1.日本循環器学会らのガイドライン(2020年改訂版 不整脈薬物治療)
📗 維持透析導入後の場合(ページ52〜53)
- 維持透析導入後の患者においても安易なワルファリン治療は行わないことが望ましい.透析患者にワルファリンを投与することは,出血を増やすのみならず,塞栓症をも増やす可能性が指摘されている.そのため,日本透析医学会では,維持透析導入後の患者に対するワルファリン投与を原則禁忌としている(ここでの引用はCirc J 2011;75:1539-47).本ガイドラインにおいても,維持透析導入後の患者に対するワルファリン投与は原則禁忌として扱う.ただし,心房細動アブレーション周術期にはワルファリンの使用は一般的であり,また機械弁症例や脳梗塞二次予防など,症例によってはワルファリンを使用せざるを得ない場合もある.かならずしも維持透析症例へのワルファリン投与を妨げるものではない.
- ダビガトラン ➜ CCr<15なら禁忌,維持透析導入後は禁忌
- リバーロキサバン ➜ CCr< 15なら禁忌,維持透析導入後は禁忌
- アピキサバン ➜ CCr<15なら禁忌,維持透析導入後は禁忌
- エドキサバン ➜ CCr<15なら禁忌,維持透析導入後は禁忌
- ワルファリン ➜ CCr<15でも投与可能,維持透析導入後は原則禁忌
2.ワルファリンカリウム錠の医薬品情報(2019年1月改訂 第20版)
📙 禁忌項目に以下の記載(ただし透析という用語の記載はない)
- (3) 重篤な肝障害・腎障害のある患者[ビタミンK依存性凝固因子は肝臓で産生されるので、これが抑制され出血することがある。また、本剤の代謝・排泄の遅延で出血することがある。]
3.慢性腎臓病におけるワルファリンなどの使い方(日内会誌 2018;107:856-64)
📚 血液透析患者の心房細動合併例におけるワルファリン投与
- まだ結論が出ていないが,ワルファリン投与により出血のリスクが上昇する一方で,脳梗塞の発症は抑えられない懸念あり(下表)
- 透析例についてはアピキサバンのみFDAで承認されているが,AHA/ACC/HRSガイドライン(2018年時点)や欧州不整脈学会のガイドライン(2018年時点)では全てのDOACについて推奨していない.
(上記の文献3はChest 2016;149:951-9)
😐 少し先ですが...
- 現在,CHA2DS2-VAScスコア2点以上の心房細動を合併した血液透析患者を対象にしたビタミンK拮抗薬の効果を検討するオープンラベル多施設無作為化比較試験のAVKDIAL試験(NCT02886962)が進行中.2017年7月に開始され2023年に試験終了の予定です.
(投稿者 川﨑)
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