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2025-10-21

大動脈二尖弁の感染性心内膜炎は予後不良

  • 対象 孤立性の感染性心内膜炎の連続患者728名
  • 内訳 計123例(16.9%)が大動脈二尖弁(BAV)
  • 予後 年齢や性別、合併症の指数で補正後に検討
  • 期間 追跡の中央値は67.2ヵ月(IQR: 19~120)
  • 生死 三尖弁(TAV)と比較しBAVで差なし(図)
  • 合併 BAVで弁周囲または神経学的合併症が増加

 

💁 同論文の考察より(3段落目のAI翻訳/引用論文は割愛)
  • 塞栓症のリスクは、疣贅の大きさ(>10 mm)および可動性と相関することが確立されている。本研究においては、BAV-IE(二尖の感染性心内膜炎)とTAV-IE(三尖の感染性心内膜炎)の間で、疣贅の長さおよび塞栓性イベントの頻度に有意差は認められなかった。しかし、主要な神経学的イベントの発生率は二尖弁患者で高く(それぞれ22% vs. 14%、p = 0.027)、主要な神経学的イベントの発生はBAVと独立して関連していた。 これまでの報告と同様に、BAV-IE患者ではTAV-IE患者よりも周弁合併症が多くみられた
  • この周弁病変に対する感受性の高さは十分には解明されておらず、我々は大動脈二尖弁に依存する異常な血流が大動脈基部に影響を及ぼしている可能性を推測している。より懸念される仮説として、感染性心内膜炎の進行過程の後期に弁周囲合併症が発生することを考慮すると、若年層であるこの集団では感染性心内膜炎が疑われず、診断および紹介が遅れる可能性があるという点が挙げられる。 さらに、膿瘍は通常、感染性心内膜炎の進行の後期に発生するため、診断前に投与された経験的抗菌薬治療が診断の遅れやBAV-IEにおける培養陰性率に関連した可能性もある。

🚑 感染性心内膜炎に関する過去の報告 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-04-21

感染性心内膜炎:末梢サインの頻度

  • 感染性心内膜炎の身体所見では心雑音と末梢サインに注目します.心雑音や音質変化は感染性心内膜炎を示唆しますが,初診の症例でその判定は困難です.心雑音を認めない症例も3~4割あります(Eur Heart J 2023;44:3948-4042).
  • 一方,末梢サインの感度は低めですが,とても高い特異度を有しています.月間心エコーで原稿依頼を受けたときに,その出現頻度を調べたのでここに記載しておきます(調査した論文は心エコー 2025;26:22-6を参照してください).

末梢サイン 出現頻度
点状出血 0.6~30%
オスラー結節 1.9~10%
ジェインウェイ病変 1.6~10%
スプリンター出血 10~26%

😊 おまけ
  • 感染性心内膜炎のDuke診断基準が2023年に更新(Duke ISCVID基準:Clin Infect Dis 2023;77:518-26)され,末梢サインは臨床診断の小基準として今回も明記されています.心雑音に関しては新規の逆流性雑音に限ると記載
  • 末梢サインは,出現や消退が病期や病勢に影響され,塞栓に由来する所見は左心系の病態に限られますが,高い特異性を有しています.鑑別診断に感染性心内膜炎が含まれる病態ではエコー前に是非,確認したい所見です


心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2018-01-22

感染性心内膜炎が疑われるときの血培回数

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007年度合同研究班報告) 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008 年改訂版) http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2008_miyatake_h.pdf より (2018年1月閲覧)

本文中(7ページより抜粋)
  • 感染性心内膜炎を疑う場合は,24時間以上にわたって,8時間ごとに連続3 回以上の血液培養を行う

感染性心内膜炎のDuke臨床的診断基準の大基準(6ページ表1)
  • 12 時間以上間隔をあけて採取した血液検体の培養が2 回以上陽性
  • 3 回の血液培養すべてあるいは4 回以上の血液培養の大半が陽性(最初と最後の採血間隔が1 時間以上)

おまけ(本文中7ページより抜粋)👶
  • 持続性の菌血症が感染性心内膜炎の特徴であるため,血液培養を行うのは発熱の時に限る必要はない
  • 静脈血と動脈血とで培養陽性率に差はないため,静脈採血で十分である
  • 抗菌薬が投与されていない例での血液培養陽性率は95%であるが,血液培養前に抗菌薬投与がなされている場合は,菌の検出率は35~40%に低下する
  • 状態の落ち着いている場合は抗菌薬を48時間以上中止して血液培養をすべきである

(投稿者 川崎)

2021-11-28

血液培養陰性心内膜炎 Blood culture negative endocarditis (BCNE)

💀 想定される病態
  1. もともと培養困難な細胞内寄生菌であるバルトネラ属やコクシエラ属(Q熱含む)など
  2. 栄養要求の高い遅育性細菌(nutritionally variant streptococci:NVS)や HACEK,真菌
  3. 血液培養採取前に抗菌薬がすでに投与されていた場合(通常なら培養陽性となるが...)
  4. 非感染性(膠原病のLibman-Sacks心内膜炎や悪性腫瘍,ベーチェット病,リウマチ性他)

👽 一言追加
  • 心エコー図で疣腫を認めなくても感染性心内膜炎の臨床診断は可能です.同様に血液培養が陰性でも心内膜が侵されている所見があれば診断できる場合があります(Duke臨床的診断基準).
  • 血液培養陰性心内膜炎が疑われる場合にはもちろん,抗菌薬によるエンピリック治療を速やかに開始します.そして病歴聴取から病原体を想定して,血清学的検査や特殊培養などを追加します.

関連投稿
  1. ㊗ 論文(多彩な末梢サインを認めた症例)
  2. 末梢サインの頻度
  3. 感染性心内膜炎における感染部位
  4. 😳 ヘェ〜

(投稿者 川崎)

2022-04-01

急性心膜炎の治療

😐 ひとり言
  • 循環器病ガイドラインシリーズ は最新の循環器疾患を網羅し,無料公開されているのでとても重宝します.しかし感染性心内膜炎を除く心膜疾患,特に急性心膜炎に関する記載は限られています.例えば心筋炎の合併症として言及されていますが,そのガイドライン自体が古くなっています(2009年版).合併症を伴わない心膜炎で治療に難渋することは稀ですが,再発例が散見されるためガイドラインがあると臨床現場は助かるのですが…
(僕が知らないだけならスイマセン 🙏)
  • 合併症を伴わない急性心膜炎の治療は対症療法が中心で,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチンへの反応は良好(引用1).治療期間に対する明確な基準は確立されていないが,1-2週間のNSAIDs投与と3ヵ月のコルヒチン継続(0.5㎎を1日2回)は妥当(引用2)
  • 急性心膜炎は10~20%で再発し(引用1),女性およびNSAIDsの初期治療無効例に再発が多い(引用3).急性心膜炎の再発時にはコルヒチンを併用したNSAIDsの再導入と長期投与が有効な治療方法(引用1)
  • 心膜炎が再発した100例の後ろ向き検討では,プレドニゾロンの高用量投与群(1.0 mg/kg/日を4週間投与後に漸減)は,低用量投与群(0.2~0.5 mg/kg/日を4週間投与後に漸減)よりも重篤な副作用の出現や心膜炎の再発,入院が高率(ハザード比 3.61)(引用3)
  • 急性心膜炎発症後の慢性期合併症には,再発に加えて収縮性心膜炎への移行が知られている.しかし原因が同定できなかった急性心膜炎例の検討では61ヵ月の経過観察中に収縮性心膜炎を発症した症例はなし(引用4)

【引用論文】
  1. N Engl J Med 2014;371:2410-6
  2. N Engl J Med 2013;369:1522-8
  3. Circulation 2008;118:667-71
  4. Am J Cardiol 2007;100:1026-8

💁 心膜炎に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2025-01-16

今週の一枚 🎯

発熱が続く症例の眼瞼結膜

👀 点状出血(Petechiae)
  • 右の眼瞼結膜に複数の点状出血を認める
  • 収縮期雑音はあるが大動脈弁位は人工弁
  • 他の末梢サイン(オスラー結節など)無
  • 経胸壁心エコーで大動脈弁周囲は不鮮明
  • 経食道心エコーで大動脈弁の疣腫を確認
  • 血液培養4ボトルから全てE. faecalis検出
  • 最終診断はもちろん感染性心内膜炎(IE)

😐 IEあれこれ
  • 感染性心内膜炎で血管塞栓に関連した無痛性の点状出血が生じることは,カナダ生まれの内科医であるSir William Osler(1849–1919)が19世紀に既に記載している(Br Med J 1885;1:522-26).
  • その出現頻度は罹患部位や病期によって異なると思われるが,0.6~30%と報告されている(月間心エコー 2025年1月号).体のあらゆる部分に出現するが,眼瞼結膜や口腔粘膜が検出しやすい.
  • 感染性心内膜炎のDuke診断基準が2023年に改定された(Clin Infect Dis 2023;77:518-26).このDuke-ISCVIDクライテリアでも末梢サインは臨床診断の小基準として明記されている.
  • ちなみに欧州で行われた感染性心内膜炎3011例の前向きコホート研究(Eur Heart J 2019;40:3222-32)では,22.3%に発熱がなく,34.9%では心雑音を欠いていたことにも注目しておきたい.

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👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2026-02-05

今週の一枚 🎯 エコー前に診断

発熱と嘔吐を訴える高齢者(大動脈弁位生体弁)


(投稿者 川崎)

2019-03-30

論文

  • 当院の循環器内科と総合診療科で経験したイメージ論文が出版されました
  • 不明熱で来院し,心雑音はなかったけれど多数の末梢サインを確認(下図)
  • 最終的にMRSAによる感染性心内膜炎と診断(僧帽弁に疣腫あるが逆流なし)
  • 筆頭著者は初期研修医の窪田先生で地方会の発表では優秀演題賞を受賞

関連投稿 💨
オスラー結節 Osler's node 出血 線状 スプリンター Splinter hemorrhage ジェインウェイ病変 Janeway lesion 網膜出血斑(ロート斑) Roth's spot
(投稿者 川崎)

2021-10-14

🎯 今週の一枚

意識レベル低下と発熱で総合診療科に入院した症例



(投稿者 川崎)

2018-05-23

感染性心内膜炎

本邦のガイドラインが10年ぶりに更新された(2003年に初版/2008年に改訂版)


👴 感染性心内膜炎の診断に心エコー図による疣贅の検出は必須ではありません(発熱+血培+身体所見で診断可能

関連投稿
  1. 末梢サイン peripheral sign
  2. 線状出血 Splinter hemorrhage
  3. 感染性心内膜炎が疑われるときの血培回数

(投稿者 川崎)

2026-02-11

感染性動脈内膜炎 IEA: infectious endoarteritis

  • 感染性大動脈炎と感染性動脈炎という共通した病態の包括
  • 院内で突然死133例の剖検で6例が感染性動脈内膜炎の所見
  • 動脈壁の破壊で瘤形成~破裂切迫なら制御困難で外科治療
  • 顕性化した時点では治療抵抗性で高い死亡率を有する疾患


- 感染性動脈内膜炎の初期から経過を追うことができた例 -

👺 発生機序(動脈は感染に対して強い抵抗性を有す)
  1. 血管栄養血管への細菌性微小塞栓(主に感染性心内膜炎が原因)
  2. 近接感染巣からの進展
  3. 遠隔一次感染巣からの血行性播種
  4. 動脈壁への外傷と直接のコンタミネーション


    (投稿者 川崎)

    2017-09-05

    Splinter hemorrhage

    爪下に出現する線状の小出血で通常は痛みを伴わない
    splinter=【発音splíntər】=裂片・~を裂く・裂ける


    1920年に感染性心内膜炎の症例で最初に報告(Horder T, et al. BMI 1920;2:301-311

    細菌性の感染性心内膜炎の19.5%に出現(Arch Intern Med 1965;115:730-735)するが,同疾患以外(強皮症,旋毛虫症,全身性エリテマトーデス,関節リウマチ,乾癬性爪,抗リン脂質症候群,外傷,爪白癬,血管炎,僧帽弁狭窄症,髄膜炎菌感染症など)の様々な病態で生じる点にも注意

    おまけ 感染性心内膜炎で出現するRoth(ロート)斑やOsler結節は疫学的反応による

    (投稿者 川崎)

    2018-02-13

    感染性心内膜炎の抗菌薬予防投与

    基礎疾患を有する一部の症例では観血的処置前に抗菌薬の予防投与が必要(合同研究班ガイドライン

    予防投与を要する or 考慮すべき疾患
    • ClassⅠ 人工弁置換患者,感染性心内膜炎の既往,複雑性チアノーゼ性先天性心疾患(単心室,完全大血管転位,ファロー四徴症),体循環系と肺循環系の短絡造設術を実施した患者
    • ClassⅡa ほとんどの先天性心疾患,後天性弁膜症(大動脈弁・僧帽弁),閉塞性肥大型心筋症,弁逆流を伴う僧帽弁逸脱
    • ClassⅡb 人工ペースメーカあるいはICD植え込み患者,長期にわたる中心静脈カテーテル留置患者

    予防投与が必要でないと考えられる疾患
    • 心房中隔欠損症(二次口型)
    • 心室中隔欠損症・動脈管開存症・心房中隔欠損症の根治術後6ヵ月以上経過した残存短絡がないもの
    • 冠動脈バイパス術後
    • 逆流のない僧帽弁逸脱
    • 生理的あるいは機能的心雑音
    • 弁機能不全を伴わない川崎病の既往
    • 弁機能不全を伴わないリウマチ熱の既往
    ペースメーカー
    具体的な抗菌薬の予防投与方法

    循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007年度合同研究班報告)感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)
    http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2008_miyatake_h.pdf(2018年2月閲覧)

    注意点 👀
    • アモキシリンの投与量2.0gの根拠は必ずしも明確ではなく,本邦の臨床現場での通常投与量とは大きく異なる
    • 表下の記載にもあるようにアモキシリン500mgを提唱している報告もあり(日本化学療法学会誌 2001;49:1-9

    (投稿者 川崎)

    2021-04-15

    🎯 今週の一枚

    心疾患を患う症例が最近,爪を切っても先がすぐ黒くなると訴えた



    (投稿者 川崎)

    2017-07-12

    HACEK群 (ハシェックまたはハチェック)

    口腔内~上咽頭に常在するグラム陰性桿菌のグループで心内膜炎の原因菌(全体の1-5%)となる

    • Haemophilus属(パラインフルエンザ菌,H. aphrophilus,およびH. paraphrophilus)
    • Aggregatibacter(以前はActinobacillus) actinomycetemcomitans:
    • Cardiobacterium hominis
    • Eikenella corrodens
    • Kingella kingae

     特徴 👀 
    病原性は低いが,栄養要求性が高く発育が遅いため血液培養陰性と判断を誤ることがある
    セフトリアキソンまたはセフォタキシムを4~6 週間投与(日本循環器学会ガイドライン
    Streptococcus viridans,Streptococus bovisとともに感染性心内膜炎に典型的な病原微生物
    HACEK群による感染性心内膜炎は他の微生物と比較して心不全や死亡に至る頻度は少ない

    (投稿者 川崎)

    2026-08-28

    Mural endocarditis 壁在性心内膜炎

    • 感染性心内膜炎 (IE)のうち、疣腫が弁ではなく心腔壁に形成される稀な病型
    • スペインのIE前向きにレジストリでは3676件中27件(0.7%)がmural IE (MIE)
    • MIEは若年(中央値59歳)、移植、血液透析、カテーテル由来、カンジダと関連
    • 病変部位は右心房が最多51.9%(ただし過去の文献では左心室が最多で47.2%)
    • 最多は黄色ブドウ球菌で(50%)、全身合併症は多かったが、死亡率は同程度

    - 壁在性心内膜炎を呈した52歳男性 -
    発熱と倦怠感を主訴に来院。全収縮期雑音があり、経胸壁心エコー検査で僧帽弁逸脱と左心房後壁への逆流ジェットが認められた。いずれの弁にも明らかな疣腫は認められなかった。血液培養検査ではStreptococcus mitis/oralisが陽性であった。経食道心エコー検査では、僧帽弁逆流ジェットに曝される左心房後壁のみに疣腫が認められた。


    (投稿者 川崎)

    2026-03-17

    日本内科学会 第251回近畿地方会より

    😀 個人的に気になった報告

    演題4 分節性動脈中膜融解症による腹腔内出血をきたした1例
    • 動脈瘤からの出血を疑い血管造影検査を行ったところ,中結腸動脈瘤のほか血管の数珠状の不正な拡張・狭小化があり,分節性動脈中膜融解症(Segmental arterial mediolysis: SAM)による動脈瘤破裂と診断された.中結腸動脈瘤のコイル塞栓を行い,入院7日後に退院となった.SAMは血管の攣縮や高血圧,動脈硬化,喫煙などが関与するとされる.外傷のない腹腔内出血を認めた際にはSAMを鑑別に挙げ,造影CTによる血管性病変の検索を考慮する必要がある.

    演題33 麻雀で徹夜をした後,翌朝大学の講義を受けていて発症したてんかん発作の1例
    • 最近日本では競技としての麻雀が普及し人気を博している.健康麻雀として高齢者の認知症予防に取り入れている所もある.国内外でテーブルゲームでのてんかん発作の報告例があり,特に囲碁,麻雀などはよく目にする.いずれも治療はゲームの中止と経過観察で改善している.本症例は競技中ではなく,その後に起こしていることがこれまでの報告例とは異なっている.

    演題51 Cap polyposisを呈するびまん性腸炎を発症したIgG4関連消化管病変の1例
    • X-3年より1日3-4回の水様性下痢を自覚していた. 下部消化管内視鏡検査で横行結腸から直腸にびまん性に血管透見の低下と白色調の付着物を伴う小隆起性病変を認め, Cap Polyposis (CP) と診断した. 【参考】CPは比較的まれな大腸の炎症性疾患であり,病変の表面が線維性膿性滲出物をともなう肉芽組織で帽子(cap)のように覆われていることを特徴とする.CP発症の原因は不明で,幅広い年齢層で発症し,女性に多いとされる.病変は直腸~S状結腸に存在することが多い.症状として下痢,血便,下腹部痛などがあり,ときに低蛋白血症を呈することもあるが,CRPなどの炎症所見は正常範囲であることが多い.

    演題166 オピオイド投与中のせん妄に対してオピオイドスイッチングにて改善を認めた1例
    • 放射線治療やNSAIDs,アセトアミノフェンを開始するもコントロール不良であり,X+13日にモルヒネ投与を開始した.疼痛は改善しX+24日に退院したが,その後疼痛が悪化しADLが低下したため,X+38日に再入院した.モルヒネを増量するも改善乏しく,縮瞳やせん妄を認めたため,X+56日にオキシコドンへ変更した.【参考】オピオイドスイッチング(旧称:オピオイドローテーション)は,がん疼痛治療などで現在使用中の医療用麻薬(オピオイド)から別のオピオイドへ変更すること.

    演題195 繰り返す身体診察が診断につながった感染性心内膜炎の1例
    • 入院翌日に血液培養からStaphylococcus属が検出された.本症例では初回の身体診察で末梢徴候を認めず,数時間後の再診察で新たに眼瞼点状出血を認めたことが診断の契機となった.感染性心内膜炎は発熱等の非特異的な症状のみでの発症が多く早期診断が難しい疾患であるが,末梢徴候等の身体所見が診断の鍵となりうる.過去の報告では点状出血の出現時期は発熱から数日以内といった表現に留まる.本症例では発熱から16~20時間後に点状出血が出現しており,発症当日から繰り返し末梢徴候を確認する有用性が示唆された.

    💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

    (投稿者 川崎)

    2018-05-31

    末梢サインの頻度

    各種末梢サインは感染性心内膜炎のDuke臨床的診断基準で小基準に含まれます
    心エコ-図で疣贅を認めなくても発熱(38℃以上)+血培+末梢サインで診断可能

    名称 特徴 頻度*
    点状出血斑
    無痛性(血管塞栓)
    30%
    オスラー結節 Osler's node
    有痛性 (免疫反応)
    3~10%
    爪下(そうか)出血斑 Splinter hemorrhage
    無痛性(血管塞栓)
    10%
    ジェインウェイ病変 Janeway lesion
    無痛性(血管塞栓)
    5~10%
    網膜出血斑(ロート斑) Roth's spot
    免疫学的現象
    2~10%
    *感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)より (2018年5月閲覧)

    (投稿者 川崎)

    2021-07-29

    🎯 今週の一枚

    発熱が続く症例の左示指



    (投稿者 川崎)

    2017-05-02

    連鎖球菌 Streptococcus

    1.α溶血性(不完全溶血)
    • 肺炎球菌S. pneumoniae or Pneumococcus)⇒ 肺炎,急性中耳炎,敗血症(←壁貫通能力が高いため)
    • 緑色連鎖球菌(S. viridans)⇒口腔内に常在する弱毒菌で感染性心内膜炎を引き起こすことがある

    2.β溶血性(完全溶血) ← 比較的急性発症(胸膜炎による突然の胸痛など)
    • A群β溶血性レンサ球菌 ⇒ 咽頭扁桃炎,猩紅熱,溶連菌感染後急性糸球体腎炎,リウマチ熱,壊死性筋膜炎など(溶連菌といえば通常はこのA群βをさす)
    • B群β溶血性レンサ球菌 ⇒ 膣の常在菌であるため経腟分娩による新生児の細菌性髄膜炎や敗血症

    3.γ溶血(非溶血) 
    • 口腔内の常在菌で臨床上の重要性には乏しい

    (投稿者 川崎)