心尖部肥大型心筋症
心尖部肥大型心筋症の運動負荷Tl心筋SPECT(左)およびMIBGの初期像、後期像、Bull's eye表示(右)
心尖部肥大型心筋症の運動負荷Tl心筋SPECT(左)およびMIBGの初期像、後期像、Bull's eye表示(右)
💚 解説
- Tlでは肥大している心尖部に虚血が認められる。
- MIBGでは初期像で心尖部に集積低下が認められ、後期像でさらにその程度が高度となり、範囲が広がっている。
- MIBGが集積低下する機序としては(1)心尖部における交感神経終末のNE取り込み障害、(2)心尖部における局所的交感神経活性増加、(3)心尖部におけるCOMT、MAOなどによるNE代謝障害、心尖部肥大による交感神経分布の相対的低下、などが考えられる。
- (1)(2)(3)がprimaryに存在するとNEが心筋側レセプターに作用しやすくなり、心尖部肥大を生じるという推論も成り立つ。
- また、心尖部の肥大と心筋構築異常が存在することにより心筋虚血が生じ、虚血により心尖部の交感神経機能異常が惹起される可能性も考えられる。
- さらに、虚血と交感神経機能異常は互いに増悪因子になっている可能性もあり、心尖部の肥大と虚血と交感神経機能異常は相互に関連していると推定される。
- その終末像として、一部の症例では肥大した心尖部心筋が線維化し、心尖部瘤を生じると推察される。
- 下図は、心尖部肥大型心筋症の心尖部肥大・虚血・交感神経機能の関係を推定した模式図である。
👤 うら話
- MIBGを用いた各種心疾患交感神経機能異常に関する論文は多数見られる。
- 局所的な異常はすべての心疾患に共通で、下壁が集積低下し、異常が高度となるほどその範囲が広くなる。
- したがって、局所の異常を論じる虚血性心疾患にMIBGを適用することは困難であることを主張していた。
- しかし、血流イメージで高集積となる心尖部のMIBGの集積低下は評価可能と考えた。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 杉原)
0 件のコメント:
コメントを投稿