e48、他

- 薬指のglomus腫瘍を有する44歳女性 -
3か月前から爪の変色、痛み、冷感の増強を訴えて来院。術前の爪の状態(左)、爪甲除去後の病変(中央上)、爪母からの腫瘍切除(中央下)、および術後2年経過した軽度の爪の変形を示す画像(右)。

(投稿者 川崎)

2026-09-12

トラヘルパー 輪状甲状靭帯穿刺針

【使用目的又は効果】
  • 本品は輪状甲状膜に留置することを目的としたチューブで、気管切開後の気道確保、緊急時の気管切開による気道確保、気管内分泌物の吸引、気管内及び気管切開孔の狭窄防止や保持の何れかを目的として、気管切開後の気管内に挿管して使用す

【禁忌・禁止】
  • 再使用禁止
  • 12歳以下の症例、血液凝固異常、咽頭外傷、気管損傷、声門下狭窄、高度肥満
  • カフ付きの気管内チューブや気管切開チューブの適応となる長期呼吸管理が必要な症例には使用しないこと。[カフがなく、チューブ径も細いため、長期人工呼吸管理には適さない。]


トラヘルパー 輪状甲状靭帯穿刺針




(投稿者 川崎)

2026-09-11

クラゲ刺傷

  • 先日,クラゲに刺された症例をカンファレンスで議論しました.
  • 当院は海から離れたエリアにあるためこのような症例は稀です.
  • 担当医が調べてくれたことを忘備録としてアップしておきます.
   
💢クラゲ刺傷💢
  • クラゲが属する刺胞動物は、1本の触手に数千の刺胞を持つ。刺胞に含まれる毒素によって、様々な症状が生じる。クラゲが自発的に人を襲うことはなく、偶発的に接触することで危害は生じる。世界中で年間1億5000万件程度のクラゲ刺傷が起きているとされる。危険なクラゲの種類として、ハコクラゲ、ライオンタテガミクラゲ、ヤナギクラゲ等が知られる。
  • 症状は、あまり重篤でないことが多い。軽度な症状としては、痛み・掻痒感・皮疹がある。重度の症状として、呼吸困難、筋痙攣、胸痛、水疱、流涙、嘔気・嘔吐、大量発汗、嚥下困難、腹痛などが生じることがある。クラゲ刺傷に特異的な検査は特に存在しない。
  • 治療は、 ①淡水でなく海水で傷口をしっかり洗浄する(淡水は未発射の刺胞を刺激する)。 ②ピンセットや手袋を使って、皮膚から触手を取り除く。 ③酢や消毒用アルコールを皮膚に塗布する(カツオノエボシに対して酢は使用禁)。 ④疼痛に対し、カラミンローションやヒドロコルチゾン軟膏に塗布する、温水に浸すなどの対症療法を行う。 ⑤痛み止め、抗毒素、抗ヒスタミン薬を処方することもある。

【参考】

(投稿者 岡本/川崎)

2026-09-10

今週の一枚 🎯

食事中にピアスを飲み込んだ若い男性

💋 解説
  • 胃内に棒状の金属性異物の疑い
  • 腹腔内に遊離ガスは認められず
  • 緊急上部内視鏡を行い異物除去
  • 脱落した唇ピアスの一部だった

👂 追加コメント
  • はじめは,「どうやって食事中にピアスなんて飲み込んだんだろう?」と思いましたが,耳のピアスではなくて,口のピアスでした.
  • 唇ピアス vs 耳たぶピアスの脱落率を直接比較した論文は見つかりませんでしたが,リップピアスの方が落下しやすいと思われます.
  • その理由は,口の物理的な負荷の多さ(会話や食事など)に加え,装着による歯肉退縮(Dent Traumatol 2006;22:7-13)など?

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-09-09

逆奇脈  Reverse pulsus paradoxus

  • 奇脈(pulsus paradoxus)とは、吸気時に収縮期血圧が正常より大きく低下する現象(10mmHg超の低下:正常例では低下が10mmHg以内)
  • 収縮性心膜炎や心タンポナーデといった心疾患を診断する手掛かりになることもあるが、手技的な煩雑性もあり、臨床ではあまり行われない
  • その奇脈の逆が逆奇脈(リバース奇脈、reversed pulsus paradoxus)で、吸気時に血圧が上昇する(あるいは呼気時に低下する)現象のこと
  • N Engl J Medにも掲載されたことがある(Massumi RA, et al. Reversed pulsus paradoxus. N Engl J Med. 1973 Dec 13;289(24):1272-5)

🔁 逆奇脈を生じる3病態とその機序
  1. 間欠的陽圧換気 ➜ 胸腔内圧の変動が通常の呼吸とは逆になるため、吸気血圧は呼気血圧よりも高くなる。吸気相では、陽圧換気による胸腔内圧の上昇が胸部大動脈に伝達され、さらに左心室拍出量が増加する。
  2. 閉塞性肥大型心筋症 ➜ 呼気時に左心室圧が高く、動脈圧が低いこと、および左心室-上腕動脈圧が同時に上昇する。これは呼気時に左心室流出路閉塞が増強していることを示唆している。
  3. 等頻度房室解離 ➜ 吸気時の洞調律の増加により、洞調律が房室解離よりも優位になる。洞調律では房室同期が保たれるため、その結果、呼気時の房室非同期に比べて脈拍量が大きくなる。


(投稿者 川崎)