褐色細胞腫
褐色細胞腫の手術前の腹部背面像(投与24時間後)と手術前後の心臓I-123-MIBGシンチグラム(15分後と4時間後像)
褐色細胞腫の手術前の腹部背面像(投与24時間後)と手術前後の心臓I-123-MIBGシンチグラム(15分後と4時間後像)
松本雄賀、他 : 核医学 32: 1023-1028 ; 1995
💚 解説
- 50才代男性、腹部像では右副腎部に相当する部位に異常集積を認めた。
- epinephrineは0.53ng/m1(正常0.1以下)、norepinephrineは0.81ng/ml(正常0.05-0.40)と高値であった。
- 術前MIBG心筋シンチグラムでの心臓縦隔比(H/M)は15分後像では2.2で、4時間後像では1.9(正常範囲は15分後像:2.31±0.06、4時間後像:2.43±0.09)、 washout rate(WOR)は55%(半減期補正なし,正常範囲は25±4.6%)と著明な充進を認めた.
- 術後MIBG心筋シンチグラムでは心臓縦隔比(H/M)は初期像:2.6で後期像は2.9、WORは24%といずれの指標も術前に比べて明らかに改善した。
- 心エコーおよびTl心筋シンチグラムには異常がなく、術前のMIBG動態の異常は心筋障害の反映としての心臓交感神経機能異常ではなく、血中カテコールアミンの高値と関連する現象と推定した。
👤 ひとり言
- MIBGが登場した時、実際に交感神経機能を反映していることを証明できないかと考えた。正常人6例にMIBGを投与し、15分後、2時間後、4時間後に撮像すると、心臓/縦郭比(H/M)は不変である(下 protcol A)。
- 15分後と2時間後の撮像の間に10kmを1時間で走行する負荷を加えると、2時間後のH/Mは低下した(下図 protocol B)。
- 運動による心臓交感神経の賦活によりMIBGの心筋からのWORが亢進することを示す所見である。
- 心不全の重症度評価、β遮断薬の効果予測、予後評価等に有用であることが多数報告されている。
- 血中カテコールアミン値による影響を含め、MIBGの集積・放出機序は複雑であり、その解釈には種々の神経体液因子と連関して作動していることを念頭に置くことが必要である。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 杉原)
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