このブログを検索

2021-08-22

アキレス腱反射の弛緩相遅延

アキレス腱を打腱槌で叩き腓腹筋が収縮した後に,再び弛緩するときに正常よりも時間を要する病態(収縮は早いが弛緩は遅い).甲状腺機能低下症(特に粘液水腫/Myxedema reflex)に比較的特異的な所見で出現頻度は62-100%.その機序は甲状腺ホルモンの不足で水や電解質の排出が遅れるため.ただし本所見は加齢や糖尿病,低体温,神経筋疾患,薬剤性,局所的浮腫,妊娠などでも生じることがあるため要注意

参考)Sapira's Art and Science of Bedside Diagnosis, p501 and Table 26-11, 他


👽 命名権
  • 米国の医師Lambertらが報告(J Clin Endocrinol Metab 1951;11:1186-1205)したため別名はLambert徴候です.しかしそれより前に米国の医師Chaneyによる同様の報告(JAMA 1924;82:2013-6)があるためChaney-Lambert徴候と呼ばれることもあるようです.
  • ただし本所見に注目していたのはChaneyの指導医である米国の神経学者Woltmanだそうです.Chaneyは上司を無視し単独で報告したため,Woltman徴候と呼ぶほうがいいようです(裏事情はココ).もっとも同所見は1870年代にはすでに知られていたようですが...
👉 治療前後でWoltman signが改善している粘液水腫の症例動画 ➜ Woltman’s Sign of Hypothyroidism

(投稿者 川崎)

0 件のコメント: