👥 カンファレンス中の一コマ
- 研修医A 「慢性心不全増悪の患者さんでCTの結果がこちらです」
- 研修医B 「右側優位に胸水があるなー」
- 研修医C 「なんで左右差あるんだろう…右に溜まりやすいのかな?」
心不全を原因とする胸水は両側性に出現することが多いが片側性も多く、その場合は右側が多い(両側性が64%、右側24%、左側12%)(JAMA 2009;301:309-17)。両側性胸水では右側優位の場合が多いと一般的に言われているが明確なエビデンスはないため、理由を考察してみました。
- 考察1 還流量の違い ➜ 右肺と左肺の血流量は55:45で右肺のほうが多い(千葉医学会雑誌 1971;47:29-34)。そのため右肺は血液がうっ滞しやすく、胸水が出現しやすいと考えられる。
- 考察2 リンパ管の太さの違い ➜ 左肺側の胸管が右肺側の右リンパ本幹と比べて太く(※)体液の吸収がスムーズに行われているため、左側に胸水が出現しにくいと考えられる。
- 考察3 体位との関係性 ➜ 心不全患者は左側臥位を避け、右側臥位を取ることが多い(J Am Coll Cardiol 2003;41:227–30)。理由としては右側臥位になることで大動脈が大静脈より高くなり前負荷が減少するため。これにより右側に体液が集まりやすくなり、胸水も右側に多くなるのではないかと考えられる。
🌀 振り返り
- 涅槃の体勢は右側臥位であり、仏陀は心不全であったという説があるようです。心不全の症例から仏陀にまでつながるのは意外でした。歴史を医学的に考察するのは面白いです。
(投稿者 後藤)
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