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2021-03-21

DEKA デカ ビタ

  • ビタミンとは生体に必要な栄養素のうち炭水化物・タンパク質・脂質以外の有機化合物
  • ビタミンは脂溶性ビタミン(D, E, K, A)と水溶性ビタミン(B群およびC)に分類できる
  • ビタミンは生体内で合成できないため食料やサプリメント,薬剤から摂取する必要あり
  • 脂溶性ビタミンは尿中へ排泄されにくいため水溶性ビタミンよりも過剰症が生じるやすい


👽 脂溶性ビタミン( DEKA デカ ビタ)の過剰症
  1. ビタミンD 食欲不振,腎不全,転移性石灰化など
  2. ビタミンE 過剰症の報告はない(ようです)
  3. ビタミンK 過剰摂取例の報告は稀(のようです)
  4. ビタミンA 頭痛や皮膚はく離,肝脾腫大,骨肥大など


👶 全くの余談ですが…
  • サントリーフーズの栄養飲料デカビタC(DEKAVITA C)のデカはでっかい(大容量210ml)を意味しているようです.含有ビタミンは主にCで,脂溶性ビタミンは含なれないので悪しからず 😅
  • デカビタCの黄色いラベルの左端にイメージキャラクター「ビタ子」がプリントされています.「ラブラブ・ビタ子」と「あらあら・ビタ子」のレアキャラも超稀に登場するようです(元ネタ

(投稿者 川崎)

2021-07-01

ワルファリンとβ-ラクタム系抗菌薬の相互作用

 相互作用の内容 

ワルファリンの作用を増強する。

抗菌薬投与中のビタミンK欠乏症は多数報告されている。特に、その構造にN-methylthiotetrazoleNMTT)基を持つ抗菌薬は投与中の出血傾向の報告が多い(CMZ,CPZ,LMOX等)。NMTT基はビタミンK依存性凝固因子合成過程でビタミンK利用障害作用を有する。


 相互作用の機序 

  • ビタミンK産生腸内細菌を抑制して、ビタミンK産生を抑制する。
  • 肝細胞のビタミンK依存性凝固因子の生成を阻害する。
  • 腸管からのビタミンK吸収を阻害する。

 併用時の注意 

血液凝固能の変動に注意し、ワルファリンを減量するなど慎重に投与すること。

低プロトロンビン血症は抗菌薬によっても増強されることを念頭に置いておく。

ビタミンK欠乏症を発症する危険因子としては、

  1. 広域スペクトルの抗菌薬(ビタミンK産生グラム陰性桿菌の抑制)
  2. 胆汁移行率の良い抗菌薬
  3. 肝・腎毒性の強い抗菌薬
  4. NMTT基を有する抗菌薬

などがあげられる。

 【参考:Warfarin適正使用情報 第3(エーザイ株式会社)

(投稿者 小森)

2020-08-26

ビタミンK欠損

維持透析中の症例の血液検査

🐜 解説
  • ワルファリンの未服用にも拘らずINRが著明に延長しPIVKA2も高値
  • ミキシング試験欠乏型 ➜ 肝不全・血友病・ビタミンK欠乏等の疑い
  • 血友病ならPT正常でAPTTのみ延長/本例に飲酒歴や肝不全徴候なし
  • 本例は最終的に吸収不全によって生じたビタミンK欠乏症と診断した

🐛 ビタミンK
  • 正常な血液凝固の維持に必要な脂溶性ビタミンの一つである
  • Kはドイツ語で凝固を意味する Koagulation に由来している
  • 食事から経口摂取され小腸で吸収された後に肝臓に到達する
  • 大腸内の細菌もビタミンK2を合成するため欠乏症は稀である
  • 欠乏の原因にはワルファリン内服,肝臓障害,吸収不全など
  • 母乳のみで育つの新生児(特に未熟児)は欠乏のリスクが高い


🉐 関連投稿(ビタミン関連)

(投稿者 川崎)

2022-12-20

マイヤーズカクテル Myers' cocktail

  • ビタミンB群,ビタミンC,カルシウム,マグネシウムの点滴
  • 命名は点滴を実施していたボルチモアの医師 John A. Myers
  • レシピは Myersの死後に医師 Alan Gaby が公開(下枠参照)
  • にんにく注射とも呼ばれ一部で5000円前後で施行されている
  • 医学的エビデンスには乏しく米国のQuackwatchに含まれる

Gaby AR. Intravenous nutrient therapy: the "Myers' cocktail". Altern Med Rev. 2002;7:389-403のAbstract(DeepL翻訳
  • 故ジョン・マイヤーズ医学博士の研究を基に、著者はビタミンとミネラルの点滴療法を幅広い臨床症状の治療に用いてきた。マグネシウム、カルシウム、ビタミンB群、ビタミンCからなる改良型「マイヤーズカクテル」は、急性喘息発作、片頭痛、疲労(慢性疲労症候群を含む)、線維筋痛症、急性筋痙攣、上気道感染、慢性副鼻腔炎、季節性アレルギー性鼻炎、心臓血管疾患、その他の疾患に有効であることがわかってきた。この論文では、静脈内栄養剤の治療的使用の根拠を示し、関連する発表された臨床研究をレビューし、著者の臨床経験を述べ、潜在的な副作用と注意事項を論じている。

(投稿者 川崎)

2021-08-23

悪性貧血 Pernicious anemia

  • 本態 壁細胞由来の内因子の減少に基づくビタミンB12の吸収障害による貧血
  • 機序 胃壁細胞や内因子に対する自己抗体に起因した自己免疫性萎縮性胃炎
  • 疫学 本邦では1~5人/年・10万人,年齢中央値は約60歳,女性にやや多い
  • 症状 貧血症状,末梢神経障害(知覚異常など),舌乳頭萎縮(Hunter舌炎)
  • 特徴 ビタミンB12の貯蔵量は大きいので,症状が出現するまでに数年かかる
  • 鑑別 葉酸欠乏性貧血(血清葉酸値で鑑別),(特に)骨髄異形成症候群など
  • 抗体 9割に胃壁細胞への抗体が出現,抗内因子抗体の感度50%・特異度90%
  • 併存 慢性甲状腺炎,インスリン依存性糖尿病,アジソン病など自己免疫疾患
  • 治療 ビタミンB12非経口投与(週3回,筋注や静中×2ヵ月→維持は3月に1回)
  • 予後 悪性貧血患者の1~3%に胃がんあるいは胃カルチノイド腫瘍が発症する


💀 おまけ
  • 英名はpernicious anemiaです.他であまり見かけない英単語 pernicious は「有害な,悪性の,致命的な」を意味する形容詞(発音はpərníʃəs/パーニシャス).同病態による貧血はかなり以前から知られていたようですが(初報はアジソン病で有名なThomas Addisonが1849年に報告),ビタミンB12の合成が可能になるまでは予後不良であったためperniciousと命名されたようです.

💁 ビタミンに関連した過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)

2018-02-18

脚気心とTCAサイクル

TCAサイクル(tricarboxylic acid cycle)=トリカルボン酸回路
別名はクレブス回路(発見者名)やクエン酸回路(citric acid cycle)

  • 解糖や脂肪酸のβ酸化によって生じたアセチルCoAがTCAサイクルの開始点
  • アセチルCoAの酸化過程で生成されたNADHを用いてエネルギーATPを産生
  • 人間を含む真核生物ではTCAサイクルの酵素群はミトコンドリアに存在する


ビタミンB1を中心としたビタミンB群がTCAサイクルでは重要な補酵素である
よって長期ビタミンB1欠乏時に生じる脚気心の機序は以下のように説明される

👾 トリビア 👾
  • ビタミンB1は体内貯蔵量が少ないため枯渇しやすい(もちろん体内合成はできず)
  • 飲酒関連の脚気の機序はアルコール含有糖質の分解にB1が多量消費されるため

(投稿者 川崎)

2022-10-03

Rachitic Rosary くる病念珠

  • Rachitic(発音:rəkítik)くる病の/Rosary(発音:róuzəri)宗教の数珠(じゅず)
  • Ca欠乏による石灰化欠如と肋軟骨関節軟骨の過成長で,肋骨骨幹端が増大した状態
  • くる病や骨軟化症,副甲状腺機能低下症などで出現して,肋骨念珠とも呼称される


👿 頭の整理
  1. なんらかの代謝異常によって発症した骨の石灰化障害のうち,成長軟骨帯閉鎖以前に発症するもの(つまり小児)をくる病(rickets),骨端線閉鎖が完了した後の病態(つまり大人)を骨軟化症(osteomalacia)と呼んでいる.
  2. ①ビタミンD欠乏性(摂取 or 日光不足),②ビタミンD依存性(遺伝性:1型=腎臓でビタミンD活性化の酵素異常/2型=ビタミンDの受容体異常),③低リン血症性(摂取不足,腸での吸収不足,腎臓での再吸収不足,血中から骨や細胞への過剰移動)に大別
  3. 英名 rickets の語源はギリシャ語の背骨を意味する rhakhis に由来している.一方,芳名のくる病は,背中が曲がる状態を表す漢字の佝僂または痀瘻からきているらしい.洋の東西を問わず背中に由来している点は興味深い.

心臓Physical Examination広場とのマルチポストです 🎶

(投稿者 川崎)

2016-11-08

ワーファリン

抗凝固薬のワーファリンはビタミンKで中和される
よってビタミンKを特に多く含む食べ物は避ける
原則禁止すべき食べ物=納豆・クロレラ・青汁

最近,ゴーヤを多量に摂取していた症例でワーファリンの効果が減弱した症例を経験
緑黄色野菜は多かれ少なかれビタミンKを含むが,極端な食べ方をしない限り問題になることは少ない

 おまけ 
ワーファリンはアルコールで作用が増強されるため両者の間隔を6~7時間以上はあけたい
ワーファリンの内服は朝昼夕のいつでもいいが,お酒が好きな人は朝食後がおすすめ

(投稿者 川崎)

2019-11-13

PIVKA II

  • Protein induced by vitamin K absence or antagonist-II
  • 凝固因子プロトロンビンの前駆体で肝細胞癌などの時に出現
  • 肝硬変では陽性率が低く(約10%以下)癌との鑑別にも有用
  • 肝臓の腫瘍マーカーAFPとは関連しないため相補的に利用可

😎 おまけ
  • ビタミンKの欠乏時にプロトロンビンは活性のないPIVKA IIになるため,ビタミンK欠乏あるいは抗血液凝固薬ワルファリン(肝臓でビタミンK依存性凝固因子の産生を抑制)の内服中,アルコール多飲でも増加する

(投稿者 川崎)

2025-02-16

肝油かんゆ

  • 患者さん「先生,肝油を摂ってもいいですか?」
  • 担当医師「肝油? なんですか,それ?」
  • 患者さん「知らないんですか? ひょっとして大阪じゃない?」
  • 担当医師「ええ,大阪出身ではないんですが…」
  • 患者さん「大阪人ならみんな知ってますよ,肝油」

🐟 肝油
  • 肝油ドロップは、日本で最初の固形肝油乳剤として明治44年に薬学博士・河合亀太郎により創生
  • ビタミンAやDが豊富に含まれ、栄養学的に非常に優れていたことから、戦前より多くの方が利用
  • 一方肝油には独特の臭いがあり安定性にも欠けていたことから継続的に使用する事が難しかった
  • 河合亀太郎は肝油の研究を重ねて、ゼリー状のドロップの形でビタミンを安定に保つ技術を開発
  • 肝油ドロップと名付け1911年から製造販売(現在は魚由来でなくて医薬品ビタミン原料を使用)


👶 おまけ
  • 幼稚園の時に10時に小さいグミのようなお菓子を一人ひとつずつ貰っていたことを思い出しました.あれはおそらく肝油だったと思われます.
  • 投稿者の外来をいつもサポートしてくれる医師事務の方(大阪生まれの大阪育ち)に尋ねると,「昔は風邪を引いたら肝油」だったそうです.
  • 上記の河合製薬株式会社は東京都中野区ですが,日本で最も古い肝油専門メーカーはめがね印のワカサ株式会社大阪市北区)のようです.

(投稿者 川崎)

2025-12-20

ビタミンP Vitamin P

  • ハンガリーの Benthsáth A らが提唱(Nature 1937;139:326-7)
  • 本体はフラボノイドでルチンやヘスペリジン,ケルセチンなど
  • 植物を構成する主要な化合物群で6000種以上が報告されている
  • 発見はレモンで透過性(Permeability)を抑制するためPと命名
  • 野菜果物の色と味に影響(柑橘類,赤ワイン,そば,玉ねぎ他)
  • 血管強化に加え血流改善や抗酸化,脂質改善、アレルギー抑制
  • ただし欠乏症がないため現在ではビタミンと考えられていない


💫 ビタミンに関連した過去の投稿 ➜ コチラ
(投稿者 川崎)

2020-07-03

AIUEO TIPS あいうえおチップス(+α)

前回の投稿から3年半が経っているので再度アップしました 👶

👿 もちろん意識障害の鑑別疾患です
  1. Aalcoholism (急性アルコール中毒),Aortic dissection(急性大動脈解離)
  2. I  insulin (インスリン:低血糖あるいは高血糖)
  3. U  uremia (尿毒症)
  4. E  endocrine(内分泌異常),encephalopathy(脳症),electrolytes(電解質異常)
  5. O   oxygen(低酸素),opiate/overdose(薬物中毒)
  6. T  trauma(頭部外傷),temperature(低体温あるいは高体温
  7. I  infection 感染症
  8. P  psychiatoric(精神疾患),porphiria(ポルフィリア
  9. S  stroke/SAH(脳卒中あるいはくも膜下出血),shock(ショック),seizure(痙攣),supplement(ビタミン欠乏:特にビタミンB1欠乏)

※意識障害の症例では問診ができないからER室では重宝します

👻 トリビア
  • オリジナルは意識障害の鑑別疾患の頭文字を英語母音字(A, E, I, O, U, 稀にY)のアルファベット順に並べたAEIOU TIPS(発音はコチラ
  • 開発者は不明ですが,初報はおそらく J Natl Med Assoc 1980;72:331-4(AEIOU TIPS: Alcohol, Epilepsy, Infection, Opium and other drugs, Uremia, Trauma, Insulin, too much or too little, Poisons, and Shockと記載)
  • AEIOUを日本語の母音のあいうえお順に並べ替えたものがAIUEO TIPS(あいうえおチップス)で,それに大動脈解離やサプリメント不足などを追加した版が+α

🉐 関連投稿(意識障害編)

(投稿者 川崎)

2016-12-25

尿中の亜硝酸塩

尿中に存在する硝酸塩が大腸菌などにより亜硝酸塩に還元されることがある
よって尿中に亜硝酸塩が存在しているときは尿路感染症が示唆される

【尿中白血球と亜硝酸塩の尿路感染症に対する診断能を518検体で検討】
 両者が陽性 ⇒ 尿中細菌培養の陽性的中率49.8%,陰性的中率95.6%
  (つまり両者が陰性なら高い確率で尿路系の感染症を否定できる)

尿中亜硝酸塩の感度が必ずしも高くない理由
  1. 一部の細菌は硝酸塩を亜硝酸塩に還元しない(腸球菌や緑膿菌など)
  2. 亜硝酸塩に還元するには時間を要する(膀胱内で約4時間)
  3. ビタミンCの過剰摂取(ビタミンCは強い還元作用を有している)
  4. 食事から硝酸塩の摂取不足(野菜不足や極端なダイエットなど)

(投稿者 川崎)

2020-06-17

マルキアファーヴァ・ビニャミ病 Marchiafava-Bignami disease: MBD

  • 病態 脳梁の対称性脱髄を主病変とする変性疾患(病理学的には脱髄壊死)
  • 疫学 アルコール多飲の中年以降に発症(2008年時点で世界でおよそ300例)
  • 機序 栄養障害+ビタミンB1や微量元素不足+ピルビン酸による血管壁障害
  • 症状 急性期は意識障害や痙攣など/慢性期は失行や失書,構音障害など
  • 診断 臨床症候とMRIによる障害部位の同定(特にDWIでの異常信号が有用)
  • 鑑別 ウェルニッケ脳症橋中心脱髄症候群浸透圧性脱髄症候群など
  • 治療 ビタミンB1の補充+対症療法(副腎皮質ステロイドの効果は不明)



🍷 おまけ
  • 初報はイタリアの病理学者・内科医・泌尿器科医のMarchiafavaと同じくイタリアの内科医・病理学者・栄養学者のBignamiです(Rivista di patologia nervosa e mentale. 1903;8:544–9).当初はイタリアの風土病と思われていたようですが,その後に世界中で見つかるようになりました.左右の脳が分離するため,右手には問題はありませんが,左手の失行(左手でその動作ができない)や左手の失書,左視野の呼称障害,失読など脳梁離断症候群が生じる点が興味深いと思います.当院で経験した症例はアルコール飲酒歴がほとんどなかったようです.

🉐 関連投稿(脳関連)

(投稿者 川崎)

2019-02-25

タウリン vs メラス

  • メラス=MELAS=ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群
  • MELAS=Mitochondrial myopathy, Encephalopathy, Lactic Acidosis and Stroke-like episodes

🎉 タウリン(タウリン散 98%「大正」)がMELASおける脳卒中発作の抑制の適応を取得(2019年2月)

タウリンの効能・効果効能書き
  1. 高ビリルビン血症(閉塞性黄疸を除く)における肝機能の改善
  2. うっ血性心不全
  3. ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作(MELAS)症候群における脳卒中様発作の抑制

👼 今回承認されたMELASに対するタウリンの投与量は体重40kg以上なら1回4gを1日3回(計12g/日).ちなみにリポビタンD(これも大正製薬)は1本中にタウリン1gを含んでいます.

👴 循環器領域ではMELASに対してはコエンザイムQ10(ノイキノン)が投与されることが多かった.心筋ミトコンドリアの電子伝達に関与するため,実際に"基礎治療施行中の軽度及び中等度のうっ血性心不全症状" に対する効能又は効果を取得している(効能書き).心臓のビタミンと考えられているが(かってはビタミンQと呼称),MELASに対する効果のエビデンスは未確立(と思う).

(投稿者 川崎)

2022-03-10

先日のなにげない会話…誰も知らず

【問題】健常人の体内に存在する鉄量は?





判定




(投稿者 川崎)

2019-08-25

低カルシウム血症性心筋症 Hypocalcemic cardiomyopathy

  • 拡張型心筋症様の左室収縮力の低下を伴う心不全(稀にショック)を発症
  • 初報はHegglin R. (Herz und Hypocalzamie. Helv Med Acta. 1939;5:584)
  • 子供(主にビタミンD欠損)に多いが大人(副甲状腺機能低下症など)でも有
  • 治療はカルシウムとビタミンDの投与(早期に血行動態と心収縮力が改善)



😈 呟き

英語”hypocalcemic cardiomyopathy”では多数の論文を検索できるのですが,日本語”低カルシウム血症性心筋症”ではわずかに1論文のみでした(徳島赤十字病院医学雑誌 2081;23:55-60).

ちなみに「循環器学用語集」(第3版)に”低カルシウム血症性心筋症”は収録されていませんが,”低カルシウム血症性心筋炎 hypocalcemia-induced myocarditis”を見つけました.しかしGoogle Scholarでは”低カルシウム血症性心筋炎”あるいは”hypocalcemia-induced myocarditis”は1件もヒットせず.

(投稿者 川崎)

2017-03-06

ウェルニッケ症候群 コルサコフ症候群

ウェルニッケ脳症ビタミンB1欠乏によって引き起こされる脳症のこと
命名はドイツの神経科学者かつ外科医のカール・ウェルニッケから来ている
症状は部分的眼球運動障害,運動失調,意識・記憶障害,精神症状など

コルサコフ症候群とはアルコール依存症に関連した健忘状態
名称はロシアの精神科医セルゲイ・コルサコフに由来している

コルサコフ症候群の別名は健忘症候群.後にビタミンB1欠乏に起因することが判明したため,「ウェルニッケ・コルサコフ症候群」とまとめられることがある.急性期をウェルニッケ脳症,その後遺症で慢性期の状態をコルサコフ症候群と称する考え方もある.

おまけ
ウェルニッケ野は大脳の上側頭回の後部に位置する知覚性言語中枢(言語を理解する働き)で,ウェルニッケ脳症の損傷部位(乳頭体や中脳水道周囲,視床など)とは異なる.ただしいずれも前述の外科医ウェルニッケに由来.

(投稿者 川崎)

2021-06-21

透析 vs ワルファリン

1.日本循環器学会らのガイドライン2020年改訂版 不整脈薬物治療
📗 維持透析導入後の場合(ページ52〜53)
  • 維持透析導入後の患者においても安易なワルファリン治療は行わないことが望ましい.透析患者にワルファリンを投与することは,出血を増やすのみならず,塞栓症をも増やす可能性が指摘されている.そのため,日本透析医学会では,維持透析導入後の患者に対するワルファリン投与を原則禁忌としている(ここでの引用はCirc J 2011;75:1539-47).本ガイドラインにおいても,維持透析導入後の患者に対するワルファリン投与は原則禁忌として扱う.ただし,心房細動アブレーション周術期にはワルファリンの使用は一般的であり,また機械弁症例や脳梗塞二次予防など,症例によってはワルファリンを使用せざるを得ない場合もある.かならずしも維持透析症例へのワルファリン投与を妨げるものではない.
📘 非弁膜症性心房細動の腎機能に応じた抗凝固療法(ページ53の表36)
  • ダビガトラン ➜ CCr<15なら禁忌,維持透析導入後は禁忌
  • リバーロキサバン ➜ CCr< 15なら禁忌,維持透析導入後は禁忌
  • アピキサバン ➜ CCr<15なら禁忌,維持透析導入後は禁忌
  • エドキサバン ➜ CCr<15なら禁忌,維持透析導入後は禁忌
  • ワルファリン ➜ CCr<15でも投与可能,維持透析導入後は原則禁忌

2.ワルファリンカリウム錠の医薬品情報2019年1月改訂 第20版
📙 禁忌項目に以下の記載(ただし透析という用語の記載はない)
  •  (3) 重篤な肝障害・腎障害のある患者[ビタミンK依存性凝固因子は肝臓で産生されるので、これが抑制され出血することがある。また、本剤の代謝・排泄の遅延で出血することがある。]

3.慢性腎臓病におけるワルファリンなどの使い方日内会誌 2018;107:856-64
📚 血液透析患者の心房細動合併例におけるワルファリン投与
  • まだ結論が出ていないが,ワルファリン投与により出血のリスクが上昇する一方で,脳梗塞の発症は抑えられない懸念あり(下表)
  • 透析例についてはアピキサバンのみFDAで承認されているが,AHA/ACC/HRSガイドライン(2018年時点)や欧州不整脈学会のガイドライン(2018年時点)では全てのDOACについて推奨していない.
(上記の文献3はChest 2016;149:951-9

😐 少し先ですが...
  • 現在,CHA2DS2-VAScスコア2点以上の心房細動を合併した血液透析患者を対象にしたビタミンK拮抗薬の効果を検討するオープンラベル多施設無作為化比較試験のAVKDIAL試験NCT02886962)が進行中.2017年7月に開始され2023年に試験終了の予定です.

(投稿者 川﨑)

2022-09-13

ペラグラ:”3D” or ”4D” 症候群

  • ビタミンB3(ナイアシン)の欠乏で生じる臨床所見の総称(3D)
  • ナイアシン補充により速やかに回復するが,放置すれば死(4D)

  1. Dermatitis(皮膚炎)
  2. Diarrhea(下痢)
  3. Dementia(認知症)
  4. Death(放置すれば死)

👹 おまけ
  • ペラグラ(pellagra)という不思議な語感は,イタリア語のpelle(皮膚)と agra(荒れた)に由来している
  • トウモロコシ(特にインディアンコーン)が主食の地域などで生じ,その本体は日光過敏性皮膚炎(左右対称性)


💁 ビタミンに関する過去の投稿 ➜ コチラ

(投稿者 川崎)