刺激伝導系ペーシング(CSP: conduction system pacing)
- 刺激伝導系(ヒス束,右脚,左脚本幹〜枝)を捕捉するペーシング法の総称
右室心尖部ペーシング(RVP: right ventricular pacing)
- 非同期的収縮からペーシング誘発性心筋症(PICM: pacing induced cardiomyopathy)が12~20%に生じてイベントが増加
ヒス束ペーシング(HBP: His bundle pacing)
- 最も生理的なペーシング法であるが,リード留置が可能な領域が狭くかつ伝導途絶部位の遠位側を捕捉する必要があり一般的に手技難易度は高い
左脚領域ペーシング(LBBAP: left bundle branch area pacing)
- リード留置の標的となる領域が広く,心室波高やペーシング閾値がHBPより優れ手技成功率が90~98%前後と高い
😑 独り言
- 右室心尖部ペーシング(RVP)でペーシング誘発性心筋症(PICM)を生じた場合には心臓再同期療法(CRT: cardiac resynchronization therapy)へのアップグレードが推奨されます.ただしCRTは施設制限があるため(新規届出なら心臓血管外科で開心術やバイパス術15例),自施設で行えない場合の敷居は高くなります.
- PVPが実施できる施設では,左脚領域ペーシング(LBBAP)も可能です.上記ガイドラインにも「正常心機能症例において,心室ペーシング率が20%を超える,もしくは将来心室ペーシング率が増加すると予測される病態では,ペーシング誘発性心筋症を回避する目的でCSPを考慮してもよいと考えられる」と記載されています.
- CSPの植込みには先端のヘリックス電極が格納されていない特徴的な構造を有する細径(4.1 Fr)のルーメンレスリード(SelectSecure™リード)を用いることが一般的です.厳密には現時点ではオフラベルの使用になるようですが,この問題も1-2ヵ月以内に解決されると聞いています(2024年5月末時点).
(投稿者 川崎)
0 件のコメント:
コメントを投稿