無集積
BMIPP心筋イメージングのplanar像(上)と別症例のTl/BMIPP同時投与によるplanar像とSPECT像(中)、および後者に施行したFDG-PET像(下)
BMIPP心筋イメージングのplanar像(上)と別症例のTl/BMIPP同時投与によるplanar像とSPECT像(中)、および後者に施行したFDG-PET像(下)
💚 解説
- いずれもBMIPPは心筋に無集積である。
- 上段の例は拡張型心筋症と診断されている。
- 中段の例は下壁梗塞例であり、Tlは下壁が欠損である。
- BMIPPはSPECTでは心プール像が見られる。
- 本症例に施行したFDG-PET(下図)では心筋へのFDGの集積が亢進している。
- このようにBMIPP無集積例のほとんどは長鎖脂肪酸を利用できず、グルコースでエネルギーを得ていると考えられている。
- いずれもフローサイトメトリーでCD36欠損type 1であった。
- CD36は膜糖タンパク質であり、多くの機能を有している。
- その一つに長鎖脂肪酸の細胞内への輸送の促進がある。
- BMIPP無集積と心筋症の関連を推定する報告があるが、現時点では両者の関連は不明である。
- CD36を欠損する人の体内にCD36が入ると、 免疫細胞によって異物とみなされ、CD36に対する抗体が作られることがあることが判明してきた。
- 自己血や無輸血での手術例の報告がある。
👤 輸血専門家にお伺いした話
- TRALI(Transfusion Related Acute Lung Injury、輸血関連急性肺障害)の発症に関し、CD36欠損において産生される抗NaKa抗体が関与することが知られる。
- 一方、CD36欠損type 1の輸血関連合併症の発症リスクは可能性としてあるが、確かなことは不明である。
- 欠損に至る遺伝子変異も明らかにされつつあるが、CD36欠損とされるものが抗NaKa抗体を産生する頻度は低いようである。
- NaKa抗体は輸血副作用の発症に関与していそうだが、CD36欠損type 1がどの程度の輸血副作用発症リスクを負うかは不明であるのが現状である。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 杉原)
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