その後の心電図で,心室頻拍ではなくて左脚ブロック+発作性心房細動であったことが判明
臨床現場で発作性心房細動の停止目的でキシロカインを使用することは(ほぼ)ない
- 心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)にもキシロカインの記述はない
- リドカイン静注用2%シリンジ「テルモ」の添付文書に記載された【効能又は効果】は期外収縮(心室性),発作性頻拍(心室性),急性心筋梗塞時及び手術に伴う心室性不整脈の予防期外収縮(上室性),発作性頻拍(上室性)
ただし動物実験ではリドカインが発作性心房細動の停止に著効するというデータあり(Am Heart J 1990;119:1061-8)
- 対象 心房細動が15分以上持続している犬30匹(26匹では迷走神経亢進状態)
- 方法 リドカインを静脈内にボーラス投与(2~3 mg/kg)
- 結果 洞調律への回復率は100%(101エピソードで101回成功)
その後,ヒトに対して前向き無作為研究が行われている(Am Heart J 2000;139:E8-11)
- 対象 電気的徐細動が予定された心房細動23例(平均持続期間187日:0~1140日)
- 方法 リドカイン(1.5~2.5 mg/kg) or 生食プラセボの静脈内ボーラス投与をクロスオーバー
- 結果 いずれの治療群でも洞調律へ回復した症例はなし(95%信頼区間:0~14%)
※上記の動物実験とヒト臨床研究では種の違い以外に心房細動の条件が大きく異なる点に要注意
(投稿者 川崎)
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