(投稿者 川崎)
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2018-10-31
2018-10-30
BNPとNT-proBNPの乖離
第22回日本心不全学会学術集会(演題022-2)より
題名 Divergent N-terminal pro-B-type natriuretic peptide and B-type natriuretic peptide levels in a patient with heart failure
演者 Junichi SUGIURA (Department of Cardiovascular Medicine, Nara City Hospital, Nara, Japan)
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題名 Divergent N-terminal pro-B-type natriuretic peptide and B-type natriuretic peptide levels in a patient with heart failure
演者 Junichi SUGIURA (Department of Cardiovascular Medicine, Nara City Hospital, Nara, Japan)
【要約】
- 63歳男性が息切れで入院し,高度の大動脈弁逆流による左心不全と診断
- 入院時BNPは2,940pg/mlと高値だが,NT-proBNPは感度以下(<5pg/ml)
- 心不全治療でBNPは経時的に低下したが,NT-proBNPは一貫して陰性
- 一塩基多型(SNPs)によるNT-proBNP陰性の心不全が現在まで14例報告
- 本症例は死亡したため遺伝子検査は未施行であり同SNPsの関与は不明
🉐関連投稿
(投稿者 川崎)
2018-10-29
ぎっくり腰
- 急性腰痛症(acute low back)の俗称であるが,急性腰痛症も病名ではなく病態名である
- 心不全が病名ではなくて病態や状態を表す用語(≒症候群)であるのと同様 ➜ コチラ
- 欧米ではその病態から魔女の一撃(ドイツ語:Hexenschuss)とも呼ばれているようです
(パブリック・ドメイン/魔女の一撃 Hexenschuss 1490年)
急性腰痛症の原因
- 腰部椎間板断裂
- 椎間板ヘルニア
- 脊椎圧迫骨折
- 腰部脊柱管狭窄症
- 脊椎すべり症
- 悪性腫瘍
- 化膿性脊椎炎
- その他(腹部大動脈瘤や尿路結石など)
👴 狭義の急性腰痛症は原因が同定できない非特異的腰痛(日常臨床では多くがこの範疇)
(投稿者 川崎)
グラム染色クイズ
- 発熱が持続する免疫不全症例の血培で好気ボトルのみ複数陽性
- 血培を遠沈して沈殿部分の上縁あたりをグラム染色した(1000倍)
好気性のグラム陽性桿菌といえばバチルス(本例は培養で確定)
- バチルス=セレウス菌=Bacillus cereus ➜ 当院で経験した他例
- 水中や土壌に普遍的に存在し病原性は低いが免疫不全で発病
- 近年ビーフリードとの関連が注目報告されている(本例も投与中)
(投稿者 川崎)
2018-10-28
結節性紅斑 Erythema nodosum
2018-10-27
TACE テイス
肝細胞癌に対する治療方法の1つ
📌 過去の関連投稿
- TACE=transcatheter arterial chemoembolization ⏩ 肝動脈化学塞栓療法
- TAE=transcatheter arterial embolization ⏩ 肝動脈塞栓術
- TAI=transcatheter arterial infusion ⏩ 肝動脈動注化学療法
- RFA=radiofrequency ablation ⏩ ラジオ波焼灼療法
- PEIT=percutaneous ethanol injection therapy ⏩ 経皮的エタノール注入療法
📌 過去の関連投稿
- 救急略語アレコレ
- 略語(総合診療科)
- COPD関連薬の略語
- ICS+LAMA+LABA
(投稿者 川崎)
2018-10-26
5m歩行テスト
高齢者の歩行能力を評価する非常に簡便な方法で,英名は5-meter walk test (5MWT)
- 内容 5mの距離を歩行するのに要する秒数(通常歩行と最大歩行の時間を測定)
- 方法 3m+5m+3mの直線で中間の5mに要した時間を測定(2回実施し走らない)
- 目安 5秒以内(つまり1m/s以上の歩行速度) ➜ 横断歩道を渡りきることが可能
- 平均 標準値例:80-84歳男性なら通常歩行4.1-6.8秒,最大歩行2.4-4.6秒(参照)
👴 サルコペニアの診断基準(歩行速度0.8m/s以下)やフレイルの診断基準(歩行速度1m/s以下)にも含まれているよ!
(投稿者 川崎)
2018-10-25
人工呼吸器設定
人工呼吸器の初期設定(参照:レジデントのためのクリティカル入門セミナー)
一回換気量を考えるときは,常に予想体重で計算する必要があるため,以下の式より予想体重を求める。
男性:50+0.9×〔身長(cm)-152〕
女性:45.5+0.9×〔身長(cm)-152〕
(N Engl J Med 2000;342:1301-8)
一回換気量を考えるときは,常に予想体重で計算する必要があるため,以下の式より予想体重を求める。
男性:50+0.9×〔身長(cm)-152〕
女性:45.5+0.9×〔身長(cm)-152〕
FiO2 | PEEP |
0.3 | 5 mmHg |
0.4 | 5-8 mmHg |
0.5 | 8-10 mmHg |
0.6 | 10 mmHg |
0.7 | 10-14 mmHg |
0.8 | 14 mmHg |
0.9 | 14-18 mmHg |
1.0 | 18-24 mmHg |
(投稿者 谷口)
マイコプラズマ・コロニー
- マイコプラズマはグラム染色では見えないが特殊な培養で可視化できる
- 下記はPPLO培地で2週間培養したマイコプラズマ・コロニーの無染色検鏡
左のPPLO培地では不明瞭(ただし凝視で見える)/右の検鏡ではコロニーが見えている(矢印)
🉐 関連投稿
(投稿者 川崎)
2018-10-24
二つのブロッケンブロー
ブロッケンブロー現象
(Brockenbrough phenomenon)=心室期外収縮後の心収縮増強 ➜ いわゆるPESP
- Brockenbrough EC, Braunwald E, Morrow AG. A hemodynamic technic for the detection of hypertrophic subaortic stenosis. Circulation 1961;23:189-94
ブロッケンブロー手技
(Brockenbrough maneuver)=経静脈的心房中隔穿刺法 ➜ 左房に到達する手技
- Brockenbrough EG, Braunwald E. A new technic for left ventricular angiocardiography and transseptal left heart catheterization. Am J Cardiol 1960;6:1062-4
- いずれも米国の外科医ブロッケンブロー(1930~)がアメリカ国立衛生研究所時代に発見しているようです
- 上記論文の名前に微妙な差はありますが幾つかのmiddle nameを使っているようです(今だ現役?😲)
- ブロッケンブロー現象の別名はBrockenbrough-Braunwald-Morrow Sign(N Engl J Med 1994;331:1589-90)
☆ 医学(循環器領域)の歴史に二つも名前を残せるなんて素晴しい!
(投稿者 川崎)
低FODMAP療法 Low FODMAP Diet
FODMAP=Fermentable,Oligo-,Di-,Mono-saccaharides and
Polyols(読み方はフォドマップ)
- Fermentable=発酵性 ➜ チーズや牛乳,ヨーグルト,納豆など
- Oligosaccharides=オリゴ糖類 ➜ フラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖
- Disaccharides=二糖類 ➜ ラクトース(乳糖)
- Monosaccharides=単糖類 ➜ フルクトース(果糖)やグルコース(ブドウ糖)
- Polyols=ポリオール ➜ ソルビトールやマンニトール,キシリトール
すべて炭水化物で小腸で分解しきれなかった場合,大腸の腸内細菌により分解されガスを産生する
低FODMAP療法は過敏性腸症候群IBSや炎症性腸疾患IBD,乳糖不耐症の症状改善に有効なことあり
低FODMAP療法は過敏性腸症候群IBSや炎症性腸疾患IBD,乳糖不耐症の症状改善に有効なことあり
(医療法人祥佑会 藤田胃腸科病院 低FODMAP食)
(投稿者 川崎)
2018-10-23
狭心痛のユニークな一面
「歩きだすと胸が痛くなるが,歩き続けると痛みは改善する」という主訴で来院した1例
心電図 ➜ 広い範囲で水平型のST低下
冠動脈 ➜ 回旋枝の中間部に高度狭窄(矢印)と遠位部の造影遅延
おすすめページ (とても詳細に記述されています 🔍)
walk-through phenomenon, 通り抜け現象
心電図 ➜ 広い範囲で水平型のST低下
冠動脈 ➜ 回旋枝の中間部に高度狭窄(矢印)と遠位部の造影遅延
- 心筋虚血時にプレカリクレインが活性化されてキニノーゲンからブラジキニンなどが産生され疼痛が出現
- 一方,ブラジキニンは強力な血管平滑筋弛緩作用があり血管を拡張させて血圧を低下させる作用も有する
- 本例のようなユニークな症状は虚血性心疾患症例で少なくない(上記のブラジキニン作用などで説明可能)
おすすめページ (とても詳細に記述されています 🔍)
walk-through phenomenon, 通り抜け現象
(投稿者 川崎)
2018-10-22
メイ・ターナー症候群 May-Thurner syndrome
- 左総腸骨静脈が右総腸骨動脈と腰椎に圧排され左下肢の浮腫や深部静脈血栓症を生じた病態
- オーストリアの病理医MayとThurnerが多数の剖検例で報告(Angiology 1957;8:419-27)
- 別名は腸骨静脈圧迫症候群(iliac compression syndrome)で,下腿浮腫が左側優位の主原因
(パブリック・ドメイン)
上図に示される如く左総腸骨静脈が下大静脈への合流直前に右総腸骨動脈の背面を通過する解剖学的特性のため,動脈拍動による慢性刺激が左総腸骨静脈の内膜異常を惹起することがメイ・ターナー症候群の主たる原因と考えられている.
🉐 関連投稿
- 上腸間膜動脈症候群 & ナットクラッカー症候群
- 遺残坐骨動脈 Persistent sciatic artery
- オルトナー症候群 Ortner's Syndrome
- Trousseau症候群 トルーソー症候群
(投稿者 川崎)
2018-10-21
カーニー複合 Carney complex
- 皮膚色素沈着と内分泌機能亢進(副腎皮質腫瘍や下垂体腫瘍など)を生じる常染色体優性遺伝疾患
- アメリカの病理医Carney JAらが40例をまとめて報告(Medicine (Baltimore) 1985;64:270-83)
- 心臓腫瘍(特に粘液腫)を高率に合併し,通常の心臓腫瘍と比べて多発性で摘出後の再発率も高い
🌀 おすすめの症例報告 ➜ Carney複合の一家系(心臓 2016;48:775-80)
(投稿者 川崎)
2018-10-20
傷(きず) 創(きず) 創傷(ソウショウ)
先日の木曜モーニングレクチャーから
創傷(wounds)
💪 おまけ
医学用語アレコレ 👶
創傷(wounds)
- 創 ➜ 開放性損傷=皮膚の破綻あり
- 傷 ➜ 非開放性損傷=皮膚の破綻なし
💪 おまけ
- 腱 ➜ 筋と骨を結合する組織
- 靭帯 ➜ 骨と骨を結合する組織
医学用語アレコレ 👶
(投稿者 川崎)
2018-10-19
偶発性低体温症 Accidental Hypothermia
- 低体温症=通常は深部体温が35℃未満 (👴 ➜ 発熱アラカルト)
- 偶発性低体温症=意図的な低体温(脳保護など)を除く低体温症
特に30℃未満では致死性不整脈が出現しやすいから愛護的な対応が必要(不要な侵襲行為は回避).心室細動時など致死性不整脈時には少なくとも1回は電気的カルディオバージョンを試みるが,復温するまでは回復する可能性は少ないため心肺蘇生を継続して深部体温が30~32℃になるまで待つ.四肢の復温を優先させると血液分布異常性ショックを生じることがあるため要注意(Rewarming shock).復温の目安は0.5~2.0℃/hrで,深部体温が30℃を越えれば補液量を増やしておきたい.
😊 関連投稿
(投稿者)
2018-10-18
第32回 松下バイリンガルカンファレンスより
「主訴は何ですか?」
慣れてくれば文頭に以下の表現をつけるとよい 🌈
- What were the complaints? (⏪ 多分複数がベター/his complaintsでもOK)
- What were his symptoms? (⏪ 主訴の英語が思いつかなかった場合の言い換え)
- What brought the patient to the ER of this hospital? (⏪ こんな表現も可能)
慣れてくれば文頭に以下の表現をつけるとよい 🌈
- I'd like to know...
- Could you please tell me... (⏪ pleaseはなくても可)
- I am wondering... (⏪ wasならより丁寧)
(投稿者 川崎)
抗MRSA薬
- 入院症例から検出されたブドウ球菌の50%以上がMRSA
- 外来患者から検出されるMRSAはブドウ球菌の20〜30%
略記号 | 名称 | 特徴 |
VCM | バンコマイシン | TDM要,腎機能障害,髄膜への移行性良好 |
TEIC | テイコプラニン | TDM要,日本で開発,VCMより少ない腎障害 |
LZD | リネゾリド | 静菌的,高価(6〜7万/日),内服あり,最終兵器 |
ABK | アルベカシン | TDM要,日本で開発,AG系でグラム陰性菌にも有効 |
DAP | ダプトマイシン | 最新,肺サーファクタントで不活化され肺炎には無効 |
💟 腎機能で調整不要な抗菌薬 ➜ コチラ
(投稿者 山根/川崎)
2018-10-17
心電図クイズ
突然,動悸を自覚してその後に意識レベルが低下した症例
wide QRS頻拍に対するブルガダ・アプローチの復習(Circulation 1991;83:1649-59)
👴 上記のひとつがあれば心室頻拍の感度98.7%,特異度96.5% ➜ 本例は所見2が合致(ただしS谷の決定は難しいが・・・)
所見1の典型例は コチラ へ 💨
- 胸部誘導でRS(またはrS)波形なし
- 胸部誘導でRS(またはrS)波形がありR開始~S谷≧100msec
- 房室解離あり
- QRSの波形解析(少し複雑)
👴 上記のひとつがあれば心室頻拍の感度98.7%,特異度96.5% ➜ 本例は所見2が合致(ただしS谷の決定は難しいが・・・)
所見1の典型例は コチラ へ 💨
(投稿者 川崎達也)
クイズ Who's Who?
(パブリックドメイン)
- フランスの小説家・詩人であるアルフレッド・ルイ・シャルル・ド・ミュッセ(1810-1857)
- 大動脈弁逆流時に生じる頭部の前後の拍動ド・ミュッセ徴候(de Musset sign)の由来
- 命名はド・ミュッセ自身が大動脈弁逆流で心拍に一致して前後に頭部がゆれていたため
(投稿者 川崎達也)
2018-10-16
MEPM無効の細菌(可能性ありも含む)
- カルバペネム耐性緑膿菌(MDRP: multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa)
- マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)(当院検出13例すべて耐性)
- カルバペネム耐性腸内細菌(CRE: carbapenem-resistant Enterobacteriaceae)
- 多剤耐性アシネトバクター(MDRA: multidrug-resistant Acinetobacter baumannii)
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA: methicillin-resistant Staphylococcus aureus)
- 腸球菌(特にEnterococcus faecium)
- ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP: penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae)(当院検出の1例耐性)
- コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS: coagulase-negative staphylococci)
- その他:マイコプラズマ,クラミドフィラ,レジオネラ、リケッチア,結核など
😈 当院アンチバイオグラム ➜ コチラ
💀 耐性菌の略語の一覧表 ➜ コチラ
(投稿者 川崎)
2018-10-15
CRTのペースメーカ調整
CRT=Cardiac Resynchronization Therapy=心臓再同期療法
難治性心不全に対する非薬物治療の一つで以下の2種類がある
CRTのクラスⅠ適応は以下(急性・慢性心不全診療ガイドライン2017)
ペースメーカー
📣 CRTの効果が不十分な時には心エコー図で設定を確認
AV delay 左室流入血波波形でA波が途絶しない最長値
VV delay 左室流出血流ドプラ波形の時間速度積分値が最大になる値
難治性心不全に対する非薬物治療の一つで以下の2種類がある
- ペーシング機能のみの両心室ペースメーカ(CRT-P)P=pacemaker
- 両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)D=defibrillator
CRTのクラスⅠ適応は以下(急性・慢性心不全診療ガイドライン2017)
ペースメーカー
📣 CRTの効果が不十分な時には心エコー図で設定を確認
AV delay 左室流入血波波形でA波が途絶しない最長値
- 必ず心室がペーシングされてかつ拡張期に僧帽弁逆流が出現しないこと
- 稀に短いAV delayでのみA波を認める例あり(心エコー 2018;19:826-33)
VV delay 左室流出血流ドプラ波形の時間速度積分値が最大になる値
- LV firstで10msずつ先行させていく(稀にRV firstの方がいい症例あり)
(投稿者 川崎)
2018-10-14
FN vs CFPM
- FN ➜ Febrile neutropenia=発熱性好中球減少症
- CFPM ➜ Cefepime=セフェピム(マキシピーム®/第4世代セフェム系)
日本でFNに対して適応症がある抗菌薬 |
セフェピム(マキシピーム®) 1回2g 12時間毎 |
メロペネム(メロペン®) 1回1g 8時間毎 |
日本でFNに対して適応症はないがエビデンスがある抗菌薬 |
イミペネム・シラスタチン(チエナム®) 1回0.5g 6時間毎 |
タゾバクタム・ピペラシリン(ゾシン®) 1回4.5g 6時間毎 |
セフタジジム(モダシン®) 1回1g 6時間毎 |
(投稿者 川崎)
2018-10-13
CTED シーテッド
CTED=chronic thromboembolic (pulmonary) disease=肺高血圧に到らない慢性の肺血栓塞栓症
※現時点では肺高血圧の定義は平均肺動脈圧≧25mmHgですが将来20mmHgに引き下げられるようです
🉐 関連投稿
- CTEPH=chronic thromboembolic pulmonary hypertension=慢性血栓塞栓性肺高血圧症
- PEA=pulmonary endarterectomy=肺動脈内膜摘除術
- PTE=pulmonary thromboendarterectomy=肺動脈血栓内膜摘除術(PEAの旧名)
- BPA=balloon pulmonary angioplasty=バルーン肺動脈形成術
※現時点では肺高血圧の定義は平均肺動脈圧≧25mmHgですが将来20mmHgに引き下げられるようです
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(投稿者 川崎)
2018-10-12
Biloma 肝外胆汁性嚢胞
- 初報 米国の放射線科医Gouldら(AJR 1979;132:1014-5)
- 定義 線維性組織により被包化された胆道外胆汁の貯留
- 原因 医原性や腹部外傷後(稀に胆道系疾患や特発性)
- 治療 原因疾患に対する治療+bilomaへのドレナージ
交通外傷(A)の3週間後(B)に発症したbiloma(World J Surg 2015;39:179–83)
(投稿者 川崎)
2018-10-11
B症状 B symptoms
悪性リンパ腫で認められることが多い発熱,体重の減少,盗汗の3症状
由来は病期分類の1つであるAnn Arbor分類のB項目に含まれているため
オリジナルは多国共同で報告されている(Cancer Res 1971;31:1860-1)
由来は病期分類の1つであるAnn Arbor分類のB項目に含まれているため
オリジナルは多国共同で報告されている(Cancer Res 1971;31:1860-1)
- 発熱:38℃より高い原因不明の発熱
- 体重減少:診断前の6カ月以内に通常体重の10%を超す原因不明の体重減少
- 盗汗:寝具(マットレス以外の掛け布団,シーツなどを含む,寝間着は含まない)を変えなければならない程のずぶ濡れになる汗
(日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン リンパ腫より)
(投稿者 川崎)
2018-10-10
HFrEF とHFpEF の左室圧容量曲線
- HFrEF(ヘフレフ)=heart failure with reduced ejection fraction ➜ 収縮障害主体の心不全
- HFpEF(ヘフペフ)=heart failure with preserved ejection fraction ➜ 拡張障害主体の心不全
過去の投稿 心不全 : 収縮不全 vs 拡張不全
両病態の左室圧容量曲線
(実線と白箱は正常・点線と黒箱が病的状態/日老医誌 2018;55:34-40)
- 収縮末期の左室圧-容積関係の最大傾きであるEmaxは左室の収縮指標
- 拡張末期圧-容積関係は指数関数に近似され左室拡張末期の硬さを反映
(投稿者 川崎)
2018-10-09
大動脈内バルーン遮断 IABO
- IABO=intra-aortic balloon occlusion(製品 ブロックバルーン®)
- 外傷などによる腹腔内出血に伴うショックに対して行う緊急救命手技
- 腹腔動脈分枝部より中枢側で大動脈をバルーンで遮断して止血する
- Edwardsらにより1950年代後半に開発(Surg Forum 1955;5:90-5)
腹腔内出血時に緊急開腹を行うとタンポナーデが解除され循環虚脱に陥る危険があるため,開腹に先立ち下行大動脈遮断が重要である.従来は左開胸で大動脈遮断鉗子による直接遮断が主流であった.近年はIABOが普及し,骨盤骨折,四肢外傷,産科出血,消化管出血など体幹以下の大量出血症時に適応拡大されている.
➜ 遮断時間45分以上は予後不良であるため不完全かつ間欠遮断を心がけることが重要なようです ✨
➜ 遮断時間45分以上は予後不良であるため不完全かつ間欠遮断を心がけることが重要なようです ✨
手技(原則としてエックス線透視下)
- 大腿動脈に7-10Frのシースを留置しIABOカテーテルを挿入
- 左鎖骨下動脈分岐部より2cm以上下方でバルーンを生食拡張
- 上肢の血圧を確認しながら必要最低限の注入量でコントロール
2018-10-08
サルコペニア
- 定義 高齢期にみられる骨格筋量の低下と筋力もしくは身体機能(歩行速度など)の低下
- 語源 ギリシャ語の筋肉(sarx)と喪失(penia)から作られた造語
- 提唱 米国の医師Rosenberg(Sarcopenia: origins and clinical relevance. J Nutr 1997;127:990S-1S)
- 分類 加齢が原因の一次性サルコペニアと加齢以外にも原因がある二次性サルコペニア
- 頻度 一般高齢者の6-12%で糖尿病やCOPDなどの慢性疾患を合併すると頻度は上昇
- 関連 フレイル3要素の中で身体的フレイルの主原因として注目されている
- DXA=dual energy X-ray absorptiometry(二重エネルギーX 線吸収法)
- BIA=bioelectrical impedance analysis(生体インピーダンス法)
当院では体成分分析装置 InBody で筋肉量を判定することができます
💪 骨格筋量指標(SMI)=四肢の筋量重量(≒除脂肪重量)/身長2
(投稿者 川崎)
2018-10-07
2018-10-06
画像クイズ(突然の腹痛)
Smaller SMV sign
- 正確には "The superior mesenteric vein is smaller in diameter than the superior mesenteric artery."
- 上腸間膜静脈(SMV)が上腸間膜動脈(SMA)よりも小さい状態(通常は逆である)
- 上腸間膜動脈の閉塞(原因は上腸間膜動脈の血栓症・塞栓症・解離など)を示唆
関連投稿
(投稿者 川崎)
2018-10-05
肺癌とSIADH
SIADH=Syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone=抗利尿ホルモン不適合分泌症候群
肺小細胞癌以外の肺癌(日本肺癌学会 演題P-142)
悪性疾患 ➜ 小細胞癌が最多 ➜ 11〜46%(Supportive Care in Cancer 2007;15:1341–7)
肺癌以外の肺疾患 ➜ 肺炎・肺膿瘍・肺結核・喘息・アスペルギルス・嚢胞性線維症・胸部疾患の術後・サルコイドーシス・陽圧換気(Cancer Therapy Advisor SIADH)
肺癌以外の肺疾患 ➜ 肺炎・肺膿瘍・肺結核・喘息・アスペルギルス・嚢胞性線維症・胸部疾患の術後・サルコイドーシス・陽圧換気(Cancer Therapy Advisor SIADH)
肺小細胞癌以外の肺癌(日本肺癌学会 演題P-142)
- 非小細胞の肺癌でSIADHの合併は従来の報告では0.7%と非常にまれ
- 倉敷中央病院で経験した18例では腺癌10例/NOS 3例/大細胞癌2例/大細胞神経内分泌癌1例/扁平上皮癌1例/巨細胞癌1例
- 原発巣に関連した無気肺・脳転移・投与薬剤など複合的な原因でSIADHを合併する可能性あり
(投稿者 川崎)
2018-10-04
2018-10-03
頸静脈評価の覚書
正常例の原則
確認事項
💫 関連投稿
- 収縮期陥凹 ➜ 一心周期2回(x下降とy下降)
- 体位変動 ➜ 臥位で出現/坐位で消失
- 呼吸変動 ➜ 吸気で低下/呼気で上昇
確認事項
- 中心静脈圧の正常値は5-8 cmH2O(読み方:センチ水柱 or センチメートル水柱)
- 臥床では枕高を10 cm(≒右房高)と仮定して枕上面から拍動までの高さで評価
- 必ずしも45度坐位法(胸骨角の4.5cm血柱以上で異常)で判定する必要はない
- 坐位では頸静脈拍動の上端は通常確認できない(あれば>20 cmH2O:超高値)
- 臥位で頸動脈拍動が消失なら著明高値/内頸静脈自体が見えなければ低値
- 頸静脈怒張という表現は呼吸性変動が消失してパンパンに緊満しているときのみ可能
- 中心静脈圧の推定は「低い~正常~少し高い~とても高い」の4分類で行う
- 右側内頸静脈が望ましいが外頸静脈も利用可能(ただし変動の上端を見ること)
💫 関連投稿
Physical Boot Camp in Kobe 2018より
(投稿者 川崎)
(投稿者 川崎)
2018-10-02
感染症法 医師の届出
全ての医師が全ての患者の発生について届出を行う必要がある感染症
当院でもしばしば遭遇する疾患
- 1類感染症 ただちに届出
- 2類感染症 ただちに届出
- 3類感染症 ただちに届出
- 4類感染症 ただちに届出
- 5類感染症 侵襲性髄膜炎菌感染症・風しん・麻しんは直ちに届出,その他は7日以内他に届出
感染症法における感染症の分類(厚生労働省) ※一部変更して1類~4類感染症のみ
当院でもしばしば遭遇する疾患
- 2類感染症 ➜ 結核
- 3類感染症 ➜ 腸管出血性大腸菌感染症
- 4類感染症 ➜ レジオネラ,A型肝炎,オウム病
食中毒の起因菌に関しては個別に指定はされていないが食品衛生法の第58条に下記の如く記載されている
食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者(以下「食中毒患者等」という。)を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄の保健所長にその旨を届け出なければならない。 (直ちには24時間以内)
食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者(以下「食中毒患者等」という。)を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄の保健所長にその旨を届け出なければならない。 (直ちには24時間以内)
(投稿者 川崎)