- 本態 壁細胞由来の内因子の減少に基づくビタミンB12の吸収障害による貧血
- 機序 胃壁細胞や内因子に対する自己抗体に起因した自己免疫性萎縮性胃炎
- 疫学 本邦では1~5人/年・10万人,年齢中央値は約60歳,女性にやや多い
- 症状 貧血症状,末梢神経障害(知覚異常など),舌乳頭萎縮(Hunter舌炎)
- 特徴 ビタミンB12の貯蔵量は大きいので,症状が出現するまでに数年かかる
- 鑑別 葉酸欠乏性貧血(血清葉酸値で鑑別),(特に)骨髄異形成症候群など
- 抗体 9割に胃壁細胞への抗体が出現,抗内因子抗体の感度50%・特異度90%
- 併存 慢性甲状腺炎,インスリン依存性糖尿病,アジソン病など自己免疫疾患
- 治療 ビタミンB12非経口投与(週3回,筋注や静中×2ヵ月→維持は3月に1回)
- 予後 悪性貧血患者の1~3%に胃がんあるいは胃カルチノイド腫瘍が発症する
💀 おまけ
- 英名はpernicious anemiaです.他であまり見かけない英単語 pernicious は「有害な,悪性の,致命的な」を意味する形容詞(発音はpərníʃəs/パーニシャス).同病態による貧血はかなり以前から知られていたようですが(初報はアジソン病で有名なThomas Addisonが1849年に報告),ビタミンB12の合成が可能になるまでは予後不良であったためperniciousと命名されたようです.
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(投稿者 川崎)
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