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2022-04-01

急性心膜炎の治療

😐 ひとり言
  • 循環器病ガイドラインシリーズ は最新の循環器疾患を網羅し,無料公開されているのでとても重宝します.しかし感染性心内膜炎を除く心膜疾患,特に急性心膜炎に関する記載は限られています.例えば心筋炎の合併症として言及されていますが,そのガイドライン自体が古くなっています(2009年版).合併症を伴わない心膜炎で治療に難渋することは稀ですが,再発例が散見されるためガイドラインがあると臨床現場は助かるのですが…
(僕が知らないだけならスイマセン 🙏)
  • 合併症を伴わない急性心膜炎の治療は対症療法が中心で,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチンへの反応は良好(引用1).治療期間に対する明確な基準は確立されていないが,1-2週間のNSAIDs投与と3ヵ月のコルヒチン継続(0.5㎎を1日2回)は妥当(引用2)
  • 急性心膜炎は10~20%で再発し(引用1),女性およびNSAIDsの初期治療無効例に再発が多い(引用3).急性心膜炎の再発時にはコルヒチンを併用したNSAIDsの再導入と長期投与が有効な治療方法(引用1)
  • 心膜炎が再発した100例の後ろ向き検討では,プレドニゾロンの高用量投与群(1.0 mg/kg/日を4週間投与後に漸減)は,低用量投与群(0.2~0.5 mg/kg/日を4週間投与後に漸減)よりも重篤な副作用の出現や心膜炎の再発,入院が高率(ハザード比 3.61)(引用3)
  • 急性心膜炎発症後の慢性期合併症には,再発に加えて収縮性心膜炎への移行が知られている.しかし原因が同定できなかった急性心膜炎例の検討では61ヵ月の経過観察中に収縮性心膜炎を発症した症例はなし(引用4)

【引用論文】
  1. N Engl J Med 2014;371:2410-6
  2. N Engl J Med 2013;369:1522-8
  3. Circulation 2008;118:667-71
  4. Am J Cardiol 2007;100:1026-8

💁 心膜炎に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2018-01-25

身体所見 収縮性心内膜炎 vs 心タンポナーデ

収縮性心膜炎
  • 心音心膜ノック音=拡張早期の過剰心音(高調音を広範囲に聴取)
  • 頸静脈 ➜ W型あるいはM型=深いy谷(心内圧dip and plateauのdipに相当)
  • 呼吸変化 ➜ Kussmaul徴候=吸気時に頸動脈の怒張(通常は吸気時に減弱する)

心タンポナーデ
  • 心音 ➜ 特記所見なし(減弱あるいは心膜炎初期なら心膜摩擦音はありえるが・・・)
  • 頸静脈 ➜ y谷の消失(心周期を通じて持続的な圧迫を受けるため)=V sign
  • 呼吸変化 ➜ 奇脈=吸気時の収縮期血圧が10mmHg以上低下(通常は3-9mmHgの低下)

Kussmaul徴候は心不全や肺塞栓でも出現することあり
※奇脈は肺塞栓,出血性ショック,COPD,緊張性気胸でも出現する
※心膜液かつ>12mmHg以上の奇脈なら心タンポナーデの陽性尤度比5.9
収縮性心膜炎で奇脈は稀,同様に心タンポナーデKussmaul徴候は稀

🔮 収縮性心膜炎は心エコー図でも気づきにくいから身体所見で疑うことが重要 🔮

参考:白石裕一先生の心タンポナーデ.心エコー 2018;19:70-76

(投稿者 川崎)

2022-02-08

🏆 論文

  • 当院の初期研修医である中西先生が循環器内科で経験した症例が出版されました
  • コロナワクチンを2回接種後に収縮性心膜炎による右心不全を発症した症例です
  • 座位の頸静脈にフリードライヒ徴候やクスマウル徴候はなく心膜ノック音もなし
  • しかし臥位頸静脈に上記二徴候あり(同様に臥位のみの自験例・座位の典型例
  • 心エコー図で septal bounce(下図)があり,最終的に両心の同時圧測定で確定


😀 臨床現場
  • コロナワクチンに関連した急性の心膜炎や心筋炎の症例は散見されます.しかし収縮性心膜炎は聞いたことがありませんでした.心カテをした金曜の夕方,主治医の先生が類似報告がないことを教えてくれました.
  • 世界初の症例報告になるかも…と気が引き締まりました.続く土日で論文を作成して,感染症の国際誌に投稿しました.相手も慎重になったのか初回査読に2ヵ月半かかりましたが,その後は出版まで数日でした.
  • 収縮性心膜炎がワクチンを接種後そんな早期に生じるのか? 収縮性心膜炎とワクチンとの関連をどう証明するのか? など疑問も湧くと思います(僕もそうでした 😞).その辺はDiscussionを是非ご覧ください.

👿「論文」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2017-11-22

心膜癒着療法

原発性肺癌に合併した癌性心膜炎における心膜癒着療法の有用性(肺癌.2009;49:994-998

対象 原発性肺癌908例中,癌性心膜炎を合併した27例(心膜開窓術を行った1例は除外済)
方法 心嚢穿刺のみ19例 vs 心膜穿刺後に心膜癒着療法を行った8例の予後を後ろ向きに検討
加入
  • 心嚢液の排液後に癒着薬剤を投与し2時間クランプして開放・排液後にカテーテル抜去
  • 使用した癒着薬剤はBleomycin 6例,OK432+Mitomycin C 1例,OK432 1例であった
結果
  • 心膜癒着療法群8例で癌性心膜炎診断後の生存期間が良好(3ヵ月 vs 1.2ヵ月,P=0.04) ➜ 下図左
  • 心タンポナーデ合併11症例でも癒着群の生存期間が良好(4.6ヵ月 vs 1.0ヵ月,P=0.015) ➜ 下図右

注意
  • 前向きの検討ではないため治療法の選択にバイアスがありえる
  • 他の治療法として心膜開窓術との比較検討が行われていない

(投稿者 川崎)

2022-04-26

収縮性心膜炎の重症度判定

腹部膨満感を訴える大動脈弁置換術後の症例


👄 解説
  • 本例は座位で自然呼吸時と深吸気負荷時のいずれにも頸静脈拍動なし
  • しかし臥位では外頸静脈の拍動を視認可能(内頸静脈はやはり不明瞭)
  • 急峻y下行(フリードライヒ徴候)と深吸気時怒張(クスマウル徴候)
  • 本例は最終的に収縮性心内膜炎と診断されたが利尿薬のみで症状改善

👅 独り言
  • 身体所見と心エコー図は良きライバルです.前者は””の評価に優れ,後者は””の描出が得意です.よって「フィジカルと心エコー図が手を組めば鬼に金棒
  • 日々の臨床では基礎疾患の診断だけでなく,その重症度まで判定する必要があります.大動脈弁狭窄症ではやはり心エコー図に分がありそうです(過去の投稿
  • しかし心不全の診断と重症度判定ではフィジカルが勝っています.収縮性心膜炎においてはフィジカルの圧勝と思います 😊 自験例:重症,中等症=本例,軽症
個人的に感じている収縮性心膜炎のフィジカル重症度

座 位 臥 位
フリードライヒ徴候 クスマウル徴候 フリードライヒ徴候 クスマウル徴候
重症 ⭕️ ⭕️ - -
中等症 ✖️ ✖️ ⭕️ ⭕️
軽症 ✖️ ✖️ 呼気時 ✖️
吸気時 ⭕️
⭕️

👿「収縮性心膜炎」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2025-04-21

感染性心内膜炎:末梢サインの頻度

  • 感染性心内膜炎の身体所見では心雑音と末梢サインに注目します.心雑音や音質変化は感染性心内膜炎を示唆しますが,初診の症例でその判定は困難です.心雑音を認めない症例も3~4割あります(Eur Heart J 2023;44:3948-4042).
  • 一方,末梢サインの感度は低めですが,とても高い特異度を有しています.月間心エコーで原稿依頼を受けたときに,その出現頻度を調べたのでここに記載しておきます(調査した論文は心エコー 2025;26:22-6を参照してください).

末梢サイン 出現頻度
点状出血 0.6~30%
オスラー結節 1.9~10%
ジェインウェイ病変 1.6~10%
スプリンター出血 10~26%

😊 おまけ
  • 感染性心内膜炎のDuke診断基準が2023年に更新(Duke ISCVID基準:Clin Infect Dis 2023;77:518-26)され,末梢サインは臨床診断の小基準として今回も明記されています.心雑音に関しては新規の逆流性雑音に限ると記載
  • 末梢サインは,出現や消退が病期や病勢に影響され,塞栓に由来する所見は左心系の病態に限られますが,高い特異性を有しています.鑑別診断に感染性心内膜炎が含まれる病態ではエコー前に是非,確認したい所見です


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(投稿者 川崎)

2021-01-18

心エコー図に勝つ!

大動脈弁置換術後の症例(慢性期)

👹 解説
  • 臥位では内頸静脈や外頸静脈は視認できない(手ブレですいません 🙇)
  • 臥位では外頸静脈を認識 ➜ 上縁は頸部の中央で中心静脈圧の上昇なし
  • よく見ると外頸静脈の急峻な陥凹 ➜ Ⅱ音後でy谷(フリードライヒ徴候
  • 深吸気で外頸静脈が怒張 ➜ クスマウル徴候陽性 ➜ 収縮性心膜炎と診断

臨床現場 💨
  • 心エコー図をオーダーしたけど「収縮性心膜炎を示唆する所見はありません」という結果でした.でも患者さんによく話を聞くと,「無理した時にはお腹が張る感じがします」と言われた.BNP値の上昇もないけど,初期の収縮性心膜炎が疑われるため慎重にフォロー中です.

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🉐 収縮性心膜炎に関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2022-07-21

🎯 今週の一枚

非心臓手術の術前評価で循環器内科を受診した症例

🐔 解説
  • 座位で内頸静脈と(僅かに)外頸静脈の拍動を視認 ➜ 中心静脈圧の上昇
  • 吸気で外頸静脈が怒張している(動画中の矢印)➜ クスマウル徴候陽性
  • 内頸静脈は吸気で拍動が明瞭化(動画の✳︎) ➜ (広義のクスマウル徴候)
  • 拍動は二峰性陥凹でx下行よりy下行が大かつ急峻(フリードライヒ徴候)
  • 本例は他院で収縮性心膜炎と診断され経過観察されている症例であった
  • 心不全は概ね代償されているため当院で予定の非心臓手術は可能と判断

🐓 独り言
  • 急峻y下行(フリードライヒ徴候)と深吸気時怒張(クスマウル徴候)の組み合わせは収縮性心膜炎を疑うきっかけになります(典型例).本例では通常呼吸時の外頸静脈で(よくみると)y谷が急峻であることから”ピン”ときました.
  • 心エコー図で収縮性心膜炎に関する所見をルーチンに評価することはないと思います.よって身体所見で収縮性心膜炎を疑い,そのことをエコー検者に伝えることが重要です(フィジカルと心エコー図が手を組めば鬼に金棒以前の投稿

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

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(投稿者 川崎)

2020-06-01

📣 心音クイズ:前日からの息切れで来院した症例






(投稿者 川崎)

2021-11-28

血液培養陰性心内膜炎 Blood culture negative endocarditis (BCNE)

💀 想定される病態
  1. もともと培養困難な細胞内寄生菌であるバルトネラ属やコクシエラ属(Q熱含む)など
  2. 栄養要求の高い遅育性細菌(nutritionally variant streptococci:NVS)や HACEK,真菌
  3. 血液培養採取前に抗菌薬がすでに投与されていた場合(通常なら培養陽性となるが...)
  4. 非感染性(膠原病のLibman-Sacks心内膜炎や悪性腫瘍,ベーチェット病,リウマチ性他)

👽 一言追加
  • 心エコー図で疣腫を認めなくても感染性心内膜炎の臨床診断は可能です.同様に血液培養が陰性でも心内膜が侵されている所見があれば診断できる場合があります(Duke臨床的診断基準).
  • 血液培養陰性心内膜炎が疑われる場合にはもちろん,抗菌薬によるエンピリック治療を速やかに開始します.そして病歴聴取から病原体を想定して,血清学的検査や特殊培養などを追加します.

関連投稿
  1. ㊗ 論文(多彩な末梢サインを認めた症例)
  2. 末梢サインの頻度
  3. 感染性心内膜炎における感染部位
  4. 😳 ヘェ〜

(投稿者 川崎)

2018-07-23

心膜減圧症候群

Pericardial decompression syndrome (PDS)=心膜液ドレナージ後の急性肺うっ血

機序 (BMJ Case Rep 2016;2016)
  • 血行動態説 ➜ 心タンポナーデの解除が肺灌流を急激に増加させるため
  • 心筋虚血説 ➜ 心膜液による圧迫で冠灌流が障害され気絶心筋を生じているため
  • 交感神経節 ➜ 心膜液貯留による交感神経の刺激が急激に消失するため

🍩 心膜液貯留でマスクされていた潜在性拡張不全が顕性化する機序もあるような
🍪 心膜穿刺が無事成功したと安心せずに数時間は慎重に経過を見たほうがよさそう

過去の関連投稿

(投稿者 川崎)

2024-05-02

今週の一枚 🎯

右心カテーテルで意外な疾患が判明した症例

👿 カテ後に身体所見を確認

👾 臨床現場
  • 本例はⅡ音の肺動脈成分が亢進していたため肺高血圧が疑われた.しかし右心カテーテル検査で肺高血圧はなかった.右室の内圧は想定外のdip and plateauを示していた.
  • その後に身体所見を見直すと収縮性心膜炎の軽症〜中等症に合致する所見(重症度分類).明瞭なⅡ音の肺動脈成分は,肺動脈弁領域に限局したノック音であったようだ.
  • いつもながら収縮性心膜炎は一筋縄ではいかない.本例は利尿薬等で安定したため心膜剥離は未施行.ちなみに本例には心尖の収縮期陥凹(ブロードベント徴候)はなし.

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(投稿者 川崎)

2021-03-01

マズローの金槌 Maslow's hammer

  • 米国の心理学者であるマズロー (Abraham Harold Maslow: 1908–1970)によって提唱された観念
  • 認知バイアスの一つで,law of the hammerやMaslow's hammer, golden hammerとも呼ばれる
  • If all you have is a hammer, everything looks like a nail. ハンマーを持てばすべてが釘に見える
  • 臨床現場では特定の知識や技術を持っていると診断や治療が偏ってしまうことがあることを意味

実例 😶 専攻医から相談を受けた息切れ症例の心尖拍動(左頭で白タオルは乳房をカバー)


😮 解説
  • 心尖部が周期的に陥凹している(systolic retraction of the apex)➜ 収縮性心膜炎の身体所見として有名!
  • 「収縮性心膜炎が強く疑われる」とアドバイスして心エコー図を指示 ➜ しかし同病態を示唆する所見なし
  • 身体所見を見直すと収縮性心膜炎を示唆する他の所見はなかった(例:心膜ノック音フリードライヒ徴候
  • 最終的には拡張不全による慢性左心不全と診断(相談に来てくれた専攻医の先生...混乱させてゴメンね 🙇)

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(投稿者 川崎)

2025-01-16

今週の一枚 🎯

発熱が続く症例の眼瞼結膜

👀 点状出血(Petechiae)
  • 右の眼瞼結膜に複数の点状出血を認める
  • 収縮期雑音はあるが大動脈弁位は人工弁
  • 他の末梢サイン(オスラー結節など)無
  • 経胸壁心エコーで大動脈弁周囲は不鮮明
  • 経食道心エコーで大動脈弁の疣腫を確認
  • 血液培養4ボトルから全てE. faecalis検出
  • 最終診断はもちろん感染性心内膜炎(IE)

😐 IEあれこれ
  • 感染性心内膜炎で血管塞栓に関連した無痛性の点状出血が生じることは,カナダ生まれの内科医であるSir William Osler(1849–1919)が19世紀に既に記載している(Br Med J 1885;1:522-26).
  • その出現頻度は罹患部位や病期によって異なると思われるが,0.6~30%と報告されている(月間心エコー 2025年1月号).体のあらゆる部分に出現するが,眼瞼結膜や口腔粘膜が検出しやすい.
  • 感染性心内膜炎のDuke診断基準が2023年に改定された(Clin Infect Dis 2023;77:518-26).このDuke-ISCVIDクライテリアでも末梢サインは臨床診断の小基準として明記されている.
  • ちなみに欧州で行われた感染性心内膜炎3011例の前向きコホート研究(Eur Heart J 2019;40:3222-32)では,22.3%に発熱がなく,34.9%では心雑音を欠いていたことにも注目しておきたい.

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(投稿者 川崎)

2019-06-19

心膜ノック音

  • 収縮性心膜炎で認め,硬化・緊縮した心膜に由来
  • 拡張早期に出現する中調音で,広範囲で聴取可能
  • 鑑別はⅡ音分裂,開放音,Ⅲ音,腫瘍プロップ音



(Ⅱ音後の赤矢印が心膜ノック音/生体弁置換術後であり駆出性収縮期雑音もある)


👿 収縮性心膜炎は心エコー図での診断は難しいから,心音や身体所見(フリードライヒ徴候+クスマール徴候)が重要

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🔊 関連投稿

(投稿者 川崎)

2018-01-22

感染性心内膜炎が疑われるときの血培回数

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007年度合同研究班報告) 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008 年改訂版) http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2008_miyatake_h.pdf より (2018年1月閲覧)

本文中(7ページより抜粋)
  • 感染性心内膜炎を疑う場合は,24時間以上にわたって,8時間ごとに連続3 回以上の血液培養を行う

感染性心内膜炎のDuke臨床的診断基準の大基準(6ページ表1)
  • 12 時間以上間隔をあけて採取した血液検体の培養が2 回以上陽性
  • 3 回の血液培養すべてあるいは4 回以上の血液培養の大半が陽性(最初と最後の採血間隔が1 時間以上)

おまけ(本文中7ページより抜粋)👶
  • 持続性の菌血症が感染性心内膜炎の特徴であるため,血液培養を行うのは発熱の時に限る必要はない
  • 静脈血と動脈血とで培養陽性率に差はないため,静脈採血で十分である
  • 抗菌薬が投与されていない例での血液培養陽性率は95%であるが,血液培養前に抗菌薬投与がなされている場合は,菌の検出率は35~40%に低下する
  • 状態の落ち着いている場合は抗菌薬を48時間以上中止して血液培養をすべきである

(投稿者 川崎)

2016-11-10

急性心膜炎(松下心電塾より)

心電図でaVR誘導を除く多くの誘導でST部分が上昇する
PQ部分の低下も急性心膜炎の特徴の一つ(下図の矢印)


※急性心膜炎とは異なり,急性心筋炎には特異的な心電図変化はない

(投稿者 川崎)

2023-11-06

👴 歴史クイズ

CC BY 4.0



(投稿者 川崎)

2022-12-12

第134回日本循環器学会近畿地方会より

😃 個人的に気になった報告
 
A-8 MINOCA による心室中隔穿孔だったことが剖検で確認できた一例
  • MINOCA=Myocardial Infarction With Nonobstructive Coronary Arteries.剖検では,穿孔部位を支配する心外膜冠動脈に閉塞は認めず,微小血管へのヘモジデリン沈着と周囲の繊維化を認めたことから,微小血管閉塞による心筋梗塞の確定診断に至った.

G-36 特発性左房解離の一例
  • 経食道心エコー図にて P2 flail に伴う重 症 MR,さらに左心耳入口部下縁に接して中隔側左 房壁に幅約2cmの膜状構造物を認めた。同構造物と 左房壁との間隙は無エコー域で心室心周期に一致す る可動性を認め左房解離と診断した。

H-28 診断に苦慮した Valsalva 洞破裂の一例
  • Valsalva 洞破裂は通常連続性雑音を呈するとされている。今回,頻脈もあったため汎収縮期雑音と誤認したが心音図では拡張期雑音であり,その後の精査で Valsalva 洞破裂と 診断した。

H-35 急性心筋梗塞治療後のフォローアップ中に Dressler 症候群を疑う心膜炎を発症した一例
  • 経胸壁心臓超音波検査で心嚢水は極少量であったものの,造影 CT で造影効果を伴う心膜肥厚を認め,心筋梗塞後急性心膜炎の疑いで緊急入院となった。

J-29 ペースメーカ感染を起こし局所麻酔下で経皮的リード抜去術を行いリードレスペースメーカ植込術を行った1例
  • 全身麻酔は高リスクであったものの開胸術後であり心タンポナーデのリスクは低いと判断し,局所麻酔下で経皮的リード抜去術を施行した。高齢であり菌血症にも至っていなかったため一期的にリードレスペースメーカ植え込みを施行した。


👻 当院からの発表
  • F-17 甲状腺機能亢進症の治療のみで軽快した肺高血圧症の1例(循環器内科 熊田早紀子ほか)
  • I-5 急性心筋梗塞を発症したWellens症候群の1例(循環器内科 本田早潔子ほか)
  • I-25 心雑音を契機に発見された未破裂右バルサルバ洞動脈瘤の1例(循環器内科 野口理希ほか)
  • 特別セッション3 Physical Examinationを学ぶ『聴診で分かること』(循環器内科 川﨑達也)

症例報告の3演題中2演題は英語論文として報告済み(残る1例も準備中です)

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(投稿者 川崎)

2024-07-29

収縮性心膜炎

  • パワーポイントを用いて収縮性心膜炎の身体所見を自作しました
  • 背景透明のPNG形式で印刷時にも鮮明なよう画質は300 dpiです
  • 商業目的を除き配布は自由なのでよろしければご活用ください


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(投稿者 川崎)