- ジャクスタピッド(ロミタピド)は、肝臓および小腸において、ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質(MTP)に結合して脂質輸送を阻害し、肝臓でのVLDL及び小腸でのカイロミクロン形成を抑制することで、血中のLDL-Cをはじめとする脂質を低下させる新規の作用機序を有する薬剤である。
- HoFHにおいては、第一選択薬としてスタチンを速やかに最大耐用量まで増量し、エゼチミブ・PCSK9阻害薬・MTP阻害薬・レジン・プロブコールとの併用による薬物療法やLDLアフェレーシスとの組合せによる治療がガイドラインで推奨されている。
- 本剤は、スタチン等とは異なり、LDLRへの作用を介さずに血中LDL-Cを低下させることから、HoFHの治療において新たな選択肢になると考えられる。しかしながら、本剤投与による肝機能障害や胃腸障害のリスクを考慮すると、本剤の臨床的位置付けとしては、既存の薬物療法に上乗せして使用されるものと考える。
- PCSK9阻害薬との使い分けについては、明確な基準はなく、両剤の特性、患者背景や症状等に応じて、いずれかを使用または併用するかリスク・ベネフィットを踏まえて判断することが適切である。
- LDLアフェレーシスとの使い分けについても、一律に規定することは困難である。LDLアフェレーシスについては、観察研究において心血管イベントの減少が示唆されているが、侵襲性が高く、患者負担も大きい。本剤投与により、LDLアフェレーシスの頻度が下がる等、患者の負担軽減が期待されることから、患者背景や症状等に応じて、本剤とLDLアフェレーシス施行のいずれか又は併用するかを判断することが適切である。
(投稿者 小森)
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