書籍(非売品)
表紙(表,背,裏)・序説・あとがき
表紙(表,背,裏)・序説・あとがき
序説
心臓核医学検査は、循環器診療の有用な検査法の一つとして確立され、診断、病態評価、治療法の選択、予後評価に寄与している。
1970年代からTl心筋シンチグラム(心筋血流)と心プールシンチグラフィ(心機能)を二本柱として発展してきた。後者の検査頻度は少なくなったが、1990年台からMIBG(心臓交感神経機能)、BMIPP(心筋脂肪酸代謝)、MIBI/tetrofosmin(心筋血流)が登場し、目的に応じて使い分けられている。最近、骨シンチグラム製剤であるPYPが急性心筋梗塞のみならず、トランスサイレチン型心アミロイドーシスの診断に感度・特異度が優れることが報告され、検査件数が増加している。
京都府立医大付属病院で約20年、パナソニック健康保険組合松下記念病院で約20年の計40年あまり心臓核医学検査に携わってきた。現在なお運動負荷心筋イメージングおよびその診断に従事しているが、時折輝く画像に出会い、胸をときめかせている。
主治医の依頼に応じ、診療に役立つイメージングをし、的確な診断をすることが最も大切であることは言うまでもない。当初は画像がnuclearならぬunclearと揶揄されたが、機器の進歩もあり、最近はnew clearと評価されているらしい。
心臓核医学のそれぞれの核種による画像には典型例、希少例、自慢例があり、著者の性格上、後二者を中心に循環器専門医のみならず、レジデント、研修医にも見ていただきたいと思い、本書を手掛けた。ややとっつきにくく、敬遠されがちなこの分野に少しでも興味を持っていただくには、画像を見て“interesting”と感じてもらうのが一番と考えた。
心臓核医学画像は基本的には集積低下/欠損を判定するものであるが、補助情報を加えて読影し、さらに臨床所見、心電図、心エコー、冠動脈造影などを組み合わせることにより、その画像がとても優雅に見えることがある。アイソトープを注射して撮像するという単純な検査であるが、時にとっさのひらめきによる工夫で磨かれた画像になることもある。
提示された画像を優雅と感じるか否かは、読影者の知識・感性・努力・追及心に大きく左右される。優雅な心筋イメージングを見出す“匠”になったつもりで、画像を集めてみた。40年の歴史故、セピア色と化した画像が含まれることも味わっていただきたい。唯我独尊、自画自賛、尊大不遜との批判を覚悟の上である。
“心臓核医学の基礎・研究および一例一例を大切にすること”をご指導していただいた足立晴彦先生(なかつかさ・足立医院)に深謝する。また、後輩でありながら常に循環器病学の最新情報を教示していただき、自由に心臓核医学検査を続けさせていただいた川﨑達也先生(パナソニック健康保険組合松下記念病院副院長)に謝意を表する。京都府立医大 旧第二内科で心臓核医学の臨床・研究をともにした鳥居幸雄、宮永一、中川博昭、窪田靖志、稲垣末次、中川達哉、片平敏雄、志賀浩治、馬本郁男、原田佳明、大槻克一、谷口洋子、伊藤一貴、寺田幸治、松本雄賀、中村智樹、米山聡嗣、木下法之、足立芳彦、阪本健三、松下記念病院でともに循環器診療を楽しんだ高橋 徹、川崎信吾、神谷匡昭、万井弘基、肌勢光芳、坂谷知彦、宮井信幸、谷口琢也、三木茂行、浅田聡、山野倫代、赤壁佳樹、階元 聡、張本邦泰、酒井千恵子、本田早潔子、松木あゆみ、川俣博史、車古大樹の諸先生に感謝したい。さらに、常に読影に最適な心筋イメージングを作成していただいた松下記念病院RI検査室の放射線技師、鹿園貴士、廣谷有立、高田春彦、中井恵莉、出口紘平の諸兄に感謝する。最後に本書の出版にあたり、終始多大なるご協力をいただいた株式会社朝陽堂会長高橋東作氏(幼稚園から高校までの同級生)に謝意を表したい。
心臓核医学検査は、循環器診療の有用な検査法の一つとして確立され、診断、病態評価、治療法の選択、予後評価に寄与している。
1970年代からTl心筋シンチグラム(心筋血流)と心プールシンチグラフィ(心機能)を二本柱として発展してきた。後者の検査頻度は少なくなったが、1990年台からMIBG(心臓交感神経機能)、BMIPP(心筋脂肪酸代謝)、MIBI/tetrofosmin(心筋血流)が登場し、目的に応じて使い分けられている。最近、骨シンチグラム製剤であるPYPが急性心筋梗塞のみならず、トランスサイレチン型心アミロイドーシスの診断に感度・特異度が優れることが報告され、検査件数が増加している。
京都府立医大付属病院で約20年、パナソニック健康保険組合松下記念病院で約20年の計40年あまり心臓核医学検査に携わってきた。現在なお運動負荷心筋イメージングおよびその診断に従事しているが、時折輝く画像に出会い、胸をときめかせている。
主治医の依頼に応じ、診療に役立つイメージングをし、的確な診断をすることが最も大切であることは言うまでもない。当初は画像がnuclearならぬunclearと揶揄されたが、機器の進歩もあり、最近はnew clearと評価されているらしい。
心臓核医学のそれぞれの核種による画像には典型例、希少例、自慢例があり、著者の性格上、後二者を中心に循環器専門医のみならず、レジデント、研修医にも見ていただきたいと思い、本書を手掛けた。ややとっつきにくく、敬遠されがちなこの分野に少しでも興味を持っていただくには、画像を見て“interesting”と感じてもらうのが一番と考えた。
心臓核医学画像は基本的には集積低下/欠損を判定するものであるが、補助情報を加えて読影し、さらに臨床所見、心電図、心エコー、冠動脈造影などを組み合わせることにより、その画像がとても優雅に見えることがある。アイソトープを注射して撮像するという単純な検査であるが、時にとっさのひらめきによる工夫で磨かれた画像になることもある。
提示された画像を優雅と感じるか否かは、読影者の知識・感性・努力・追及心に大きく左右される。優雅な心筋イメージングを見出す“匠”になったつもりで、画像を集めてみた。40年の歴史故、セピア色と化した画像が含まれることも味わっていただきたい。唯我独尊、自画自賛、尊大不遜との批判を覚悟の上である。
“心臓核医学の基礎・研究および一例一例を大切にすること”をご指導していただいた足立晴彦先生(なかつかさ・足立医院)に深謝する。また、後輩でありながら常に循環器病学の最新情報を教示していただき、自由に心臓核医学検査を続けさせていただいた川﨑達也先生(パナソニック健康保険組合松下記念病院副院長)に謝意を表する。京都府立医大 旧第二内科で心臓核医学の臨床・研究をともにした鳥居幸雄、宮永一、中川博昭、窪田靖志、稲垣末次、中川達哉、片平敏雄、志賀浩治、馬本郁男、原田佳明、大槻克一、谷口洋子、伊藤一貴、寺田幸治、松本雄賀、中村智樹、米山聡嗣、木下法之、足立芳彦、阪本健三、松下記念病院でともに循環器診療を楽しんだ高橋 徹、川崎信吾、神谷匡昭、万井弘基、肌勢光芳、坂谷知彦、宮井信幸、谷口琢也、三木茂行、浅田聡、山野倫代、赤壁佳樹、階元 聡、張本邦泰、酒井千恵子、本田早潔子、松木あゆみ、川俣博史、車古大樹の諸先生に感謝したい。さらに、常に読影に最適な心筋イメージングを作成していただいた松下記念病院RI検査室の放射線技師、鹿園貴士、廣谷有立、高田春彦、中井恵莉、出口紘平の諸兄に感謝する。最後に本書の出版にあたり、終始多大なるご協力をいただいた株式会社朝陽堂会長高橋東作氏(幼稚園から高校までの同級生)に謝意を表したい。
あとがき
最後まで見ていただいたことに感謝する。
一枚でも二枚でもinterestingと感じていただく画像があったなら幸いである。
書き終えると、冠攣縮、肥大型心筋症、完全左脚ブロック、PESP、心房がよく登場し、通常の心臓核医学の成書とはかけ離れる内容であることを再認識した。心臓核医学の分野もデータ・診断の標準化がすすんでいると耳にする。標準化は重要なことであるが、心臓核医学を斜めから見て楽しむことも忘れないでいただきたい。
本書は京都府立医大旧第二内科→循環器内科の心臓核医学部門の歴史を物語る一冊としての画像集になったとも言える。心臓核医学は循環器診療の一つの検査法にすぎないが、その一枚の画像を大切にする心を持ち続けることが、診療の質を高めるだけでなく、新たな発見を世界に発信することにつながると信じている。医者として、循環器内科医として、40年以上の長きにわたり心臓核医学に従事できたことを幸せに思っている。
最後まで見ていただいたことに感謝する。
一枚でも二枚でもinterestingと感じていただく画像があったなら幸いである。
書き終えると、冠攣縮、肥大型心筋症、完全左脚ブロック、PESP、心房がよく登場し、通常の心臓核医学の成書とはかけ離れる内容であることを再認識した。心臓核医学の分野もデータ・診断の標準化がすすんでいると耳にする。標準化は重要なことであるが、心臓核医学を斜めから見て楽しむことも忘れないでいただきたい。
本書は京都府立医大旧第二内科→循環器内科の心臓核医学部門の歴史を物語る一冊としての画像集になったとも言える。心臓核医学は循環器診療の一つの検査法にすぎないが、その一枚の画像を大切にする心を持ち続けることが、診療の質を高めるだけでなく、新たな発見を世界に発信することにつながると信じている。医者として、循環器内科医として、40年以上の長きにわたり心臓核医学に従事できたことを幸せに思っている。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 杉原)
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