(投稿者 川崎)
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2022-08-30
用語の変更:末梢動脈疾患(PAD)
- 下肢閉塞性動脈疾患 ➜ LEAD (lower extremity artery disease)
- 上肢閉塞性動脈疾患 ➜ UEAD (upper extremity artery disease)
- 下肢閉塞性動脈硬化症 = 下肢ASO (arteriosclerosis obliterans) ➜ 下肢動脈硬化性LEAD
- 重症下肢虚血 = CLI (critical limb ischemia) ➜ 包括的高度慢性下肢虚血 = CLTI (chronic limb-threatening ischemia)
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(投稿者 川崎)
2022-08-29
ベン図 Venn diagram
2022-08-28
心筋イメージング:輝きを放つ一枚
拡張相肥大型心筋症
拡張相肥大型心筋症の一例のTlとBMIPPそれぞれのイメージングの経年変化
拡張相肥大型心筋症の一例のTlとBMIPPそれぞれのイメージングの経年変化
Sugihara H et al : Clin Nucl Med 25 : 206-207,2000
💚 解説
- 初診時50才代女性、検査を開始した1990年ではTlは心尖部が軽度集積低下しているのみであるが、BMIPPでは心尖部に加え、中隔前壁接合部および中隔後壁接合部、さらに中隔も集積低下している。経年的にBMIPPの集積低下はその程度および範囲とも高度となり、Tlの集積低下はそれに遅れ、BMIPPの集積低下を追いかけているような像を呈している。 拡張相肥大型心筋症の自然歴(病期)、心筋病変の進行速度と関連した所見と推定される。 本症は心筋症の家族歴が多く、拡張型心筋症よりも症状が重症で、治療抵抗性心不全に陥り、心室性不整脈の合併が多く予後不良である。
👤 ひとり言
- この症例を10年余り外来でfollowした。
- 予後不良であることをよく理解された優しい夫は、毎年1回旅行に連れて行きたいと相談に来られた。
- 旅先で悪化した時ようの紹介状を手渡し、許可をだしていた。
- その紹介状が使用されることはなかったが、一度だけ旅行から帰った時にかなり心不全が悪化して外来へ来たことが思い出される。
- 外来主治医を交代した数年後に死亡した。
※「輝きを放つ一枚」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 杉原)
2022-08-27
ネマリンミオパチー Nemaline myopathy
- 筋線維内に桿状体様構造物(ネマリン小体)をもつ先天性ミオパチー
- アメリカのShy GMらが提唱した疾患観念 (Brain 1963;86:793-810)
- 不思議な語感のネマリンはギリシャ語の糸(nema)から命名された
- 乳児重症型,先天性緩徐進行型,無症状型,成人期発症型の4分類
- 成人に達した症例では拡張型心筋症様の収縮障害を呈する報告あり
💁
日本神神経学会HPより抜粋
- 理論上、全ての筋疾患はミオパチーです。事実、フランスなどではそのような定義でミオパチーという言葉が使用されています。しかし日本を含む多くの国では、慣習的に筋ジストロフィー以外の筋疾患のことをミオパチーと呼んでいます。当然ですが、ミオパチーには様々な種類のものがあります。大きく分けると遺伝性のものと、後天性のものがあります。代表的な遺伝性ミオパチーには、先天性ミオパチー、代謝性ミオパチー、ミトコンドリアミオパチー、筋原線維性ミオパチーなどがあります。
(投稿者 川崎)
2022-08-26
メニエール病の聴力障害の経過
👂 ざっくりとした目安は…
メニエル - 初期:低周波数領域の変動性難聴で始まる
- 中期:そこに高周波数領域の難聴が加わる
- 長期:中周波数領域も低下し高度の難聴へ
💁 メニエール病に関連する過去の投稿は コチラ
メニエール
(投稿者 川崎)
2022-08-25
🎯 今週の一枚 肺高血圧時の心音:その2
設定:胸骨左縁第2肋間で聴診器の膜部を用いて聴診
🍘 解説
- 拡張期に雑音を聴取する(全拡張期ではなく拡張中期で終了)
- 雑音の開始点に注目すると,Ⅱ音大動脈成分ⅡAが聞こえる?
- 大動脈弁逆流ならⅡ音は通常聞こえない ➜ 肺動脈逆流を示唆
- 診断はアイゼンメンジャー症候群のグラハム・スティール雑音
😗 追加コメント
- ⅡAと逆流性雑音の間に僅かに生じる間隙が大動脈弁逆流との鑑別に有用ですが(つまり雑音はⅡPより開始),聴診では心音図ほど分かりやすいとは思いません.
- ポイントは「拡張期雑音の始まりにアクセントがあるな〜」と耳が反応することかもしれません.ちなみにⅣ音もありますが,大きな雑音時は聴診困難(音響隠蔽)
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(投稿者 川崎)
2022-08-24
指こすり・指タップ音聴取検査 Finger Rub/Finger Tap screening test: FRFT
- 指こすり音 ➜ 親指と人差し指を軽く素早く4,5往復こすり合わせる(カサカサカサカサ)
- 指タップ音 ➜ 音を出そうとせずに親指と人さし指を4,5回軽く合わせる(タンタンタン)
※指こすり音は高音漸傾型の難聴,指タップ音は低音障害型に有用
👂 実際の方法(一例)
- 被験者の背後に立ち左右ランダムに2回ずつ施行
- 被験者は閉眼し音の聞こえた側を挙手して回答
- 耳から約5cm,30cm,60cmの距離で順に行う
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(投稿者 川崎)
2022-08-23
補助人工心臓の適応
- 本邦では保険上,心臓移植までの橋渡しとしてのみ認められていた(BTT: bridge to transplantation)
- 2021年3月からHeartMate 3™ が長期治療(DT: Destination Therapy)として認可されるようになった
DTの適応(抜粋:心臓 2022;54:860-4/詳細:コチラ)
・選択基準
・除外基準
・選択基準
- 心不全の程度(NYHA Ⅲ〜Ⅳ,ステージD,INTERMACS 2~4)
- 静注強心薬・IABP・Impella・ECMO依存
- 65歳以上の場合にはより慎重に検討
- 機器の自己管理能力を有すること
- 併存疾患によって規定される余命が5年以上あること
・除外基準
- 重症感染症
- 術後右心不全のため,退院困難が予想される症例
- 腹部大動脈瘤・心室瘤・心室中隔穿孔
- 維持透析中
- 肝硬変
(投稿者 川崎)
2022-08-22
末梢静脈圧と中心静脈圧
🎓 臨床研究(Intensive Care Med 2004;30:627-32)
- 対象は人工心肺装置を用いて待機的心臓手術を行った19症例
- 末梢静脈圧(PVP)と中心静脈圧(CVP)を侵襲的に同時測定
- 麻酔導入前後や人工呼吸器前後など様々な状態で188回計測
- 結果はPVPとCVPは相関し代替可能(差は-0.72〜0 mmHg)
😀 独り言
- 頸静脈所見を用いた中心静脈圧の推定を日常臨床で活用されていても,末梢静脈圧にはあまり関心を持っておられない方が多いように思います.
- もちろん頸静脈のように波形から病態推定は困難ですが,中心静脈圧が上昇しているか否の判定できそうです(方法論の問題はありますが...)
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(投稿者 川崎)
2022-08-21
心筋イメージング:輝きを放つ一枚
心尖部肥大型心筋症
心尖部肥大型心筋症のTlとBMIPPのdual SPECT(上段)と2年後のBMIPPイメージング
心尖部肥大型心筋症のTlとBMIPPのdual SPECT(上段)と2年後のBMIPPイメージング
💚 解説
- Tlでは心尖部が高集積を示している。
- BMIPPのみを見るとほぼ正常であるが、Tlの心尖部高集積を考えあわせ見ると、心尖部が集積低下していると判定できる。
- 下段は2年後のBMIPPであるが、心尖部が中等度に集積低下し、同部位の脂肪酸代謝異常が進行していると推定される。
👤 ひとり言
- 心尖部肥大型心筋症では肥大した心尖部が、運動負荷Tl、BMIPP、MIBGのそれぞれのイメージングで集積低下を示すことが多い。
- 心尖部の肥大・虚血・脂肪酸代謝異常・交感神経機能異常は密接に関連すると考えられる。
- 本症が通常の肥大型心筋症と同じカテゴリーの疾患であるかは現在なお不明である。
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(投稿者 杉原)
2022-08-20
マルファン症候群のMARFANS
📌 Marfan syndrome の特徴を表す下記病態の頭文字
- Mitral valve prolapse (medial necrosis of aorta) ➡️ 僧帽弁逸脱(大動脈の中膜壊死)
- Aortic aneurysm ➡️ 大動脈瘤
- Retinal detachment ➡️ 網膜剥離
- Fibrillin defect ➡️ フィブリリン欠損(フィブリリンは結合組織中の弾性線維の形成に不可欠な糖タンパク質)
- Arachnodactyly ➡️ クモ指症
- Negative Nitroprusside test ➡️ ニトロプルシド試験が陰性
- Subluxated lens ➡️ 水晶体亜脱臼
参考)@khaledalotibe1のTwitter 投稿
😅 おまけ
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(投稿者 川崎)
2022-08-19
ハインリッヒの法則 Heinrich's law
- 重大事故1つの背後に29の軽微な事故,300のヒヤリ・ハットが存在するという理論
- 米国の保険会社社員である Herbert William Heinrich(1886-1962)が1931年に提唱
- 医療現場でも事故と過誤(違い),アクシデントとインシデント(違い)と関連あり
- 比率が不正確でヒヤリ・ハットを減らしても重大事故は減らないという批判あり(※)
(投稿者 川崎)
2022-08-18
🎯 今週の一枚
息切れで来院した高齢者の手背(姿勢は座位で手は心臓の高さ)
💙 手背静脈の怒張
- 脱水を生じやすい真夏&高齢者にもかかわらず静脈が目立つ
- 手背遠位部に目立つことはあるが本例では手首周囲まであり
- 手を頭の高さまで挙上すると静脈怒張はほぼ消失した(下図)
- 座位で鎖骨上に内頸静脈の拍動(陥凹)も視認(座位陽性)
- 本例は最終的に弁膜症による慢性左心不全の急性増悪と診断
🐥 臨床現場
- 息切れなど心不全を疑う症状を訴える症例の診察では,患者さんの話を聞きながら右の内頸静脈を見るようにしています.しかし本例は猪首で,コロナ禍を反映してマスクを装着していたため頸部が観察しにくい状態でした.
- しかしふと眼を下にやると,怒張した手背静脈に気がつきました.高齢者では筋肉量と脂肪量が減少するため,末梢静脈が目立つ方が少なくありません.しかし本例の静脈は指で少し押しても圧排されない弾力を感じました.
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(投稿者 川崎)
2022-08-17
👴 歴史クイズ
🔍 グラハム (or グレーアム)・スティール (1851-1942)
- スコットランドの心臓専門医である Graham Steell
- 肺高血圧症による肺動脈弁閉鎖不全の雑音を発見
- 現在ではGraham Steell murmurと呼ばれている
- 論文の発表では遅れたが記載は初の1891年(※)
🐤 おまけ
- Graham steell murmurとsteellの先頭文字が小文字になっている表記を時折見かけることがあります.しかしSteellは苗字なので大文字表記です.これは米国の医師 Austin Flint が発見したAustin Flint murmurの人名雑音と同じです.
- Flint先生は厳格な人で医学に人名をつけることを嫌っていたようです(過去の投稿).逆にSteellは謙虚な人柄で,自分の名前で呼ばれるのを決して勧めなかったようです(出典).皮肉にも共にフルネームとして残りましたが... 😸
🉐 関連投稿 ➜ 過去の歴史クイズ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
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(投稿者 川崎)
2022-08-16
心不全加療後の低血圧に困りました...
💀 臨床現場
- 先日,頻脈性心房細動に関連したと思われる高齢者心不全例に対してランジオロール塩酸塩などの持続投与で治療を行いました.心拍数をコントロールして心不全は改善したのですが,高度の低血圧になりノルアドリナリンの依存状態に陥りました.自律神経障害を引き起こす基礎疾患は検出せず,低血圧の治療に難渋しました.最終的に塩酸ミドドリン(商品名メトリジン他)の内服開始でノルアドレアリンから離脱することができました.
👿 起立性低血圧の治療
クラスⅠ
クラスⅡa
クラスⅡb
クラスⅠ
- 急激な起立の回避
- 誘因の回避:脱水,過食,飲酒など
- 誘因となる薬剤の中止・減量:降圧薬,前立腺疾患,治療薬としてのα遮断薬,硝酸薬,利尿薬など
クラスⅡa
- 循環血漿量の増加:食塩補給,鉱質コルチコイド(フルドロコルチゾン 0.02~0.1mg/日 分2~3),エリスロポエチン
- 弾性ストッキング
- 上半身を高くした睡眠
- α刺激薬:塩酸ミドドリン 4mg/日 分2,メチル硫酸アメジニウム 20mg/日 分2,塩酸エチレフリン 15~30mg/日 分3
クラスⅡb
- エルゴタミン 3 mg/日 分 3
参考)昭和医会誌 2011;71:523-9:元は日本循環器学会ガイドライン(現在は利用不可)
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(投稿者 川崎)
2022-08-15
肺高血圧時の心音:その3
設定:胸骨左縁第3肋間で聴診器のベル部を用いて聴診
🍩 解説
- 頻脈で過剰音(赤四角)を伴っている ➜ あまり悩まずギャロップ(奔馬調)
- ギャロップは通常,心尖部で聴取するが本例では胸骨左縁第3肋間(3LSB)
- 心尖部以外で優位に聴診できるギャロップなら,右心系ギャロップの疑い
- 本例は心房中隔欠損(未治療)による肺高血圧を伴った非代償性右心不全
😗 追加コメント
- ギャロップを構成する過剰音はⅢ音,Ⅳ音,Ⅲ音+Ⅳ音(四部調律),両者の重なり(重合奔馬調)の4通りあります.聴診による正確な鑑別は困難で,心音図と心尖拍動図(A波やRF波)の同時記録による解析が理想です.
- ただしギャロップ自体が非代償期(=迅速な対応が必要)を意味するので,詳細な鑑別は不要だと(僕は)思っています.右心系ギャロップのポイントは「ひょっとしてと思って心基部にもベルを当ててみる」ことです.
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(投稿者 川崎)
2022-08-14
心筋イメージング:輝きを放つ一枚
肥大型心筋症
正常例、非閉塞性肥大型心筋症、閉塞性肥大型心筋症、 心尖部肥大型心筋症、拡張相肥大型心筋症のBMIPP 心筋イメージング(上)と心筋構築異常(下)
正常例、非閉塞性肥大型心筋症、閉塞性肥大型心筋症、 心尖部肥大型心筋症、拡張相肥大型心筋症のBMIPP 心筋イメージング(上)と心筋構築異常(下)
💚 解説
- 肥大型心筋症におけるBMIPP心筋イメージングのそれぞれ代表例であるが、非閉塞性および閉塞性では中隔前壁接合部と中隔前壁接合部で集積低下している。
- 心尖部肥大型心筋症では心尖部に集積低下が認められ、拡張相肥大型心筋症では中隔前壁接合部、中隔後壁接合部に中隔、心尖部を加えた広範囲で集積低下(欠損)している(上図)。
- 非閉塞性、閉塞性、拡張相の肥大型心筋症におけるBMIPPの集積低下部位は、心筋構築異常(線維束錯綜配列、線維化)が高頻度と報告されている領域と一致する(下図)。
👤 ひとり言
- 高血圧を合併した肥大型心筋症と高血圧性肥大心の鑑別に苦慮する症例がある。
- 高血圧性肥大心ではBMIPPの集積低下例は少なく、後下壁に軽度集積低下の見られる 例が散見される程度であり、肥大型心筋症とは異なる。
- 高血圧合併肥大型心筋症のBMIPPの集積低下の頻度、程度、部位は高血圧非合併例と同様である。
- 心Fabry病も鑑別すべき重要な疾患であるが、そのBMIPPイメージングは経験がない。
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(投稿者 杉原)
2022-08-13
通称 DOTS (ドッツ)
- 直接服薬確認療法=directly observed treatment short-course
- WHO(世界保健機関)が推奨している結核に対する治療戦略
- 患者の発見から治療の評価までを行政の強力な関与の下に行う
👹 DOTS戦略の主な5要素(東京都DOTSマニュアル)
- 広範囲な結核対策活動を維持することを政府が合意すること
- 受診した有症状者の喀痰塗抹検査による患者発見を行うこと
- 適切な化学療法剤を必要期間投与する
- 必要な抗結核薬を規則的に、中断することなく供給すること
- 個々の患者の発見、治療成績、ならびに全体の結核対策の実施状況を評価する標準的な 報告、分析を行う
💁 結核に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 川崎)
2022-08-12
生物・心理・社会モデル Bio-Psycho-Social (BPS) model
- 従来の医療はBiomedical Model(生物医学モデル)に基づき原因と疾患を対に捉えた
- BPSモデルは生物学的,心理学的,社会学的の3側面から疾患を捉えようとする考え方
- アメリカの精神科医である George L. Engel によって提唱(Science 1977;196:129-36)
- 全人的医療とも呼ばれ,具体的な評価には包括的アセスメントを用いる(下図は一例)
💁 全人的医療に関する過去の投稿 ➜ コチラ
(投稿者 川崎)
2022-08-11
コステロ症候群 Costello syndrome
- 常染色体優性遺伝形式の疾患(発端者の大部分は新生突然変異)
- 原因は細胞の成長と分裂をつかさどるHRAS遺伝子の異常による
- ニュージーランドの小児科医であるコステロが1977年に報告(※)
- 特徴は発達遅滞,特徴的顔貌,皮膚のたるみ,肥大型心筋症ほか
- 根本的な治療法は知られていない(各病態に対する対症療法のみ)
- 約10%に膀胱癌,横紋筋肉腫,神経芽細胞腫などを合併してくる
- 予後は合併する悪性腫瘍で規定される(よって定期検診が重要)
(投稿者 川崎)
2022-08-10
スパーリングテスト Spurling's Test
- 座位で患者の頭部を症状を有する上肢側(患側)に傾けさらに後屈
- 頸部の神経根障害を調べる検査で上記手技で症状が悪化すれば陽性
- アメリカの脳神経外科医 Roy Glenwood Spurling (1894-1968) が提案
- よく似たジャクソンテストは座位で患者の頭部を後屈し上から圧迫
- いずれの検査も簡便であるが,症状が自己申告なので客観性が低い
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(投稿者 川崎)
2022-08-09
施設基準管理士®
- 病院が行う施設基準の届出を総合的に管理・運用
- 一般社団法人 日本施設基準管理士協会 が発行
- 受験資格は特になく認定試験に合格すればよい
- 同資格の保持者数は2021年6月の時点で609名
- 推奨スタッフは事務職員や看護部マネジャー他
- 資格期限は3年で年会費は税込で13,200円です
👥 裏話
- 個人的にはこのような資格があることは知りませんでした.病院機能評価中に問われて,事務の方が「当院の施設基準管理士®は1名です」と答えていました.サーベイヤーの方は同資格の更なる取得を勧めていました.
(投稿者 川崎)
2022-08-08
肺高血圧時の心音:その1
設定:胸骨左縁第2肋間で聴診器の膜部を用いて聴診
🍙 解説
- 心基部であるためⅠ音よりⅡ音が大きい(これは異常ではない)
- Ⅱ音に注目すると分裂あり(大動脈成分ⅡAと肺動脈成分ⅡP)
- 大動脈成分よりも肺動脈成分の方が大きい ➜ 肺高血圧を示唆
- 本例は先天性心疾患による肺高血圧(収縮期雑音は三尖弁逆流)
😗 個人的想い
- 肺高血圧ではⅡ音肺動脈成分の亢進はよく知られている所見ですが,自信をもって診断できる方はおそらく少数派でしょうか?
- ポイントは「分裂しているⅡ音の後ろにアクセントがある奇妙さ」に耳が反応できるかだと思います(頭で考えるより耳で反応)
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(投稿者 川崎)
2022-08-07
心筋イメージング:輝きを放つ一枚
中隔梗塞
Tl/BMIPP dual SPECTのBull’s eye像(左がTl、右がBMIPP)(上)と受診時の心電図(下)
Tl/BMIPP dual SPECTのBull’s eye像(左がTl、右がBMIPP)(上)と受診時の心電図(下)
Harimoto K et al : Oman Medical Journal ; Vol 34 No 3:257-261 ; 2019
💚 解説
- 繰り返す胸部不快感を訴えた男性がクリニックを訪れ、心電図ではV1、2でST上昇、前壁誘導と側壁誘導で陰性T波が見られたため紹介した。
- CKは823、トロポニンTは陽性であった。
- 緊急冠動脈造影では左前下行枝に有意狭窄はなかったが、第二中隔枝のみ造影遅延が認められた。
- IVUSでruptureしていないプラークが確認された。
- IVUS施行後に造影遅延は消失したためinterventionは施行されなかった。
- 第4病日に施行されたTl/BMIPPのdual SPECTではTlは正常像、BMIPPは中隔中部に中等度の集積低下というミスマッチが認められた。
👤 うら話
- 著者がクリニックから紹介した症例である。心電図から左前下行枝病変の急性冠症候群と予想したが、きわめて稀な中隔枝単独梗塞であった。
- 再灌流がなされ、梗塞範囲が狭く、解剖学的variationもあることから正確な部位診断の困難な中隔単独梗塞の虚血評価にTl/BMIPPが有用であった。
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(投稿者 杉原)
2022-08-06
医療学生(または医療系学生)
2022-08-05
コインテスト Coin Test
🔨 聴打診を用いた気胸や巨大ブラの診断法
- 前胸部の鎖骨中線第3肋間あたりで,硬貨の片面を皮膚面と密着させる
- 聴診器を背中に当て,コイン逆面をもう一つ用意したコインの縁で擦る
- 一方で評価した後,硬貨と聴診器を対側の肺に置いてもう一度繰り返す
👾 サパイラ先生の成書より(初版, p272)
- 通常は鈍いトントンという音(dull and tappin)であるが,気胸などがあると大きなカチッカチッまたは鳴り響く音(louder, more clicking, and more ringing)になる
- silver dollars(1ドル硬貨)がお薦めで,pennies(1セント硬貨)やnickels(5セント硬貨),dimes(10セント硬貨),quarters(25セント硬貨)ではうまくいかない
- 偽陽性は皮下気腫やアカラシアで,偽陰性はとても小さい気胸や胸膜癒着を伴う気胸,両側気胸(経験不足の問題は膨らませた頬を肺に見立てて自分で練習しろと…😅)
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(投稿者 川崎/滋賀)
2022-08-04
2022-08-03
胃癌リスク ABC検診
- 血清ペプシノゲン値(胃粘膜の萎縮を反映)と血清ピロリIgG抗体(ピロリ菌感染の有無)から将来の胃癌リスクを予測する検診
- 胃カメラやバリウム検査は不要であることがメリット(ただし胃癌の有無を診断することはできず,結果に応じて胃カメラを予定)
👽 ABC分類
👿 分類に応じた対処法の一例(D群はC群に含める)
- A群(ペプシノゲン正常かつピロリ抗体陰性)➜ 正常
- B群(ペプシノゲン正常かつピロリ抗体陽性)➜ 低リスク
- C群(ペプシノゲン異常かつピロリ抗体陽性)➜ 中リスク
- D群(ペプシノゲン異常かつピロリ抗体陰性)➜ 高リスク
👿 分類に応じた対処法の一例(D群はC群に含める)
👾 おまけ
- D群はピロリがいないのにどうして高リスクなんだろうと思いました.これは胃粘膜のダメージが大きく慢性萎縮性胃炎の状態で,ピロリ菌すら生存できない状態が疑われるためだそうです.ちなみにピロリ菌の除菌後はE群に分類され,定期的な内視鏡検査(例:毎年)が推奨されるようです.
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(投稿者 川崎)
2022-08-02
きゅうそくきん & こそくきん
😀 呼吸筋=吸息筋+呼息筋
- 吸息筋 ➜ 横隔膜や傍胸骨肋間筋,外肋間筋,胸鎖乳突筋など
- 呼息筋 ➜ 腹筋群(腹横筋や内外腹斜筋など),内肋間筋など
👀 臨床現場
- 心臓リハビリテーション中に理学療法士の先生と呼吸に関する話をしていました.その時に「きゅうそくきん」や「こそくきん」と言われ,ピンと来なかったので教えてもらいました.そもそも呼吸筋が吸息筋と呼息筋に二分できることも知りませんでした.生涯学習です.
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(投稿者 川崎)
2022-08-01
肺高血圧のフィジカル診断
🎓 系統的レビュー(PLoS One. 2014 Oct 24;9(10):e108499)
- 肺高血圧の関連所見:右室拍動,大きなⅡ音肺動脈成分,頸静脈怒張,三尖弁逆流音,右心系Ⅳ音(いずれも安静時および吸気時)
- もっとも肺高血圧に関連する指標:吸気時の亢進したⅡ音肺動脈成分(陽性尤度比3.2)と吸気時の右心系Ⅳ音(陽性尤度比4.7)
- ただし身体所見のスペシャリストとその他の検者では診断能の差は小さくなく,また肺高血圧を一貫して除外できる身体所見はない
💁 肺高血圧の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)
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(投稿者 川崎)